助産管理 第4版

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助産業務管理の基本的な考え方から法的責務、リスクマネジメントまで、また実際の助産業務管理については病産院・助産所別に解説しました。全体として実務に焦点を当てながらポイントが理解できるように編集しました。昨今の流れである院内助産所や助産師外来などの運営についても、詳しく取り上げています。
*2013年版より表紙が新しくなりました。
*「助産学講座」は株式会社医学書院の登録商標です。
シリーズ 助産学講座 10
編集 我部山 キヨ子 / 毛利 多恵子
執筆 佐山 静江 / 水流 聡子 / 山崎 由美子 / 杉本 充弘 / 和田 仁孝 / 中西 淑美 / 山本 智美 / 八木橋 香津代 / 石川 紀子 / 毛利 多恵子 / 江藤 宏美
発行 2010年03月判型:B5頁:200
ISBN 978-4-260-00972-0
定価 3,520円 (本体3,200円+税)
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第4版の序

改訂の背景
 平成8年の看護職員養成に関するカリキュラム改正から,はや11年が経過した。この間の母子を取り巻く社会情勢は大きく変化した。すなわち,家族規模の縮小化と養育機能の低下,離婚率の増加など,母子・親子関係の根幹が揺らぎ,家族機能は急速に弱体化しつつある。また,晩婚化・晩産化・少子化が進行し,次のような変化も起きてきた。従来にも増してハイリスク妊娠や妊婦の重症ケースが増え,医療の高度化が求められている。生殖補助医療は日々進歩,普及している。育児不安・子どもの虐待など育児をめぐる問題が多様化・深刻化している。さらには思春期の若者の性・生活・社会環境の変化から派生する性感染症・薬物依存・栄養障害などの健康問題,在日外国人の母子保健問題,女性へのドメスティック・バイオレンスやリプロダクティブ・ヘルス/ライツの問題,受精卵のES細胞や胎児組織の再生・移植医療への応用にあたっての問題など,母子や性と生殖に関する多くの課題が浮き彫りになり,大きな社会的問題となっている。
 助産師業務も,このような母子(および女性)とその家族の多種多様なニーズと急速な変化に対応するべく,変革をしてきた。ICMオーストラリア・ブリスベン大会(2005年7月)において改定された助産師の定義を見てみよう。まず助産師の責任や女性とのパートナーシップが強調されている。具体的なケアとして,正常分娩の推進,母子の合併症の発見,医療あるいはその他の適切な支援を利用すること,救急処置の実施から,女性の健康,性と生殖に関する健康,育児まで,女性とその家族・地域をも含めた生涯に渡るリプロダクティブ・ヘルス/ライツへの支援を明瞭に打ち出した。
 助産師の活動する範囲や業務は拡大したにもかかわらず,助産師教育には次のような問題がある。近年,看護系大学の増加に伴い,4年制大学の中で助産師教育を行う教育機関が増加する一方,従来の1年課程の助産師教育機関は減少している。また,現行の保健師助産師看護師学校養成所指定規則(以下,指定規則)で定められた助産師教育に必要な単位数は22単位であるが,大学における助産師教育の平均卒業単位数は15.5±3.7単位である。これは従来の1年課程の助産師教育機関で行っていた単位数(多くは30単位前後)よりも大幅に下回っている(全国助産師教育協議会:看護大学における助産師教育の実際,p28,平成14年度事業活動報告書)。また,教育制度の変化や少子化の影響で,助産師学生の卒業時技術到達度として指定規則で定める出産介助例数(10例程度)を下回るなど,臨床技術が未熟なまま助産師資格を得てしまう問題も生じている。
 このような現状に対し,平成13年の保健師助産師看護師法改正案の審議過程で,衆参両院で助産師教育の状況に関して多くの議論がなされ,助産師教育の充実を図るための附帯決議として,(1)出産に関するケアを受ける者の意向が尊重され,それぞれの者にあったサービスの提供が行われるよう,情報提供の促進を含め必要な環境の整備に努めること,(2)助産師教育については,学校養成所指定規則に定める十分な出産介助実習が経験できるようにするなど,その充実に努めること(以下省略),と付記された。平成19(2007)年4月には「厚生労働省:看護基礎教育の充実に関する検討会」から,看護基礎教育におけるカリキュラム改正案や,実施にあたる教員・実習指導者などに関する報告書がまとめられ,平成20(2008)年4月に指定規則が一部改正,施行されることとなった〔平成21(2009)年度入学生から新カリキュラムを適用〕。

改訂の趣旨
 本講座は第一義には助産師学生の基礎教育テキストである。助産師国家試験出題基準で示された内容を網羅するよう,改訂第4版を企画した。現行カリキュラムの基本的枠組みを踏襲しつつ,EBMを踏まえた基礎的内容と発展的内容を押さえるように再編成している。そのねらいは,助産学教育の水準を向上させ,助産学の発展・確立に寄与することで,具体的には改訂の背景で前述したような状況にも対応できる助産師を養成することである。
 今回の改訂ではさまざまな動きのある産科医療を鑑み,助産業務管理と基本的な考え方から法的な責務・リスクマネジメントまで,また実際の助産業務管理については病院産・助産所別に解説した。また昨今の流れである助産外来や院内助産所の運営についても,詳しく取り上げた。 助産師学生のための教科書としてのみならず,臨床や地域で活躍する助産師の皆様の指導書として,本書を広く活用していただければと,切に願っている。

 2010年2月
 編者ら

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第1章 助産管理の基本
 A 管理の基本概念とプロセス
 B 助産管理の概念
 C 助産と医療経済
第2章 関連法規と助産師の義務・責任
 A 関連法規
 B 助産師の法的責任と義務
第3章 周産期管理システムとリスクマネジメント
 A 周産期管理システム
 B 周産期の医療事故とリスクマネジメント
第4章 病産院における助産業務管理
 A 助産業務管理の過程
 B 助産業務管理の方法
 C 産科棟の管理
 D 外来の助産管理
第5章 助産所における助産業務管理
 A 助産所とは
 B 助産所の管理に関する法規
 C 助産所の管理・運営
 D 助産所の経営

 索引

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