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今日の診断指針 デスク判 第5版

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全国の臨床医に重宝されている本格的診断マニュアルを5年ぶりに全面改訂。症候編と疾患編の2部構成により,約1万種類の疾患にアプローチ可能。研修医・臨床医が現場で直面する難しい事態,迷いに明確な指針を提示する。非専門領域の疾患でもおよそ80~90%の診断がつけられる。医学生にもBSTの学習で利用価値大。
総編集 亀山 正邦 / 高久 史麿
発行 2002年11月判型:B5頁:2136
ISBN 978-4-260-10267-4
定価 26,400円 (本体24,000円+税)
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  • 目次
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 診断総論
 遺伝子診断の現状と動向
I 症候編
 1 全身的にみられる症候
 2 脳神経・精神系の症候
 3 頭部・顔面の症候
 4 頸部・肩・胸部の症候
 5 四肢・関節系の症候
 6 胸部・心臓系の症候
 7 胸部・呼吸器系の症候
 8 腹部・消化器系の症候
 9 腎・泌尿器系の症候
 10 産科・婦人科系の症候
II 疾患編
 1 救急疾患
 2 神経・筋疾患
 3 消化器疾患
 4 循環器疾患
 5 呼吸器疾患
 6 腎疾患
 7 血液・造血器疾患
 8 内分泌疾患
 9 代謝性疾患
 10 アレルギー疾患
 11 膠原病・免疫疾患
 12 感染性疾患
 13 寄生動物疾患
 14 中毒性疾患
 15 精神疾患
 16 運動器疾患
 17 皮膚疾患
 18 眼疾患
 19 耳鼻咽喉疾患
 20 泌尿器・男性性器疾患
 21 妊産婦・女性性器疾患
 22 新生児疾患
 23 小児疾患
 24 外来の小外科的疾患
付 基準範囲一覧表
索引
 和文索引
 欧文索引
 数字付用語索引

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「正しい確定診断」のために工夫されたアプローチ
書評者: 川上 義和 (国家公務員共済組合連合会 幌南病院院長)
 先の第4版から5年の歳月を経て,責任編集者の一部,執筆者の全員が交代した第5版が出版された。第4版まで幾度か執筆に携わった者,つまりOBとして書評を試みてみた。OBという立場は基本的に後輩(第5版)に優しくはあるが,内情をよく知っている立場として厳しくありたい。しかし,結論から申し上げると,厳しく見つめても本書は座右の書として完璧に近い内容を持っていると思う。その理由をいくつか挙げて,読者の参考に供したい。

◆症候,疾患の双方向からのアプローチ

 診断の基本的な目標は“正しい確定診断に至ること,それを正しい治療に応用すること”に尽きる。そのための工夫は本書の構成を「症候編」と「疾患編」に分けたことからはじまる。つまり,本書は症候から診断へのアプローチの仕方と,疾患からの攻め方の逆向き双方向から構成されている。症候編では,「症候のメカニズム」,「定義」,「原因」などからはじまって,「緊急処置」にまで及んでいる。「診断のチェックポイント」は親切な項目であるし,「鑑別のポイント」も重要である。「どうしても診断のつかないとき試みること」は理論を踏まえながらも執筆者の経験に照らしたポイントが書かれてあって貴重であり,本書の目玉の1つであろう。筆者はこの項目の執筆に苦心した記憶がある。

 疾患編は,救急疾患からはじまり内科系,外科系疾患を網羅し,外来の小外科的疾患に至る。診断上の常識としてまず「診断のポイント」が書かれ,「移送の判断基準」,「症候の診かた」,「検査とその所見の読みかた」,「確定診断のポイント」,「鑑別すべき疾患と鑑別のポイント」と続く。これらの項目は,確定診断に至るアプローチが執筆者の考え方や経験を踏まえてきめ細かに述べられている。「移送の判断基準」はプライマリケア医にとっても専門外の疾患を診た場合にもよいガイドとなろう。皮膚や顔貌の視診所見などの基本的な事項はよく選別され鮮明なカラー写真で提示されている。イラストやフローチャート,漫画,表も活用されて,理解に役立つ。また昨今の画像診断法の進歩に合わせて,典型的症例の内視鏡,超音波,CT,MRI,RI,病理組織像などの写真が提示されており,第一線の臨床医にとって脳裏に残る貴重な画像ばかりである。

◆診断確定では終わらない

 診断指針とは言いながら,診断確定で終わらず診断後の対応つまり「予後判定の基準」,「合併症・続発症の診断」,「治療法ワンポイント・メモ」など,治療や予後に触れているのも本書の特徴であろう。「さらに知っておくと役立つこと」は最後のだめ押し的に,あるいは補足的に執筆者が長短自在に書き残している。

 巻末の「基準範囲一覧表」には臨床検査値が網羅され,この表単独でも成書となりうる内容とボリュームがある。近年,検査値の異常は自動的に診断され表示・プリントアウトされるので,値そのものが軽視されがちであるが,値の意味(例えば活性か,蛋白量か),測定法による値の違い,単位の表現法,短い解説・注,変動幅など参考になることが多い。

 以上,OBとして「厳しい目」で見たが,第一線の臨床医や研修医が必要に応じて,また診療の合間にひもとく座右の良書として推薦したい。蛇足ながら,きめ細かく多面的な項目を立てたこと,全疾患を網羅したことの2点に加え,症候と疾患の双方向から診断を助けるよう工夫された手引き書は,欧米を含めて外国に類を知らない。

臨床現場の座右の書,待望の改訂
書評者: 杉野 信博 (東京女子医大名誉教授・内科学)
◆時代に合った診断的情報を効率よく整理

 編者が冒頭に述べておられるように,近年医療の技術面の進歩と共に,倫理面などさまざまな課題が派生している。情報の多様化により,時には臨床の現場の医師たちが戸惑うこともある。これらの点を考慮して,多数の診断的情報を各項目ごとに要点を簡潔にまとめているのが本改訂版の特徴と言えよう。

 例を挙げると,不明熱(FUO)に際して「どうしても診断がつかないとき試みること」の欄で,全身状態がよく保たれている時は,抗菌薬,抗結核薬などはすぐに使わず,毎日慎重に診察を行ない,培養あるいは生検できる臓器組織を特定し,また病態を変化させるのでステロイドをむやみに使わぬよう警告している。また,全身性エリトマトーデス(SLE)の臨床像は多彩であるため非定型例,境界例などで診断がつき難いことも珍しくない。そのような場合には,SLE診断分類基準(ARA,1998)に準拠して検査を進めるが,それでも確定診断に至らない時は,対症療法を行ないながら注意深く経過を観察して検査を重ねることを奨めている。多数の症例の中には,このように診断困難な場合に遭遇することが必ずあるので,担当の臨床医にとって良い示唆となろう。

 巻末には付録として基準値,測定法などの検査基準範囲一覧表が疾患別に組まれていて,実地診療上に役立つものである。

◆臨床家にとって解説の充実もうれしい

 さらに今回の改訂では,診断の意義,そのプロセスなどの解説を冒頭に総論として取り上げ,また近年各分野で急速に普及しつつある遺伝子診断の動向を示している。例えば,悪性腫瘍の遺伝子診断のための測定法としてPCR(polymerase chain reaction)法,RT―PCR法,さらに定量化のためのreal―time PCR法などをわかりやすく概説している。

 なお本書は「診断」の書ではあるが,多数の項で治療法に関する「ワン・ポイント」メモを示してくれているのも,臨床家にとって有難いことである。

 以上,本改訂版が医学生,研修医はもとより,各分野の多忙な臨床医にとっても座右の書として果たす役割が大きいものと考え,本書を推薦したい。

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本書の記述の正確性につきましては最善の努力を払っておりますが、この度弊社の責任におきまして、下記のような誤りがございました。お詫び申し上げますとともに訂正させていただきます。

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