根拠と事故防止からみた
母性看護技術 第2版
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序文
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はじめに
「根拠と事故防止からみた」シリーズの『母性看護技術』も初版からはや2年6か月が経ち,今回,第2版が出版されることになりました.初版では,単に手順を解説するにとどまらず,このシリーズが最も重視している根拠と事故防止という観点から,「なぜそうするのか」「なぜこうしたほうがいいのか」「何が危険なのか」を示しながら書き進めました.第2版もこのコンセプトに従い,丁寧に記述を見直しながら写真やイラストを追加しました.さらに52本の動画を作成し,インターネット上での閲覧を可能にしました.一層のビジュアル化が進んだことで,さらに初学者にも理解しやすく,容易に自己学習を進めることができる内容になりました.また,演習や実習の場でもサブテキストとして活用していただけるものと思っています.
母性看護学は「性と生殖」をキーワードに,人の一生の様々なステージに広く関与する学問領域であり,決して妊娠や出産,育児に限局した領域ではありません.しかし,看護基礎教育課程で展開される母性看護学実習では,周産期の母子の看護ははずせない重要な学習課題であり,むしろそこに限定して内容を精選し,構成してきた感があります.母性看護学の中心に位置づけられながら,少子化の進む昨今,かつてのように1人の学生が一組の周産期の母子を受け持って学習を深めることが難しくなってきました.看護職の技術教育が高い専門性を追求する一方で,母性看護の基本的な診断やケア技術を経験する機会はより少なくなっています.その少ない機会を効果的な学びの場とするために,いかに具体的なイメージを形成しておくかが大切となり,学習教材の一層の充実が望まれてきました.
母性看護学は他領域では使わない看護技術が多く,具体的なイメージが形成しにくいという特徴があります.また,基礎看護学で獲得した技術を対象の違いゆえに応用できていないということもあります.独自の手技の確立できていない段階では,まず模倣から入ることが一般的です.診察の方法,物品の扱い,計測の部位や看護者の手の使い方等々,動画は静止画よりはるかに多くの情報を提供しています.臨床の場で使える看護技術を学ぶ教材として,本書が役に立つことを願っています.
周産期ケアの対象者の多くは健康で元気な妊産褥婦さんと新生児です.正常から逸脱しないこと,無事に出産が終了することは当然のことと期待され,看護師・助産師に課せられた責任は大きいものがあります.根拠を知っていることによって場や対象の特性に即した応用が可能となり,より安全なケアを提供できる一助になると思います.看護実践に責任が問われる時代であり,根拠を説明できることはこれからますます重要なこととなるでしょう.常に根拠を考える姿勢をはぐくむことが大切であり,本書がその一端を担うことができれば幸いです.
本書はタイトルを『母性看護技術』として看護学生の学習の一助となるよう企画されたものですが,初版は助産学生,臨床の看護師・助産師の方々にも活用していただきました.第2版では助産学生の学習にもさらに役立つ内容でありたいと願い,特に動画には助産の技術も収載しました.内診,分娩介助のように,法律上,看護師に許されていない技術もありますが,これらの解説を読んだり,動画を見たりすることで,診察の意義や行われている行為の理解を深めることができると信じています.
本書の出版にあたり,多くの方々のお世話になりました.撮影を許可して下さった施設の関係者の皆さま,その他多くのご尽力くださった皆さまのご協力に深く感謝申し上げます.動画の撮影には,生後まだ日の浅いお子さんたちが,長時間にわたり精一杯応じてくれました.感謝とともに健やかな成長をお祈りいたします.
最後になりましたが,本書は医学書院の編集者の方々の丁寧なご助言と温かいご支援によって完成しました.多くの貴重なご示唆をいただきましたこと,心よりお礼申し上げます.
2015年11月
著者を代表して 石村由利子
「根拠と事故防止からみた」シリーズの『母性看護技術』も初版からはや2年6か月が経ち,今回,第2版が出版されることになりました.初版では,単に手順を解説するにとどまらず,このシリーズが最も重視している根拠と事故防止という観点から,「なぜそうするのか」「なぜこうしたほうがいいのか」「何が危険なのか」を示しながら書き進めました.第2版もこのコンセプトに従い,丁寧に記述を見直しながら写真やイラストを追加しました.さらに52本の動画を作成し,インターネット上での閲覧を可能にしました.一層のビジュアル化が進んだことで,さらに初学者にも理解しやすく,容易に自己学習を進めることができる内容になりました.また,演習や実習の場でもサブテキストとして活用していただけるものと思っています.
母性看護学は「性と生殖」をキーワードに,人の一生の様々なステージに広く関与する学問領域であり,決して妊娠や出産,育児に限局した領域ではありません.しかし,看護基礎教育課程で展開される母性看護学実習では,周産期の母子の看護ははずせない重要な学習課題であり,むしろそこに限定して内容を精選し,構成してきた感があります.母性看護学の中心に位置づけられながら,少子化の進む昨今,かつてのように1人の学生が一組の周産期の母子を受け持って学習を深めることが難しくなってきました.看護職の技術教育が高い専門性を追求する一方で,母性看護の基本的な診断やケア技術を経験する機会はより少なくなっています.その少ない機会を効果的な学びの場とするために,いかに具体的なイメージを形成しておくかが大切となり,学習教材の一層の充実が望まれてきました.
母性看護学は他領域では使わない看護技術が多く,具体的なイメージが形成しにくいという特徴があります.また,基礎看護学で獲得した技術を対象の違いゆえに応用できていないということもあります.独自の手技の確立できていない段階では,まず模倣から入ることが一般的です.診察の方法,物品の扱い,計測の部位や看護者の手の使い方等々,動画は静止画よりはるかに多くの情報を提供しています.臨床の場で使える看護技術を学ぶ教材として,本書が役に立つことを願っています.
周産期ケアの対象者の多くは健康で元気な妊産褥婦さんと新生児です.正常から逸脱しないこと,無事に出産が終了することは当然のことと期待され,看護師・助産師に課せられた責任は大きいものがあります.根拠を知っていることによって場や対象の特性に即した応用が可能となり,より安全なケアを提供できる一助になると思います.看護実践に責任が問われる時代であり,根拠を説明できることはこれからますます重要なこととなるでしょう.常に根拠を考える姿勢をはぐくむことが大切であり,本書がその一端を担うことができれば幸いです.
本書はタイトルを『母性看護技術』として看護学生の学習の一助となるよう企画されたものですが,初版は助産学生,臨床の看護師・助産師の方々にも活用していただきました.第2版では助産学生の学習にもさらに役立つ内容でありたいと願い,特に動画には助産の技術も収載しました.内診,分娩介助のように,法律上,看護師に許されていない技術もありますが,これらの解説を読んだり,動画を見たりすることで,診察の意義や行われている行為の理解を深めることができると信じています.
本書の出版にあたり,多くの方々のお世話になりました.撮影を許可して下さった施設の関係者の皆さま,その他多くのご尽力くださった皆さまのご協力に深く感謝申し上げます.動画の撮影には,生後まだ日の浅いお子さんたちが,長時間にわたり精一杯応じてくれました.感謝とともに健やかな成長をお祈りいたします.
最後になりましたが,本書は医学書院の編集者の方々の丁寧なご助言と温かいご支援によって完成しました.多くの貴重なご示唆をいただきましたこと,心よりお礼申し上げます.
2015年11月
著者を代表して 石村由利子
目次
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はじめに
本書の構成と使い方
動画の使い方
第1章 妊婦のケア
1 妊婦のアセスメント
1 インタビュー(問診)
2 バイタルサイン
3 視診
4 触診
(1)顔・上肢・乳房・乳頭・腹部・下肢
(2)レオポルド触診法
5 計測診
(1)身長・体重
(2)子宮底長・子宮底高・腹囲
(3)骨盤外計測
(4)ノンストレステスト(NST)
(5)バイオフィジカルプロファイルスコア(BPS)
6 聴診(胎児心音)
7 内診(介助)
2 妊婦の生活援助技術
1 食生活
2 排泄
3 清潔
4 運動
5 姿勢・日常生活動作
6 休息・睡眠
7 衣生活(更衣)
8 出産準備
第2章 産婦のケア
1 産婦のアセスメント
1 インタビュー(問診)
2 バイタルサイン
3 視診
4 触診
(1)顔・上肢・乳房・腹部・下肢
(2)ザイツ法
5 計測診
(1)超音波診断
(2)胎児心拍陣痛図(CTG)
6 内診(介助)
2 産婦の生活援助技術
1 食生活
2 排泄
3 清潔
4 活動・姿勢
5 休息・睡眠
3 分娩援助技術
1 出産環境の整備
2 分娩介助
3 胎盤計測
4 産痛緩和
第3章 褥婦のケア
1 褥婦のアセスメント
1 インタビュー(問診)
2 バイタルサイン
3 視診
4 触診
5 計測診
6 腟鏡診・内診(介助)
7 産褥復古の観察
8 乳汁分泌の観察
2 褥婦の生活援助技術
1 食生活
2 排泄
3 清潔
4 動作・姿勢
5 休息・睡眠
3 産褥復古支援技術
1 産後.痛ケア
2 悪露交換
3 脱肛・痔核への対処
4 排尿障害への対処
5 産褥体操
4 母乳育児支援技術
1 母乳育児支援
2 乳房トラブルのケア
3 授乳
4 搾乳
第4章 新生児のケア
1 新生児のアセスメント
1 バイタルサイン
(1)呼吸・心拍・体温
(2)アプガースコア
2 視診
(1)全身の状態と便・尿の性状
(2)成熟度の診断
3 触診
4 身体計測
5 聴診
2 新生児の環境整備
1 室温・湿度・音・照明
2 事故・感染防止
3 新生児の養護技術
1 保温
2 点眼
3 臍処置
4 栄養
5 与薬(ビタミンK)
6 衣生活(更衣)
7 清潔
(1)おむつ交換
(2)沐浴
(3)ドライテクニック(全身清拭)
4 愛着行動支援技術
1 早期母子接触と母子同室
索引
▼動画一覧
本書の構成と使い方
動画の使い方
第1章 妊婦のケア
1 妊婦のアセスメント
1 インタビュー(問診)
2 バイタルサイン
3 視診
4 触診
(1)顔・上肢・乳房・乳頭・腹部・下肢
(2)レオポルド触診法
5 計測診
(1)身長・体重
(2)子宮底長・子宮底高・腹囲
(3)骨盤外計測
(4)ノンストレステスト(NST)
(5)バイオフィジカルプロファイルスコア(BPS)
6 聴診(胎児心音)
7 内診(介助)
2 妊婦の生活援助技術
1 食生活
2 排泄
3 清潔
4 運動
5 姿勢・日常生活動作
6 休息・睡眠
7 衣生活(更衣)
8 出産準備
第2章 産婦のケア
1 産婦のアセスメント
1 インタビュー(問診)
2 バイタルサイン
3 視診
4 触診
(1)顔・上肢・乳房・腹部・下肢
(2)ザイツ法
5 計測診
(1)超音波診断
(2)胎児心拍陣痛図(CTG)
6 内診(介助)
2 産婦の生活援助技術
1 食生活
2 排泄
3 清潔
4 活動・姿勢
5 休息・睡眠
3 分娩援助技術
1 出産環境の整備
2 分娩介助
3 胎盤計測
4 産痛緩和
第3章 褥婦のケア
1 褥婦のアセスメント
1 インタビュー(問診)
2 バイタルサイン
3 視診
4 触診
5 計測診
6 腟鏡診・内診(介助)
7 産褥復古の観察
8 乳汁分泌の観察
2 褥婦の生活援助技術
1 食生活
2 排泄
3 清潔
4 動作・姿勢
5 休息・睡眠
3 産褥復古支援技術
1 産後.痛ケア
2 悪露交換
3 脱肛・痔核への対処
4 排尿障害への対処
5 産褥体操
4 母乳育児支援技術
1 母乳育児支援
2 乳房トラブルのケア
3 授乳
4 搾乳
第4章 新生児のケア
1 新生児のアセスメント
1 バイタルサイン
(1)呼吸・心拍・体温
(2)アプガースコア
2 視診
(1)全身の状態と便・尿の性状
(2)成熟度の診断
3 触診
4 身体計測
5 聴診
2 新生児の環境整備
1 室温・湿度・音・照明
2 事故・感染防止
3 新生児の養護技術
1 保温
2 点眼
3 臍処置
4 栄養
5 与薬(ビタミンK)
6 衣生活(更衣)
7 清潔
(1)おむつ交換
(2)沐浴
(3)ドライテクニック(全身清拭)
4 愛着行動支援技術
1 早期母子接触と母子同室
索引
▼動画一覧
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