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脳波判読に関する101章 第2版

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脳波判読に欠かせないキーワードを101選び、見開き2ページ読み切りの形でまとめた。脳波判読のコツとその波形がもつ意味について、どこからでも読めるテキストとなっている。第2版では、国際臨床神経生理学会の定義に基づいて波形の解釈を見直し、てんかんの国際分類などを最新のものに対応させた。また、新たに巻末付録として用語集をつけた。
一條 貞雄 / 高橋 系一
発行 2009年11月判型:B5頁:248
ISBN 978-4-260-00981-2
定価 5,500円 (本体5,000円+税)

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第2版序

 本書『脳波判読に関する101章』(1998)が出版されてから,増刷を繰り返しながら早や10年を経過した.
 その間,2001,2006年にはてんかん発作型の国際分類に大きな変更案が出された.2006年にはアメリカ臨床神経生理学会で「脳波・誘発電位の関する記録法のガイドライン」が発表され,さらに,2007年にはアメリカ睡眠学会から新しい「睡眠ポリグラフの記録手技と判定基準」が提唱され,睡眠段階の分類が変更された.
 しかし,2006年のアメリカ臨床神経生理学会による「脳波の記録法のガイドライン」を見ると,前回20年前(1986)に発表されたものとほとんど変わっていなかった.内容については他誌にも紹介したが(雑誌『臨床脳波』49; 265-270, 2007),そこでも述べたように2点ほど注目されることがあった.
 第1は脳波振幅の単位に,従来「μV」という表現を行っていたことに対して,今回のガイドラインでは,インターネット等での使いやすさを考慮して「uV」を使用することにした点である.しかし,本書では従来通りに「μV」のままにした.
 第2には,脳波の記録に際して,閉眼時の記録だけでなく,適宜に目を開かせたりして脳波の変化を観察すべきであることを強調している点である.これは前回(1986)のガイドラインで述べられたことと全く同じ内容である.脳波室によっては,もっぱら閉眼時の記録が行われ,開眼時の観察があまり行われていない場合が見られるが,アメリカでも同じ状況なのであろうとの感を受けた.本書ではこの開閉眼のことにも留意して述べたつもりである.
 なお,1999年に国際臨床神経生理学会の脳波用語集に変更・追加がなされていることから新たに巻末に,脳波用語と解説を付した.
 脳の検査と言えば,今日ではとかく頭部CTやMRI が主流になっているが,近年,問題が多い小児期・思春期においても,また高齢化した現代社会におけるうつ病や認知症の鑑別診断などにも,脳波検査は益々重要であると考えている.そこで,上述の改訂点を踏まえ,その後の新しい知見も追加して第2版を上梓することにした.
 本書改訂第2版の出版にあたり,多くの方々から貴重なご意見やご協力をいただいた.ことに次の方々には厚く感謝する次第である.中里信和(広南病院,宮城),長谷川壽紀(Bronson Methodist Medical Center, ミシガン州,USA),藤井昌彦(仙台富沢病院),松岡洋夫(東北大学医学部)(五十音順,敬称略).
 最後に編集の労に当たられた医学書院医学書籍編集部金井真由子さんに厚く感謝します.

 2009年9月
 一條 貞雄

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Part 1 脳波とその記録方法
Part 2 脳波波形の種類
Part 3 律動性波形
Part 4 睡眠脳波
Part 5 てんかんと関連疾患の脳波
Part 6 脳波判読に関する解剖・神経生理
Part 7 小児・思春期の脳波
Part 8 老年期の脳波
Part 9 意識障害の脳波
Part 10 薬物による脳波
Part 11 各種疾患の脳波
Part 12 脳波の賦活法
Part 13 アーチファクト
Part 14 誘発電位
Part 15 脳電位分布と脳磁図

用語解説と索引

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豊富な脳波図を通して脳波の判読力を養う
書評者: 越野 好文 (金沢大名誉教授/粟津神経サナトリウム特別名誉顧問)
 1998年に,一條貞雄先生は臨床の現場で出会う脳波がどのような意味を持つのか,それをどう解釈するのかに重点を置いて書かれた『脳波判読に関する101章』を私たちに届けて下さった。長年にわたる臨床脳波判読のご経験から生まれた,臨床にすぐに役に立つ,実にわかりやすいご本であったが,このたび10年ぶりに改訂された。手にとってまず気がついたことは,初版も読みやすい本ではあったが,第2版は文字サイズの工夫と色刷りの活用で,さらに一段と見やすくなったことである。これまで脳波になじみのなかった人も興味をそそられることであろう。

 本書では脳波判読の基礎から臨床までが,豊富な,そして貴重な脳波図によって具体的に示されている。読者は脳波に親しみを覚えるに違いない。内容としては,脳波判読に関する解剖・神経生理,脳波の記録方法・賦活法・アーチファクト,正常・異常な脳波波形,小児・思春期および老年期の脳波,てんかんと関連した疾患および意識障害など各種疾患の脳波,薬物による脳波,睡眠脳波,さらに誘発電位・脳電位分布と脳磁図が取り上げられている。第2版では,新しい脳波図も加わり,さらに充実した。

 臨床脳波は実用の面からは完成の域にあると思えるが,それでも10年の間に関連領域において,いくつかの動きがあった。2001年,2006年にてんかん発作型の新しい国際分類が提案された。本書では,てんかん発作型,およびてんかん症候群の分類が紹介され,それに伴い「てんかんと脳波所見」の章の構成が変更された。また2007年,アメリカ睡眠学会から新しい睡眠ポリグラフィの記録手技と,睡眠段階判定基準が提唱されたことから,睡眠ダイアグラムも増ページされた。

 1999年に変更・追加された国際臨床神経生理学会の「脳波用語・解説」(日本語版)が新しく巻末に追加された。Brain wave,Build up,Evoked response,Phantom spike-and-waveなど,従来普通に使用されていた用語のうちかなりの数のものが,現在では使わないほうがよい(use discouraged)とされた。国際的に共通の用語を用いることは研究の基本であるが,これらの用語になじんでいたものには時代の変化を感じる。

 脳の形態的検査である画像診断と機能検査である脳波は,互いに補い合ってこそ,臨床的な威力を発揮できる。脳波は苦手だと感じている人が少なくないのではないかと思うが,脳波の判読は,基本を学べば決して難しいものではない。ここに脳波の判読力養成に的を絞った本書の出番がある。研修医,および精神科・神経内科・脳神経外科・小児科・総合診療科の専門医をめざす医師には,まず,本書を通読し,脳波に興味を持ってもらいたい。またすでに脳波判読に従事している先生には知識の整理に役立ち,臨床で必要になった場合にその都度関係した章を精読することで脳波判読力に磨きが掛かることが期待できる。

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