生理検査学・画像検査学

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臨床検査技師を目指す人のための教科書シリーズが全面リニューアル。国試出題基準に沿った内容で、実際の診療や研究の現場のトピックスも適宜紹介。本書は、近年の臨床検査技師の業務において需要の増している生理機能検査・画像検査の基礎学習に最適。豊富な図表と写真で、卒前教育で身につけておくべきことを効率よく学習できる。

*「標準臨床検査学」は株式会社医学書院の登録商標です。
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医学書院の“青本”シリーズ≪標準臨床検査学≫が完全リニューアル! 臨床検査技師を志す学生向けの新しい教科書シリーズです。 ●シリーズの特徴 ・標準的なカリキュラムに対応し、使い勝手のよい編成 ・臨床検査技師国家試験出題基準に完全対応、必要にして十分な記述内容 ・医師と臨床検査技師のコラボで生まれた教科書 ●ラインナップ ≫全12巻の一覧はこちら
シリーズ 標準臨床検査学
シリーズ監修 矢冨 裕 / 横田 浩充
編集 谷口 信行
発行 2012年03月判型:B5頁:328
ISBN 978-4-260-01418-2
定価 5,060円 (本体4,600円+税)

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刊行のことば(矢冨 裕・横田浩充)/(谷口信行)

刊行のことば
 「標準臨床検査学」シリーズは,「臨床検査技師講座」(1972年発刊),「新臨床検査技師講座」(1983年発刊),さらには「臨床検査技術学」(1997年発刊)という医学書院の臨床検査技師のための教科書の歴史を踏まえ,新しい時代に即した形で刷新したものである.
 臨床検査は患者の診断,治療効果の判定になくてはならないものであり,医療の根幹をなす.この臨床検査は20世紀の後半以降,医学研究,生命科学研究の爆発的進歩と歩調を合わせる形で,大きく進歩した.そして臨床検査の項目・件数が大きく増加し,内容も高度かつ専門的になるにつれ,病院には,臨床検査の専門部署である検査部門が誕生し,臨床検査技師が誕生した.臨床検査の中央化と真の専門家による実践というこの体制が,わが国の医療の発展に大きく貢献したこと,そして,今後も同じであることは明らかである.
 このような発展めざましい臨床検査の担い手となることを目指す方々のための教科書となることを目指し,新たなシリーズを企画した.発刊にあたっては,(1)臨床検査の実践において必要な概念,理論,技術を俯瞰できる,(2)今後の臨床検査技師に必要とされる知識,検査技術の基礎となる医学知識などを過不足なく盛り込む,(3)最新の国家試験出題基準の内容をすべて網羅することを念頭に置いた.しかしながら国家試験合格のみを最終目的とはせず,実際の臨床現場において医療チームの重要な一員として活躍できるような臨床検査技師,研究マインドが持てるような臨床検査技師になっていただけることを願って,より体系だった深い内容となることも目指している.また,若い方々が興味を持って学習を継続できるように,レイアウトや記載方法も工夫した.
 本書で学んだ臨床検査技師が,臨床検査の現場で活躍されることを願うものである.

 2012年春
 矢冨 裕
 横田浩充



 臨床検査は,対象により検体検査と生理・画像検査に二分される.検体検査の診療への貢献度は言うまでもないが,生理検査・画像検査については,単に検査を行うというだけでなく,さらに医療現場のより近いところに位置している.その理由としては,患者さんと接しながら検査を行うこと,検査の精度が検査を行う技師の能力に依存すること,さらに医療機関で広く知られるようになった安全管理の概念も知っておかねばならないことなどである.逆に,生理検査・画像検査の面白いところは,従来の単なる数値として表現される検査を超えた検査として位置する点であり,その検査技能を取得するのに時間はかかるが,自分の持っている検査技能により,病態・診断により近づくことのできる精度の高い検査を行えるところであろう.
 さて,本書は循環器,呼吸器,脳神経など各部位の生理検査・画像検査を対象に,超音波をはじめとした検査室で行われている現状の検査に加え,最新の検査法も紹介するために,直接検査に携わっている方々にご執筆いただいた.検査の領域は,技術の進歩により新しい診断法が取り入れられるのと同時に,以前は数多く行われた検査でも,その診療への重要性の減少,他の検査で置き換わるものがあると,その検査件数が減少していく.近年,生理機能検査のなかで大きく重要性が変化したものは,心音図とベクトル心電図である.心音図は,聴診で指摘された異常を感度よく正確に分析する目的で,弁疾患,先天性疾患の診断に欠かせないものであった.ベクトル心電図は,電気刺激の伝わり方を三次元で表示することで心筋の異常を精度よく表示することができた.これらは,30年前には心電図とともに数多く行われ教科書にも大きく扱われていたが,現在ではその重要性が薄れ,心音図は,新しい技術である超音波検査(心エコー)またはMRIに取って代わられ,ベクトル心電図はその煩雑さと新たな情報の少なさから行われなくなっている.今後も,新たな検査技術がこれまでの検査に取って代わるであろうが,そのことが医療の進歩と発展の礎になることに異論はない.
 本書は,生理検査・画像検査として基本的な項目だけでなく,最近の進歩を取り入れた内容で構成されている.これから臨床検査技師を目指す方々の知識取得だけでなく,実際の検査技術の整理とリフレッシュの一助となることを祈っている.

 2012年2月
 谷口信行

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I 総論-生理検査学・画像検査学とは
 A 生理機能検査の業務範囲
 B 生理機能検査の特徴

II 循環器系の検査
第1章 心電図
 A 心臓の機能と心電図の基礎
 B 異常心電図
 C 運動負荷心電図
 D Holter心電図
 E His束心電図
 F 加算平均心電図
 G モニター心電図
 H ベクトル心電図
第2章 心音図
 A 心音図の基礎
 B 心音の性質
 C 心雑音の性質
 D 心疾患と雑音
 E 心音に影響を与えるもの
第3章 脈波
 A 脈波の意義
 B 記録法
 C 各種脈波の臨床的意義
 D 脈管疾患検査

III 神経・筋機能検査
第1章 脳波
 A 臨床検査と脳波の意義
 B 正常脳波
 C 脳波異常を示す疾患
 D 誘発脳波(誘発電位)
第2章 筋電図
 A 筋電図を学ぶための基礎知識
 B 針筋電図検査
 C 誘発筋電図検査
 D 経頭蓋磁気刺激検査

IV 呼吸器系の検査
第1章 呼吸器系の検査の基礎,生理
 A 呼吸器の構造と機能
 B 呼吸運動とその調節
 C ガス交換と運搬
 D 酸素解離曲線
 E 換気機能
 F 気体に関する一般的法則
第2章 呼吸機能検査
 A 換気機能検査
 B 肺胞機能検査
 C 動脈血ガス分析
 D 主な呼吸器疾患と異常所見
第3章 睡眠呼吸検査
 A 睡眠と呼吸生理
 B 終夜睡眠ポリグラフィ(PSG)
 C 簡易睡眠呼吸検査
 D 睡眠時無呼吸症候群(SAS)

V 基礎代謝の検査
 A 人体エネルギー代謝
 B 基礎代謝量
 C 基礎代謝に影響を与える因子

VI 聴覚・平衡機能検査
 A 聴覚検査
 B 平衡機能検査

VII 眼底検査
 A 眼科の基礎知識
 B 眼底撮影の実際

VIII 画像検査
第1章 超音波検査
 A 超音波検査法の基礎
 B 心臓の超音波検査
 C 上腹部の超音波検査
 D 下腹部の超音波検査
 E その他臓器の超音波検査
第2章 磁気共鳴画像検査(MRI)
 A MR装置
 B 核磁気共鳴現象
 C MRIの撮像法と画像
 D 脂肪抑制法
 E MRハイドログラフィ
 F MRアンギオグラフィ
 G 拡散強調画像
 H パラレルイメージング
 I 3T MR装置
 J 造影剤
 K MRIの安全性
第3章 熱画像検査法
 A 熱画像検査とは
 B 検査方法

和文索引
欧文索引

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卒業前に身につけておきたい知識をコンパクトにまとめた渾身の一冊
書評者: 種村 正 (心臓血管研究所臨床検査室長・技師長)
 とかく教科書は難しい。筆者の立場では,難しいことを難しく書くのは簡単であるが,わかりやすい言葉を使って簡潔に書くことは非常に難しい。一方,学生諸氏が求めているのは基礎から応用まで幅広く網羅していて実習にも役立ち,図説や写真が豊富で実際の検査がイメージしやすく,用語解説やキーワードが挙げられていてポイントがわかりやすく,国家試験の出題基準に沿って書かれている教科書であろう。本書は卒業前に身につけて欲しい知識をできるだけコンパクトに,平易な記述で,そしてビジュアルに表現した渾身の一冊である。

 さて,私が学生であった30年前の生理検査実習を振り返ってみる。心電図は1チャンネル心電計,心音図はミンゴグラフ,呼吸機能はベネディクト・ロス型スパイロメータ,基礎代謝はダグラスバック,呼気ガス分析はショランダーガス分析機,超音波検査はAモードとMモードのみであった。病院実習に行って,初めて6チャンネル心電計や心臓のBモード画像を見たときには学校との違いに驚いたものだ。就職してからはさまざまな生理検査に携わってきたが,機器や検査を取り巻く環境は大きく変化してきた。特筆すべきは超音波検査の普及であり,30年前には教科書に載っていなかった磁気共鳴画像検査(MRI),睡眠呼吸検査,熱画像検査,聴覚・平衡機能検査,眼底検査などが行われるようになった一方で,基礎代謝,ベクトル心電図,心音図,脈波などが激減し,検査自体ができなくなってしまった施設も多い。

 本書に目を通してみると,今は実に多くの検査法を学ぶ必要があるのかがわかる。この点は現在の学生諸氏に敬意を表したい。同時に,どんなに電子機器が進歩しても変わっていないことがあることにも気付かされる。それは,各検査法の原理とインターフェイスの部分である。肺気量分画を理解させるために,水槽にベル型の円筒蓋を浮かべたあの古風なベネディクト・ロス型スパイロメータがいまだに取り上げられている。インターフェイスは電極であったり,マウスピースであったり,プローブであったりする訳であるが,接触させるものの形状や誘導法には変わりがない。生理検査の大部分は患者の身体と誘導部を接触させる必要があり,正しい着け方,撮り方をしなければ正しいデータが得られない。ここにコツがあり,生理検査の魅力がある。これらの部分をきちんと学習しておくことは生涯において一助となるだろう。

 述べるまでもなく,検査は患者のために行うものである。本書は最初に生理検査の特徴と心構えが述べられている。心電図検査では項目ごとに必ず図表があり,異常心電図と文章を見比べることができる。比較的新しい検査として,超音波を使った血管内皮機能検査(FMD)などのトピックも紹介されている。超音波検査では豊富な超音波画像がちりばめられており,格段にわかりやすくなっている。臨床検査技師を目指す学生向け教科書ではあるが,生理検査をやり始めた初心者が知識の再確認にも利用できる。ぜひ活用していただきたい。
『生理検査学・画像検査学』における必読書となる一冊
書評者: 齋藤 憲 (徳大大学院教授・生体機能解析学)
 本書は臨床検査技師を目指す学生向けに書かれた教科書「標準臨床検査学シリーズ」の改訂第1弾であり,『生理検査学・画像検査学』で学習する広範な生理系検査学領域の内容が「臨床検査技師国家試験出題基準(平成23度版)」に基づき,系統的に要領よくまとめられている。

 今回の改訂では,各章の始めに「学習のポイント」,各項の始めに「本項を理解するためのキーワード」が箇条書きにされており,「サイドメモ」も利用して本文中の専門用語の平易な解説を行うなど,多岐に渡る『生理検査学・画像検査学』の検査内容が無理なく学習できるような工夫が随所にみられている。また,より鮮明となった多色刷り印刷(2色刷り,一部カラー印刷)の効果も加わり,前版に比べて非常に読みやすくなったというのが本書を一読したときの第一印象である。

 しかし,今回の改訂で最も注目すべきところは,単なる書式の変更や図表の配置の工夫ではなく,生理検査の現状を見据えた本書の大胆な内容の改訂や更新にある。従来の教科書は,国家試験などに対する配慮からか,基礎的・基本的な記述が多く,臨地実習などに携帯しても,現場で改めて教科書を開く機会はあまりなかった。本書は,現場で直接検査に携わる人たちに執筆を依頼し,検査技術の取得や個々の検査の臨床的意義について考えることができるように配慮されているのが特徴である。例えば,心臓超音波検査法に関する記述は,従来の形態診断学的な内容から,ドプラ法を利用した心機能の評価まで多岐にわたり,改訂版全体のページ数が10ページ以上も減っているにもかかわらず,その内容が3倍余りに充実している。

 さらに,私の専門とする循環器系機能検査の領域では,脈波伝播速度(PWV : pulse wave velocity)や足関節上腕血圧比(ABPI : ankle brachial pressure index),血管内皮機能検査(FMD : flow mediated dilatation)などの動脈硬化外来で行われているアンチエイジング検査やホルター心電図検査の項目が,また呼吸機能検査領域では睡眠時無呼吸症候群の診断を目的とした終夜睡眠ポリグラフィー(PSG : polysomnography)検査などの項目が新たに追加されており,日々進歩する新しい生理検査の担い手を目指す臨床検査技師の養成に重点を置いた「標準臨床検査学シリーズ」の出版に対する監修・編集者の方々の熱い思いがはっきりと伝わってくる。

 本書は従来の教科書と比較すると少し高度でより臨床的な内容も含まれており,臨床検査技師国家試験合格を目指す学生のみならず,研究マインドを持って大学院進学を目指す学生の育成をも視野に入れた『生理検査学・画像検査学』の必読書といえる。

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本書の記述の正確性につきましては最善の努力を払っておりますが、この度弊社の責任におきまして、下記のような誤りがございました。お詫び申し上げますとともに訂正させていただきます。

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