フットケア
基礎的知識から専門的技術まで

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高齢者、糖尿病患者だけではなく、今、足のトラブルを抱えている人は非常に多いが、医療者・介護者として何をすればよいのかという基本的なことが、あまり周知されていないのが現状である。本書は、まず何から始めたらよいか、医療者が行うべきフットケアとは何か、どのような対象に行うか? さらには介護職が介護予防の視点で知っておくべき足の観察点は何か? など、すぐに役立つフットケアの実践書である。
編集 日本フットケア学会
発行 2006年07月判型:B5頁:224
ISBN 978-4-260-00231-8
定価 3,520円 (本体3,200円+税)
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  • 目次
  • 書評

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I フットケアとは?
 1 医療者・介護者が行うフットケアとは
 2 フットケアがなぜ必要か
 3 知っておきたい足のつくりと動き
II はじめようフットケア
 1 はじめようフットケア
 2 チームで行うフットケア
 3 アセスメントの方法と技法
 4 フットケアの方法と技法
III 多く見かける足の疾患とケア
 1 糖尿病・内科患者のフットケア
 2 皮膚科患者のフットケア
 3 整形外科患者のフットケア
 4 血管患者のフットケア
 5 透析患者のフットケア
 6 足の難治性潰瘍患者のフットケア
 7 褥瘡患者のフットケア
 8 脳神経内科患者のフットケア
IV ライフステージとフットケア
 1 高齢者・転倒予防のフットケア
 2 小児のフットケア
 3 在宅患者のフットケア
 4 高齢者施設のフットケア
 5 スポーツ選手のフットケア
V サポートいろいろ
 1 患者教育
 2 心理・社会的サポート
 3 靴・インソール
 4 診療報酬・介護報酬
 5 これからのフットケア-現在の問題点と対策
索引

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本邦フットケアのレベルアップにつながる良書
書評者: 南 由起子 (聖路加国際病院・WOC看護認定看護師)
 日本ではまだ,多岐にわたる足病変に専門的に関わる医療者が存在しておらず,「足病変に関わるさまざまな職種が専門的知識・テクニックを集約・統合し治療やケアを進めることの大切さ」を感じている人々により2003年にフットケア学会が設立されました。このフットケア学会は,臨床現場からフットケアの実践を多く積み,その効果を検証しエビデンスを示していくことと,Podiatrist(足医療)のような役割を担う職種の日本における育成をめざしている学会と伺っております。

 『フットケア―基本的知識から専門的技術まで』は,フットケアの発展をめざすさまざまな専門領域の人々が編集し,フットケアに関する多方面からの知見が網羅された内容の書籍といえます。フットケアの意義やフットケアを実践するために必要な基礎知識をわかりやすく記した「フットケアとは?」から始まり,「始めようフットケア」では,フットケアを始めるための方略や実践するためのアセスメント方法・ケア技術などが,詳細に記されています。

 また「多く見かける足の疾患とケア」では,(1)糖尿病・内科患者,(2)皮膚科患者,(3)整形外科患者,(4)血管患者,(5)透析患者,(6)足の難治性潰瘍患者,(7)褥瘡患者,(8)脳神経内科患者という形式で疾患別の患者へのフットケアに必要な内容が説明されており,さまざまな臨床現場の方々に活用できる内容となっています。「ライフステージとフットケア」では高齢者や小児のフットケアに焦点をあてた内容と,在宅や高齢者施設でのフットケアのあり方なども説明されています。最終章の「サポートいろいろ」には患者教育から始まり,心理・社会的サポート,靴・インソール,診療報酬・介護報酬,これからのフットケアといったフットケアに関連する多くの情報が盛り込まれています。

 本書全般に図表や写真も多く掲載され,読者にわかりやすいような配慮がされているのも編集された人々の思いが伝わってくるところかと思います。超高齢化社会を迎える日本において「歩けること」が非常に重要となってきていることは,周知の事実であります。歩くためには足が健康であることは必要条件であり,おのずとフットケアの重要性も浮かび上がってきます。

 これから日本の医療界には年間100名以上のWOC看護認定看護師が誕生することが予測されますが,社会のニーズに合わせフットケアを自分の専門分野とするナースも増えてくると思います。それでもフットケアを必要としているすべての人々に十分なフットケアが提供されることは難しいかもしれません。さまざまな現場で活躍されている人々に,専門家をめざさないまでも,自分ができるところからフットケアを始めていただくことが,日本のフットケアのレベルアップにつながり,足のトラブルで悩んでいる方々の救いになることと思います。ぜひ本書を活用されることをお薦めします。

足病変のケアに悩む医療者必携の書
書評者: 吉原 広和 (埼玉県立がんセンター・理学療法士)
 「人間の生活において『歩く』ことは単なる日常生活動作の範疇ではなく,より高度な文化的活動の維持・向上に不可欠な身体活動である」。このように考えると歩行を支える足機能の維持・ケアはないがしろにはできず,足病変のアプローチがいかに人の営みに影響を与えるかが窺える。

 フットケアの分野は特に欧米において進歩・発展してきた診療分野ではあるが,日本ではやっと取り組みが始まった段階でしかない。欧米とは違った文化を持つわが国では「フットケア」技術の発展にも生活習慣の違いが影を落とす状況にあったことは否めないが,今後足病変に対する集学的治療分野としての「フットケア」が日本でも確立されることを望む医療者は多いのではないだろうか。

 足の異常を招く多くの病因は,閉塞性動脈硬化症(ASO),糖尿病性末梢神経炎,下肢静脈血栓症,リンパ浮腫,がん,リウマチ,皮膚疾患,スポーツ障害,加齢変化など多岐にわたる。近い将来,血管外科・整形外科・内科・皮膚科・形成外科など各専門医や,看護師・理学療法士・義肢装具士・介護福祉士などといった多くの職種が連携し,専門的な足病変のケア・治療が当然のように行われる時代が訪れるに違いない。

 日本フットケア学会は2003年に発足した足病変に関する多職種による専門学会である。本書は本学会が編集したわが国唯一の体系的な「フットケア教科書」である。内容も各病変における基礎知識から専門的なケア・治療技術が学べる構成となっている。足病変のケアに悩む医療者には,必携の書籍といえよう。日本フットケア学会の意気込みが感じられる1冊である。

フットケア入門から応用まで使える知識・技術を収載
書評者: 松尾 汎 (松尾循環器科クリニック院長)
◆欧米では当たり前のフットケア

 欧米では靴を常用する環境のためか,足への関心が高い。靴を履き続けることによる功罪はあるが,その歴史は古く,生活の中からその知識や経験が活かされていると聞く。

 わが国はどうであろうか? 履き物の習慣や生活習慣の違いからはもちろん,わが国では診療の面でも生命により関連する領域(心臓,脳など)に多くの関心が割かれたため,足にはあまり関心が持たれなかった。

 しかし,最近になって動脈の病気(閉塞性動脈硬化症など),神経(脳血管障害,糖尿病性神経症など),リンパ管(リンパ浮腫)および静脈(静脈瘤,静脈血栓症など)への関心が高まってきている。その他の領域では,皮膚科(白癬,皮膚炎,爪など),整形外科(関節症,骨折,捻挫,スポーツ関連など)および形成外科領域にも及び,関連施設では病院はもちろん,高齢者施設や在宅においてもその必要性が指摘され始めている。

◆至れり尽くせりの内容

 本書では,フットケアの入門から,評価法,検査法,ケアに必要な技術,社会面でのサポートなど,興味はあるがどこから手をつけてよいのかわからないという方から,これから始めようとしている方,さらにはすでに始めているがいかにしたらよいのか? と悩んでおられる方々にまで,幅広く対応できるような内容構成になっている。

 しかも,その内容もさわり程度の浅薄なものではなく,専門的な知識や工夫が提示されており,明日からでもすぐに使えるような内容になっている。この領域では実際に利用できる具体的な内容こそが求められており,単なる知識のみでは役立たない応用問題に,本書で見事に答えられていることに感心する。

◆コラボレーションの重要性

 さらに感心する事は,チーム医療の重要性を具体的に強調していることである。看護師,医師(内科,外科,皮膚科,形成外科,整形外科など),理学療法士,薬剤師,栄養士等に加えて,介護職,義肢・装具士,靴専門家,さらにはソーシャルワーカーやメンタルケアの専門家なども,各々の役割を担っていると思われるが,その役割別に具体的な提示がなされ,チーム内での連携の重用性がよく説明されている。その役割の詳細は各専門書に譲らねばならないが,まずチームの連携の重要性を知っていただくには格好の入門書といえよう。

◆足のことだけに止まらないフットケア

 フットケアというと,「足(脚)のことだけ」と思いがちであるが,足(脚)は身体の一部であり,「身体のシグナルとしての足」との認識も必要である。足の障害は,血流障害,栄養障害,神経障害,感染症……多くの原因によって生じるが,その原因を生じる病態には,糖尿病,高脂血症,運動不足,動脈硬化,神経疾患,静脈血栓,癌の手術後等々,全身に障害を来しうる全身疾患としても注意が必要なのである。

 本書に啓発され,フットケアの必要性が広く認識されることにより,これからのフットケアを担う多くのメディカル,コメディカルの方々が生まれ出ずることを期待している。

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