標準麻酔科学 第6版

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『標準』教科書シリーズの1冊として、麻酔科学の基礎から臨床までを学べるスタンダードなテキスト。第6版では、入門者にとって重要な知識を太字で強調し、メリハリを付けた。さらに、麻酔科学を俯瞰できる「構成マップ」を各編の冒頭に追加したことで、いっそう学習しやすくなった。付録「医師国家試験における麻酔科関連問題と解説」が加わり試験対策にも便利。
シリーズ 標準医学
監修 弓削 孟文
編集 古家 仁 / 稲田 英一 / 後藤 隆久
発行 2011年04月判型:B5頁:376
ISBN 978-4-260-01179-2
定価 5,720円 (本体5,200円+税)
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第6版 序

 私が本書の編集に関与させていただいたのは1998年に出版された第3版からである.ショックの研究などで親しくご指導をいただいていた第3,4版の編集者で,当時鹿児島大学教授だった吉村望先生からお誘いをいただき,医学生に人気のある医学書院の標準教科書シリーズ」の麻酔科学の教科書編集にかかわれることを意気に感じてお引き受けした.1987年に初版が出されて10年がすでに経過した時であった.2002年に第4版が出されるまでの4年間に毎年増刷が繰り返され,医学生のみならず専門医試験を受ける麻酔科医たちにも利用される麻酔科学の代表的な教科書として一定の評価を受けるようになっていた.
 第4版は熊澤光生先生(山梨医科大学)と古家仁先生(奈良県立医科大学)と私が編集をさせていただき,吉村先生が監修をされた.私たち編集者が意識したのは,「読者である医学生や研修医たちが,ライフワークとして麻酔科医を希望する気持ちになるようなまとめ方をしよう」という姿勢であった.この姿勢は第3版で初企画をし,第4版で写真をさらに充実させた「麻酔科医の1日を追う」の章や,肩の力を抜いて学習をしてもらうコーナーの「Tea Time」を見ていただければ,ご理解いただけると確信する.
 第4版はかなり気合を入れて編集をした.長時間の編集会議を本郷の医学書院で行ったのを思い出す.勢いあまって500頁を超える大教科書となってしまい,いささか分厚すぎるボリュームとなった.2006年に出版された第5版はスリムにまとめられ,現在に至っている.
 今回6年ぶりに改訂され,新しい教科書として生まれ変わって世に出されることになった.今回の第6版は編集に稲田英一先生(順天堂大学)と後藤隆久先生(横浜市立大学)が加わり古家仁先生と3人で編集され,すばらしい仕上がりになっている.また,新たな執筆者が22名も加わられ,項立てが大きく変わったわけではないが新鮮なまとめ方となっていると感じながら監修させていただいた.本書は医学生のために作られた教科書であるが麻酔科医としての研修を行う医師にとってもガイドブックとして十分役立つ「質」を確保できている.

 私は3年前に現役を引退し,臨床医から病院事業管理者に代わり,手術室に少し距離を置いた場所で仕事をしている.仕事場の本棚には本書をならべて,時間があれば読んで勉強しながら自分の臨床医としての歩いてきた道を振り返っている.
 気管挿管が初めてできた日のこと,硬膜外腔穿刺が初めて成功した日のこと,星状神経節ブロックや全脊椎麻酔,そして三叉神経ブロックなど盛んにやっていた日々,direct APを初めて入れた日,Swan-Ganzカテーテルを入れた日,ドパミンやドブタミンが登場した日のこと,救急部がスタートした日,集中治療部がスタートした日,パルスオキシメータの登場,セボフルランの登場…,などなど.懐かしい思い出ばかりである.多数の若者たちが同じ道を歩いてくれることを心から期待しながら本書の序とする.

 今回の改訂にあたり執筆をしていただき,多大な労をおかけした先生方,編集作業を担当された古家先生,稲田先生,後藤先生,そして本書の出版に力を注がれた医学書院編集部の皆さまに心から感謝する.

 2011年3月 広島にて
 弓削孟文

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口絵・麻酔科医の1日を追う

第 I 編 麻酔科学序説
 第1章 麻酔科学とは
 第2章 麻酔科学の歴史
第II編 各種麻酔法と用いられる薬物
 第3章 吸入麻酔薬と麻酔法
 第4章 静脈麻酔薬と麻酔法
 第5章 オピオイド
 第6章 局所麻酔薬
 第7章 筋弛緩薬
 第8章 その他の麻酔補助薬
第III編 麻酔管理
 第9章 気道管理
 第10章 術前評価と麻酔計画
 第11章 モニタリング
 第12章 局所麻酔法
  脊髄くも膜下麻酔
  硬膜外麻酔
  その他の局所麻酔
 第13章 周術期循環管理
 第14章 周術期呼吸管理
 第15章 周術期の輸液・輸血,酸塩基平衡,代謝の管理
 第16章 周術期の血液凝固・線溶系と止血系の管理
 第17章 周術期体温管理
 第18章 肺血栓塞栓症の予防と対応
 第19章 術後管理,術後鎮痛
 第20章 感染予防
第IV編 各科の麻酔管理
 第21章 一般的手術における麻酔管理
  腹部外科手術の麻酔
  胸部外科手術の麻酔
  心臓血管外科手術の麻酔
  脳神経外科手術の麻酔
  産科麻酔
  小児麻酔
  高齢者の麻酔
  その他の外科手術の麻酔
 第22章 特殊な症例の麻酔管理
  熱傷患者手術の麻酔
  緊急手術の麻酔
  日帰り麻酔
 第23章 合併症を有する患者の麻酔
  循環器疾患を有する患者の麻酔
  呼吸器疾患を有する患者の麻酔
  内分泌・代謝疾患を有する患者の麻酔
  腎疾患を有する患者の麻酔
  肝疾患を有する患者の麻酔
  神経・筋疾患を有する患者の麻酔
  精神神経疾患を有する患者の麻酔
  肥満患者の麻酔
 第24章 臓器移植に関する諸問題
  心臓移植の麻酔
  肺移植の麻酔
第V編 麻酔関連領域の知識
 第25章 ペインクリニック
 第26章 緩和医療
 第27章 麻酔科医に必要な救急医学と集中治療医学の知識
 第28章 救急蘇生の基礎

付録・医師国家試験問題における麻酔科関連問題・解説
和文索引
欧文索引

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