病院原価計算ハンドブック

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病院の運営管理に役立つ一般企業・競争市場下での原価管理の常識を徹底紹介! 原価計算実施のための会計・組織運営上の基礎知識を体系的に整理。また,具体的な場面(機器入替・病院建替,人間ドック設置,自治体病院,大学病院,他)を例に挙げ,導入時の実務ポイントを明らかにする。
編集 新日本監査法人医療福祉部
発行 2001年09月判型:A5頁:192
ISBN 978-4-260-24072-7
定価 3,300円 (本体3,000円+税)

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  • 目次
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第1章 病院原価計算の基礎知識 
○知識の体系的整理(会計・組織運営)
 1. 原価の本質
 2. 原価計算の利用の仕方
 3. 病院マネジメントと原価計算
 4. 原価計算のプロセスと費目別計算
 5. 部門別原価計算
 6. 製品別原価計算
 7. 病院会計の基礎-病院会計準則
 8. 原価企画
 9. ABC原価計算とCVP分析
 10. 給与費のコスト・マネジメント
 11. 材料費のコスト・マネジメント
 12. 経費のコスト・マネジメント
 13. 患者別原価計算の実施と利用
 14. 情報公開の時代と病院運営
 15. 自治体病院の外部監査と原価計算の利用
 16. キャッシュ・フロー経営-資金のマネジメント
 17. 投資意思決定とキャッシュ・フロー
 18. DRG/PPSと従来型の出来高払い方式
 19. DRGに基づく医療原価のとらえ方
 
第2章 病院原価計算の実際-求められる要件整理と実施の留意点 
○組織別原価計算のポイント 
 1. 複数施設を有する法人の原価区分
 2. 簡易な診療科別原価集計
 3. 大学病院の原価計算
 4. 自治体病院の原価計算 
○意思決定のための原価計算
 1. 人間ドックの価格設定
 2. 病院の建て替え・機器の入れ替えの意思決定
 3. タックス・プランニング
 4. 個室の設置 
○医療機能評価(ベンチ・マーキング)と原価計算
 1. 日本における医療機能評価の取り組み
 2. DRGによるベンチ・マーキングの試行
 3. 他病院比較と原価計算

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病院経営に有用な原価計算をプロの会計士が解説
書評者: 渡辺 明良 (聖路加国際病院人事課長)
◆随所に示されるノウハウ

 この『病院原価計算ハンドブック』は,日本を代表する監査法人のプロの会計士たちが,その知見と実務をもとに,病院経営に必要な原価計算について執筆した貴重な1冊である。私も,病院における原価計算に関する検討を行なう場面で,筆者の方々とたびたびご一緒させていただき,毎回そこから多くの示唆を得ているが,本書にはそれらのノウハウが随所に示されている。病院経営に携わる人々にとっては文字通りのハンドブックとして,また病院の原価計算を学習・研究する学生にはよき参考書として,多くの医療関係者にお勧めしたい。
 本書は全体が2部構成となっており,第1章では,病院原価計算の基礎知識について体系的な整理が行なわれている。特に各項目ごとに目的・キーワード・着眼点といったポイントと,筆者たちの持つ豊富な会計関連資料がNOTEとして示されており,理解の助けとなっている。また,会計学の学術書では,とかく難解な用語や記述となりがちな理論についても,病院の事例に当てはめながら,わかりやすく解説しているのが特徴である。
 また,人事管理や在庫管理,情報公開など,組織運営と原価計算のつながりについても解説されている。このことは,原価計算が単なる経営指標を作成するためだけでなく,原価計算を通じて病院経営のあり方を改善していく手段となることを示しており,実践の場面で参考になる内容となっている。
 さらに,投資意思決定のための原価計算に関して,これが病院の経営戦略立案と実行に有用なツールであることを示すとともに,その手法についてもわかりやすく解説されている。
 一方,原価計算は内部管理的側面が強いため,その目的や手法は病院ごとに異なる場合があり,そのことが各病院で原価計算を実施する上での壁となることがあるが,第2章では,筆者たちの豊富な実務経験をもとに,医療法人や大学病院,自治体病院など,各病院のケースに応じた原価計算のあり方や,ベンチマークの手法など,原価計算を利用した経営管理手法に関する応用編としての事例が示されており,読者のニーズに対応した解説が得られる内容となっている。

◆必要性増す病院原価計算

 病院経営環境が厳しさを増す中,病院原価計算に対する必要性も高まっているが,病院原価計算はその実務を支える理論の浸透が,一般企業におけるそれと比べていまだ十分とは言えないことから,原価計算が病院経営のツールとしてさらなる発展をするためには,実務だけではなく,理論体系の整備と確立が不可欠であると思われる。そのためには,今後いろいろな視点から病院原価計算に対する研究や実践が行なわれることが望ましい。
 このような意味から考えると,実務者の視点でまとめた昨年の拙書『実践病院原価計算』(医学書院)に続き,今回の本書『病院原価計算ハンドブック』が出版されたことは,会計士の視点からの病院原価計算という点において,時代の要請に合った1冊であるといって過言ではないだろう。

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