糖尿病診療事典 第2版

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糖尿病診療にかかわるすべての医療スタッフに重宝された『糖尿病治療事典』,待望の改訂第2版。全項目を見直し,「診断基準」,「病型分類」を時代に即したものに一新し,「経口薬療法」を全面改訂。「インスリン療法」,「食事療法」の章にも大幅に手を入れた。さらに「糖尿病患者の心理と行動」,「大規模臨床試験」の章を新設。
編集 繁田 幸男 / 景山 茂 / 石井 均
発行 2004年05月判型:A5頁:584
ISBN 978-4-260-13655-6
定価 6,160円 (本体5,600円+税)
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  • 目次
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1 疫学と予防
2 診断
3 病型分類
4 臨床検査
5 肥満
6 糖尿病性昏睡
7 妊娠
8 食事療法
9 運動療法
10 経口薬療法
11 インスリン療法
12 コントロールの指標と基準
13 低血糖
14 合併症とその対策
15 外科手術管理
16 輸液
17 移植治療
18 患者教育
19 セルフモニタリング
20 糖尿病患者の心理と行動
21 民間療法
22 社会資源・福祉サービス・施設・患者組織
23 糖尿病診療の大規模臨床試験
24 その他
25 資料
索引
略語一覧

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糖尿病診療に携わる全医療スタッフ必携の書
書評者: 立川 倶子 (鹿児島県栄養士会会長)
◆診療や患者教育の現場で必要な知識が即座に得られる

 今般,『糖尿病診療事典(第2版)』が医学書院から出版された。本書は1996年初版以来,糖尿病診療にかかわるすべての医療スタッフに重宝された『糖尿病治療事典』の改訂第2版である。

 今回,「診断基準」,「病型分類」を時代に即したものに一新し,「経口薬療法」を全面改訂,「インスリン療法」,「食事療法」の章をはじめ160名の執筆者による最新の情報が記載されている。編集代表者の繁田幸男先生(滋賀医科大学名誉教授)の第2版の序によると「糖尿病に関する考えられる限り広範にわたる項目を再検討し,最新の知識を提供した」とある。書名も「糖尿病診療事典」に改題したものである。

 繁田幸男先生は,現在,日本糖尿病学会の重鎮としてご活躍中の先生で,日本糖尿病学会の教育セミナーでご講演を拝聴する機会に恵まれた折,その糖尿病診療への熱い情熱と明快な格調高いご講演に感銘を深くし,魅了されたものである。

 本書の160名にものぼる膨大な執筆者は,日本糖尿病学会における各分野のエキスパートの先生方である。特に編集者に糖尿病の心理学についてのわが国の第一人者である石井均先生が新たに参加され,現在,最も注目される「糖尿病患者の心理と行動」の章が新設されていることも本書の魅力となっている。また,EBMの時代に対応し「糖尿病診療の大規模臨床試験」を網羅しての記載など,最新の情報を得ることができる。

 本書は,糖尿病診療や患者教育の現場で,必要な知識が即座に得られる項目立てがしてあり,疫学と予防から患者組織に至るまで,きめ細かい24のカテゴリー別に330項目に分類した本文と資料で構成されている。各項目は1―2頁でまとめられ,必要なときにコンパクトな知識を得ることができるばかりでなく,本文中に参照ページが入り使い勝手のよい編集となっている。さらに,特色として目次はカテゴリー別のものと,五十音順電話帳式に配列したキーワード目次の両者を設け,略語一覧が巻末にまとめてある。

◆1万人超えた糖尿病療養指導士

 日本糖尿病療養指導士認定機構による日本糖尿病療養指導士(CDEJ)も,2004年6月現在,1万人を超す10,026名が認定された。21世紀における国民健康づくり運動「健康日本21」では,2010年の糖尿病有病者数を生活習慣が改善されない場合,1,080万人と推定している。糖尿病有病者の目標減少率を7%として,80万人の減少を掲げている。DPPスタディによる一次予防のための生活習慣改善群の効果は明らかである。1万人以上になったCDEJの活躍が期待される。

 本書が,糖尿病診療に携わる全医療スタッフ必携の書であると同時に,糖尿病療養指導士すべての座右の書として活用されることを願うものである。

診療現場で力になる糖尿病の百科事典
書評者: 赤沼 安夫 (朝日生命成人病研究所所長)
◆糖尿病診療に欠かせない項目のほとんどを網羅

 本書の初版にあたる『糖尿病治療事典』が世に出て8年が経過し,この度,その第2版が編集者の繁田幸男,景山茂,石井均の3人の先生方の大変な御尽力と,実に160名にのぼる先生方の協力により出版された。ページを開いてゆくと,わかりやすい図,表が適切に組み込まれ,テーマごとに少ないページ数の中にも簡潔に要領よくまとめられていることがわかる。目次やキーワードを眺めると,糖尿病の診療において欠かせない項目のほとんどすべてが網羅されているといっても過言ではないと思われる。本書は糖尿病診療の場において百科事典的に活用できるのが最大の利点であろう。

 以下,項目のいくつかをピックアップして述べてみたい。疫学と予防では糖尿病の有病率,発生率,そして,それらの国際比較と日本人の糖尿病の特徴が述べられ,その背景にある遺伝因子と環境要因を取り上げ解説されている。糖尿病の一次予防については主要な介入試験について記載され,これらの成果などを参考に作成された健康日本21の要約が載せられている。診断の項では日本糖尿病学会の診断基準を2ページに簡潔にしかも正確にまとめてある。まず,読者にとってこの項は必読のところであろう。

 治療の項では食事,運動,経口薬,インスリンの各療法,コントロールの指標と基準や低血糖など多くの項目にわたり実に99名のエキスパートが著者に名を連ね,細部にわたり丁寧に解説している。治療の項は診療室において実地に最も活用されるものと確信する。 

◆合併症に関する項目は特に詳細に記載

 糖尿病治療の目標は合併症の発症予防と進展抑制にある。本書の24の主項目のうち,合併症に関しては最大のページ数,約130ページを費やして詳細に述べられている。編集代表の繁田先生は,多彩な糖尿病の合併症の病態解明に関して永年にわたり精力を傾けてこられた。まず先生は総論において,今日,治療法の進歩にもかかわらず血管合併症は年々増加の一途を辿っていること,この現状をわれわれは深刻に受け止めなければならないと警鐘を鳴らされているが,そのとおりである。われわれ臨床家はこのことを肝に銘じなければならない。さらに,先生は糖尿病の細小血管症と大血管症の違いを明解に記述しておられる。すなわち,細小血管症においては,諸悪の根源は高血糖であるのに対して,大血管症では糖代謝異常に加えて血圧,脂質代謝,喫煙など他の多くの要因も大きな役割を演じていること,食生活の欧米化が進んでいるわが国においては大血管症とくに虚血性心疾患はますます増加する危険性が大であると述べ,対策の必要性を強調されている。

 合併症のうち,網膜症に関しては眼科からその道のエキスパートの先生方が多数著者に加わっておられることも本書の特徴である。目の合併症の広範な領域で細部にわたり解説されている。糖尿病性腎症に関しては病期分類から血液透析,食事療法など21項目について細かく記されている。神経障害についても概念,診断,検査法から治療まで20項目に関して簡潔にして要を得た解説が加えられている。

 急性合併症としてはケトアシドーシス,高浸透圧性非ケトン性昏睡,乳酸アシドーシスが取り上げられ,病態生理,診断,治療を中心に図表も加えられ,実地にただちに活用できると思う。その他にも近未来の治療の研究や基礎研究領域の要約も加えられ,さらに,糖尿病を取り巻く資料も巻末にあり,本書の価値を高めている。

 このように,本書は診療室でも書斎でも気楽にページが開け,糖尿病に関する知識を拡大し深めるのに役立つし,治療の実際面にもただちに活用できる本である。特に第2版では必要な項目のページを容易に開けるよう工夫が加えられており,実に使いやすくなっている。多くの医療従事者の座右の書として活用されるものと確信する。

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本書の記述の正確性につきましては最善の努力を払っておりますが、この度弊社の責任におきまして、下記のような誤りがございました。お詫び申し上げますとともに訂正させていただきます。

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