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イラストで学ぶ心臓ペースメーカー Step by Step

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心臓ペースメーカーについての解説書。オールカラーのイラストで楽しく学べ、医師、ナース、技師、メーカーの技術者まで、あらゆる職種の人の参考になる。一見、マンガのようではあるが、書かれている内容は非常に深く、そして新しい。心臓ペースメーカーのエキスパートをめざすすべての人に読んでほしい画期的な書。
庄田 守男 / 小林 義典 / 新田 隆
発行 2007年03月判型:A4変頁:352
ISBN 978-4-260-00271-4
定価 8,800円 (本体8,000円+税)

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  • 序文
  • 目次
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訳者の序
執筆者/庄田守男(訳者を代表して)

 米国で開催されたある学会の書籍展示売り場で、たまたまこの『イラストで学ぶ心臓ペースメーカー step by step(原題:Cardiac Pacemakers Step by Step, An Illustrated Guide)』に出会うことができました。本を開くと、これまでの教科書に“ありがちな”心電図や写真はまったくなく、見たこともないようなユニークな体裁をとっているではないですか。とくに心電図やグラフはスッキリとデフォルメされているのですが、実物よりも本物らしい。その場ではとにもかくにも購入し、帰国の機中でじっくり読むことにしました。
 難しいはずの医学教科書を絵本にしてしまい、文章による説明を大胆に削ぎ落としているにもかかわらず、重要なエッセンスはきちんと押さえられている。しかも各項目は必要に応じて深く掘り下げられていますので、専門書面した書物にも負けないようなクオリティは保たれている。最近のペースメーカー分野のトピックである両心室ペーシングによる心臓再同期療法に関しては、絵本の部分には記載が少ないのですが、最終章の「心臓ペースメーカー概観」の章末に詳しく説明されており、帳尻はきちんと合っている。
 帰国後に翻訳出版を決心することは容易でした。下訳には東京女子医科大学循環器内科、日本医科大学循環器内科と心臓血管外科、日本光電株式会社の若いドクターや技術者の助力を得て、ビギナーにわかりやすい日本語化を心がけたつもりですが、インターロゲート、モードスイッチなどカタカナ表記にとどめた用語もいくつかあります。ご容赦下さい。
 本書がペースメーカーアレルギーのよき治療薬になることを祈っています。

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ペースメーカーって何?
ペースメーカー動作の記録
電気の基本原理
心室刺激
ペーシングリード
センシング:基本的な概念
センシング:高度な概念
ペースメーカー心電図の基礎
他のシングルチャンバーペースメーカー
DDDペースメーカー:基本的機能
DDDペースメーカー:上限レート応答
AV間隔
デュアルチャンバーペースメーカーにおける逆行性室房同期
すべてのデュアルチャンバーペースメーカーは、DDDモードで機能する
下限レートタイミングの種類
心房捕捉
自動モードスイッチ機能
ペースメーカー放射線学
オーバーセンシング
トラブルシューティング
ペースメーカーの血行動態と心拍応答ペーシング
ペースメーカーによる頻拍:その1
ペースメーカーによる頻拍:その2
頻拍の治療
ペースメーカー干渉
両室ペーシング
ペースメーカーのフォローアップ
結論

テキスト:心臓ペースメーカー概観

索引

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図を中心に難解な知識をわかりやすく説明
書評者: 石川 利之 (横浜市立大准教授・循環器内科)
 これは,今までにないペースメーカーの教科書である。図を用いることにより,ペースメーカーを理解するうえに必要な事項がきわめてわかりやすく解説されている。

 最近はペースメーカーの進歩により,十分に理解していなくともペースメーカー治療を何とか行えてしまうようになってきている。しかし,これはきわめて危険な状態であるとも言える。トラブルに対応できないばかりでなく,知らないうちに危険な治療を行って,しかもその自覚すらないということも起こりえる。ペースメーカー治療の習得がむしろおろそかになってきていることを危惧している。しかし,「ペースメーカーの基礎」は決して「やさしいペースメーカーの知識」ということではない。そして,ペースメーカーの基礎をわかりやすく説明することは決して容易なことではない。

 本書の内容は基礎的だが,高度であり妥協はない。しかし,実にわかりやすく書かれている。基本的には1頁に1項目で,図が中心に据えられている。この図が非常に優れており,難解な事項も容易に理解できるようになっている。解説の文章は補足的なものであるが,これも読みやすく短い文章で端的に解説されている。読者はストレスを感じることなく,短い時間でペースメーカーについて習得できるようになっている。

 アメリカで行われた不整脈学会(Heart Rhythm Society)の会場の書籍展示売り場で本書(Cardiac Pacemakers Step by Step,An Illustrated Guide)を初めて見た時に,その斬新さに驚きを感じたのであるが,今回待望の日本語版が完成した。書籍展示売り場で,著者の1人であるS. Serge Barold先生が購入した人たちの一人ひとりの本にサインをしており,人だかりができていたことを思い出す(それで,原書を手に取って見た次第である)。訳者の序において,東京女子医大循環器内科の庄田守男先生が,同じくアメリカの会場の書籍売り場で本書を購入し,日本語版作成を思い立った経緯について書かれているが,私も同じことを感じていた。そして,ペースメーカー治療について精通した東京女子医大と日本医大を中心としたスタッフにより,本書の価値を損なうことのない翻訳がなされ,すばらしい日本語の教科書ができた。翻訳にあたられたスタッフの努力に敬意を表したいと思う。

 「本書がペースメーカーアレルギーのよき治療薬になることを祈っています」と,訳者の序は結んでいるが,本書は,ペースメーカーを苦手としている人だけのための本ではない。これからペースメーカー治療をはじめようとしている人から,すでにかなりの知識と経験を持った人まで多くの人に役立つ稀な教科書である。若いスタッフやコメディカルの人たちに難解な理論を説明するのに手間取っていたベテランにも救世主となるであろうと思われる。ペースメーカー治療に携わる多くの人たちに本書を推薦したい。
ペースメーカークリニックの有用な実用書
書評者: 清水 昭彦 (山口大教授・医学部保健学科)
 この度,医学書院より刊行された『イラストで学ぶ 心臓ペースメーカーStep by Step』の書評の依頼を受けて,この本を読む機会を得たが,私はページをめくり最初に驚いたのはその内容の斬新さである。どのページにもカラーのイラストが描かれ,文字も適所にカラーが使われており,この手の本にありがちな難解な専門用語が並び,その用語の説明が長々と記述してあるという従来のものとはまったく異なっていた。また,人物や動物の絵が適時挿入されていて,研修医や看護師,理学療法士などのコメディカルの方々も手にとって楽しく学べるように構成されている。患者さんの説明にも,わかりやすくてよいのではないかと思う。

 本書は,「ペースメーカーって何?」ということから,ペースメーカーのペーシング,センシングの基本的な概念,さらにはペースメーカーの最新の機能まで,初心者にもわかりやすく書かれている。さらに,論点に関しても端的にまとめられている。例えば,ペーシングモード選択についての論争などは,国によって異なった考え方がされているなど,私にとっても新鮮な内容であった。

 以上のように記述すると,この本は初心者のための本のように思われるかもしれないが,例えば偽信号(false signals)に関する記述や心拍応答ペーシングに関する記述などは,その電気的な成因までも事細かに記述されている。また,両心室ペーシングに関しての内容からペースメーカー干渉,特に,電磁波干渉(EMI)などの最新の内容から,ペースメーカー外来で必要なトラブルシューティングなども,カラーのイラストを用いてやはり事細かに記述されており,現在臨床でペースメーカーを扱っている専門家が読まれても,十分読み応えのある内容となっている。これも,日本語訳をされた,庄田守男先生,小林義典先生,新田隆先生,3名の著明な先生方のご苦労の賜物であると察する。

 最後に,本書はペースメーカークリニックの実用書として大変有用な1冊であると確信し,購読をお勧めしたい。
医療従事者必読のペースメーカー指南書
書評者: 松浦 雄一郎 (広島大名誉教授)
 最近の医療の発展,中でも心臓ペースメーカーは長足の進歩を遂げながら,また著しい普及をしつつあり,さまざまな医療の現場で色々なペースメーカー患者に遭遇する可能性が高くなっている。

 一方「百聞は一見に如かず」という諺があるが,近年の世相の流れか,医学書においても「図説○○○○」「図解××××」と題した書籍が,これまでの古典的論述型に代わってお目見えするようになってきた。

 そうした流れの中で,庄田守男先生,小林義典先生,新田隆先生らを中心とするBarold SS, Stroobandt RX, Sinnaeve AF著『Cardiac Pacemakers Step by Step・AN ILLUSTRATED GUIDE』の訳本『イラストで学ぶ心臓ペースメーカーStep by Step』が発刊されることは時宜を得たものであり意義深いといえよう。

 本著はペースメーカーに関わるそれぞれの話題に対し解説する形式をとっており,まずペースメーカーとは何かから始まり,電気現象の基本原理を含め,ペースメーカーの機能診断に不可欠の心電図の基礎的解釈,ペースメーカーの構成,種類,機能,それに対応する生体側のさまざまな生理反応などについて前半で解説している。

 次いで,各種のペースメーカーと生体側の間の不適切な機能関係とそれに対する対応策,リードの異常,ペースメーカーのX線写真上の注意についての解説が続いている。

 後半部分では,高度機能ペースメーカーの問題点,その他の生理現象を含む問題点や合併症,ペースメーカー患者の日常生活の中での注意点,ペースメーカー以外の医療を受ける場合の注意点,さらにはペースメーカー患者のフォローアップについてという問題が続き,ペースメーカー管理の十戒が示されている。

 最後に締めくくりともいうべきか,それまでの解説方式と異なる「テキスト:心臓ペースメーカー概観」と題した詳しい解説文が置かれている。

 訳者の言葉を借りるならば,実物よりは本物らしい図や動物の挿し絵がふんだんに使用され,文字からだけでは難解であろうところ,内容が取っつきやすく,肩が凝ることなく理解しやすくなっている。

 ペースメーカー指南書としてその筋の専門家にはもとより,初心者,看護師,コメディカルを含めペースメーカーに直接的にあるいは間接的に関わる可能性のある広い範囲の多くの方々に役立つものといえよう。

 そういった意味からペースメーカー患者に関わりが持たれる各人,各施設で1冊ずつ備えられることが勧められる。

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