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がん薬物療法における曝露対策
今日から行うべき曝露対策が一目でわかる!
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シリーズ | がん看護実践ガイド |
---|---|
監修 | 一般社団法人 日本がん看護学会 |
編集 | 平井 和恵 / 飯野 京子 / 神田 清子 |
発行 | 2016年03月判型:B5頁:152 |
ISBN | 978-4-260-02494-5 |
定価 | 3,740円 (本体3,400円+税) |
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序文
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がん看護実践ガイドシリーズ 続刊にあたって/序
がん看護実践ガイドシリーズ
続刊にあたって
≪がん看護実践ガイド≫シリーズは,日本がん看護学会が学会事業の1つとして位置づけ,理事を中心メンバーとする企画編集委員会のもとに発刊するものです.
このシリーズを発刊する目的は,本学会の使命でもある「がん看護に関する研究,教育及び実践の発展と向上に努め,もって人々の健康と福祉に貢献すること」をめざし,看護専門職のがん看護実践の向上に資するテキストブックを提供することにあります.
がん医療は高度化・複雑化が加速しています.新たな治療法開発は治癒・延命の可能性を拡げると同時に,多彩な副作用対策の必要性をも増しています.そのため,がん患者は,多様で複雑な選択肢を自身で決め,治療を継続しつつ,多彩な副作用対策や再発・二次がん予防に必要な自己管理に長期間取り組まなければなりません.
がん看護の目的は,患者ががんの診断を受けてからがんとともに生き続けていく全過程を,その人にとって意味のある生き方や日常の充実した生活につながるように支えていくことにあります.近年,がん治療が外来通院や短期入院治療に移行していくなかで,安全・安心が保証された治療環境を整え,患者の自己管理への主体的な取り組みを促進するケアが求められています.また,がん患者が遺伝子診断・検査に基づく個別化したがん治療に対する最新の知見を理解し,自身の価値観や意向を反映した,納得のいく意思決定ができるように支援していくことも重要な役割となっています.さらには,苦痛や苦悩を和らげる緩和ケアを,がんと診断されたときから,いつでも,どこでも受けられるように,多様なリソースの動員や専門職者間の連携・協働により促進していかなければなりません.
がん看護に対するこのような責務を果たすために,本シリーズでは,治療別や治療過程に沿ったこれまでのがん看護の枠を超えて,臨床実践で優先して取り組むべき課題を取り上げ,その課題に対する看護実践を系統的かつ効果的な実践アプローチとしてまとめることをめざしました.
このたび,本シリーズの続刊として,『見てわかる がん薬物療法における曝露対策』をまとめました.がん薬物療法に用いられる抗がん薬の多くは,看護師にとって,発がん性・催奇形性・生殖毒性などを有し,諸外国ではHazardous Drugs(以下,HD)として特別な取り扱いが求められています.日本でも,2014年にHDの安全な取り扱いについて,厚生労働省より通達がなされ,2015年には日本がん看護学会・日本臨床腫瘍学会・日本臨床腫瘍薬学会の3学会合同ガイドラインが刊行されました.今,ようやく曝露対策の重要性および必要性の認識が高まりつつあります.
本書は,“ガイドラインはわかった,では実践でどうすればよいのか?”に応える1冊です.曝露対策に必要なシステムや装置の特徴をはじめ,具体的な曝露対策に求められる手技や取り扱い,ケア方法などが,目で見てわかるように写真やイラストを多く用いて具体的に解説されています.さらに,がん薬物療法を受ける患者・家族の曝露対策についても言及しており,施設に限らず広く地域医療においても役立つものとなっています.
≪がん看護実践ガイド≫シリーズは,読者とともに作り上げていくべきものです.シリーズとして取り上げるべき実践課題,本書を実践に活用した成果や課題など,忌憚のない意見をお聞かせいただけるよう願っています.
最後に,日本がん看護学会監修による≪がん看護実践ガイド≫シリーズを医学書院のご協力のもとに発刊できますことを心より感謝申し上げます.本学会では,医学書院のご協力を得て,これまでに『がん看護コアカリキュラム』(2007年),『がん化学療法・バイオセラピー看護実践ガイドライン』(2009年),『がん看護PEPリソース-患者アウトカムを高めるケアのエビデンス』(2013年)の3冊を学会翻訳の書籍として発刊して参りました.がん看護に対する重要性をご理解賜り,がん医療の発展にともに寄与いただいておりますことに重ねて感謝申し上げます.
2016年1月
一般社団法人日本がん看護学会理事長・企画編集委員会委員長
小松浩子
序
「抗がん薬は,がん細胞だけではなく正常な細胞にも影響を及ぼす」.それはがん医療に携わる医療従事者であれば誰もが理解していることですが,主には「投与を受ける患者にとって」という視点での理解でした.抗がん薬が,それを取り扱う医療従事者の健康にも影響を及ぼす可能性があるとわが国で認識されるようになって20余年が経ちます.しかしながら,わが国には抗がん薬の職業性曝露対策に関する法的根拠も全体を網羅する明確な指針もない中,どの職種における基礎教育・卒後教育においても,各施設における実際の対策においても,曝露への対応はさまざまという状況が続いてきました.
このような中,2014年,厚生労働省から『発がん性等を有する化学物質を含有する抗がん剤等に対するばく露防止対策について』の通知が出され,2015年,日本がん看護学会・日本臨床腫瘍学会・日本臨床腫瘍薬学会から『がん薬物療法における曝露対策合同ガイドライン2015年版』が発刊されたことが後ろ盾となり,抗がん薬による職業性曝露対策は現実的な問題として大きな転換点を迎えています.多くの看護師から「ガイドラインを読んで,曝露対策の必要性があらためて理解できた」,「組織に対して曝露対策の必要性を伝えやすくなった」という声が寄せられています.そして,次のステージとして「現実的にどう改善していこう」,「どんな選択肢があるのだろう」という声も聞かれるようになりました.
本書は,看護師の「実際にどうすればよいのか具体的に知りたい」に応えることを目指した内容となっています.そのため,写真やイラストを多用するとともに,PPE(個人防護具)の着脱や抗がん薬のスピル(こぼれ)処理など基本的な技術については動画を用いることで視覚的にわかりやすいものとしました.また,いち早く自施設での取り組みを進めてきたがん化学療法看護認定看護師の方々のお話をうかがい,これから曝露対策を進めるうえで参考になる実践現場での工夫や,経験談の紹介などを盛り込みました.さらに,CSTD(閉鎖式薬物移送システム)やPPEをはじめとする曝露対策に必要な製品については「選択肢とその特徴を知りたい」というニーズに応えるべく,いまわが国で選択可能な最新の情報を紹介しています.
まずは,本書が職種を超えてともに自施設の現状を見直し,具体的な改善策を検討していくきっかけとなることを強く願います.そして本書を通して「展望をもって進めていくこと」と「明日から実践可能なこと」が明確になり,できることから1つずつ実現していくことに役立てて頂けるものと確信しています.
編者らは抗がん薬の職業性曝露に関する知識さえもない時代,何の防護もなく抗がん薬の調製や投与に携わってきた看護師であり,すべての医療従事者が安心して生き生きと働ける環境づくりに本書を役立てて頂けるならば,この上なく幸いに思います.
どうぞ多くの皆さまにご活用いただき,忌憚のないご意見を賜りますようお願い申し上げます.
2016年2月
編者を代表して 平井和恵
がん看護実践ガイドシリーズ
続刊にあたって
≪がん看護実践ガイド≫シリーズは,日本がん看護学会が学会事業の1つとして位置づけ,理事を中心メンバーとする企画編集委員会のもとに発刊するものです.
このシリーズを発刊する目的は,本学会の使命でもある「がん看護に関する研究,教育及び実践の発展と向上に努め,もって人々の健康と福祉に貢献すること」をめざし,看護専門職のがん看護実践の向上に資するテキストブックを提供することにあります.
がん医療は高度化・複雑化が加速しています.新たな治療法開発は治癒・延命の可能性を拡げると同時に,多彩な副作用対策の必要性をも増しています.そのため,がん患者は,多様で複雑な選択肢を自身で決め,治療を継続しつつ,多彩な副作用対策や再発・二次がん予防に必要な自己管理に長期間取り組まなければなりません.
がん看護の目的は,患者ががんの診断を受けてからがんとともに生き続けていく全過程を,その人にとって意味のある生き方や日常の充実した生活につながるように支えていくことにあります.近年,がん治療が外来通院や短期入院治療に移行していくなかで,安全・安心が保証された治療環境を整え,患者の自己管理への主体的な取り組みを促進するケアが求められています.また,がん患者が遺伝子診断・検査に基づく個別化したがん治療に対する最新の知見を理解し,自身の価値観や意向を反映した,納得のいく意思決定ができるように支援していくことも重要な役割となっています.さらには,苦痛や苦悩を和らげる緩和ケアを,がんと診断されたときから,いつでも,どこでも受けられるように,多様なリソースの動員や専門職者間の連携・協働により促進していかなければなりません.
がん看護に対するこのような責務を果たすために,本シリーズでは,治療別や治療過程に沿ったこれまでのがん看護の枠を超えて,臨床実践で優先して取り組むべき課題を取り上げ,その課題に対する看護実践を系統的かつ効果的な実践アプローチとしてまとめることをめざしました.
このたび,本シリーズの続刊として,『見てわかる がん薬物療法における曝露対策』をまとめました.がん薬物療法に用いられる抗がん薬の多くは,看護師にとって,発がん性・催奇形性・生殖毒性などを有し,諸外国ではHazardous Drugs(以下,HD)として特別な取り扱いが求められています.日本でも,2014年にHDの安全な取り扱いについて,厚生労働省より通達がなされ,2015年には日本がん看護学会・日本臨床腫瘍学会・日本臨床腫瘍薬学会の3学会合同ガイドラインが刊行されました.今,ようやく曝露対策の重要性および必要性の認識が高まりつつあります.
本書は,“ガイドラインはわかった,では実践でどうすればよいのか?”に応える1冊です.曝露対策に必要なシステムや装置の特徴をはじめ,具体的な曝露対策に求められる手技や取り扱い,ケア方法などが,目で見てわかるように写真やイラストを多く用いて具体的に解説されています.さらに,がん薬物療法を受ける患者・家族の曝露対策についても言及しており,施設に限らず広く地域医療においても役立つものとなっています.
≪がん看護実践ガイド≫シリーズは,読者とともに作り上げていくべきものです.シリーズとして取り上げるべき実践課題,本書を実践に活用した成果や課題など,忌憚のない意見をお聞かせいただけるよう願っています.
最後に,日本がん看護学会監修による≪がん看護実践ガイド≫シリーズを医学書院のご協力のもとに発刊できますことを心より感謝申し上げます.本学会では,医学書院のご協力を得て,これまでに『がん看護コアカリキュラム』(2007年),『がん化学療法・バイオセラピー看護実践ガイドライン』(2009年),『がん看護PEPリソース-患者アウトカムを高めるケアのエビデンス』(2013年)の3冊を学会翻訳の書籍として発刊して参りました.がん看護に対する重要性をご理解賜り,がん医療の発展にともに寄与いただいておりますことに重ねて感謝申し上げます.
2016年1月
一般社団法人日本がん看護学会理事長・企画編集委員会委員長
小松浩子
序
「抗がん薬は,がん細胞だけではなく正常な細胞にも影響を及ぼす」.それはがん医療に携わる医療従事者であれば誰もが理解していることですが,主には「投与を受ける患者にとって」という視点での理解でした.抗がん薬が,それを取り扱う医療従事者の健康にも影響を及ぼす可能性があるとわが国で認識されるようになって20余年が経ちます.しかしながら,わが国には抗がん薬の職業性曝露対策に関する法的根拠も全体を網羅する明確な指針もない中,どの職種における基礎教育・卒後教育においても,各施設における実際の対策においても,曝露への対応はさまざまという状況が続いてきました.
このような中,2014年,厚生労働省から『発がん性等を有する化学物質を含有する抗がん剤等に対するばく露防止対策について』の通知が出され,2015年,日本がん看護学会・日本臨床腫瘍学会・日本臨床腫瘍薬学会から『がん薬物療法における曝露対策合同ガイドライン2015年版』が発刊されたことが後ろ盾となり,抗がん薬による職業性曝露対策は現実的な問題として大きな転換点を迎えています.多くの看護師から「ガイドラインを読んで,曝露対策の必要性があらためて理解できた」,「組織に対して曝露対策の必要性を伝えやすくなった」という声が寄せられています.そして,次のステージとして「現実的にどう改善していこう」,「どんな選択肢があるのだろう」という声も聞かれるようになりました.
本書は,看護師の「実際にどうすればよいのか具体的に知りたい」に応えることを目指した内容となっています.そのため,写真やイラストを多用するとともに,PPE(個人防護具)の着脱や抗がん薬のスピル(こぼれ)処理など基本的な技術については動画を用いることで視覚的にわかりやすいものとしました.また,いち早く自施設での取り組みを進めてきたがん化学療法看護認定看護師の方々のお話をうかがい,これから曝露対策を進めるうえで参考になる実践現場での工夫や,経験談の紹介などを盛り込みました.さらに,CSTD(閉鎖式薬物移送システム)やPPEをはじめとする曝露対策に必要な製品については「選択肢とその特徴を知りたい」というニーズに応えるべく,いまわが国で選択可能な最新の情報を紹介しています.
まずは,本書が職種を超えてともに自施設の現状を見直し,具体的な改善策を検討していくきっかけとなることを強く願います.そして本書を通して「展望をもって進めていくこと」と「明日から実践可能なこと」が明確になり,できることから1つずつ実現していくことに役立てて頂けるものと確信しています.
編者らは抗がん薬の職業性曝露に関する知識さえもない時代,何の防護もなく抗がん薬の調製や投与に携わってきた看護師であり,すべての医療従事者が安心して生き生きと働ける環境づくりに本書を役立てて頂けるならば,この上なく幸いに思います.
どうぞ多くの皆さまにご活用いただき,忌憚のないご意見を賜りますようお願い申し上げます.
2016年2月
編者を代表して 平井和恵
目次
開く
序章 看護師にとっての曝露対策の重要性および必要性
1 看護師とがん薬物療法における曝露対策
第1章 曝露対策の基礎知識
1 がん薬物療法において曝露対策が重要な薬:Hazardous Drugs(HD)とは何か
2 危険性のレベル
3 HDの形態別にみたリスク
4 HDの薬物動態
5 HDが医療従事者の健康に及ぼす影響
6 職業性曝露の経路と機会
第2章 看護師が行うべき曝露対策
1 ヒエラルキーコントロールの考え方
2 安全のための環境整備・物品 (1)生物学的安全キャビネット
1 生物学的安全キャビネット
2 抗がん薬調製ロボット
3 安全のための環境整備・物品 (2)閉鎖式薬物移送システム(CSTD)
調製・投与用 ChemoClave® (ケモクレーブ)
(株式会社パルメディカル,ニプロ株式会社)
調製・投与用 ケモセーフ® (テルモ株式会社)
調製・投与用 ネオシールド(株式会社ジェイ・エム・エス)
調製・投与用 BDファシールTM システム(日本ベクトン・ディッキンソン株式会社)
投与専用 Safe AccessTM クローズドC(日本コヴィディエン株式会社)
調製専用 エクアシールド(株式会社トーショー)
調製専用 TEVADAPTOR® (テバ製薬株式会社)
4 安全のための環境整備・物品 (3)個人防護具(PPE)
1 適切なPPEの選択と使い方
2 適切なPPEの着脱と廃棄の方法
5 看護師側と患者側の準備状況
6 病院/クリニックにおける曝露対策 (1)調製/調剤
1 注射薬
2 経口薬
7 病院/クリニックにおける曝露対策 (2)運搬・保管
1 運搬
2 保管
8 病院/クリニックにおける曝露対策 (3)投与管理
1 静脈内投与
2 経口投与
3 経管注入
4 腔内注入
9 病院/クリニックにおける曝露対策 (4)廃棄
10 病院/クリニックにおける曝露対策 (5)患者の排泄物・体液/リネン類の取り扱い
1 曝露対策の必要な期間
2 取り扱い時のPPE
3 場面ごとの曝露対策
11 病院/クリニックにおける曝露対策 (6)スピル時(HDがこぼれたとき)
1 スピルキット
2 HDがこぼれたときの対処
12 病院/クリニックにおける曝露対策 (7)曝露時
1 曝露直後の対応
2 曝露後数日間の対応
13 在宅における曝露対策
1 インフューザーポンプの管理
2 内服管理
3 排泄時の注意
4 洗濯物の取り扱い
5 その他
14 曝露のモニタリング
付録
1 がん薬物療法の調製時および投与管理時の曝露対策一覧
2 医療現場におけるHazardous Drugsリスト(NIOSH,2014)
索引
Column
経験談紹介
動画一覧
1 看護師とがん薬物療法における曝露対策
第1章 曝露対策の基礎知識
1 がん薬物療法において曝露対策が重要な薬:Hazardous Drugs(HD)とは何か
2 危険性のレベル
3 HDの形態別にみたリスク
4 HDの薬物動態
5 HDが医療従事者の健康に及ぼす影響
6 職業性曝露の経路と機会
第2章 看護師が行うべき曝露対策
1 ヒエラルキーコントロールの考え方
2 安全のための環境整備・物品 (1)生物学的安全キャビネット
1 生物学的安全キャビネット
2 抗がん薬調製ロボット
3 安全のための環境整備・物品 (2)閉鎖式薬物移送システム(CSTD)
調製・投与用 ChemoClave® (ケモクレーブ)
(株式会社パルメディカル,ニプロ株式会社)
調製・投与用 ケモセーフ® (テルモ株式会社)
調製・投与用 ネオシールド(株式会社ジェイ・エム・エス)
調製・投与用 BDファシールTM システム(日本ベクトン・ディッキンソン株式会社)
投与専用 Safe AccessTM クローズドC(日本コヴィディエン株式会社)
調製専用 エクアシールド(株式会社トーショー)
調製専用 TEVADAPTOR® (テバ製薬株式会社)
4 安全のための環境整備・物品 (3)個人防護具(PPE)
1 適切なPPEの選択と使い方
2 適切なPPEの着脱と廃棄の方法
5 看護師側と患者側の準備状況
6 病院/クリニックにおける曝露対策 (1)調製/調剤
1 注射薬
2 経口薬
7 病院/クリニックにおける曝露対策 (2)運搬・保管
1 運搬
2 保管
8 病院/クリニックにおける曝露対策 (3)投与管理
1 静脈内投与
2 経口投与
3 経管注入
4 腔内注入
9 病院/クリニックにおける曝露対策 (4)廃棄
10 病院/クリニックにおける曝露対策 (5)患者の排泄物・体液/リネン類の取り扱い
1 曝露対策の必要な期間
2 取り扱い時のPPE
3 場面ごとの曝露対策
11 病院/クリニックにおける曝露対策 (6)スピル時(HDがこぼれたとき)
1 スピルキット
2 HDがこぼれたときの対処
12 病院/クリニックにおける曝露対策 (7)曝露時
1 曝露直後の対応
2 曝露後数日間の対応
13 在宅における曝露対策
1 インフューザーポンプの管理
2 内服管理
3 排泄時の注意
4 洗濯物の取り扱い
5 その他
14 曝露のモニタリング
付録
1 がん薬物療法の調製時および投与管理時の曝露対策一覧
2 医療現場におけるHazardous Drugsリスト(NIOSH,2014)
索引
Column
国際がん研究機関(International Agency for Research of Cancer:IARC)
調製に伴うエアロゾルとは
薬を入れる容器(container)について
未変化体と活性代謝物
労災事例
クラス100とは?
ASTM規格
シリンジからのエアー抜き時の曝露を防ぐ製品
コアリング発生の要因
ジッパー付きプラスチックバッグ
調製に伴うエアロゾルとは
薬を入れる容器(container)について
未変化体と活性代謝物
労災事例
クラス100とは?
ASTM規格
シリンジからのエアー抜き時の曝露を防ぐ製品
コアリング発生の要因
ジッパー付きプラスチックバッグ
経験談紹介
その(1) 投与CSTD導入までのプロセス
その(2) 投与CSTD導入後のプロセス(すべての抗がん薬に投与CSTD を導入した施設)
投与時の長袖ガウン導入後のプロセス
その(2) 投与CSTD導入後のプロセス(すべての抗がん薬に投与CSTD を導入した施設)
投与時の長袖ガウン導入後のプロセス
動画一覧
動画1 適切なPPEの着用の仕方
動画2 適切なPPEの外し方
動画3 バックプライミング(HD輸液バッグを側管から接続するとき)
動画4 バックプライミング(HD輸液バッグを側管から外すとき)
動画5 HDこぼれ処理の流れ
動画2 適切なPPEの外し方
動画3 バックプライミング(HD輸液バッグを側管から接続するとき)
動画4 バックプライミング(HD輸液バッグを側管から外すとき)
動画5 HDこぼれ処理の流れ
書評
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曝露対策として,個人と組織で取り組むべきことが分かる1冊(雑誌『看護管理』より)
書評者: 城所 扶美子 (昭和大学病院・附属東病院 看護部長)
◆学びのニーズに応える実践書
がん患者の増加に伴い,抗がん剤を使用する患者も増加している。さまざまな種類の抗がん剤が使用されている中で,曝露対策として今行っていることが安全なのか,これから何をしたらよいのか,それぞれの施設で明確になっているだろうか。
抗がん剤の曝露は自身の健康へも影響を及ぼす危険があり,不安を抱えながら日々抗がん剤を取り扱っている医療従事者も少なくないと思う。手順や運用が整備されている施設ばかりではない。自施設の現状を把握するためにも,望ましい取り組みについて知りたいというニーズはあるだろう。
本書はそれらに応え,実際に何をしたらよいのかを具体的に分かりやすく説明し,実践できる内容となっている。
◆「見てわかる」の表題に偽りなし
本書の内容を紹介すると,序章では曝露対策の必要性をその歴史的経過を含め説明している。第1章では曝露対策の基礎知識として,Hazardous Drugs(以下,HD)の危険性と影響,職業性曝露を説明し,第2章では看護師が行うべき曝露対策を病院やクリニック,在宅など具体的な場面別に,実際の物品の使用方法や特徴も含めて説明している。
付録として「がん薬物療法の調製時および投与管理時の曝露対策一覧」「医療現場におけるHDリスト」が載せられている。そのほか,10個のコラムが要所に散りばめられ,印象深く知識が得られる。経験談の紹介もあり,CSTD(閉鎖式薬物移送システム)導入への取り組みなども参考にできる。
さらに,Web動画によりPPE(個人防護具)の適切な着用の仕方・外し方,HDこぼれ処理の流れなどが視覚的にも確認できる。「見てわかる」という表題にあるように,がん薬物療法における曝露対策について,フルカラーの写真やイラスト,Web動画を活用し分かりやすく解説している。
しかし,あなどるなかれ,説明は分かりやすいが,内容は吟味され凝縮されている。それらはガイドラインやさまざまな研究結果が載せられている引用・参考文献からも明らかである。単なる手順解説本ではなく,がん薬物療法における曝露対策について,新人から管理者までそれぞれの立場でも活用できる内容となっている。
◆がん薬物療法に携わる人々の健康を守るために
本書は「看護師個人だけではなく,職業としてHDを扱うすべての人々の健康を守るためには,組織全体として曝露対策が必要であり,それに取り組むことができるような内容とする」と述べている。抗がん剤に関わる全ての医療従事者が安心して働ける環境づくりは組織的対応なくして成り立たない。
曝露対策は,個人個人が正しい知識を持ち,抗がん剤を取り扱うことも大切だが,組織として曝露対策にどう取り組むか,環境や手順,物品を整備する管理的な取り組みが重要である。そのためにも,本書を活用し組織的な取り組みを進めることが必要であると思う。
がん薬物療法に関わる医療従事者が安全に安心して働ける今から未来のために,個人と組織に活用できる1冊である。
(『看護管理』2017年5月号掲載)
抗がん薬取り扱い時の不安を解消する1冊!
書評者: 古川 裕之 (山口大大学院教授・附属病院薬剤部長/臨床研究センター長)
仕事の疲れを癒すために,全国各地のひなびた温泉巡りをしている。訪れる温泉の多くは,無色透明,無臭のお湯が浴槽に注ぎ込んでいる。本当に天然温泉なのか,水を沸かしただけじゃないのか……と,心配になる。白色や茶色に濁ったお湯,硫黄臭のお湯に出会うと,安心する。におい(臭い・匂い)と色は,感覚器官を通して,人間に何らかの“気付き”をもたらしてくれる。注射用の抗がん薬は,粉末のものでも溶解すれば,ほとんどが無色透明。においはない。取り扱い中に,その一部が手指に付着しても,作業台に飛び散っても,気付きにくい。だから,不安になる。
長い間,抗がん薬のリスクは,投与される患者側の健康被害(主に,薬物有害反応)に焦点が当てられてきた。1980年代初め,米国の臨床薬学系雑誌で,抗がん薬を取り扱っている看護師の尿から正常より有意に高い濃度の変異性物質が検出されたという論文を見て,抗がん薬を取り扱う医療スタッフ側にもリスクがあることを知った。その後,抗がん薬の混合調製から投与に関係する医療スタッフの健康被害が注目されるようになり,さらには,抗がん薬投与を受けている患者の排泄物中に含まれる,あるいは,内部と外部から衣服に付着した抗がん薬(とその代謝物)への曝露にまで,注意の範囲が広がっている。
医療スタッフである以上,「抗がん薬は危険(Hazardous Drug : HD)である !!」として,抗がん薬に触れない,あるいは,抗がん薬投与中の患者には近づかない……というわけにはいかない。となると,抗がん薬曝露時の危険性,あるいは,曝露を最小限にするための対策を十分に理解することが必要になる。
看護師を対象にまとめられた本書は,「実際にどうすればよいのかを具体的に知りたい !!」という看護師の不安に応えるために,写真やイラストを多く使用して具体的な対策について説明している。また,個人防護具(Personal Protective Equipment : PPE)の着脱,バックプライミングの方法や抗がん薬のスピル(こぼれ)処理などの基本的な技術については,出版社の専用サイトにアクセスすることで動画を参照できるので,とても理解しやすい。
不安を取り除くには,正確な知識を持つことが一番。感覚的ではなく,正確な知識が,自分を守ってくれる。
書評者: 城所 扶美子 (昭和大学病院・附属東病院 看護部長)
◆学びのニーズに応える実践書
がん患者の増加に伴い,抗がん剤を使用する患者も増加している。さまざまな種類の抗がん剤が使用されている中で,曝露対策として今行っていることが安全なのか,これから何をしたらよいのか,それぞれの施設で明確になっているだろうか。
抗がん剤の曝露は自身の健康へも影響を及ぼす危険があり,不安を抱えながら日々抗がん剤を取り扱っている医療従事者も少なくないと思う。手順や運用が整備されている施設ばかりではない。自施設の現状を把握するためにも,望ましい取り組みについて知りたいというニーズはあるだろう。
本書はそれらに応え,実際に何をしたらよいのかを具体的に分かりやすく説明し,実践できる内容となっている。
◆「見てわかる」の表題に偽りなし
本書の内容を紹介すると,序章では曝露対策の必要性をその歴史的経過を含め説明している。第1章では曝露対策の基礎知識として,Hazardous Drugs(以下,HD)の危険性と影響,職業性曝露を説明し,第2章では看護師が行うべき曝露対策を病院やクリニック,在宅など具体的な場面別に,実際の物品の使用方法や特徴も含めて説明している。
付録として「がん薬物療法の調製時および投与管理時の曝露対策一覧」「医療現場におけるHDリスト」が載せられている。そのほか,10個のコラムが要所に散りばめられ,印象深く知識が得られる。経験談の紹介もあり,CSTD(閉鎖式薬物移送システム)導入への取り組みなども参考にできる。
さらに,Web動画によりPPE(個人防護具)の適切な着用の仕方・外し方,HDこぼれ処理の流れなどが視覚的にも確認できる。「見てわかる」という表題にあるように,がん薬物療法における曝露対策について,フルカラーの写真やイラスト,Web動画を活用し分かりやすく解説している。
しかし,あなどるなかれ,説明は分かりやすいが,内容は吟味され凝縮されている。それらはガイドラインやさまざまな研究結果が載せられている引用・参考文献からも明らかである。単なる手順解説本ではなく,がん薬物療法における曝露対策について,新人から管理者までそれぞれの立場でも活用できる内容となっている。
◆がん薬物療法に携わる人々の健康を守るために
本書は「看護師個人だけではなく,職業としてHDを扱うすべての人々の健康を守るためには,組織全体として曝露対策が必要であり,それに取り組むことができるような内容とする」と述べている。抗がん剤に関わる全ての医療従事者が安心して働ける環境づくりは組織的対応なくして成り立たない。
曝露対策は,個人個人が正しい知識を持ち,抗がん剤を取り扱うことも大切だが,組織として曝露対策にどう取り組むか,環境や手順,物品を整備する管理的な取り組みが重要である。そのためにも,本書を活用し組織的な取り組みを進めることが必要であると思う。
がん薬物療法に関わる医療従事者が安全に安心して働ける今から未来のために,個人と組織に活用できる1冊である。
(『看護管理』2017年5月号掲載)
抗がん薬取り扱い時の不安を解消する1冊!
書評者: 古川 裕之 (山口大大学院教授・附属病院薬剤部長/臨床研究センター長)
仕事の疲れを癒すために,全国各地のひなびた温泉巡りをしている。訪れる温泉の多くは,無色透明,無臭のお湯が浴槽に注ぎ込んでいる。本当に天然温泉なのか,水を沸かしただけじゃないのか……と,心配になる。白色や茶色に濁ったお湯,硫黄臭のお湯に出会うと,安心する。におい(臭い・匂い)と色は,感覚器官を通して,人間に何らかの“気付き”をもたらしてくれる。注射用の抗がん薬は,粉末のものでも溶解すれば,ほとんどが無色透明。においはない。取り扱い中に,その一部が手指に付着しても,作業台に飛び散っても,気付きにくい。だから,不安になる。
長い間,抗がん薬のリスクは,投与される患者側の健康被害(主に,薬物有害反応)に焦点が当てられてきた。1980年代初め,米国の臨床薬学系雑誌で,抗がん薬を取り扱っている看護師の尿から正常より有意に高い濃度の変異性物質が検出されたという論文を見て,抗がん薬を取り扱う医療スタッフ側にもリスクがあることを知った。その後,抗がん薬の混合調製から投与に関係する医療スタッフの健康被害が注目されるようになり,さらには,抗がん薬投与を受けている患者の排泄物中に含まれる,あるいは,内部と外部から衣服に付着した抗がん薬(とその代謝物)への曝露にまで,注意の範囲が広がっている。
医療スタッフである以上,「抗がん薬は危険(Hazardous Drug : HD)である !!」として,抗がん薬に触れない,あるいは,抗がん薬投与中の患者には近づかない……というわけにはいかない。となると,抗がん薬曝露時の危険性,あるいは,曝露を最小限にするための対策を十分に理解することが必要になる。
看護師を対象にまとめられた本書は,「実際にどうすればよいのかを具体的に知りたい !!」という看護師の不安に応えるために,写真やイラストを多く使用して具体的な対策について説明している。また,個人防護具(Personal Protective Equipment : PPE)の着脱,バックプライミングの方法や抗がん薬のスピル(こぼれ)処理などの基本的な技術については,出版社の専用サイトにアクセスすることで動画を参照できるので,とても理解しやすい。
不安を取り除くには,正確な知識を持つことが一番。感覚的ではなく,正確な知識が,自分を守ってくれる。
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本書の記述の正確性につきましては最善の努力を払っておりますが、この度弊社の責任におきまして、下記のような誤りがございました。お詫び申し上げますとともに訂正させていただきます。
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