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標準腎臓病学


(在庫なし)

編集:菱田 明/槇野 博史

  • 判型 B5
  • 頁 376
  • 発行 2002年05月
  • 定価 5,940円 (本体5,500円+税8%)
  • ISBN978-4-260-11995-5
初学者から研修医まで使える腎臓内科学教科書の決定版。
「病態生理をベースにしたわかりやすい腎臓病学」「ベッドサイドでの実習に役立つ腎臓病学」を編集方針にしてまとめられた,腎臓内科学教科書の決定版。一歩踏み込んだ内容を平易に説明し,初学者から研修医までの期待に応える。充実した巻頭カラーページや多くの図版によるビジュアルな構成,各章ごとの「学習のためのチェックポイント」などにより,難解といわれる腎臓病学を基礎からわかりやすく学べる。
書 評
  • 編集意図が明確な最新腎臓病学教科書
    書評者:荒川 正昭(新潟大名誉教授)

    ◆日本の腎臓病学の第一線の執筆陣

     『標準腎臓病学』は,医学書院の標準教科書シリーズの1つでありますが,「標準」の意味するところは,現時点においておよそ正しいと認識されている知見について,基本となるべき必須の部分を,医学生や若い研修医に示すことであると思います。
     このたび発刊された本書は,...
    編集意図が明確な最新腎臓病学教科書
    書評者:荒川 正昭(新潟大名誉教授)

    ◆日本の腎臓病学の第一線の執筆陣

     『標準腎臓病学』は,医学書院の標準教科書シリーズの1つでありますが,「標準」の意味するところは,現時点においておよそ正しいと認識されている知見について,基本となるべき必須の部分を,医学生や若い研修医に示すことであると思います。
     このたび発刊された本書は,その意味においてよくできていると感じました。編集を担当された菱田教授(浜松医大)と槇野教授(岡山大)は,現在わが国の腎臓病の臨床,研究,教育をリードしている新進気鋭の学究であり,執筆者の皆さんもいわゆる若手と呼ばれる,第一線で活躍している方々であります。各項目とも,限られた紙数の中で,いかにして重要なメッセージを若者に伝えようかと考えた,執筆者の努力が感じられます。

    ◆疾患と病態がバランスよく解説―腎臓病学入門書として最適

     本書は,「総論」と「各論I・II」に大きく分けられていますが,「総論」では重要な事項がきわめてわかりやすく述べられています。本書の特徴の1つは,臨床的にもっとも重要な病態である,ネフローゼ症候群,急性腎不全,慢性腎不全の3病態を,「各論I」で特に取り上げていることで,ここに編集担当の両教授の意図がはっきりと表われています。「各論II」の中には,腎疾患全般にわたって,学生にとって重要な疾患,病態がバランスよく解説されています。病理組織写真については,各項目ごとに配置され,特に重要なものは巻頭カラー頁に再掲されており,学生への配慮がうかがわれます。また,各項目の最後に最小限の参考文献と学習のためのチェックポイントを示していることも,勉学の参考になると思います。
     私の個人的な感想をあえて申しあげますと,糸球体腎炎症候群の臨床症候分類(WHO)のうち,反復または持続性血尿症候群と慢性糸球体腎炎症候群をより詳しく解説してほしいこと,病理組織分類(WHO)では,一次性糸球体疾患だけでも,光顕,蛍光抗体法,電顕の写真を揃えて示してほしいこと,本書全体の参考文献として欧米の優れた成書を紹介してほしいことなど,次回の改訂に期待したいと思います。
     結論として,本書は学生に対する腎臓病学の入門書として推薦できるものであると考えます。
  • 時代に即した腎臓内科学教科書の決定版
    書評者:川口 良人(神奈川県衛生看護専門学校附属病院長/慈恵医大客員教授)

     2002年6月に日韓共同で開催される第14回サッカー・ワールドカップの初日と同じ日に本書の書評依頼が手元に届きました。世界で最も強いいくつかの地域代表チームが覇権を争うわけですが,日本のチーム力が世界に通用するかどうかが問われる貴重な機会でもあるわけです。

    ◆世界に通じる腎臓病学教科書
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    時代に即した腎臓内科学教科書の決定版
    書評者:川口 良人(神奈川県衛生看護専門学校附属病院長/慈恵医大客員教授)

     2002年6月に日韓共同で開催される第14回サッカー・ワールドカップの初日と同じ日に本書の書評依頼が手元に届きました。世界で最も強いいくつかの地域代表チームが覇権を争うわけですが,日本のチーム力が世界に通用するかどうかが問われる貴重な機会でもあるわけです。

    ◆世界に通じる腎臓病学教科書

     ちょうど,ワールドカップを観るのと同じで,本書の内容が日本語で書かれていても,これを英文に翻訳した場合に世界に通用する水準であるのか否かを想定して評価をしてしまいます。本書が対象としている同程度の読者層を想定して英文で書かれ,しかも数年ごとに改訂されるマニュアル,テキストは少なくありません。しかし腎臓病学,すなわち病態のみならず,生体制御に果たしている腎臓の役割から腎疾患をわずらう患者の生活指導に至るまで,平易に,しかも重要なポイントを網羅している内容の豊富さにおいて,本書は他に類を見ないものであると思います。それぞれの項目を分担執筆した執筆者は,現在診療と教育を担当している最も活動的な現役の世代である故に,時代に即した記述がなされています。それは,各章末に付記されている「学習のためのチェックポイント」という設問に,的確に解答できるだけの内容が本文に述べられているということで証明されるでしょう。この設問は,さらにその章で学んだことを反芻する目的にとどまらず,設問に対して自分の思考を構築するトレーニングの課題としてふさわしいものであります。実際に臨床の場においては,臨床情報の整理とそれらの評価から導き出される可能性のある診断,およびそれを裏づけるために必要な検査を策定するという作業が,最も重要な作業工程でありますが,この自己学習にも役立つものと思います。

    ◆患者を念頭においた編集構成

     全体の構成についてですが,まず最初に生体において「腎臓は何をしているのか」を明確にし,つづいて腎の構造,機能について説明されていることは,腎臓病学の入り口としてきわめて適切であります。腎疾患の症候論でも,「どのような機会に腎疾患が発見されるのか」から症候論が始まるのは,患者を念頭においた編集であり好ましいものです。
     あえて苦言を呈すれば,いくつか物足りないところもあります。例えば,急性腎不全のところで,最近のradiological intervention, angioplastyにおいて,その頻度が増加しているatheroembolic acute renal failureについて,もう少し詳細にとり上げるべきではないでしょうか?紙面の都合もあり,ここではこれ以上触れませんが,次回改訂時に検討していただきたい箇所が他にもいくつかあります。しかし,本書の総合的評価としては,医学生はもとより,専攻が決定していない後期研修医,腎専門医をめざすレジデント,腎不全医療にかかわるコメディカルスタッフの教科書として適切な手引書と言えましょう。
     評者が勤務する病院において,近く始まる卒後4年目の後期研修医の腎臓病クルズスを本書に沿って行なってみたいと計画しています。本書は,彼らが,生体制御機構において広い範囲にわたり腎臓が主役を演じていることや,腎臓病がもたらす多彩な臨床像について理解し,加えて治療のためには広範囲な知識が不可欠であること,さらに学際的治療の重要性についてまで理解することができるテキストであると考えます。
  • 標準教科書に新たに加わった腎臓内科学の決定版
    書評者:黒川 清(東海大総合研所長・東海大教授)

     このたび,医学書院から菱田明,槇野博史編の『標準腎臓病学』が出版された。医学書院からは,〈標準教科書シリーズ〉として,基礎,臨床各科別にすでに30数冊の教科書が発行されており,学生,研修医の間で愛読され,版を重ねている。内科に関する標準教科書は分野別に企画され,本書は感染症学,血液病学,神経病学,...
    標準教科書に新たに加わった腎臓内科学の決定版
    書評者:黒川 清(東海大総合研所長・東海大教授)

     このたび,医学書院から菱田明,槇野博史編の『標準腎臓病学』が出版された。医学書院からは,〈標準教科書シリーズ〉として,基礎,臨床各科別にすでに30数冊の教科書が発行されており,学生,研修医の間で愛読され,版を重ねている。内科に関する標準教科書は分野別に企画され,本書は感染症学,血液病学,神経病学,呼吸器病学,循環器病学に続いて発行されたものである。

    ◆腎臓病学全体がわかりやすく読める教科書

     腎臓病学は,主として生理学的観点から理解する流れと,形態や炎症および免疫学的観点から眺める流れがあるが,腎臓の生理と生態を生理学的観点を中心として眺めてきた菱田教授と,形態や免疫学的観点からみることを中心としてきた槇野教授が共同して編集することに,本書は腎臓病学全体をわかりやすく読める教科書となっている。本書はまず「総論」で,腎臓の働きとその病態,疾患について全体像が明らかになるよう書かれている。腎臓の異常がどのように発見されるか,異常を発見した場合どのように考えて鑑別診断を進めていくか,治療としてどのようなことが可能かなど,腎臓を専門としない医師にとって,「総論」のみを読むことによっても腎疾患の全体像が理解しやすい構成になっている。また「各論」には,腎疾患の1つひとつについて,疾患概念,臨床的特徴,診断,治療と要領よくまとめられていると言える。

    ◆腎臓病学の若手リーダーが執筆に参画

     また本書は,編集の菱田,槇野両教授をはじめ,わが国の腎臓病学の若手リーダーの多くが分担して執筆している。分担執筆は,各執筆者の得意な分野を書く点で優れていて,本書でもそうして特徴は生かされている。一方で分担執筆は,内容自体や対象とする読者の認識が執筆者によって異なることがあって,通読することが困難な場合も少なくない。しかし,本書では2人の編集者が原稿に繰り返し目を通し,編集者同士,また編集者と著者との意見交換が繰り返し行なわれたということであり,このような努力があって全体として1つのまとまりを持った書となっている。
     腎臓の病気は,腎臓内科医のみならず,小児科医,泌尿器科医も診ており,その対象疾患,患者の年齢などによっては担当する診療科が明らかな場合もあるが,一方オーバーラップする部分も少なくない。実際に診療する立場を意識し,腎臓内科医にとって必要な泌尿器科的疾患,小児科で多く診られる腎疾患についても章が設けられ,腎疾患を診る現場に役立つ1冊である。
     また,主な読者層としての医学生を意識し,図表を多く使用し理解しやすく作られている上に,自ら学習の理解度をチェックできるよう各章ごとに「学習のためのチェックポイント」がまとめられており,医学生(に限ったことではないが)として学習すべきことは確認することができる。腎臓病に関する教科書は多いが本書は好書と言える。お勧めである。今後はさらに読者の要望などを広く受け入れ,版を重ねていくことを期待している。
目 次
総論
 1 腎の働き
 2 腎の構造と機能
 3 腎疾患の症候
 4 腎疾患の診断の進め方
 5 腎疾患の治療総論
疾患各論I
 6 ネフローゼ症候群
 7 急性腎不全
 8 慢性腎不全
疾患各論II
 9 原発性糸球体疾患
 10 尿細管間質性腎炎
 11 腎血管性疾患
 12 尿路感染症
 13 全身性疾患と腎障害
 14 先天性・遺伝性腎疾患
 15 妊娠と腎
 16 小児の腎疾患
 17 嚢胞性腎疾患と水腎症
 18 尿路結石
 19 尿路の腫瘍
付録 腎関連の基準値一覧