臨床検査技師国家試験問題集 解答と解説 2012年版

2012年版の序

　臨床検査技師になるには，まず国家試験に合格しなければなりません．不幸なことにこの臨床検査技師の国家試験はたいへん難しく，この数年間の合格率は70％前後です．この事実は，「相当の能力を持つ人でも，教科書をまじめに勉強しているだけでは合格はおぼつかない」ということを意味しています．したがって検査技師になろうとする皆さんは，どうしても国家試験のための準備が必要です．最良の準備は，いうまでもなく国家試験問題の傾向を知りその対策をたてることです．
　雑誌「検査と技術」は，創刊以来臨床検査技師国家試験問題の解答と解説を掲載してきました．そして最近の5年分の問題の解答と解説を一冊にまとめて出版してきました．幸いにこれまで多くの方々に利用していただき，国家試験の対策に役立ってきたと考えております．
　この2012年版では，2007年（第53回）から2011年（第57回）までの5年間5回分の国家試験問題の解答と解説を収録しています．毎年違った問題が出題されています．しかし5年分の試験問題をみると，臨床検査技師として要求される基本的な知識を問う問題が多く，重要な事項は多少出題形式や解答方式が変えられてはいるものの，繰り返し出題されています．しかし教科書の重点項目だけが出題されているわけではありません．教科書を多少逸脱した内容もあります．病気の特徴を問う問題もあります．教科書のみの勉強では，国家試験の対策としては十分でないことが分かります．また問題には年毎に試験委員の個人差による変化とともに，ある出題傾向もみられます．したがって過去の試験問題を勉強することが，大変役立つと思います．このような点から，本書は国家試験を目指す人々にとって最良の受験対策の資料となると信じています．

　2011年5月
　「検査と技術」編集委員会を代表して
　菅野　治重