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予測して防ぐ 抗精神病薬の「身体副作用」
Beyond Dopamine Antagonism

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○抗精神病薬の作用と副作用のメカニズムを非常にわかりやすく紹介している(図解が豊富)。 ○非定型抗精神病薬の種類によって、副作用の出方に特徴があることが、メカニズムの点からわかる(予測ができる)。 ○身体副作用の徴候と、出現を防ぐ臨床的な工夫がわかる(症例も豊富)。 ○統合失調症の病因と治療について、最新の学説がわかりやすく紹介されている。
長嶺 敬彦
発行 2009年05月判型:B5頁:206
ISBN 978-4-260-00835-8
定価 2,640円 (本体2,400円+税)

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はじめにDo No Harmの大原則

 抗精神病薬は、精神疾患の治療に多大な貢献をしています。そして、精神科薬物療法は確実に進歩しています。しかしその一方で、抗精神病薬による副作用に悩む多くの患者さんがいます。抗精神病薬は万能ではありません。その作用機序を考え、適切に使用することが大切です。
 そこで、抗精神病薬を使用するときの「ちょっとした工夫」を、本書にまとめてみました。この工夫には、“考え方”のレベルと“実践”のレベルがあります。
 「Part1」は“考え方”を中心に構成しています。一言で言うと、「完治」を目標にする治療の限界です。完治、すなわち「病気がなかったことにする」という治療は、それが可能であれば素晴らしいことです。しかしこの発想の欠点は、「後ろ向き」ということにあります。病気になる前に戻ることを目指しても、時間を元に戻すことはできません。これが、臨床の場で様々なジレンマを生む原因になっているのです。
 統合失調症の治療で、「病気がない状態」を目指すと、どうしても抗精神病薬でドパミンを完全に遮断してしまう治療が行われ、その結果、様々な身体副作用が出現します。病気があっても楽しく生きられる、さらに言えば、病気があったからこそ“よい人生”を送れる治療が求められます。これが、「前向きの治療」です。この治療に沿った抗精神病薬の使い方を、「Part1」で考えています。キーワードはプロカバリーです。
 「Part2」では、抗精神病薬を使用する際の“実践的な工夫”をお話しました。抗精神病薬には、受容体プロフィールという“顔”があります。それを理解すれば、副作用も予測しやすいのです。そのうえで、精神科で経験する厄介な身体副作用──肥満・糖尿病などの代謝障害、多飲・水中毒、誤嚥性肺炎──の病態を改めて考え直し、その治療や予防に関する“工夫”をまとめてみました。臨床ですぐ役に立つ話ですから、この章から読んでいただいてもかまいません。
 また、最後の「補論」では、統合失調症の病因に関する最新の学説を紹介し、精神疾患の「治療の終わり」を考えてみました。
 医療には、“害を与えない”という大原則があります。“Do No Harm(ドゥ・ノー・ハーム)”の原則です。すべての薬物は生体に作用し、何らかの害を及ぼす危険性があります。特に、抗精神病薬でドパミンを徹底的に叩く治療は副作用が出現しやすく、患者さんは大きな害を蒙ります。これまでの発想を転換した、「ドパミン遮断を超えた治療観(Beyond Dopamine Antagonism)」が今、求められていると思います。
 抗精神病薬を安全に効果的に使用するには常に学習が必要です。本書がそのきっかけになればと思います

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本書を読む前に──統合失調症と抗精神病薬の基礎知識

Part I 抗精神病薬を使いこなすための「考え方」
 1 統合失調症の新しい理解──神経発達障害仮説
 2 抗精神病薬による「ドパミン遮断」のリスク
 3 「ドパミン遮断」を超えて──Beyond Dopamine Antagonism
 4 治癒から回復、回復からプロカバリーへ
 5 患者が本来もつ力、「レジリアンス」を考えよう
 6 メタアナリシスからみた抗精神病薬の比較

Part II 「身体副作用」から患者を守るちょっとした工夫
 1 薬の受容体プロフィール──これで「副作用」が予測できる
 2 離脱──薬の増量だけでなく減量にも注意!
 3 水中毒──原因にもとづく新しいアプローチ
 4 悪性症候群──SSRIの併用で出現する危険性
 5 代謝障害──中性脂肪とレムナントの測定で早期の予測が可能
 6 「痩せ」も危険!!──肥満だけでなく痩せにも注目を
 7 誤嚥性肺炎──「思い込み」をやめ、事実にもとづく「新常識」を作ろう
 8 認知症──「問題行動」を薬で押さえ込むのは害

補論 「臨床の知」と「科学の知」からみた統合失調症のはじまりと終わり
 1 統合失調症の発症と「遺伝子」「環境」の関係
 2 精神疾患の「治療の終わり」とは?

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