薬理学プレテスト
薬理学と薬物治療学のマスターに最適な臨床事例によるセルフチェック問題集
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基礎医学を臨床に関連づけて学習するという,これからの方向に対応したテキスト。症例による問いを解き,解説を読むことで,ポイントを踏まえた知識の整理ができるだけでなく,日常診療活動の多くを占め,治療の原則として欠かせない薬物治療学の一端に触れることもできる。共用試験の準備にも最適。索引も充実。
著 | アーノルド・スターン |
---|---|
監訳 | 渡邊 康裕 |
発行 | 2003年04月判型:A5頁:312 |
ISBN | 978-4-260-10540-8 |
定価 | 3,630円 (本体3,300円+税) |
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頻出項目
薬理作用
抗感染症薬
癌化学療法,癌免疫学
心血管系,呼吸器系
中枢神経系
自律神経系
局所制御物質
泌尿器系
消化器系,栄養
内分泌系
中毒学
略号と頭文字
索引
薬理作用
抗感染症薬
癌化学療法,癌免疫学
心血管系,呼吸器系
中枢神経系
自律神経系
局所制御物質
泌尿器系
消化器系,栄養
内分泌系
中毒学
略号と頭文字
索引
書評
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重要性増す薬理学の知識を整理
書評者: 遠藤 政夫 (山形大医学部長)
◆臨床における治療の基礎としての薬理学
日本の医学教育における薬理学の位置づけは急激に変わりつつあり,これは基礎医学における教育方針全般の変化に伴うものである。基礎医学教育では臨床で患者を診て治療するための基礎となる知識を身につけさせることがより強く求められており,そのためのコア・カリキュラムがすでに実施されつつある。平成17年には臨床実習に入る前に必須の基礎的知識を問う全国共通テスト(CBT:computer―based test)が実施されることになる。したがって,治療学の基礎となる薬理作用機序および副作用(有害作用)を学習する薬理学の位置づけは著しくその重要性を増してきている。このような状況下でアーノルド・スターン著「薬理学プレテスト」の渡邊康裕教授による監訳はまさに時宜を得たものといえる。
本書は薬理学の知識を臨床における治療の基礎として,積極的に頭を使いながら学習するという一貫した基本方針に基づいて書かれており,著者の配慮が細かいところまで行き届いている。これにより教科書を読むことによる勉強がどうしても単調なものとなり集中力の持続が困難に陥ることを避け,より効果的に新しい薬理学の知識を得ること,さらにはすでに学んだ知識の的確さをチェックすることが可能となる。自分で考えて解答を試みた後に,その事項に関する懇切丁寧な解説を読むことにより,効果的な知識の整理を可能にしている。一方,医師として日常診療活動で投与する薬物に関する治療の原則の基礎となる薬理学の重要な知識のリフレッシュメントにも有用である。
◆学習者にとって知識の整理がしやすい内容
内容的には490題の基本問題が中心的な役割を演じているが,これらの問題はUnited States Medical Licensing Examination(USMLE)Step1の問題の形式と難易度に沿っている。1問につき1分以内で解答するようにという著者のアドバイスがあるが,問題の難易度にはバラツキがあり,平均すればほぼその程度の時間で解答することが可能である。最初に基本薬物分類表と頻出項目が記載されており,初めて薬理学を学ぶ学生には少しとっつきにくいかもしれないが,知識整理のためには非常に有用である。最初の「薬理作用」の章は,いわゆる薬理学総論の問題である。全体的なバランスを考慮するとやむを得ないかもしれないが,この章にはできればもう少しページ数を割いて欲しい。各論の問題項目は「抗感染症薬」から始まり,「癌化学療法」「癌免疫学」という順序になっているので少し入りにくい印象をもった。本書の項目の順序にとらわれないで各論に関しては「自律神経系」「心血管系」「呼吸器系」「中枢神経系」あたりから勉強を始めるのがよいと思われる。著者も章の項目ごとにまとめて勉強することを指示している。個々の薬物に関しては日本で発売されていないものも出てくるが,あまり気にしないで作用機序にターゲットを絞って勉強を進めることをお薦めしたい。
問題はそれほど時間を使わず比較的容易に解答できるものが多いので,薬理学の知識の整理のために医学部・薬学部の学生をはじめ,実際の日常診療に従事している医師,薬剤師,看護師,製薬会社の研究者にも広く本書をお薦めしたい。
CBTをにらんだ,標準的薬理学の学習に最適な1冊
書評者: 三木 直正 (大阪大院教授/医・情報薬理)
◆薬理学はCBT主要科目の1つ
米国の医師国家試験は,Step1,Step2,Step3から構成されている。Step1は基礎医学2年で,Step2は臨床医学2年で受験する。Step3はレジデント研修1年後(インターンシップ1年)に受験し,これらに合格すれば正式の医師免許が交付される。我が国の医師国家免許は,1回の試験に合格しただけでもらえるが,この試験は米国のStep2に相当する。
2005年度から,共用試験といわれるComputer Based Test(CBT)が,基礎医学から臨床医学課程に進むときに課せられようとしている。この試験は,米国のStep1に相当する。Step1の出題科目は,解剖学,行動科学(精神科,行動科学,統計学,公衆衛生学をあわせたもの),生化学,細菌学,薬理学,生理学である。薬理学は,主要科目の1つである。
医学教育への「コアカリキュラム」と「CBT」の導入を前にして,このたび,「薬理学プレテスト」(アーノルド・スターン著,医学書院)という翻訳本が,防衛医科大学の渡邊康裕教授らにより出版された。まったく時宜を得た問題集である。最初の部分に,基礎となる薬物分類表があり,憶えるべき薬物が記載されている。問題ページの後には解答ページがあり,かなり詳しく解説されている。また,索引も付いているし,全体的に読みやすい訳となっている。
◆標準的な薬理学の知識を整理できる
従来,医学部の基礎医学の試験は,「~について記せ」という記述式問題がほとんどであった。CBTが導入されると,各大学の基礎医学の試験は選択問題が中心となるが,標準的な問題を作るのは結構難しい。また,各大学は,教官独自の判断で講義の内容を決めているところが多い。しかしCBTが導入されると,各大学ともCBTの問題に合わせて薬理学の「コアカリキュラム」の講義をするようになる。どの大学の医学生も,一定水準の薬理学の知識を持つようになる。マクドナルドのハンバーガーと同じように,どこでも同じ品質の医者を養成するのがねらいである。このことは,ある患者へ治療薬を投与したときの薬物の効果,作用機序および副作用についての標準的な薬理学の知識を持つことが要求されることを意味する。
自律神経系に働く薬のところで,「65歳の男性が,視野の狭窄を訴えている。眼底検査により視神経乳頭の陥没が認められた。また,周辺視野の狭窄が視野検査によって認められた。彼の眼圧は増大していた。薬物による治療後,視野が明瞭になり,眼圧も低下した。」の症例から,どの薬物を投与したかを,薬物リストの中から選ばせる問題がある。このような臨床薬理学的な問題も多く記載されている。
学生は,試験勉強のときに,この問題集の問題を解き,解答欄を丁寧に読むことにより,自分の知識をより確かなものにできる。また,教師の立場からすれば,講義をするときにこの問題集を参考にすれば,講義内容のチェックができるし,CBTの問題作成にも役立つ。
私は,毎年3回,50題ずつ同様な試験問題を作成しているが,この問題集をながめると,米国でのシステム化された医学教育の歴史を感じる。
わが国で承認されていない薬物についての問題も結構多いので,我が国で市販されている類似薬があれば括弧や注を入れて,併記して欲しかった。CBTを通して,薬理学の標準問題が蓄積され,将来,我が国独自の問題集が出版されることを願っている。
USMLE対策で定番の問題集が邦訳化
書評者: 中木 敏夫 (帝京大教授・薬理学)
◆CBT対策にも最適
原書のPretestシリーズは1976年に刊行され,米国医師資格試験(USMLE)のStep1の準備用問題集として長い間使用されてきた。Step1は基礎医学分野を対象とした試験である。わが国にはそのような基礎科目を対象とした試験は従来なかったが,近い将来全国的規模で導入されるであろうCBTは,このStep1を雛形にしてわが国に適合した形式で実施される試験である。CBTの成績の扱いは各大学に当面任されることになっている。大学によっては進級の資料として取り扱われる場合もあるであろう。このような状況の中で,本書が出版されたことは誠に時宜を得たと言うべきである。特に本書は薬理学の定期試験やCBTの準備として使用することにより,自分の弱点を知ることができ,学習効果が上がるであろう。
◆初学者にやさしい,丁寧な解説とバランスよい内容
著者が述べておられるように,わが国の医学部での薬理学教育はややもすれば薬理学偏重,すなわち,薬の作用機序に重点を置きすぎる側面があった。しかし,薬をその重要な治療手段として使用する臨床家にとっては,薬理学のみでは不十分であり,薬物動態学も知らねばならないことは明白である。この問題集でもその点への配慮が見られ,必要最小限の薬理学をバランスよく学習できるように編集されている。平易な設問から比較的難しい問題までそろっているが,いずれもよく検討された良問である。本書で扱っている490題の問題を完全に消化できれば,薬理学上の重要なポイントについては一応満足すべき成果を得ることになるであろう。
各問に対して,丁寧な問題解説が載っており,初学者には特に学習しやすくなっている。ただし,原著者も述べているように,便利さにかまけて教科書やノートなどで知識を確認する作業を怠らないことである。最近の医学生の傾向として,手軽に学習できる書籍のみで済ませる人が増えているようであるが,好ましいことではない。問題の他に,巻頭には重要項目のまとめが掲載されており,自分の知識の確認が容易にできるようになっている。巻末には丁寧な索引が載っており,特定の薬についての問題のみを検索するときに役に立つ。
邦訳版の本書は第一線の薬理学者によって訳され,ややもすれば難しい内容を平易な日本語訳をつけることにより大変読みやすく書かれている。他の訳本では,用語が統一性を欠いていたり,わが国での薬物名としては正式名ではない場合がありがちだが,それらの訳本とは異なり,本書は薬物名に関してわが国の現状をほぼ完璧に反映しており,編集者・訳者の熱意が伺われる。本文中の*印は,わが国では承認されていない薬を表している。また,本書は内容,分量ともに適切であり,高価な医学書が多い中にあって価格も手頃である点もありがたい。
書評者: 遠藤 政夫 (山形大医学部長)
◆臨床における治療の基礎としての薬理学
日本の医学教育における薬理学の位置づけは急激に変わりつつあり,これは基礎医学における教育方針全般の変化に伴うものである。基礎医学教育では臨床で患者を診て治療するための基礎となる知識を身につけさせることがより強く求められており,そのためのコア・カリキュラムがすでに実施されつつある。平成17年には臨床実習に入る前に必須の基礎的知識を問う全国共通テスト(CBT:computer―based test)が実施されることになる。したがって,治療学の基礎となる薬理作用機序および副作用(有害作用)を学習する薬理学の位置づけは著しくその重要性を増してきている。このような状況下でアーノルド・スターン著「薬理学プレテスト」の渡邊康裕教授による監訳はまさに時宜を得たものといえる。
本書は薬理学の知識を臨床における治療の基礎として,積極的に頭を使いながら学習するという一貫した基本方針に基づいて書かれており,著者の配慮が細かいところまで行き届いている。これにより教科書を読むことによる勉強がどうしても単調なものとなり集中力の持続が困難に陥ることを避け,より効果的に新しい薬理学の知識を得ること,さらにはすでに学んだ知識の的確さをチェックすることが可能となる。自分で考えて解答を試みた後に,その事項に関する懇切丁寧な解説を読むことにより,効果的な知識の整理を可能にしている。一方,医師として日常診療活動で投与する薬物に関する治療の原則の基礎となる薬理学の重要な知識のリフレッシュメントにも有用である。
◆学習者にとって知識の整理がしやすい内容
内容的には490題の基本問題が中心的な役割を演じているが,これらの問題はUnited States Medical Licensing Examination(USMLE)Step1の問題の形式と難易度に沿っている。1問につき1分以内で解答するようにという著者のアドバイスがあるが,問題の難易度にはバラツキがあり,平均すればほぼその程度の時間で解答することが可能である。最初に基本薬物分類表と頻出項目が記載されており,初めて薬理学を学ぶ学生には少しとっつきにくいかもしれないが,知識整理のためには非常に有用である。最初の「薬理作用」の章は,いわゆる薬理学総論の問題である。全体的なバランスを考慮するとやむを得ないかもしれないが,この章にはできればもう少しページ数を割いて欲しい。各論の問題項目は「抗感染症薬」から始まり,「癌化学療法」「癌免疫学」という順序になっているので少し入りにくい印象をもった。本書の項目の順序にとらわれないで各論に関しては「自律神経系」「心血管系」「呼吸器系」「中枢神経系」あたりから勉強を始めるのがよいと思われる。著者も章の項目ごとにまとめて勉強することを指示している。個々の薬物に関しては日本で発売されていないものも出てくるが,あまり気にしないで作用機序にターゲットを絞って勉強を進めることをお薦めしたい。
問題はそれほど時間を使わず比較的容易に解答できるものが多いので,薬理学の知識の整理のために医学部・薬学部の学生をはじめ,実際の日常診療に従事している医師,薬剤師,看護師,製薬会社の研究者にも広く本書をお薦めしたい。
CBTをにらんだ,標準的薬理学の学習に最適な1冊
書評者: 三木 直正 (大阪大院教授/医・情報薬理)
◆薬理学はCBT主要科目の1つ
米国の医師国家試験は,Step1,Step2,Step3から構成されている。Step1は基礎医学2年で,Step2は臨床医学2年で受験する。Step3はレジデント研修1年後(インターンシップ1年)に受験し,これらに合格すれば正式の医師免許が交付される。我が国の医師国家免許は,1回の試験に合格しただけでもらえるが,この試験は米国のStep2に相当する。
2005年度から,共用試験といわれるComputer Based Test(CBT)が,基礎医学から臨床医学課程に進むときに課せられようとしている。この試験は,米国のStep1に相当する。Step1の出題科目は,解剖学,行動科学(精神科,行動科学,統計学,公衆衛生学をあわせたもの),生化学,細菌学,薬理学,生理学である。薬理学は,主要科目の1つである。
医学教育への「コアカリキュラム」と「CBT」の導入を前にして,このたび,「薬理学プレテスト」(アーノルド・スターン著,医学書院)という翻訳本が,防衛医科大学の渡邊康裕教授らにより出版された。まったく時宜を得た問題集である。最初の部分に,基礎となる薬物分類表があり,憶えるべき薬物が記載されている。問題ページの後には解答ページがあり,かなり詳しく解説されている。また,索引も付いているし,全体的に読みやすい訳となっている。
◆標準的な薬理学の知識を整理できる
従来,医学部の基礎医学の試験は,「~について記せ」という記述式問題がほとんどであった。CBTが導入されると,各大学の基礎医学の試験は選択問題が中心となるが,標準的な問題を作るのは結構難しい。また,各大学は,教官独自の判断で講義の内容を決めているところが多い。しかしCBTが導入されると,各大学ともCBTの問題に合わせて薬理学の「コアカリキュラム」の講義をするようになる。どの大学の医学生も,一定水準の薬理学の知識を持つようになる。マクドナルドのハンバーガーと同じように,どこでも同じ品質の医者を養成するのがねらいである。このことは,ある患者へ治療薬を投与したときの薬物の効果,作用機序および副作用についての標準的な薬理学の知識を持つことが要求されることを意味する。
自律神経系に働く薬のところで,「65歳の男性が,視野の狭窄を訴えている。眼底検査により視神経乳頭の陥没が認められた。また,周辺視野の狭窄が視野検査によって認められた。彼の眼圧は増大していた。薬物による治療後,視野が明瞭になり,眼圧も低下した。」の症例から,どの薬物を投与したかを,薬物リストの中から選ばせる問題がある。このような臨床薬理学的な問題も多く記載されている。
学生は,試験勉強のときに,この問題集の問題を解き,解答欄を丁寧に読むことにより,自分の知識をより確かなものにできる。また,教師の立場からすれば,講義をするときにこの問題集を参考にすれば,講義内容のチェックができるし,CBTの問題作成にも役立つ。
私は,毎年3回,50題ずつ同様な試験問題を作成しているが,この問題集をながめると,米国でのシステム化された医学教育の歴史を感じる。
わが国で承認されていない薬物についての問題も結構多いので,我が国で市販されている類似薬があれば括弧や注を入れて,併記して欲しかった。CBTを通して,薬理学の標準問題が蓄積され,将来,我が国独自の問題集が出版されることを願っている。
USMLE対策で定番の問題集が邦訳化
書評者: 中木 敏夫 (帝京大教授・薬理学)
◆CBT対策にも最適
原書のPretestシリーズは1976年に刊行され,米国医師資格試験(USMLE)のStep1の準備用問題集として長い間使用されてきた。Step1は基礎医学分野を対象とした試験である。わが国にはそのような基礎科目を対象とした試験は従来なかったが,近い将来全国的規模で導入されるであろうCBTは,このStep1を雛形にしてわが国に適合した形式で実施される試験である。CBTの成績の扱いは各大学に当面任されることになっている。大学によっては進級の資料として取り扱われる場合もあるであろう。このような状況の中で,本書が出版されたことは誠に時宜を得たと言うべきである。特に本書は薬理学の定期試験やCBTの準備として使用することにより,自分の弱点を知ることができ,学習効果が上がるであろう。
◆初学者にやさしい,丁寧な解説とバランスよい内容
著者が述べておられるように,わが国の医学部での薬理学教育はややもすれば薬理学偏重,すなわち,薬の作用機序に重点を置きすぎる側面があった。しかし,薬をその重要な治療手段として使用する臨床家にとっては,薬理学のみでは不十分であり,薬物動態学も知らねばならないことは明白である。この問題集でもその点への配慮が見られ,必要最小限の薬理学をバランスよく学習できるように編集されている。平易な設問から比較的難しい問題までそろっているが,いずれもよく検討された良問である。本書で扱っている490題の問題を完全に消化できれば,薬理学上の重要なポイントについては一応満足すべき成果を得ることになるであろう。
各問に対して,丁寧な問題解説が載っており,初学者には特に学習しやすくなっている。ただし,原著者も述べているように,便利さにかまけて教科書やノートなどで知識を確認する作業を怠らないことである。最近の医学生の傾向として,手軽に学習できる書籍のみで済ませる人が増えているようであるが,好ましいことではない。問題の他に,巻頭には重要項目のまとめが掲載されており,自分の知識の確認が容易にできるようになっている。巻末には丁寧な索引が載っており,特定の薬についての問題のみを検索するときに役に立つ。
邦訳版の本書は第一線の薬理学者によって訳され,ややもすれば難しい内容を平易な日本語訳をつけることにより大変読みやすく書かれている。他の訳本では,用語が統一性を欠いていたり,わが国での薬物名としては正式名ではない場合がありがちだが,それらの訳本とは異なり,本書は薬物名に関してわが国の現状をほぼ完璧に反映しており,編集者・訳者の熱意が伺われる。本文中の*印は,わが国では承認されていない薬を表している。また,本書は内容,分量ともに適切であり,高価な医学書が多い中にあって価格も手頃である点もありがたい。