神経解剖集中講義 第2版

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「苦しい」「難しい」神経解剖学を最大限に効率よく理解・整理できる1冊! 充実のクロスリファレンスで、必要に応じどの章からでも学べる。医学教育モデル・コア・カリキュラムにも対応。臨床とのリンク(画像・検査)でつめこみ記憶一転、神経解剖のツボがわかる。医学生の臨床実習・国試対策に。研修医、各科専門医、関連職は本書のみで知りたい知識のポイントに到達可能。神経解剖を学習したい方々に濃密な集中講義を届けます! 訳者コメントも必読!
原著 ジェームス D. フィックス
監訳 寺本 明 / 山下 俊一
秋野 公造 / 太組 一朗
発行 2012年03月判型:B5頁:264
ISBN 978-4-260-01491-5
定価 3,960円 (本体3,600円+税)

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第2版 監訳者序(寺本 明,山下 俊一)/原著者序(James D. Fix, Jennifer K. Brueckner)

第2版 監訳者序
 『神経解剖集中講義』初版の発刊より5年となる.この間,2011年3月11日には未曾有の東日本大震災により多くの方々が被災されたことは記憶に新しく,尊い命を失われた方々には心からのご冥福をお祈りしたい.

 我々医学者・医療者にはそれぞれの専門分野を異にしながらも,互いに力を寄せ合い,それぞれの分野における切磋琢磨と同時に,病者そして社会に貢献しなければならないという使命がある.専門家として自分の身の丈を意識した社会貢献を存分に続けていくことの大切さである.一方では,個々人が日々精進を続けて少しずつ身の丈を伸ばしてゆき,更なるスペシャリストを目指すことが求められている.しかしながら,いざ,天災を目の前にすると,いかに専門家といえども人間ひとりが持ちうる力というのは悲しいほどに脆くそして儚い.この真実をかみしめたうえで我々がどれだけ自らの変革と社会貢献ができるのか,また,震災を風化させずにどれほどの事業を今後成し遂げ続けることができるか,自戒と反省を繰り返しながら,新たな挑戦への時期にさしかかっているといえよう.

 さてこの5年の間,初版が多くの読者に愛されたことに,また再び第2版を専門分野が異なる秋野公造君と太組一朗君という気鋭の2人に担当させる機会を与えて頂いたことに心から謝意を申し上げる.今回の改訂では臨床的な要素にさらに重点を置いた内容になっており,用語解説や付録が新たに追加されている.原著が学生向けにも専門医向けにも幅広い内容を提供することに挑戦したことは,解釈・翻訳にあたった2人が目指してきた方向性とも軌を同じくするところである.この原著は米国医学生のUSMLEのテキストとして最も読まれているものであるが,わが国の医学生,コ・メディカル諸君にとっては必ずしも平易な内容の教科書とは言えないかもしれない.しかし,基礎医学を学ぶことで臨床を理解するという努力が結実するとこのような教科書が出来上がることは,これからのわが国の医学教育にも必要となる視点である.本書を通じて新しい領域開拓の精神を学んでほしい.

 改訂版が幅広い視野から神経解剖学を学ぶ役に供されれば望外の喜びである.

 2012年3月
 監訳者 寺本 明
      山下 俊一


原著者序
 前版で読者からお寄せ頂いたご意見をもとに,原書第4版はここに大規模な再編成を果たし,最新情報を盛り込むこととなった.改訂ポイントとしては章立ての再編成,Terminologica Anatomica に準拠した用語の更新,表「よくみられる神経疾患の病態」の追加,オンライン形式の復習問題の新設である.本書を最大限に活用して頂くにはCT,MRI画像に注意深く目を通し,図説を読み込むことである.各トピックについての自らの知識はオンラインの復習問題で確認できる**.最後に,各章を精読される際に役立つヒントを以下に挙げておく.
*,**日本語版である本書ではオンライン形式の復習問題を付録としておりませんことをあらかじめお断り致します.〕

1章 神経組織学:レヴィ小体Lewy bodiesと平野小体Hirano bodiesの違いは何か?ニッスル小体Nissl substanceは神経細胞のうち,細胞体perikaryonと樹状突起dendriteに認められるが,軸索axonには認められない.ニッスル小体(粗面小胞体rough endoplasmic reticulum)で蛋白質合成が行われていることを覚えること.図1-3と1-4から,代表的な脳腫瘍brain tumorと脊髄腫瘍spinal tumorの好発部位とその有病率を学ぶこと.成人で好発する脳腫瘍は多形[性神経]膠芽腫glioblastoma multiformeであり,星状細胞腫astrocytoma,髄膜腫meningiomaと続く.小児では星状細胞腫が最も多く,髄芽腫medulloblastoma,上衣腫ependymomaと続く.脊髄腫瘍では上衣腫が最も好発する.
2章 神経系の発生:神経堤neural crestから分化する構造物neural crest derivativesについて理解すること,下垂体pituitary glandは2つの異なる起源が融合してできることを理解すること,二分脊椎spina bifidaとアーノルド・キアリ奇形Arnold-Chiari malformationの差異について理解すること.アーノルド・キアリ奇形とダンディー・ウォーカー奇形Dandy-Walker malformationに関する図をよく学ぶこと.
3章 断面像から見た脳解剖:ミニアトラスとして,CTおよびMRI画像上に,受験に最低限必要な解剖学的用語を付記した.
4章 髄膜,脳室,脳脊髄液:脳脊髄液cerebrospinal fluidは,脈絡叢choroid plexusで産生され,クモ膜絨毛arachnoid villiから硬膜静脈洞venous sinusに排出される.脳脊髄液の産生排出経路は図4-1に示した.
5章 脳の血管支配:主要な動脈とそれぞれが灌流して機能する領域を示す.内頸動脈造影carotid angiogramと椎骨動脈造影vertebral angiogram,および硬膜外血腫epidural hematomaと硬膜下血腫subdural hematomaのCT,MRI所見をよく学ぶこと.
6章 脊髄:成人の脊髄は第1腰椎の高さで脊髄円錐conus terminalisとなって終わる.新生児の脊髄は第3腰椎の高さまである.成人では脊髄円錐から馬尾神経cauda equinaが形成され,第2腰椎(L-2)から尾椎coccygeal vertebra(Co)の高さまで伸びている.
7章 自律神経系:自律神経系autonomic nervous systemの重要な解剖を図7-1,7-2に示した.
8章 脊髄路:最も重要な脊髄路は皮質脊髄路(=錐体路)corticospinal tract(=pyramidal tract),後索路posterior(dorsal)column tract,外側脊髄視床路(温痛覚に関与する)lateral spinothalamic tract(pain and temperature),である.確実に完全に覚えること.
9章 脊髄の病変:米国医師国家試験委員会が挙げる8つの脊髄疾患を学ぶこと.4つの重症事項heavy hitterはブラウン・セカール症候群Brown-Séquard syndrome,ビタミンB12欠乏症(亜急性脊髄連合変性症)B12 avitaminosis(subacute combined degeneration),脊髄空洞症syringomyeliaおよび筋萎縮性側索硬化症amyotrophic lateral sclerosis(ALS,ルー・ゲーリック病Lou Gehrig's disease)である.
10章 脳幹:脳幹の横断面を学び,脳神経の神経核を確認すること.脳幹の腹側面図を学び,脳神経の出力線維・入力線維を確認すること.滑車神経trochlear nerveのみ脳幹の背側面から出力することを確認すること.
11章 脳神経:この章は極めて重要である.脳神経について詳述.他のどの章よりも神経解剖学的検査に関する問題をとりあげている.すべての図と図の説明を丁寧に学ぶこと.特に顔面神経facial nerve(第VII脳神経)についてはよく考えて学ぶこと(図11-5, 11-6).顔面神経の障害のうち上位運動ニューロンの障害と下位運動ニューロンの障害〔例えばベル麻痺Bell's palsy,[VII]B.5, 図11-6,pp.89-90参照〕の差異を学ぶこと.
12章 三叉神経系:三叉神経trigeminal nerve(CNV:第V脳神経)の分枝である眼神経ophthalmic nerve(CN V-1)は角膜反射corneal reflexの求心路である.眼神経,上顎神経CN V-2,動眼神経(第III脳神経),滑車神経(第IV脳神経),外転神経(第VI脳神経)および交感神経節後線維はいずれも海綿静脈洞cavernous sinus内に認められる.
13章 聴覚系:図13-1に聴覚路auditory pathwayの重要な概略を示した.伝音性難聴conduction deafnessと感音性難聴sensorineural deafnessの原因はそれぞれ何か?音叉を用いた検査のうちウェーバー試験とリンネ試験について説明できるようにすること.聴神経auditory nerveとコルチ器organ of Cortiは耳板otic placode由来であることを覚えておくこと.
14章 前庭系:この章では2種類の前庭性眼振vestibular nystagmusについて詳述している.1つは回転後眼振postrotational nystagmus〔16章[IV]B, p.128参照〕である.もう1つは温度眼振caloric nystagmusである(頭文字COWSと覚える).〔冷刺激coldでは刺激側と反対oppositeに,温刺激warmでは同方向にsameに眼振.〕意識障害患者にみられる前庭眼反射を図14-3に示している.
15章 視覚系:視覚路の障害を理解すること.四分盲quadrantanopiasはどのように起こるのか?視交叉optic chiasmの主な疾患として2つ挙げている.両方ともおさえておくこと.マイヤーのループMeyer's loopとは何か?
16章 脳幹の病変:脳幹で3つの最も重要な病変は前脊髄動脈anterior spinal arteryの閉塞(図16-1),後下小脳動脈posterior inferior cerebellar arteryの閉塞(図16-1),内側縦束症候群medial longitudinal fasciculus syndrome(図16-2)である.ウェーバー症候群Weber's syndromeは中脳病変のうち最も好発する(図16-3).
17章 視床:視床に対する主な入力核群および主な出力核群については図17-1に示した.内包の解剖をよく理解すること(試験に出題されるだろう).脳血管障害を視野に入れて内包の血管支配を理解すること.
18章 視床下部:室傍核paraventricular nucleusと視索上核supraoptic nucleusは抗利尿ホルモンantidiuretic hormone,オキシトシンoxytocinを産生し分泌する(図18-1,2).視交叉上核suprachiasmatic nucleusは網膜retinaより直接入力を受け,概日リズムcircadian rhythmを調節している.
19章 辺縁系:クリューヴァー・ビューシー症候群Klüver-Bucy syndromeは扁桃体amygdalaの両側性の病変により起こる.摂食過多hyperphagia,性欲過多hypersexuality,精神盲psychic blindnessの三徴を思い起こすこと.記憶消失は海馬hippocampusの両側性病変と関連している.ウェルニッケ脳症Wernicke's encephalopathyはサイアミン(ビタミンB1)欠乏により起こる.病変は乳頭体mamillary body,視床thalamusおよび中脳被蓋midbrain tegmentumに認められる(図19-3).パペッツ回路Papez circuitは広く出題されるので注意.
20章 小脳:最も重要な小脳回路網cerebellar circuitを示した(図20-1).小脳から出力する抑制性のガンマアミノ酪酸(GABA)作動性神経は,小脳のプルキンエ細胞により調節される.小脳皮質のプルキンエ細胞は小脳核に投射し,うち歯状核から視床に投射が起こる(小脳歯状核視床路cerebello-dentatothalamic tract).苔状線維mossy fiber,登上線維climbing fiberとは何か?
21章 基底核と線条体運動系:基底核の神経回路circuitry of basal gangliaとそれぞれの神経伝達物質neurotransmittersについて示した(図21-5,6).パーキンソン病Parkinson's diseaseは黒質substantia nigraにて神経細胞が脱落することにより起こる〔21章[III]A. p.156参照〕.ハンチントン病Huntington diseaseは尾状核caudate nucleusと被殻putamenの神経細胞が変性および脱落することにより起こる〔21章[III]C, p.158参照〕.ヘミバリズムhemiballismは対側の視床下核subthalamic nucleusの梗塞により起こる〔21章[III]E, p.160参照〕.
22章 大脳皮質:この章では大脳皮質の機能局在について記述する.優位半球と非優位半球の違いはどのようなものか?主な大脳半球の疾患による徴候を図22-5に示す.右下頭小葉の病変によりどのような症状を示すか.ゲルストマン症候群Gerstmann's syndromeとはどのような疾患か?
23章 神経伝達物質:この章では,主な神経伝達物質の分布・伝達経路をそれぞれ別の脳地図内に示してある.グルタミン酸glutamateは脳内の主な興奮性伝達物質である.またGABAは主な抑制性伝達物質である.小脳のプルキンエ細胞はGABA作動性である.アルツハイマー病ではマイネルト基底核basal nucleus of Meynertにおけるアセチルコリン作動性神経の脱落が認められる.パーキンソン病では黒質におけるドーパミン作動性神経の脱落が認められる.
24章 失行症,失語症,韻律障害:失行apraxia,失語aphasia,および韻律障害(ディスプロディ)dysprosodyについて解説している.ブローカ失語Broca's aphasiaとウェルニッケ失語Wernicke's aphasiaを区別できるようにすること.伝導失語conduction aphasiaとはどのようなものか?この章は米国医師国家試験委員会が問題としやすいところである.

 筆者らは本書の内容が正確であるように鋭意努めてきたが,何らかの誤りや取りこぼしも生じているものと思う.今後の改訂に活かすべく,コメントや提案をお寄せ頂ければ幸いである.

 James D. Fix
 Jennifer K. Brueckner

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1 神経組織学
2 神経系の発生
3 断面像から見た脳解剖
4 髄膜,脳室,脳脊髄液
5 脳の血管支配
6 脊髄
7 自律神経系
8 脊髄路
9 脊髄の病変
10 脳幹
11 脳神経
12 三叉神経系
13 聴覚系
14 前庭系
15 視覚系
16 脳幹の病変
17 視床
18 視床下部
19 辺縁系
20 小脳
21 基底核と線条体運動系
22 大脳皮質
23 神経伝達物質
24 失行症,失語症,韻律障害

付録1:脳神経の一覧
付録2:よくみられる神経疾患の病態
付録3:参照図
付録4:コア・カリキュラム対応内容一覧
付録5:専門医のためのキーワード(上級篇)

用語解説

和文索引
欧文索引

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難しいとされがちな神経解剖を,簡潔かつわかりやすく解説
書評者: 水澤 英洋 (医歯大大学院主任教授・脳神経病態学)
 このたび,待望の『神経解剖学集中講義(第2版)』が出版された。本書は2007年5月15日の第1版第1刷より昨年までに3刷を数える,好評の名著の改訂版である。それは原著者のMarshall大学医学部解剖学のJames D. Fix名誉教授ならびに現Louisville大学解剖科学・神経生物学のJennifer K. Brueckner教授による原著の素晴らしさに加えて,監訳者である寺本明東京労災病院院長,山下俊一福島県立医科大学副学長,そして訳者である秋野公造参議院議員・長崎大学客員教授,太組一朗日本医科大学武蔵小杉病院脳神経外科講師の創意工夫によるところが大きい。

 本書は,神経組織学,神経発生から始まり髄膜・脳室・髄液,血液を経て,脊髄,脳幹,視床,小脳,基底核,大脳皮質と上向性に各章が配置されている。大きな特徴の一つは,単に解剖所見にとどまらず,必ず機能についても記述されていることと,今一つは,組織学の章の中に中枢と末梢の腫瘍の項,発生の中に先天奇形の項,その他多くの「臨床との関連」の項などが準備され,随所に疾患や病態の記述がちりばめられていることである。脊髄,脳幹,大脳皮質の章の少し後で,それぞれ脊髄と脳幹の病変,失語症などが別立ての章となっていることでもわかる。すなわち,常に臨床を意識した構成になっており,これは読者にとって非常に理解しやすくなっている。

 次の特徴としては,写真,図表,イラストなどが多用されていて,やはり理解を助けていることがあるが,恐らく最大の特徴は,そのコンパクトさにある。これだけの内容でありながら,その記述は正確で簡潔,また図などを多用することによりB5判で本文わずか185ページにまとめている。関連する特徴として欧文・和文索引を含む付録が62ページにもわたり極めて充実しており,本文と付録の合計でも247ページでまとまっている。付録の中には,用語解説,脳神経一覧,よくみられる神経疾患の病態,参照図のほか,わが国の読者を対象とした,コア・カリキュラム対応内容一覧,専門医のためのキーワードが訳者の努力により加えられていて,かゆいところに手が届く構成となっている。

 このような,難しいとされがちな神経解剖を,極めて簡潔にして非常にわかりやすく解説した本書は,医学部の全学生,神経関連の大学院生,研修医などの脳神経外科や神経内科あるいは精神科を学ぶ初学者,さらには既に専門医となったものにも知識の整理などに極めて有用である。ぜひ,座右にそろえて日々の診療,学習あるいは研修に役立てていただきたい。
解剖学と臨床症候を橋渡しする,多様な立場の読者に有用な書
書評者: 伴 信太郎 (名大大学院教授・総合診療医学/日本医学教育学会理事長)
 『神経解剖集中講義 第2版』(原著“High-Yield Neuroanatomy 4th Edition”)は,実に丁寧に作り込まれた本である。それは原著にも翻訳にもいえる。恐らく原著に触発された翻訳者が,翻訳に際して労を惜しまなかった結果このような単なる翻訳書にとどまらない,工夫に満ちた本として仕上がったものと思う。

 翻訳者は巻末に現行の「コア・カリキュラム対応表」を付け,原書には含まれない解説を付し,さらにはわが国の臨床統計を追記している。これは並大抵なことではない。翻訳者および監訳者の真摯〈しんし〉な取り組み姿勢に心からの敬意を表したい。

 さて,その内容であるが,米国の医学生のUSMLEのテキストとして最もよく読まれているものであるというのも十分にうなずける。神経解剖と臨床の記載のバランスが絶妙である。全体は24章からなるが,図や画像がふんだんに使用され,「臨床との関連」の項目がある,さらにはほとんどの章に「Case Study」が用意されている。「臨床との関連」は既に臨床に従事している人にとって有用であるのみならず,神経解剖を学ぶことを目的とする人にとっては,その実用性を感じさせるのに極めて有用である。「Case Study」は,学生・研修医・若手医師にとって勉強になるのみならず,臨床指導医にとっては,臨床問題の作問の仕方の参考にもなる。

 例えば,顔面神経の項(「11章 脳神経」の中にある)では,解剖学的な概説の次に「臨床との関連」として
 1.表情筋の弛緩性麻痺
 2.角膜反射の消失
 3.味覚の消失
 4.聴覚過敏
 5.ベル麻痺
 6.ワニの涙症候群
 7.核上性(中枢性)顔面神経麻痺
 8.両側性顔面神経麻痺
 9.メビウス症候群
が挙げられ,それぞれ簡にして要を得た説明が加えられている。

 本書の利用の仕方は,読者のさまざまな立場によって多様であろう。USMLEを受験しようとする人の参考書として,本書の本来の目的に使うことももちろん可能であるが,日常の臨床で神経系の問題を考えるときの参考書として解剖学と臨床症候を橋渡しする本書は,研修医からベテランの医師に至るまで非常に利用価値が高い。

 もちろん臨床問題については,臨床の文献を読んだ上で神経解剖書をひもとく時間的余裕があれば,それがベストであろうが,本書は,その余裕のない臨床現場で働く医師,看護師,理学療法士など幅広い医療専門職およびそれぞれの領域の学生の座右の書となりうる好著として,ぜひ推薦したい。

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