小児看護学[2]
小児臨床看護各論 第12版

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『小児看護学[1]』 を基盤として、疾患に特有な看護をより実践的に解説しています。 各領域の専門家が執筆にあたり、最新の情報を加えたより実践的な内容としました。 身体系統別または病態別に構成し、各章ともに医師が各疾患の病態・症状・診断・治療などを概説し、看護師が看護総論と主要な疾患の看護を、疾患や治療の経過にそって解説しています。 付章の「事例による看護過程の展開」は、看護師国家試験の状況設定問題への対策として活用できる内容にしました。 「重要」「発展学習」のコラムを設け、重要な事項、より深く学習する内容を本文と分けて、学習の便をはかりました。
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はしがき

 21世紀を迎え,これからの時代を生きる子どもたちが健やかに育って行くことが人類の願いであり,そのために小児看護が果たす役割は大きいといえます。少子高齢化に伴い,わが国の政治・経済,文化,医療にはさまざまな変化が生じ,子どもを取り巻く環境も急激に変化しています。この変化のなかで,子どもたちは,どのような大人への成熟過程を歩んでいるのでしょうか。子どもがおかれている社会や周囲の状況を理解することは,現代の小児看護を考える第一歩としてたいへん重要なことであると考えます。
 社会の変化に伴って,小児看護の役割も拡大しています。子どもにとって家族の存在がたいへん大きなものであることはいうまでもありません。しかし,現代の親の多くは,育児に関する不安や悩みをかかえています。子どもの健やかな成長・発達のためには,子どもへの直接的な支援とともに,家族が安心して育児にあたれる環境を整える必要があります。さらに,子どもに健康問題が生じた場合は,家族の悲しみやとまどいの深さははかりしれず,より専門的できめの細かい支援が求められます。
 このような状況から,本書は子どもを家族のなかの存在として位置づけ,子どもと家族を中心とする看護を基本的理念としています。現代の子どもと家族の特徴およびその環境をより広い視点からとらえ,小児看護の果たすべき役割をできる限り明確にあらわすことに努めました。さらに,小児看護は,入院中の子どもだけでなく,あらゆる場面ですべての健康レベルの子どもを対象とします。近年,心や身体に問題をかかえて家庭や学校で生活する子どもの看護がますます重要になっていることなどから,本書は,小児看護の役割の拡大を視野に入れた内容となっています。
 さて,指定規則の改正などに伴って小児看護学の講義・実習時間は段階的に減少し,限られた時間内でより効果的に学習する必要性が高まっています。このような現状をふまえて,基礎的な学習のポイントを押さえるために,より優先度の高い内容は「重要」と示しました。また,より専門的な用語や発展的な学びにつながる内容は「発展学習」として,選択的に学べるようにしました。さらに,小児看護学を学ぶ方ができるだけ具体的に子どものイメージを描けるように多くの図表を活用しています。
 以下に,本書の構成を詳しく示します。
 小児看護学[1]の小児看護学概論では,第1章で現代の子どもと家族の概況をとらえながら,小児看護の役割と課題を論じています。第2章では成長・発達の知識について,それらを学ぶ意義を含めて解説しました。新たに第3章「小児の栄養」として,日本人の食事摂取基準(2010年版)を示しながら,小児の各発達段階の栄養の特徴を論じています。第4~6章は発達段階別の構成として,各期の子どもの成長・発達,健康,家族,看護について解説し,子どもの全体像を描けるようにしました。また,第7章で家族の特徴とアセスメント,第8章では子どものアセスメントについて,その根拠と技術を示しています。さらに,第9章では子どもと家族を取り巻く社会について,病児教育を含む広い視点で論じています。
 小児看護学[1]の小児臨床看護総論では,小児看護学概論の内容をふまえ,疾病・障害をもつ子どもと家族の看護について解説しています。第1章では疾病・障害をもつ子どもと家族の特徴と看護を概観し,第2章では疾病の経過から看護の特徴を論じています。第3章の症状別の看護は,子どもの基本的特性を押さえながら症状のアセスメントと看護を示しました。第4章は,検査・処置の目的と具体的な支援の方法を詳細に述べているので,実習に活用しやすく,看護実践能力の向上につながる内容となっています。第5章では,外来や病棟という場に特徴づけられる看護の役割を解説しています。第6章では拡大しつつある在宅療養を含め,生活に影響をおよぼす健康問題をかかえる小児の看護を論じています。第7章では障害の概念,障害児と家族の特徴,社会的支援など,障害児看護の基礎的知識を押さえました。
 小児看護学[2]では,身体系統別または病態別に構成し,各疾患の病態・症状・診断・治療と看護について整理・解説しています。また,現代の小児保健医療の課題として,「事故・外傷」や「子どもの虐待」を取り上げています。今回の改訂では,引き続き各領域の専門家が執筆にあたることで,より新しい医療情報を加えるとともに,看護の基盤の充実とより実践に即した子どもと家族の看護を検討しています。付章の事例による看護過程の展開は内容を一新し,看護師国家試験の状況設定問題への対策としても活用いただけます。

 小児看護学を学ぶ方に,本書が講義にも実習にも活用できる教材として広く活用されること,また,すでに小児看護を実践なさっている看護職の方にも,基本的な知識の確認などに活用いただけることを願うとともに,その結果,ひとりでも多くの子どもたちがその子らしく充実した生活が送れることを心から願っています。
 2010年12月
 著者ら

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第1章 染色体異常・胎内環境により発症する先天異常と看護 (西野郁子・名越廉)
第2章 新生児の看護 (茂本咲子・名越廉)
第3章 代謝性疾患と看護 (出野慶子・宮本茂樹)
第4章 内分泌疾患と看護 (出野慶子・宮本茂樹)
第5章 免疫疾患・アレルギー性疾患・リウマチ性疾患と看護 (浅野みどり・坂本龍雄)
第6章 感染症と看護 (篠木絵理)
第7章 呼吸器疾患と看護 (西野郁子・黒崎知道)
第8章 循環器疾患と看護 (半田浩美・岩島覚)
第9章 消化器疾患と看護 (田中千代・岩井潤)
第10章 血液・造血器疾患と看護 (松岡真理・梶原道子)
第11章 悪性新生物と看護 (松岡真理・丸光惠・石田也寸志)
第12章 腎・泌尿器および生殖器疾患と看護 (丸光惠・長雄一・倉山英昭)
第13章 神経疾患と看護 (荒木暁子・田邉雄三・伊達裕昭)
第14章 運動器疾患と看護 (新家一輝・西須孝)
第15章 皮膚疾患と看護 (齊藤千晶・森脇真一)
第16章 眼疾患と看護 (石川紀子・黒田紀子)
第17章 耳鼻咽喉疾患と看護 (石川紀子・峯田周幸)
第18章 精神疾患と看護 (塩飽仁・井上由紀子・生地新)
第19章 事故・外傷と看護 (富岡晶子・前田留美)
第20章 子どもの虐待と看護 (大須賀美智)
付章 事例による看護過程の展開 (丸光惠・奈良間美保)

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