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見逃し症例から学ぶ日常診療のピットフォール

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一般医・研修医が遭遇することの多い疾患について,外来で見逃す可能性のあるピットフォールを,疾患別にまとめて提示。問診,身体診察,治療方針の決定,そして説明と診療記録記載まで,患者ひとり15分で対処しなければならない総合外来の診療の流れを,豊富な写真とイラストで示した実践的な外来診療のサブテキスト。
生坂 政臣
発行 2003年11月判型:A5頁:192
ISBN 978-4-260-10291-9
定価 4,070円 (本体3,700円+税)
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  • 目次
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Introduction 本書を読む人々のために
1. 頭痛編
2. めまい編
3. 失神編
4. 口のしびれ編
5. 咽頭編
6. 慢性咳嗽編
7. 胸痛編
8. 右季肋部痛編
9. 腹痛編
10. 手肩腰編
11. 発熱編
12. 呼吸困難・動悸編
13. 浮腫編
14. 超音波検査編
索引

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JIMの連載「外来で見落とした症例」が1冊の本になった
書評者: 中村 明澄 (筑波大学附属病院 総合医コース・シニアレジデント)
 外来患者さんの主訴から診断にいたるまでの思考過程を根拠ある資料をもとにしっかり学習することで,患者さんに自信をもって説明でき,治療を選択していけるようになる本だと思います。

◆リアルな症例をじっくり考えられる構成

 外来でよく出会う13の主訴と超音波所見について全57症例から学ぶ形式になっています。症例はすべて右ページに掲載され,ページをめくってはじめて解説が読める構成になっているので,症例に集中してじっくり考えることができます。

 右ページは,患者さんをイメージできる1文(例えば「床屋で髭剃り中に失神した老人」)に加えて,現病歴と簡単な身体所見をまとめた「症例」,「初診時診断」,「特徴的な身体所見や検査所見」の写真で構成されます。画像所見だけでない身体所見のカラー写真が臨場感を生み出してくれます。

◆「考え方」を学べる!クリアカットな生坂流

 ページをめくると「その後の経過」,「最終診断」,「教訓」と続き,そのあとに適宜,解説ミニレクチャーなどが掲載されます。解説には主訴から考えるべき思考過程が書かれているため,単なる鑑別診断ではなく「考え方」を学べるところが魅力的です。また,1つの主訴につき2―7症例あるので,通読すると自然と鑑別診断がイメージできるようになりますし,説明を読むことでその症例以外のcommon diseaseも自然に学習できるようになっています。

 五七五でまとめられた22のピットフォールや,テンポのよいクリアカットな説明は,生坂先生のお声が聞こえてくるようで,飽きずに一気に読み通すことができ,明日からの臨床の現場ですぐに活用できます。また,ところどころで出てくる「マスターアドバイス」には,外来で臨床医としての基本がコメントされており,「こころ」についても学ぶことができます。

◆かゆいところに手が届く

 「あとで調べよう」と思っても,忙しい病棟業務に追われてつい忘れてしまいがちになってしまうことや,後輩医師に伝えたくてもすぐに資料が出てこないようなことがミニレクチャーに載っています。忙しい外来でもすぐに復習できますし,外来カンファレンスで身体所見の写真を共有したり,鑑別診断を一緒に学習しなおしたりできます。

 コンパクトながらもりだくさんな内容で,外来で手元にあると心強い1冊です!

冷汗とダイナミズムのプライマリケア診療学
書評者: 守屋 章成 (家庭医療クリニック西岡)
◆胃の縮む思いをするページも

 本書はプライマリケアで遭遇するものの見逃されがちな疾患について,実際の症例をもとにピットフォールを詳述した書である。「頭痛編」「めまい編」のように症候別に分類し,初診時の“誤診”とその後の確定診断を紹介・解説している。各症例はページをめくるまで正解がわからないように工夫されており,読者は1例ずつ頭をひねりながら読み進める楽しみがある。

 だが楽しみは間もなく冷汗に変わる。なぜなら,これらはすべてのプライマリケア医が遭遇しうる症候・疾患であり,「明日は我が身」の症例もあれば「あの時の患者はもしやこの疾患だったのでは…」と胃の縮む思いをするページもあるからだ。日々のありふれた症候の中から重大な疾患のごく初期の症状を逃さないというプライマリケア医ならではの厳しさを,本書は改めて突きつけている。

◆診断学の枠を大きくこえた内容

 しかし本書は単なる警告書で終わってはいない。むしろその真価は,冒頭の「本書を読む人のために」や随所の「マスター・アドバイス」で著者が説くプライマリケア診療の根本原理に現れている。外来診療のやりがいと楽しみ,外来研修の必要性,医療面接の価値など,「プライマリケア専門医」=「家庭医療学専門医」である著者ならではの誇りと情熱がここに込められている。これらに触れる時,読者は外来診療の醍醐味を知りプライマリケアのダイナミズムを感じ取ることができよう。

 本書は診断学書の体裁をとりつつも,その訴えかけるところは診断学の枠を大きくこえて「プライマリケア診療学」とでも呼ぶべき刮目の内容となっている。

 プライマリケアを担うすべての医師は,本書から冷汗のみならずプライマリケア診療のダイナミズムをこそ体感し日々の診療に活かしていきたいものである。

これからのプライマリ・ケア診療を照らし出したガイドブック
書評者: 野村 馨 (東京女子医大病院一次診療外来)
◆従来見落されてきた診療のポイントを紹介

 本著ではプライマリ・ケアの現場から57症例が紹介され,その診断治療,それに関して従来での医学教育,研修では見落とされてきたような診断の要点(ピットフォール)が語られている。さらに鑑別診断や検査の妥当性などを紹介するミニレクチャーやプライマリ・ケアをめざす医療者へのアドバイスを語るマスター・アドバイスが随所に記載されている。

 全体を読めば著者の生坂政臣先生がめざしているプライマリ・ケアとは,各専門分野からの切り貼り細工により行なわれるものでなく,それを再構成して行なわれる新たなものであることが実感される。しかも外来診療と研修にかける著者の情熱と楽しみが共感できる好著である。大上段からプライマリ・ケアの理念を説くのではなく具体的な症例をもとにプライマリ・ケアとは何かを見事に紹介している。本著はこれからのプライマリ・ケア診療とは何かを照らし出したガイドブックである。プライマリ・ケアをめざす人には是非読んでいただきたい。また,日々忙しい診療に携わっている方々にもいままでになかったお得な教科書として手にとっていただきたい。私は一度読了した楽しみの後は,紹介された診断技能を引用するHow to本としても利用させてもらうつもりでいる。

◆軽症疾患の病名と病態も説明

 著者は「このシリーズには,見逃しても生命予後に影響のない日常病も掲載されている。たとえ軽症疾患でも病名と病態を説明することは,患者中心医療の基本であり,また診断名のつく診療は他ならぬ医者自身のやり甲斐を増すことになる。良質な医療の永続的供給には,患者だけではなく医師も満たされなければならない」(「はじめに」より)と述べている。このことは当たり前のようで当たり前でなかった現状がある。私も大学病院で「一次診療外来」を担当していて深く共感できるところである。系統的に細分化された疾患分類では軽症で自然治癒する疾患はその存在すら忘れがちである。頻度の高い日常病としてプライマリ・ケアの病名コードにしっかり登録し,その診断技術を確認しておく必要がある。本著がさらに発展することを熱望するゆえんである。

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