気分障害治療ガイドライン 第2版
エビデンスに基づく気分障害治療ガイドライン、待望の改訂版
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精神医学講座担当者会議が監修する気分障害治療ガイドラインの改訂版。病期別に薬物・身体療法、心理社会的療法を統合して提示した包括的治療ガイドライン。引用文献にはエビデンスレベルを明示、「治療計画の策定」において治療オプションの推奨度を加えた。新しい抗うつ薬の詳細情報、認知行動療法、ECT、難治性うつ病への対応、リワークプログラムなど、最新トピックスが満載。日本の実情に即した記述で、うつ病診療に携わるすべての医療関係者の必携書。
監修 | 精神医学講座担当者会議 |
---|---|
編集 | 上島 国利 / 樋口 輝彦 / 野村 総一郎 |
発行 | 2010年03月判型:A5頁:400 |
ISBN | 978-4-260-00881-5 |
定価 | 5,170円 (本体4,700円+税) |
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第2版の序
『気分障害治療ガイドライン』初版が出版されたのは2004年2月であるので,6年の年月が経過したことになる.精神障害は他領域の疾患に比較して,その概念や診断治療の変化が少ないといわれる.しかし,気分障害に関しては例外的に,病態の変化,患者数の増加,病因の解明の進歩,治療法の発展など,最近の変化は著しく多様な様相を呈するので,情報は常に更新される必要がある.本書の改訂はそのような状況に対応できるよう計画された.
本ガイドラインは,疾患の定義,概念,診断,管理・治療,患者への説明や教育などを明示しており,診療の実際的な指針になるように構成されている.診断オプションの推奨度や引用文献のエビデンスレベルも判定されており,その根拠の強さがわかるようになっている.病態と治療法が明らかにされ,管理,治療の最大公約数が明確化されているのである.
改訂に際して,編集会議では次のような方針を決定した.初版の大枠は変えないが,それぞれの項目の記載内容は最新でエビデンスのある報告を積極的に取り入れる.トピックスに関しては新たな項目を立ち上げた.たとえば,今話題の「働く人のうつ病」に関してはリワークプログラムの項を設け,その対応,対策を述べた.その他重要な項目については,内容をより充実させた.特に治療面では,昨今,その有用性のエビデンスが蓄積されてきている認知行動療法や対人関係療法などの精神療法について,臨床面を含めて内容をより濃密とした.
薬物療法に関しては,この6年間に新たに発売された抗うつ薬は3剤にすぎないが,SSRIは約10年間の使用経験を経て,それらの薬剤によるactivation syndrome,discontinuation syndromeや,18歳未満の青少年に投与すると自殺念慮,自殺企図がみられるという問題も新たなトピックスとして書き加えられている.薬物相互作用や抗うつ薬の妊娠,出産,授乳に対する影響などに関しては,患者側からの懸念,質問が多く,内容はより詳細になっている.
臨床医は常に適切で有効性や安全性の高い治療を要求されるが,患者からの期待に十分応えるためには,自ら培った臨床経験に加え,新しい情報をインプットし応用するとともに,その効果の検証やアウトカムに関して把握しておく必要がある.
本書の各項目は多数の臨床医のコンセンサスが得られ,しかもエビデンスレベルの高い報告をもとに記述されている.オーソドックスな内容であり,通読することにより,気分障害の概要がつかめる.さらに臨床実践の現場においては,必要な項目を参照することによって有用な情報が得られ,的確な治療につながる.
ガイドラインの適切な使用は,常に進歩している医学知識の体系化や診断上の判断の合理性につながり,臨床医の疾患管理に対する意識や知識も高まる.医療行為が改善され,診療の質の標準化により,無駄がなくなり効率化が期待される.医療経済的にも資するところ大である.
気分障害は多様化し,従来のように休養と薬物療法である期間に寛解するような図式は描けないのが実情である.患者の個別性を十分認識し,より統合的で適切な治療を行う際の標準的な道しるべとして,本書は役立つものと期待している.
改訂に際しては医学書院の方々に一方ならずお世話になった.心より御礼申し上げたい.
2010年3月
編者
『気分障害治療ガイドライン』初版が出版されたのは2004年2月であるので,6年の年月が経過したことになる.精神障害は他領域の疾患に比較して,その概念や診断治療の変化が少ないといわれる.しかし,気分障害に関しては例外的に,病態の変化,患者数の増加,病因の解明の進歩,治療法の発展など,最近の変化は著しく多様な様相を呈するので,情報は常に更新される必要がある.本書の改訂はそのような状況に対応できるよう計画された.
本ガイドラインは,疾患の定義,概念,診断,管理・治療,患者への説明や教育などを明示しており,診療の実際的な指針になるように構成されている.診断オプションの推奨度や引用文献のエビデンスレベルも判定されており,その根拠の強さがわかるようになっている.病態と治療法が明らかにされ,管理,治療の最大公約数が明確化されているのである.
改訂に際して,編集会議では次のような方針を決定した.初版の大枠は変えないが,それぞれの項目の記載内容は最新でエビデンスのある報告を積極的に取り入れる.トピックスに関しては新たな項目を立ち上げた.たとえば,今話題の「働く人のうつ病」に関してはリワークプログラムの項を設け,その対応,対策を述べた.その他重要な項目については,内容をより充実させた.特に治療面では,昨今,その有用性のエビデンスが蓄積されてきている認知行動療法や対人関係療法などの精神療法について,臨床面を含めて内容をより濃密とした.
薬物療法に関しては,この6年間に新たに発売された抗うつ薬は3剤にすぎないが,SSRIは約10年間の使用経験を経て,それらの薬剤によるactivation syndrome,discontinuation syndromeや,18歳未満の青少年に投与すると自殺念慮,自殺企図がみられるという問題も新たなトピックスとして書き加えられている.薬物相互作用や抗うつ薬の妊娠,出産,授乳に対する影響などに関しては,患者側からの懸念,質問が多く,内容はより詳細になっている.
臨床医は常に適切で有効性や安全性の高い治療を要求されるが,患者からの期待に十分応えるためには,自ら培った臨床経験に加え,新しい情報をインプットし応用するとともに,その効果の検証やアウトカムに関して把握しておく必要がある.
本書の各項目は多数の臨床医のコンセンサスが得られ,しかもエビデンスレベルの高い報告をもとに記述されている.オーソドックスな内容であり,通読することにより,気分障害の概要がつかめる.さらに臨床実践の現場においては,必要な項目を参照することによって有用な情報が得られ,的確な治療につながる.
ガイドラインの適切な使用は,常に進歩している医学知識の体系化や診断上の判断の合理性につながり,臨床医の疾患管理に対する意識や知識も高まる.医療行為が改善され,診療の質の標準化により,無駄がなくなり効率化が期待される.医療経済的にも資するところ大である.
気分障害は多様化し,従来のように休養と薬物療法である期間に寛解するような図式は描けないのが実情である.患者の個別性を十分認識し,より統合的で適切な治療を行う際の標準的な道しるべとして,本書は役立つものと期待している.
改訂に際しては医学書院の方々に一方ならずお世話になった.心より御礼申し上げたい.
2010年3月
編者
目次
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第I編 うつ病性障害
第1章 疾患の概念
I.定義
II.疫学
III.臨床症状
IV.経過と予後
第2章 治療計画の策定
I.精神医学的管理
II.治療相における目的
III.急性期治療
IV.回復期治療(継続療法)
V.再発予防治療(維持療法)
VI.治療の終結
第3章 治療法の解説
I.薬物療法
II.電気けいれん療法(双極性障害の治療も含む)
III.精神療法(双極性障害の治療も含む)
IV.断眠療法(双極性障害の治療も含む)
V.高照度光療法(双極性障害の治療も含む)
第4章 特殊なうつ病の治療
I.難治性うつ病
II.ラピッドサイクラー(急速交代型,病相頻発型)
III.身体疾患に伴ううつ病
IV.プライマリケアにおけるうつ病
第5章 その他の問題
I.自殺
II.身体合併症
III.自助グループ活動
IV.リワークプログラム
第6章 研究の方向
第II編 双極性障害
第1章 疾患の概念
I.定義
II.疫学
III.臨床症状
IV.経過と予後
第2章 治療計画の策定
I.精神医学的管理
II.急性期治療
III.回復期治療(継続療法)
IV.双極性うつ病エピソードの治療
V.再発予防治療(維持療法)
第3章 治療法の解説
I.薬物療法
II.薬物療法以外の治療法(第I編 第3章II~Vを参照)
第4章 その他の問題
I.自殺
II.身体合併症
第5章 研究の方向
索引
第1章 疾患の概念
I.定義
II.疫学
III.臨床症状
IV.経過と予後
第2章 治療計画の策定
I.精神医学的管理
II.治療相における目的
III.急性期治療
IV.回復期治療(継続療法)
V.再発予防治療(維持療法)
VI.治療の終結
第3章 治療法の解説
I.薬物療法
II.電気けいれん療法(双極性障害の治療も含む)
III.精神療法(双極性障害の治療も含む)
IV.断眠療法(双極性障害の治療も含む)
V.高照度光療法(双極性障害の治療も含む)
第4章 特殊なうつ病の治療
I.難治性うつ病
II.ラピッドサイクラー(急速交代型,病相頻発型)
III.身体疾患に伴ううつ病
IV.プライマリケアにおけるうつ病
第5章 その他の問題
I.自殺
II.身体合併症
III.自助グループ活動
IV.リワークプログラム
第6章 研究の方向
第II編 双極性障害
第1章 疾患の概念
I.定義
II.疫学
III.臨床症状
IV.経過と予後
第2章 治療計画の策定
I.精神医学的管理
II.急性期治療
III.回復期治療(継続療法)
IV.双極性うつ病エピソードの治療
V.再発予防治療(維持療法)
第3章 治療法の解説
I.薬物療法
II.薬物療法以外の治療法(第I編 第3章II~Vを参照)
第4章 その他の問題
I.自殺
II.身体合併症
第5章 研究の方向
索引
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