看護の統合と実践[1]
看護管理 第10版
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- チーム・組織の一員として活動する看護職に必須である「マネジメント」のエッセンスをまとめた1冊です。
- 個々の看護職が患者に提供する「看護ケアのマネジメント」と、看護組織が患者に提供する「看護サービスのマネジメント」を柱として、そのために必要となるマネジメントの基礎知識や関連する法・制度について、分かりやすくまとめました。
- 第10版では、旧版の内容を再構成するとともに大幅な加筆を行い、自律した専門職となるために看護師が自らをマネジメントする技術を学ぶ「看護職のキャリアマネジメント」を新たに設けました。
- 上記の構成を通して、新人看護職として初めて患者に接する段階から、看護専門職としての専門性を高め、あるいは看護管理者として組織をまとめていく段階まで、看護学生がみずからの将来の姿をイメージしながら学習できるように企図しました。
- 「病院機能評価」「重症度、医療・看護必要度」「病床機能報告」「多重課題」など、看護管理領域で近年話題になっている制度や概念も盛り込まれています。
- 「系統看護学講座/系看」は株式会社医学書院の登録商標です。
シリーズ | 系統看護学講座-専門分野 |
---|---|
著 | 上泉 和子 / 小山 秀夫 / 筧 淳夫 / 鄭 佳紅 |
発行 | 2018年01月判型:B5頁:256 |
ISBN | 978-4-260-03182-0 |
定価 | 2,750円 (本体2,500円+税) |
- 2024年春改訂
- 改訂情報
更新情報
-
正誤表を更新しました。
2024.01.22
- 序文
- 目次
- 正誤表
序文
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はしがき
看護管理というと,病院の看護師長など,管理者になる人が学ぶものという理解が多かった。しかし,現在の看護管理は,新しいヘルスケアシステムを創造し,チームや組織,システムを動かしていく活動としてとらえられ,看護管理活動の場は病院のみならず地域の保健医療福祉の場へと拡大している。看護管理は,管理者だけでなく,看護実践者にも必要な知識と技術となっている。
看護は対象者への援助であり,対象者に必要な看護は,多くの場合継続性を必要とし,1人の看護職だけでは対象者のニーズを満たすことはできない。看護サービスを提供するためには,看護職同士の協働,他職種との連携,なにより対象者自身や対象者を取り巻く家族の協力とともに,対象者を取り巻くあらゆる資源を十分に活用することが必要となる。つまり,看護を提供できる知識と技能を持った人的資源(ヒト),看護を提供するための環境や医療用機器などの物的資源(モノ),看護を提供するためにかかる費用の財的資源(カネ)が必要である。人的資源,物的資源,財的資源は,自然発生的にあるわけではなく,多くの場合有限である。これらの資源をどのように有効利用するかが重要であり,それを維持・活用するための「しくみ」が看護管理(マネジメント)である。
チームや組織をつくり,動かしていくことは管理者だけの仕事ではなく,ケアを提供しているすべての看護職が担う役割でもある。
看護管理は,看護をしくみとしてとらえ,それがどのようになっているのか,問題はなにか,どのような改善策があるのか,どのようにすればよりよい看護が提供できるのかなどを追求するものである。そして,同時に多数の人々がともに働くための技である。
そこで,本書は管理者になる人だけのためのものではなく,すべての看護職が学習するための本として編集した。
2008年,看護基礎教育課程では,「看護師等養成所の運営に関する指導要領」において,「チーム医療および他職種との協働のなかで,看護師としてのメンバーシップおよびリーダーシップを理解する内容とする」ことおよび「看護をマネジメントできる基礎的能力を養う内容とする」ことが留意点として示された。そして,看護師国家試験問題出題基準(平成26年版)において,保健医療制度の基本や保健師助産師看護師法,医療安全対策や療養環境などの患者の安全・安楽をまもる技術については必修問題にあげられた。さらに,2017年に改定された看護師国家試験問題出題基準(平成30年版)では,「看護の統合と実践」の拡充により,看護マネジメントの概念や人材育成・活用などが明記された。
このように,近年,看護を学ぶ人たちにとって,看護実践のみならず,看護マネジメントのための知識が重要視されている。
これまでの改訂において,第8版では,はじめて看護マネジメントを学習する学生諸君の理解が深まることをめざして,章の組み立ての変更を行った。そして,リーダーシップの理論をはじめとするマネジメントに必要な知識と技術について拡充した。また,看護職個人としておよび組織としての安全管理についても充実させた。
前回の改訂(第9版)では,さらにチーム医療の視点,安全管理の視点,施設環境のマネジメントの視点を充実させるとともに,“わかりやすさ”をめざして,各章の内容の再構成を行った。また,全面カラー化し,図表のイメージをやさしく,より親しみやすくなるよう工夫した。
そして,今回の改訂(第10版)では,看護を学ぶ人たちが,社会人・職業人として自分自身のキャリアをかさねていくために「看護職のキャリアマネジメント」を章として構成した。その他,これまでと同様に,新しいデータや制度など,できるだけ最新の情報を整理した。医療の進歩や,その時々の状況に応じ,制度やデータは変化する。つねに新しい情報を入手する必要性も理解していただきながら,本書を活用していただきたい。
看護管理の理解のために本書がお役にたてれば幸いである。
2017年11月
著者ら
看護管理というと,病院の看護師長など,管理者になる人が学ぶものという理解が多かった。しかし,現在の看護管理は,新しいヘルスケアシステムを創造し,チームや組織,システムを動かしていく活動としてとらえられ,看護管理活動の場は病院のみならず地域の保健医療福祉の場へと拡大している。看護管理は,管理者だけでなく,看護実践者にも必要な知識と技術となっている。
看護は対象者への援助であり,対象者に必要な看護は,多くの場合継続性を必要とし,1人の看護職だけでは対象者のニーズを満たすことはできない。看護サービスを提供するためには,看護職同士の協働,他職種との連携,なにより対象者自身や対象者を取り巻く家族の協力とともに,対象者を取り巻くあらゆる資源を十分に活用することが必要となる。つまり,看護を提供できる知識と技能を持った人的資源(ヒト),看護を提供するための環境や医療用機器などの物的資源(モノ),看護を提供するためにかかる費用の財的資源(カネ)が必要である。人的資源,物的資源,財的資源は,自然発生的にあるわけではなく,多くの場合有限である。これらの資源をどのように有効利用するかが重要であり,それを維持・活用するための「しくみ」が看護管理(マネジメント)である。
チームや組織をつくり,動かしていくことは管理者だけの仕事ではなく,ケアを提供しているすべての看護職が担う役割でもある。
看護管理は,看護をしくみとしてとらえ,それがどのようになっているのか,問題はなにか,どのような改善策があるのか,どのようにすればよりよい看護が提供できるのかなどを追求するものである。そして,同時に多数の人々がともに働くための技である。
そこで,本書は管理者になる人だけのためのものではなく,すべての看護職が学習するための本として編集した。
2008年,看護基礎教育課程では,「看護師等養成所の運営に関する指導要領」において,「チーム医療および他職種との協働のなかで,看護師としてのメンバーシップおよびリーダーシップを理解する内容とする」ことおよび「看護をマネジメントできる基礎的能力を養う内容とする」ことが留意点として示された。そして,看護師国家試験問題出題基準(平成26年版)において,保健医療制度の基本や保健師助産師看護師法,医療安全対策や療養環境などの患者の安全・安楽をまもる技術については必修問題にあげられた。さらに,2017年に改定された看護師国家試験問題出題基準(平成30年版)では,「看護の統合と実践」の拡充により,看護マネジメントの概念や人材育成・活用などが明記された。
このように,近年,看護を学ぶ人たちにとって,看護実践のみならず,看護マネジメントのための知識が重要視されている。
これまでの改訂において,第8版では,はじめて看護マネジメントを学習する学生諸君の理解が深まることをめざして,章の組み立ての変更を行った。そして,リーダーシップの理論をはじめとするマネジメントに必要な知識と技術について拡充した。また,看護職個人としておよび組織としての安全管理についても充実させた。
前回の改訂(第9版)では,さらにチーム医療の視点,安全管理の視点,施設環境のマネジメントの視点を充実させるとともに,“わかりやすさ”をめざして,各章の内容の再構成を行った。また,全面カラー化し,図表のイメージをやさしく,より親しみやすくなるよう工夫した。
そして,今回の改訂(第10版)では,看護を学ぶ人たちが,社会人・職業人として自分自身のキャリアをかさねていくために「看護職のキャリアマネジメント」を章として構成した。その他,これまでと同様に,新しいデータや制度など,できるだけ最新の情報を整理した。医療の進歩や,その時々の状況に応じ,制度やデータは変化する。つねに新しい情報を入手する必要性も理解していただきながら,本書を活用していただきたい。
看護管理の理解のために本書がお役にたてれば幸いである。
2017年11月
著者ら
目次
開く
第1章 看護とマネジメント
A 看護管理学とは
B 看護におけるマネジメント
第2章 看護ケアのマネジメント
A 看護ケアのマネジメントと看護職の機能
B 患者の権利の尊重
C 安全管理
D チーム医療
E 看護業務の実践(日常業務のマネジメント)
第3章 看護職のキャリアマネジメント
A キャリアとキャリア形成
B 看護職のキャリア形成
C 看護専門職としての成長(社会化)
D タイムマネジメント
E ストレスマネジメント
第4章 看護サービスのマネジメント
A 看護サービスのマネジメント(組織として看護サービスをマネジメントする)
B 組織目的達成のマネジメント(組織としての目的を達成するためのマネジメント)
C 看護サービス提供のしくみづくり
D 人材のマネジメント
E 施設・設備環境のマネジメント
F 物品のマネジメント
G 情報のマネジメント
H 組織におけるリスクマネジメント
I サービスの評価
第5章 マネジメントに必要な知識と技術
A マネジメントとは
B 組織とマネジメント
C リーダーシップとマネジメント
D 組織の調整
第6章 看護を取り巻く諸制度
A 看護の定義
B 看護職
C 医療制度
D 看護政策と制度
付録 看護管理関連資料
保健師助産師看護師法
看護師等の人材確保の促進に関する法律
ICN看護の定義
ICN看護師の定義
助産師の定義
看護業務基準
患者の権利に関するWMAリスボン宣言
看護者の倫理綱領
ICN看護師の倫理綱領
医の倫理綱領
保健医療福祉関係職種一覧
用語解説
索引
図表一覧
Column・NOTE
・看護管理を知ることは,現場でぶつかる壁を突破するカギとなる
・看護ケアのマネジメントと看護過程
・医療事故と医療過誤
・過去の地震災害における機器類の被害
・間違いがちな医師─看護師関係
・病院のなかを歩いてみよう
・情報とデータ
・情報リテラシーとコンピュータリテラシー
・患者を対象とした看護研究における倫理的配慮
・キャリアプランを考えよう
・リアリティショック
・感情労働
・看護単位の規模と看護ケア提供システム
・配置転換の功罪
・超過勤務
・夜勤の回数制限(ニッパチ)
・ワーク・ライフ・バランス
・ブロック計画
・ナイチンゲールの呪縛
・高齢者のための施設・設備環境
・患者のベッドまわりになにがあるか
・医療・介護と個人情報保護法
・医療事故調査制度
・医療メディエーション
・東日本大震災における看護管理
・病院の震災対策:東日本大震災からの10の提言
・リーダーシップ研究の変遷
・対象者のエンパワメント
・フォース・フィールド・アナリシス
・変革にチャレンジしよう
・保健師助産師看護師法の変遷
・看護職の行政処分
・看護職の教育制度の確立
・病院等の病床機能報告
・入院基本料にかかる患者対看護職員実質配置の考え方
A 看護管理学とは
B 看護におけるマネジメント
第2章 看護ケアのマネジメント
A 看護ケアのマネジメントと看護職の機能
B 患者の権利の尊重
C 安全管理
D チーム医療
E 看護業務の実践(日常業務のマネジメント)
第3章 看護職のキャリアマネジメント
A キャリアとキャリア形成
B 看護職のキャリア形成
C 看護専門職としての成長(社会化)
D タイムマネジメント
E ストレスマネジメント
第4章 看護サービスのマネジメント
A 看護サービスのマネジメント(組織として看護サービスをマネジメントする)
B 組織目的達成のマネジメント(組織としての目的を達成するためのマネジメント)
C 看護サービス提供のしくみづくり
D 人材のマネジメント
E 施設・設備環境のマネジメント
F 物品のマネジメント
G 情報のマネジメント
H 組織におけるリスクマネジメント
I サービスの評価
第5章 マネジメントに必要な知識と技術
A マネジメントとは
B 組織とマネジメント
C リーダーシップとマネジメント
D 組織の調整
第6章 看護を取り巻く諸制度
A 看護の定義
B 看護職
C 医療制度
D 看護政策と制度
付録 看護管理関連資料
保健師助産師看護師法
看護師等の人材確保の促進に関する法律
ICN看護の定義
ICN看護師の定義
助産師の定義
看護業務基準
患者の権利に関するWMAリスボン宣言
看護者の倫理綱領
ICN看護師の倫理綱領
医の倫理綱領
保健医療福祉関係職種一覧
用語解説
索引
図表一覧
Column・NOTE
・看護管理を知ることは,現場でぶつかる壁を突破するカギとなる
・看護ケアのマネジメントと看護過程
・医療事故と医療過誤
・過去の地震災害における機器類の被害
・間違いがちな医師─看護師関係
・病院のなかを歩いてみよう
・情報とデータ
・情報リテラシーとコンピュータリテラシー
・患者を対象とした看護研究における倫理的配慮
・キャリアプランを考えよう
・リアリティショック
・感情労働
・看護単位の規模と看護ケア提供システム
・配置転換の功罪
・超過勤務
・夜勤の回数制限(ニッパチ)
・ワーク・ライフ・バランス
・ブロック計画
・ナイチンゲールの呪縛
・高齢者のための施設・設備環境
・患者のベッドまわりになにがあるか
・医療・介護と個人情報保護法
・医療事故調査制度
・医療メディエーション
・東日本大震災における看護管理
・病院の震災対策:東日本大震災からの10の提言
・リーダーシップ研究の変遷
・対象者のエンパワメント
・フォース・フィールド・アナリシス
・変革にチャレンジしよう
・保健師助産師看護師法の変遷
・看護職の行政処分
・看護職の教育制度の確立
・病院等の病床機能報告
・入院基本料にかかる患者対看護職員実質配置の考え方
正誤表
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本書の記述の正確性につきましては最善の努力を払っておりますが、この度弊社の責任におきまして、下記のような誤りがございました。お詫び申し上げますとともに訂正させていただきます。
更新情報
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正誤表を更新しました。
2024.01.22