基礎看護学[4]
臨床看護総論 第5版

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第4版から全面改訂を行い、オールカラーとなり、さらに見やすい紙面となりました。 目次構成などには大きな変更はありませんが、第5章として「事例による看護実践の展開」を追加しました。 どのような健康障害にも共通する「経過」に焦点をあて、急性期の患者、慢性期の患者、終末期の患者、およびリハビリテーションを必要とする患者に分けて、それぞれの特徴と看護について解説しています。 主要な症状の特徴と基本的治療、患者のニーズと看護、さらには治療・処置を受けている患者に必要な看護の要点がまとめられています。 臨床現場で使用することの多い医療機器については、写真やイラストを用いてわかりやすく解説してあります。
*「系統看護学講座/系看」は株式会社医学書院の登録商標です。
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はしがき

本書の特徴
 本書「臨床看護総論」は,1989年の保健師助産師看護師学校養成所指定規則の改正に伴い誕生した科目から編成された。「臨床看護総論」は,健康障害を持つ対象(者)を理解し,状態に応じた看護について認識していくことがその科目内容の意図であった。その後,1996年の養成所指定規則改正に伴い,この「臨床看護総論」という科目内容は基礎看護学の中に包含され,同時に科目の名称ではなく教育内容として提示された。そして,2009年の養成所指定規則改正では,看護学の教育内容の構成が変更され,看護専門分野I,IIならびに統合分野の3つに分けられた。「基礎看護学」ならびに「臨地実習:基礎」が基礎専門分野Iとして位置づけられ,各看護学や在宅看護論の基礎となる基礎的理論や基礎的技術を学ぶため,「基礎看護学」の教育内容を構成するものとして「看護学概論」「看護技術」と並んで「臨床看護総論」が提示され,1989年に誕生した科目が教育内容として再度強調されることとなった。これを機会に,1990年に第1版として発刊され第4版まで改訂された「臨床看護総論」を,約20年ぶりに大きく改訂することとなった。
 今回,改訂した「臨床看護総論」は,“看護の基本として多様な健康上のニーズを持つあらゆる発達段階の人々に,基本的な看護学の知識や技術を統合し,応用するプロセスを学ぶことを目ざす”という発刊時のテーマを大切にしつつ,20年を経て発展してきた看護学の知識・技術を取り入れて,内容が再編成された。本書は,看護が提供される場で,看護の対象となる人々と実際にかかわりながら看護実践を行う(臨床看護)ための全体を総括した内容(総論)である。とくに,実習という学習方法で,初めて看護学生として直接,看護の対象となる人々に看護援助を行う基礎看護学実習において,既習科目の基礎的な知識や技術をどのように統合しながら自分の看護実践として具現化していくのか,その際の学習の手がかりとなる内容であると思う。看護学の各々の基礎的な知識や技術はそれぞれの科目で学習される。そしてこれらの知識や技術は個々の看護者の中で統合されて,それぞれが実践している看護援助の根拠や基盤として表出される。この「臨床看護総論」は,基礎的知識や技術が実践の中でどのように統合さているのか,看護の対象者の状況(ライフサイクル,場,健康状態,症状,治療)に即して理解しやすいように構成されている。

本書の使い方
 本書の構成は,「第1章 健康上のニーズを持つ対象者と家族への看護」「第2章 健康状態の経過に基づく看護」「第3章 主要な症状を示す対象者への看護」「第4章 治療・処置を受ける対象者への看護」「第5章 事例による看護実践の展開」,「付章 医療機器の原理と実際」となっている。
 第1章は,看護の対象を個人と家族という1つのユニットでとらえ,個をライフサイクル,家族を機能という視点で,さらに人々の存在する場という3つの観点からその特徴を概観している。そして,それぞれの観点において健康上のニーズ,つまり看護のかかわる課題の特徴を論じている。第2章では,個人を中心に動的な健康状態についての特徴,対象者のニーズ,看護援助の特徴について説明している。この第1章と第2章は,臨床看護において看護の対象者を理解するための基盤となっている。とくに,第2章は,看護学を学びはじめた初学者にも看護の実際がイメージして理解しやすいように事例を取り入れて看護援助の特徴を説明している。
 第3章と第4章は,具体的な対象者の症状や治療・検査の基礎的知識とともに,「アセスメント-診断-援助方法」という看護実践を展開するときの基本的な思考過程にそって,それぞれの項の看護援助が説明されている。とくに,第3章では症状のメカニズムを基盤に,アセスメントの視点や看護援助の根拠が理解しやすいように記述されている。
これら第1章から第4章までの内容を個々の対象者の状況に応じて統合して1つにまとめていくことで,臨床における対象者に適した看護援助の実践に役だてることができる。第5章では,この統合の過程について,事例を用いて具体的に説明している。
 また,医療現場において看護職にとって身近で代表的な医療機器の原理や使用の実際について付章でまとめて掲載している。現代医療において,医療機器は不可欠なものであり,また看護実践においても情報を得る手段として,援助方法の手段として使用されている。正しく機器を使用し,正しい成果を得るためには,個々の機器のメカニズムを理解したうえで,安全に,適切に活用することが大切であり,実習で本書の付章が大いに役だつと期待する。
 はじめて看護実践に対峙する学生の皆様にとって,看護の対象となる人々を理解し,看護学を基盤とした根拠に基づいた看護実践に本書が参考になるのであれば幸いである。
 2011年11月
 著者ら

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第1章 健康上のニーズを持つ対象者と家族への看護
 A ライフサイクルからとらえた対象者と家族の健康上のニーズ (水戸優子
 B 家族の機能からとらえた対象者と家族の健康上のニーズ (長戸和子)
 C 生活と療養の場からとらえた対象者と家族の健康上のニーズ (酒井昌子)
第2章 健康状態の経過に基づく看護
 A 健康の維持・増進を目ざす看護 (鈴木浩子)
 B 急性期における看護 (高島尚美)
 C 慢性期における看護 (谷本真理子)
 D リハビリテーション期における看護 (中川雅子)
 E 終末期における看護 (浅野美知恵)
第3章 主要な症状を示す対象者への看護
 A 呼吸に関連する症状を示す対象者への看護 (香春知永)
 B 循環に関連する症状を示す対象者への看護 (香春知永)
 C 栄養や代謝に関連する症状を示す対象者への看護 (城生弘美)
 D 排泄に関連する症状を示す対象者への看護 (志賀由美・佐藤智子)
 E 活動や休息に関連する症状を示す対象者への看護 (水戸優子)
 F 認知や知覚に関連する症状を示す対象者への看護 (長谷川真澄)
 G コーピングに関連する症状を示す対象者への看護 (加納佳代子)
 H 安全や生体防御機能に関連する症状を示す対象者への看護 (城生弘美)
 I 安楽に関連する症状を示す対象者への看護 (高橋美賀子)
第4章 治療・処置を受ける対象者への看護
 A 輸液療法を受ける対象者への看護 (鈴木聖子)
 B 化学療法を受ける対象者への看護 (高木真理)
 C 放射線療法を受ける対象者への看護 (高木真理)
 D 手術療法を受ける対象者への看護 (村上好恵)
 E 集中治療を受ける対象者への看護 (竹嶋千晴)
 F 創傷処置/創傷ケアを受ける対象者への看護 (黒木ひろみ)
 G 身体侵襲を伴う検査・治療を受ける対象者への看護 (中島佳子)
第5章 事例による看護実践の展開
 A 看護実践展開のためのガイド (香春知永)
 B 弁膜症で入院後,脳梗塞を発症した患者の看護 (香春知永)
 C 肝硬変患者の看護 (藤谷章恵)
付章 医療機器の原理と実際
 A 医療機器を安全に使うために (戸畑裕志)
 B 測定用医療機器の原理と実際 (戸畑裕志)
 C 治療用医療機器の原理と実際 (戸畑裕志)
 D 医療機器使用時の看護 (香春知永・高屋尚子)

索引

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本書の記述の正確性につきましては最善の努力を払っておりますが、この度弊社の責任におきまして、下記のような誤りがございました。お詫び申し上げますとともに訂正させていただきます。

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