成人看護学[8]
腎・泌尿器 第13版

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体液調整機能を担う腎・泌尿器の構造と機能から、疾患によってそれらが障害された際の検査・治療そして看護まで、カラー紙面でわかりやすく、十分に学べる内容を網羅しています。 第1章「看護を学ぶにあたって」では腎・泌尿器疾患に関する医療の動向と看護、患者の特徴と看護の役割、疾患の経過と看護について、簡潔にふれています。 第2章から第5章では、腎・泌尿器疾患を持つ患者の看護の展開に必要とされる医学的な知識をわかりやすく解説しました。今回の改訂では、第4章に「性・生殖機能の検査」、第5章に「慢性腎臓病」を項目として加えるなど、内容の見直し・刷新をはかりました。 第6章は、看護過程の流れにそった実際的な記述とし、腎臓内科と泌尿器科とで共通することの多い「症状に対する看護」「検査を受ける患者の看護」を学んだあとに「内科的治療」と「泌尿器科的治療」に分けて展開するよう構成しています。今回の改訂では、全面的に見直しを行い、新たに「性・生殖機能障害のある患者の看護」や「組織内照射療法を受ける患者の看護」などの項目を設けるなど、より充実した内容となるよう努めました。
シリーズ 系統看護学講座
大東 貴志 / 河邊 博史 / 木村 チヅ子 / 相良 麻由 / 鎮目 美代子 / 滝沢 瑞希 / 辻岡 三南子 / 中村 弘美 / 村井 勝 / 森下 裕美 / 山口 伸子
発行 2011年02月判型:B5頁:360
ISBN 978-4-260-01091-7
定価 2,530円 (本体2,300円+税)
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はしがき

発刊の趣旨
 1967年から1968年にかけて行われた看護学校教育課程の改正に伴って,新しく「成人看護学」という科目が設けられた。
 本教科のねらいとするところは,「看護の基礎理論としての知識・技術・態度を理解し,これを応用することによって,病気をもつ人の世話あるいは健康の維持・増進を実践・指導し,看護の対象であるあらゆる人の,あらゆる状態に対応していくことができる」という,看護の基本的な理念を土台として,「成人」という枠組みの対象に対する看護を学ぶことにある。
 したがって,看護を,従来のように診療における看護といった狭い立場からではなく,保健医療という幅広い視野のなかで健康の保持・増進という視点においてとらえ,一方,疾患をもった患者に対しては,それぞれの患者が最も必要としている援助を行うという看護本来のあり方に立脚して学習しなければならない。
 本書「成人看護学」は,以上のような考え方を基礎として編集されたものである。
 まず「成人看護学総論」においては,成人各期の特徴を学び,対象である成人が,どのような状態のもとで正常から異常へと移行していくのか,またそれを予防し健康を維持していくためには,いかなる方策が必要であるかを学習し,成人の全体像と成人看護の特質をつかむことをねらいとしている。
 以下,「成人看護学」の各巻においては,成人というものの概念を把握したうえで,人間の各臓器に身体的あるいは精神的な障害がおこった場合に,その患者がいかなる状態におかれるかを理解し,そのときの患者のニーズを満たすためにはどのようにすればよいかを,それぞれの系統にそって学習することをねらいとしている。
 したがって,「成人看護学」の学習にあたっては,従来のように診療科別に疾病に関する知識を断片的に習得するのではなく,種々の障害をあわせもつ可能性のある1人ひとりの人間,すなわち看護の対象としての人間のあらゆる変化に対応できる知識・技術・態度を学びとっていただきたい。
 このような意味において,学習者は対象の健康生活上の目標達成のために,より有効な援助ができるような知識・技術を養い,つねに研鑽を続けていかなければならない。
 以上の趣旨のもとに,金子光・小林冨美栄・大塚寛子によって編集された「成人看護学」であるが,日進月歩をとげる医療のなかで,本書が看護学の確立に向けて役だつことを期待するものである。

カリキュラムの改正
 看護教育のカリキュラムは,20年ぶりとなる1989年の全面的な改正ののち,改正1996年には3年課程,1998年には2年課程が改正された。さらに2008年にも大きく改正され,看護基礎教育の充実がはかられている。その背景として,わが国の急速な少子高齢化の進展や,慢性疾患の増加などの疾病構造の変化,医療技術の進歩,看護業務の複雑・多様化,医療安全に関する意識の向上など,看護を取り巻く環境の変化があげられる。
 これらの変化に対応するために,新カリキュラムでは専門分野がIとIIに分けられ,専門分野Iでは基礎看護学を,専門分野IIでは対象の発達段階に応じた看護の実践を学ぶことになり,それぞれに臨床実践能力の強化が盛り込まれている。また,統合分野が新たに設けられ,看護の統合と実践を学び,より患者の視点に立った質の高い看護実践能力の向上が求められることになった。

改訂の趣旨
 今回の「成人看護学」の改訂では,カリキュラム改正の意図を吟味するとともに,1999年に発表され,直近では2010年に改定された「看護師国家試験出題基準」の内容をも視野に入れ,内容の刷新・強化をはかった。また,日々変化する実際の臨床に即し,各系統において統合的・発展的な学習がともに可能となるように配慮した。
 第1章「看護を学ぶにあたって」では,各系統別の医療の動向と看護を概観したあと,患者の身体的,心理・社会的特徴を明確にし,看護上の問題とその特質に基づいて,看護の目的と機能が具体的に示されている。
 第2~5章では,疾患とその医学的対応という視点から,看護の展開に必要とされる医学的な基礎知識が選択的に示されている。既習知識の統合化と臨床医学の系統的な学習のために,最新の知見に基づいて解説されている。
 第6章「患者の看護」では,第1~5章の学習に基づいて,症状別,診断および治療・処置別,経過別,疾患別に看護の実際が提示されている。すべてを看護過程に基づいて展開することにより,患者の有する問題が論理的・総合的に理解できるように配慮されている。
 付章「事例による看護過程の展開」では,1~3つの事例を取り上げ,看護過程に基づいて看護の実際を展開している。患者の有するさまざまな問題を提示し,看護の広がりと問題解決の過程を具体的に学習できるようにしている。
 また,巻末には適宜付録を設け,各系統別に必要となる知識を整理し,学習の利便性の向上をはかった。
 今回の改訂によって看護の学習がより効果的に行われ,看護実践能力の向上,ひいては看護の質的向上に資することを切に望むものである。ご活用いただき,読者の皆さんの忌憚のないご意見をいただければ幸いである。
 2010年11月
 著者ら

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第1章 看護を学ぶにあたって (木村チヅ子・鎮目美代子)
  A 医療動向と看護
  B 患者の特徴と看護の役割
  C 疾患の経過と看護
第2章 腎・泌尿器の構造と機能 (辻岡三南子・村井勝)
第3章 症状とその病態生理 (河邊博史・村井勝)
  A 尿の異常
  B 排尿に関連した症状
  C 水と電解質の異常
  D 循環器系の異常
  E 血液の異常
  F 尿毒症
  G 疼痛
  H 腫脹・腫瘤
  I その他の症状
第4章 検査と治療・処置 (辻岡三南子・村井勝)
  A 診察
  B 検査
  C 治療と処置
  D 排尿管理
  E 透析療法
  F 腎移植
第5章 疾患の理解 (大東貴志・河邊博史・辻岡三南子)
  A 腎不全と慢性腎臓病
  B 原発性糸球体腎炎
  C 全身性疾患による腎障害
  D 尿細管間質性腎炎
  E 腎血管性病変
  F 尿細管機能異常
  G 妊娠高血圧症候群
  H 尿路・性器の感染症
  I 尿路の通過障害と機能障害
  J 尿路損傷および異物
  K 尿路結石症
  L 尿路・性器の腫瘍
  M 発生・発育の異常
  N 男性不妊症,男性性機能障害,その他の男性生殖器疾患
第6章 患者の看護 
 (相良麻由・鎮目美代子・菅原慈和子・杉本友紀・滝沢瑞希・中村弘美・森下裕美・山口伸子)
 I 症状に対する看護
 II 検査を受ける患者の看護
 III 内科的治療を受ける患者の看護
  A 治療・処置を受ける患者の看護
  B 疾患を持つ患者の看護
  C 透析治療を受ける患者の看護
 IV 泌尿器科的治療を受ける患者の看護
  A 処置を受ける患者の看護
  B 手術を受ける患者の看護
  C 薬物療法を受ける患者の看護
  D 放射線療法を受ける患者の看護
  E 腎移植を受ける患者の看護
  F 性・生殖器機能障害のある患者の看護
付章 事例による看護過程の展開 (滝沢瑞希・森下裕美)
  A 糖尿病腎症から透析導入となった患者の看護
  B 前立腺全摘除術を受けた患者の看護

腎・泌尿器領域でよく用いられる略語
おもな尿検査・腎機能検査の基準値・正常値
索引

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