看護の統合と実践[2]
医療安全 第2版
本書の特長
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●新カリキュラムの統合分野に新たに位置づけられた「医療安全」の基礎知識を構造的に理解し、これまでに学習した知識を看護実践で正しく活用できるように統合することを目ざしています。
●看護事故を未然に防いで安全を確保するための知識に加え、質の高い医療を提供するために必要な医療安全システムの理解と組織の一員として求められる役割も学べます。
●「なぜ、それをしないといけないのか」「なぜ、それをしてはならないのか」の、「なぜ」の部分が詳述されています。これからの医療の変化にも対応し、安全な看護を提供するための体制を積極的に構築する基礎を養います。
●医療事故防止の実践的知識のポイントをまとめた 『医療安全ワークブック 第2版』 を副教材として併用することによって、臨床実践に不可欠な知識・技術の定着を促します。
*2011年版より表紙が新しくなりました。
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- 目次
序文
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はしがき
第2版に寄せて
保健師助産師看護師学校養成所指定規則等の一部を改正する省令が2008(平成20)年1月8日公布され,2009(平成21)年度入学生から看護教育新カリキュラムが適用されることになった。今回のカリキュラム改正は,社会の急速な高齢化と医療技術の進歩で,看護職者に求められる能力や役割も大きく変化してきていることから,これまで以上に質の高い看護を提供するためのものである。
改正のポイントの1つに,「統合分野」の創設がある。その中の『看護の統合と実践』にチーム医療や看護管理,災害看護とともに医療安全も明記され,授業4単位・実習2単位が配された。『看護の統合と実践』は,新人看護師の不適応の要因ともなっている教育と臨床の乖離を狭めることを意図し,臨床準備教育を充実させて,学生が卒後の早くに臨床へ適応する力を高めるねらいがある。このカリキュラム改正の適用年度と時を同じくして本書の改訂ができたことに,身が引き締まる思いである。
臨床現場での看護師は,疾患や重症度,病期の異なる複数の患者を受け持ち,医療行為やケアの提供者としての業務のほかに,患者の病態の観察といった多様な業務が輻輳(ふくそう)するきわめて多忙な日常に身をおいている。それぞれのシーンにおいて安全に業務をこなすことは,けっして容易なことではない。そのため,業務における知識と技術ばかりでなく,患者の病態や障害に対する相当な知識と判断力が求められる。診療の補助業務では,どこで,どのような間違いが,なぜおきるのか,間違いによってどのような事態がおこるのかを,また療養上の世話では,どのような患者にどんな事故がおきる危険があるのかという知識に加えて,間違いや不適切な行為を防止し,もしそれがおきた時に患者の傷害を最小化する知識や技術も必要である。しかし,それらがあっても,卒後の臨床現場における実務で使えるとは,限らない。そこで『看護の統合と実践』では,科目をこえた教員同士の,また実習施設との連携でそれらの知識や技術を統合・整理し,卒後の実務でのさまざまなシーンで使えるような教育が広がっていくことを願わずにはいられない。
さて,この第2版では新たに加筆した箇所が2点ある。1つは第6章の「医療安全とコミュニケーション」である。医療現場は,さまざまな医療職者と多数のメンバーからなるチームが力を合わせて,患者の治療にあたっている。チーム医療において,安全で適切な医療・看護を提供するために必要な情報をメンバーに正確に伝達し,共有するためのコミュニケーションが重要な役割を果たしている。看護師は,医師の診療の補助者として,すべての医療行為に直接・間接的に関与し,医師や他のコ・メディカルと連携・協働している。また,患者・家族との関係も緊密であることから,コミュニケーションの要(かなめ)として存在している。この章が,看護師のコミュニケーションのあり方を考えるきっかけになればと思っている。
もう1点は,第7章の「組織的な安全管理体制への取り組みとわが国の医療安全対策の展望」である。人間が間違いをおかしにくい,あるいは間違いの発見を容易にするためのシステム改善とはどういうものかを理解するために,実際の事例でのシステム改善の例を相当量の紙面をとって解説した。システムとして医療安全を考える力も養ってほしいと思っている。また,カラー印刷になったことで,図表の理解もしやすくなっている。
第2版もまた,看護基礎教育における医療安全教育に活用してもらい,不幸な医療事故が1件でも少なくなれば,著者としてなによりの喜びである。
2009年2月
著者
第2版に寄せて
保健師助産師看護師学校養成所指定規則等の一部を改正する省令が2008(平成20)年1月8日公布され,2009(平成21)年度入学生から看護教育新カリキュラムが適用されることになった。今回のカリキュラム改正は,社会の急速な高齢化と医療技術の進歩で,看護職者に求められる能力や役割も大きく変化してきていることから,これまで以上に質の高い看護を提供するためのものである。
改正のポイントの1つに,「統合分野」の創設がある。その中の『看護の統合と実践』にチーム医療や看護管理,災害看護とともに医療安全も明記され,授業4単位・実習2単位が配された。『看護の統合と実践』は,新人看護師の不適応の要因ともなっている教育と臨床の乖離を狭めることを意図し,臨床準備教育を充実させて,学生が卒後の早くに臨床へ適応する力を高めるねらいがある。このカリキュラム改正の適用年度と時を同じくして本書の改訂ができたことに,身が引き締まる思いである。
臨床現場での看護師は,疾患や重症度,病期の異なる複数の患者を受け持ち,医療行為やケアの提供者としての業務のほかに,患者の病態の観察といった多様な業務が輻輳(ふくそう)するきわめて多忙な日常に身をおいている。それぞれのシーンにおいて安全に業務をこなすことは,けっして容易なことではない。そのため,業務における知識と技術ばかりでなく,患者の病態や障害に対する相当な知識と判断力が求められる。診療の補助業務では,どこで,どのような間違いが,なぜおきるのか,間違いによってどのような事態がおこるのかを,また療養上の世話では,どのような患者にどんな事故がおきる危険があるのかという知識に加えて,間違いや不適切な行為を防止し,もしそれがおきた時に患者の傷害を最小化する知識や技術も必要である。しかし,それらがあっても,卒後の臨床現場における実務で使えるとは,限らない。そこで『看護の統合と実践』では,科目をこえた教員同士の,また実習施設との連携でそれらの知識や技術を統合・整理し,卒後の実務でのさまざまなシーンで使えるような教育が広がっていくことを願わずにはいられない。
さて,この第2版では新たに加筆した箇所が2点ある。1つは第6章の「医療安全とコミュニケーション」である。医療現場は,さまざまな医療職者と多数のメンバーからなるチームが力を合わせて,患者の治療にあたっている。チーム医療において,安全で適切な医療・看護を提供するために必要な情報をメンバーに正確に伝達し,共有するためのコミュニケーションが重要な役割を果たしている。看護師は,医師の診療の補助者として,すべての医療行為に直接・間接的に関与し,医師や他のコ・メディカルと連携・協働している。また,患者・家族との関係も緊密であることから,コミュニケーションの要(かなめ)として存在している。この章が,看護師のコミュニケーションのあり方を考えるきっかけになればと思っている。
もう1点は,第7章の「組織的な安全管理体制への取り組みとわが国の医療安全対策の展望」である。人間が間違いをおかしにくい,あるいは間違いの発見を容易にするためのシステム改善とはどういうものかを理解するために,実際の事例でのシステム改善の例を相当量の紙面をとって解説した。システムとして医療安全を考える力も養ってほしいと思っている。また,カラー印刷になったことで,図表の理解もしやすくなっている。
第2版もまた,看護基礎教育における医療安全教育に活用してもらい,不幸な医療事故が1件でも少なくなれば,著者としてなによりの喜びである。
2009年2月
著者
目次
開く
序章 医療安全を学ぶことのたいせつさ
A 人はなぜ間違いをおかすのか
B 意識状態の変動と医療安全を学ぶことの意義
C 人間の3つの行動モデルと医療安全を学ぶことの意義
D 医療職を選ぶことの重さと安全努力の責務
第1章 事故防止の考え方を学ぶ
A 医療事故と看護業務
B 看護事故の構造
C 看護事故防止の考え方
第2章 診療の補助業務に伴う事故防止(I)
患者に投与する業務における事故防止
A 業務特性からみた患者に投与する業務の事故防止(総論)
B 注射業務と事故防止
C 注射業務に用いる機器(輸液ポンプ・シリンジポンプ関連)での事故防止
D 輸血業務と事故防止
E 内服与薬業務と事故防止
F 経管栄養(注入)業務と事故防止
第3章 診療の補助業務に伴う事故防止(II)
継続中の危険な医療行為の観察・管理における事故防止
A チューブ管理と事故防止
第4章 療養上の世話における事故防止
A 療養上の世話における2群の事故のとらえ方と防止(総論)
B 転倒・転落事故防止
C 誤嚥事故防止
D 異食事故防止
E 入浴中の事故防止
第5章 業務領域をこえて共通する間違いと発生要因
A 業務領域をこえて共通する患者間違い
B 間違いを誘発するタイムプレッシャーと途中中断
C 新人特有の危険な思い込みと行動パターン
第6章 医療安全とコミュニケーション
A 不正確・不十分なコミュニケーションは事故の重要要因
B 事故防止のための医療職間のコミュニケーション
C 医療事故防止のための患者とのコミュニケーション
第7章 組織的な安全管理体制への取り組みとわが国の医療安全対策の展望
A 組織としての医療安全対策
B システムとしての事故防止の具体例
C 国の医療安全対策
参考文献
研究報告書
索引
A 人はなぜ間違いをおかすのか
B 意識状態の変動と医療安全を学ぶことの意義
C 人間の3つの行動モデルと医療安全を学ぶことの意義
D 医療職を選ぶことの重さと安全努力の責務
第1章 事故防止の考え方を学ぶ
A 医療事故と看護業務
B 看護事故の構造
C 看護事故防止の考え方
第2章 診療の補助業務に伴う事故防止(I)
患者に投与する業務における事故防止
A 業務特性からみた患者に投与する業務の事故防止(総論)
B 注射業務と事故防止
C 注射業務に用いる機器(輸液ポンプ・シリンジポンプ関連)での事故防止
D 輸血業務と事故防止
E 内服与薬業務と事故防止
F 経管栄養(注入)業務と事故防止
第3章 診療の補助業務に伴う事故防止(II)
継続中の危険な医療行為の観察・管理における事故防止
A チューブ管理と事故防止
第4章 療養上の世話における事故防止
A 療養上の世話における2群の事故のとらえ方と防止(総論)
B 転倒・転落事故防止
C 誤嚥事故防止
D 異食事故防止
E 入浴中の事故防止
第5章 業務領域をこえて共通する間違いと発生要因
A 業務領域をこえて共通する患者間違い
B 間違いを誘発するタイムプレッシャーと途中中断
C 新人特有の危険な思い込みと行動パターン
第6章 医療安全とコミュニケーション
A 不正確・不十分なコミュニケーションは事故の重要要因
B 事故防止のための医療職間のコミュニケーション
C 医療事故防止のための患者とのコミュニケーション
第7章 組織的な安全管理体制への取り組みとわが国の医療安全対策の展望
A 組織としての医療安全対策
B システムとしての事故防止の具体例
C 国の医療安全対策
参考文献
研究報告書
索引
更新情報
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