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カラーイラストで学ぶ くすりの作用メカニズム

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薬の専門家として薬剤師に求められる役割は大きくなる一方である。しかし、薬の知識の大きな部分を占める薬理作用は理解が難しく、学生が苦労する領域でもある。本書ではオールカラーのイラストを駆使し、さまざまな薬剤の薬理作用が一目で把握できるよう配慮。充実した図説との相乗効果により、薬を学ぶすべての人に役立つ、新たな視点の薬理作用解説書。
平野 和行 / 廣田 耕作
発行 2007年04月判型:B5頁:184
ISBN 978-4-260-00235-6
定価 4,180円 (本体3,800円+税)
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執筆者/平野 和行・廣田 耕作

 現在,病気の治療において薬物療法の重要性は極めて大きい。薬剤師は,薬物療法で用いられる個々の医薬品の効能・効果や副作用について精通する必要がある。医薬品の適正使用を推進するためには,正確な診断結果に基づいて,患者情報(アレルギー歴,既往症,他科受診,薬用歴等)と照らし合わせて適正に選択された医薬品が薬効を最大限に発現する条件で使用することが重要である。しかし,医薬品には望ましい面(有効性)と望ましくない面(重篤な副作用)があるために,患者にもっとも適した医薬品の選択が大切である。
 わが国の臨床で使用されている医薬品は膨大な数にのぼる。多くの治療薬は生体のメカニズムや病因・病態に基づいて開発されたものが多い。これらの中で汎用されている医薬品について,それらの作用機序に基づいて薬効を理解することは,多数の同種同効薬が存在する場合の基礎知識として必須であり,医療人の一員としての薬剤師に求められる専門性の一つである。
 本来,医薬品の作用機序は大変複雑で簡単にまとめることはできないが,本書では,まず病態の概念を述べ,医薬品の主な作用点,作用機序を簡略に図式化し,医薬品の作用機序を学ぶ学生や現場の薬剤師の皆様に理解しやすいようにまとめた。医薬品の作用機序を総合的に理解することによって,ベッドサイドやカウンターで行う服薬指導の内容が患者にわかりやすく,適切に医薬品が使用される基礎になるものと思われる。是非本書で得た知識を,薬剤師の業務に活かしていただくことを強く希望している。
 本書の出版にあたり,闘病の中で,企画,執筆に携わっていただいた岐阜大学教授・故片桐義博先生に深く感謝の意を表し,ご冥福を祈る。
 最後に編集・校正の労を行っていただいた(株)医学書院医学書編集部,制作部の諸氏に深く感謝する次第である。
 平成19年2月

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1 アトピー性皮膚炎治療薬
2 インフルエンザ治療薬
3 エイズ治療薬
4 関節リウマチ治療薬
5 狭心症治療薬・心筋梗塞治療薬
6 血小板凝集抑制薬
7 血栓治療薬
8 呼吸興奮薬
9 抗うつ薬
10 抗てんかん薬
11 抗パーキンソン薬
12 抗ヘルペス薬
13 抗めまい薬
14 抗炎症薬
15 抗結核薬
16 高血圧治療薬
17 高脂血症治療薬
18 止血薬
19 消化性潰瘍治療薬
20 心不全治療薬
21 鎮咳薬・去痰薬
22 鎮静・催眠薬
23 痛風治療薬
24 糖尿病治療薬
25 片頭痛治療薬
26 アレルギー性鼻炎治療薬
27 解熱・鎮痛・消炎薬
28 抗菌薬
29 統合失調症治療薬
30 甲状腺機能障害治療薬
31 止痢薬(止瀉薬)
32 昇圧薬(低血圧治療薬)
33 制吐薬
34 認知症治療薬
35 麻酔薬
36 慢性肝炎・肝硬変治療薬
37 慢性閉塞性肺疾患(COPD)治療薬
38 膵炎治療薬
39 下剤(便秘薬・緩下薬・瀉下薬)
40 抗がん薬
41 抗真菌薬
42 抗不整脈薬
43 骨粗鬆症治療薬
44 重症筋無力症治療薬
45 消化管運動調節薬
46 造血薬
47 排尿障害治療薬
48 麻薬性鎮痛薬および類似薬
49 慢性腎炎治療薬
50 免疫抑制薬
51 利尿薬
52 緑内障・白内障治療薬
53 喘息治療薬
54 筋弛緩薬
索引

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「百聞は一見に如かず」adherence向上に繋がる一冊
書評者: 鍋島 俊隆 (名城大学大学院教授・薬学研究科薬品作用学研究室)
 薬剤師の医療における役割はPharmaceutical care「医薬品の適正使用を介して患者の生活の質(QOL)を向上させること」である。医薬品の適正使用は医師,薬剤師,患者がお互いに信頼関係を持ち,病態,医薬品について共通の知識を持ち,それぞれが自分の役割を的確に果たすことが必要である。医師は的確な診断とそれに基づく適正な処方をしなければならない。薬剤師は処方を厳格に監査して,間違いなく調剤をし,そのうえで患者のわかる言葉で服薬指導をしないといけない。患者は病態,服薬の意義についてしっかりと理解し,医薬品を処方に従って服用しないといけない。これら一連の過程がすべて完結したときに,初めて医薬品の適正使用が可能となる。

 本書は病態についてまず説明して,その病態に対して医薬品がどのように作用して効果を発揮するのかを54種類の医薬品について,大変わかりやすいカラーイラストにまとめている。各病態,各医薬品についての説明も2―3ページに簡潔にまとめてある。薬学生や薬剤師が自分の知識のまとめや確認などのために座右の書とするといいだろう。

 一方,本書の応用についてであるが,薬剤師が患者に医薬品の薬効や副作用について説明する場合には,業界言葉でなく,患者のわかる言葉で説明しないといけない。人口の高齢化で老年患者が急増し,複数診療科にかかっている患者が多く,処方される医薬品の数も多く,わかりやすい言葉で話しても,基礎知識のない患者にはなかなか理解できない。本書は医薬品の効果について大変わかりやすいカラーイラストにまとめている。「百聞は一見に如かず」というが本書を使い,薬局のカウンターやベッドサイドで病態のこと,医薬品の作用点や作用機序を説明することにより,患者の理解が容易になるものと思われる。

 しかし上述したように複数の医薬品を処方されると,どの医薬品がどうだったのかあいまいになる。各医薬品について本書のイラストを患者に見せることができるようになると,医薬品に対する理解が向上するものと思われる。そうすればadherenceが向上し,医薬品の適正使用に繋がると思われる。

 本書には医薬品に関連した興味深い話題が20のコラムとして挿入されている。薬学生や薬剤師にとっては,これらコラムを読むことは息抜きになると思われる。またこのコラムから得た知識は患者に服薬指導する場合のコミュニケーションツールとして使えると思われるので,どんどん使っていただきたい。

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