作業療法評価学 第2版
作業療法に必須の「評価」を学び、実際の治療に結びつける視点を養う
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作業療法を行ううえで、対象者を「評価する」ことは欠かせない。本書は、評価学の基礎的知識から、身体・精神・発達・高齢期といった作業療法の全領域に共通の評価法、および各領域ごとの評価法に至るまで、知識・技法を理論を交えて紹介し、実際の治療に結び付ける視点を養える。簡潔な記述でさらに学びやすく改訂。「第2章 領域共通の評価法」では「摂食・嚥下機能検査」が節として独立。学生も臨床の作業療法士も必携の1冊。
*「標準作業療法学」は株式会社医学書院の登録商標です。
シリーズ | 標準作業療法学 専門分野 |
---|---|
シリーズ監修 | 矢谷 令子 |
編集 | 岩崎 テル子 / 小川 恵子 / 小林 夏子 / 福田 恵美子 / 松房 利憲 |
編集協力 | 山口 昇 / 鶴見 隆彦 |
発行 | 2011年02月判型:B5頁:752 |
ISBN | 978-4-260-01107-5 |
定価 | 6,380円 (本体5,800円+税) |
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序文
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第2版 序
作業療法は,対象者が意味のある日々の活動が行えるように援助する.そのためには対象者の心身の状態を可能なかぎり最高レベルに回復・維持させなければならない.作業療法評価とは,この目標を達成するための効果的な治療・指導・援助計画を立てるために,対象者の生活機能というプラス面と,機能・構造障害,活動制限・参加制約というマイナス面を総合的に把握することである.
作業療法は「評価に始まり,評価に終わる」といわれる.それほど評価は大切な内容である.対象者に作業療法を行うには,対象者が困っている内容を把握できなければならない.そして対象者の心身の状態と治療計画が適切に関係づけられなければならない.この巻を学ぶことにより,各種疾患に罹患した対象者への作業療法に結びつけることができる.
2005年に初版が発刊されてから,さまざまなご意見をいただいた.全体のボリュームがあるため,第2版はできるかぎり簡潔な記述と,学生がよく理解できるような表現を心がけたつもりである.本巻は図表が多いので,一目で出典がわかるよう,図表下部に出典を記載した.また,初版で図表が重複して掲載されていた箇所については相互参照とすることで頁数の増加を抑えた.さらに,第2章(領域共通の評価法)の各節間の体裁の統一をはかるとともに,摂食・嚥下機能検査を節として独立させた.初版に比べると学びやすくなっていると思う.
さて,この巻の構成であるが,序章で作業療法評価学の概要と学習方法についてふれてある.
第1章では,評価とは何か,作業療法を行うにあたって,なぜ評価が必要なのか,誰を対象者とするのか,評価手順はどのようにするのか,評価と治療計画との関係,評価を行ううえでの留意点,記録と報告の違い,効果判定と根拠に基づく医療(evidence-based medicine; EBM)との関連など,評価学の基礎を学ぶことができる.
評価学の基礎が学習できたら,第2章で領域共通の評価法を学ぶこととなる.作業療法の領域は大きく身体機能,精神機能,発達過程,高齢期の4領域に分けられるが,各領域が独立するものではないことが理解できるよう,各領域に共通する評価法をここにまとめた.また,評価→治療→効果判定の流れと治療方法選択の根拠についてもふれてある.
第3章から第6章では,上記4領域について評価の視点や代表的疾患の評価法を解説した.また,第7章として就労の評価を取り上げた.
全体を通して作業療法治療学を学ぶ際にも必見の書となっている.
本書では多くの検査法や測定法が収録されている.評価とは,面接・観察・検査・測定を通して対象者の強い点,弱い点を合わせ,対象者のあるがままの姿を可能なかぎり客観的にとらえ,対象者の生活目標に合わせて分析解釈することである.ただ検査・測定のデータを合わせればよいというものではないことを覚えておいてほしい.また,それぞれの検査結果や測定結果は同じ重みとして判断してよいものでもない.対象者を生活する1人の人間(occupational being)として,いかに理解するかが評価となる.対象者のどの部分を知りたいかで,選択される評価項目は変更され,あるいは新たに考案されるのである.
初版でも述べたように,「評価は観察から」といわれる.将来臨床家として育つためには,対象者と接する際の自分の気づきを大切にしてほしい.
2011年2月
執筆者を代表して
編者一同
〔注〕初版の増刷時に「痴呆」を「認知症」に改めた.ただし,診断名,引用部分,文献名,評価スケール名など,以前に使用された,あるいは命名されたものについては,第2版でも「痴呆」という言葉が残っていることを了承していただきたい.
作業療法は,対象者が意味のある日々の活動が行えるように援助する.そのためには対象者の心身の状態を可能なかぎり最高レベルに回復・維持させなければならない.作業療法評価とは,この目標を達成するための効果的な治療・指導・援助計画を立てるために,対象者の生活機能というプラス面と,機能・構造障害,活動制限・参加制約というマイナス面を総合的に把握することである.
作業療法は「評価に始まり,評価に終わる」といわれる.それほど評価は大切な内容である.対象者に作業療法を行うには,対象者が困っている内容を把握できなければならない.そして対象者の心身の状態と治療計画が適切に関係づけられなければならない.この巻を学ぶことにより,各種疾患に罹患した対象者への作業療法に結びつけることができる.
2005年に初版が発刊されてから,さまざまなご意見をいただいた.全体のボリュームがあるため,第2版はできるかぎり簡潔な記述と,学生がよく理解できるような表現を心がけたつもりである.本巻は図表が多いので,一目で出典がわかるよう,図表下部に出典を記載した.また,初版で図表が重複して掲載されていた箇所については相互参照とすることで頁数の増加を抑えた.さらに,第2章(領域共通の評価法)の各節間の体裁の統一をはかるとともに,摂食・嚥下機能検査を節として独立させた.初版に比べると学びやすくなっていると思う.
さて,この巻の構成であるが,序章で作業療法評価学の概要と学習方法についてふれてある.
第1章では,評価とは何か,作業療法を行うにあたって,なぜ評価が必要なのか,誰を対象者とするのか,評価手順はどのようにするのか,評価と治療計画との関係,評価を行ううえでの留意点,記録と報告の違い,効果判定と根拠に基づく医療(evidence-based medicine; EBM)との関連など,評価学の基礎を学ぶことができる.
評価学の基礎が学習できたら,第2章で領域共通の評価法を学ぶこととなる.作業療法の領域は大きく身体機能,精神機能,発達過程,高齢期の4領域に分けられるが,各領域が独立するものではないことが理解できるよう,各領域に共通する評価法をここにまとめた.また,評価→治療→効果判定の流れと治療方法選択の根拠についてもふれてある.
第3章から第6章では,上記4領域について評価の視点や代表的疾患の評価法を解説した.また,第7章として就労の評価を取り上げた.
全体を通して作業療法治療学を学ぶ際にも必見の書となっている.
本書では多くの検査法や測定法が収録されている.評価とは,面接・観察・検査・測定を通して対象者の強い点,弱い点を合わせ,対象者のあるがままの姿を可能なかぎり客観的にとらえ,対象者の生活目標に合わせて分析解釈することである.ただ検査・測定のデータを合わせればよいというものではないことを覚えておいてほしい.また,それぞれの検査結果や測定結果は同じ重みとして判断してよいものでもない.対象者を生活する1人の人間(occupational being)として,いかに理解するかが評価となる.対象者のどの部分を知りたいかで,選択される評価項目は変更され,あるいは新たに考案されるのである.
初版でも述べたように,「評価は観察から」といわれる.将来臨床家として育つためには,対象者と接する際の自分の気づきを大切にしてほしい.
2011年2月
執筆者を代表して
編者一同
〔注〕初版の増刷時に「痴呆」を「認知症」に改めた.ただし,診断名,引用部分,文献名,評価スケール名など,以前に使用された,あるいは命名されたものについては,第2版でも「痴呆」という言葉が残っていることを了承していただきたい.
目次
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序章 作業療法評価学を学ぶ皆さんへ
第1章 評価学の基礎
I 作業療法と評価
II 記録・報告の意義と特徴
III 作業療法効果判定
第2章 領域共通の評価法
I 面接法・観察法
II 意識の評価およびバイタルサインの測定,臨床検査値の読み方
III 形態計測
IV 関節可動域測定
V 筋力検査
VI 知覚検査
VII 反射検査
VIII 姿勢反射検査
IX 筋緊張検査
X 協調性検査
XI 脳神経検査
XII 摂食・嚥下機能検査
XIII 上肢機能検査
XIV 高次脳機能障害の評価
XV 気分,不安,うつ検査
XVI 日常生活活動評価
XVII 興味,役割,QOL評価
第3章 身体機能評価法
I 脳血管障害の評価
II 頸髄損傷の評価
III 末梢神経損傷の評価
IV 関節リウマチの評価
V その他の神経疾患,神経・筋疾患の評価
第4章 精神機能評価法
I 精神機能作業療法評価学の基礎
II 統合失調症の評価
III 気分障害(感情障害)の評価
IV アルコール依存症候群の評価
V 知的障害(精神遅滞)の評価
VI 神経症性障害の評価
VII パーソナリティ障害(人格障害)の評価
VIII 症状性および器質性精神障害の評価
IX てんかんの評価
X 心理的発達障害の評価
XI 精神機能評価のまとめ-作業的存在のかげりを輝きに向ける探究
第5章 発達過程評価法
I 運動機能障害の評価
II 感覚統合および感覚調整機能障害の評価
III 認知・社会性機能障害の評価
第6章 高齢期機能評価法
第7章 就労の評価
作業療法評価学の発展に向けて
さらに深く学ぶために
索引
第1章 評価学の基礎
I 作業療法と評価
II 記録・報告の意義と特徴
III 作業療法効果判定
第2章 領域共通の評価法
I 面接法・観察法
II 意識の評価およびバイタルサインの測定,臨床検査値の読み方
III 形態計測
IV 関節可動域測定
V 筋力検査
VI 知覚検査
VII 反射検査
VIII 姿勢反射検査
IX 筋緊張検査
X 協調性検査
XI 脳神経検査
XII 摂食・嚥下機能検査
XIII 上肢機能検査
XIV 高次脳機能障害の評価
XV 気分,不安,うつ検査
XVI 日常生活活動評価
XVII 興味,役割,QOL評価
第3章 身体機能評価法
I 脳血管障害の評価
II 頸髄損傷の評価
III 末梢神経損傷の評価
IV 関節リウマチの評価
V その他の神経疾患,神経・筋疾患の評価
第4章 精神機能評価法
I 精神機能作業療法評価学の基礎
II 統合失調症の評価
III 気分障害(感情障害)の評価
IV アルコール依存症候群の評価
V 知的障害(精神遅滞)の評価
VI 神経症性障害の評価
VII パーソナリティ障害(人格障害)の評価
VIII 症状性および器質性精神障害の評価
IX てんかんの評価
X 心理的発達障害の評価
XI 精神機能評価のまとめ-作業的存在のかげりを輝きに向ける探究
第5章 発達過程評価法
I 運動機能障害の評価
II 感覚統合および感覚調整機能障害の評価
III 認知・社会性機能障害の評価
第6章 高齢期機能評価法
第7章 就労の評価
作業療法評価学の発展に向けて
さらに深く学ぶために
索引
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