NANDA-I看護診断の基本的理解　第2版
心理・社会・行動的領域

第2版の序

　2005年6月に開催された第10回日本看護診断学会学術大会の時に，本書の初版を出版した。以来，NANDA-Iの看護診断定義集は，2007-2008版が出版され，本書の内容も，この2007-2008版を取り入れる必要性が出てきた。2007-2008版は，看護診断が187個と増え，領域3が排泄から排泄と交換になり，診断指標や関連因子の見直しも行われ，エビンデンス度が増してきている。それに合わせて本書の内容も2007-2008版を最大限に取り入れた。
　本書は事例に基づいて，心理・社会・行動的領域の看護診断名，診断指標，関連因子，危険因子の解説を，それらの背後にある中範囲理論を根拠として解説することを心がけた。そのために，すべての心理・社会・行動的領域の看護診断名，診断指標，関連因子，危険因子の解説を網羅できていないことをお断りしておきたい。2007-2008版では，15個の新しい看護診断が誕生している。さらに，26個の看護診断については修正・追加が成されている。また，すべての看護診断について，診断指標の表現が変更となったり，順番が入れかわったりしている。これらに準じて本書で取り上げた診断についても修正を加えた。
　2008年7月には，第14回日本看護診断学会学術大会が“看護診断をささえる中範囲理論”というテーマで開催されることとなっている。本書も看護診断をささえる中範囲理論の1部を解説しているので，是非とも参照していただきたい。
　本書で取り上げられていない中範囲理論については，次の第3版には含めていきたいと考えている。
　最後に時間的制約がありながら，編集の任をお引き受けいただいている医学書院の七尾清氏には毎度頭が下がる想いである。この場を借りて深謝申し上げたい。

　2008年4月吉日
　黒田裕子

序

I 領域1［ヘルスプロモーション］に分類されている看護診断
　1 ［ヘルスプロモーション］の領域と類の解説
　2 ［ヘルスプロモーション］の領域と類を理解するのに有用な理論
　3 ［ヘルスプロモーション］の領域と類のアセスメントに理論を応用する
　4 T氏の事例の［ヘルスプロモーション］の領域と類をアセスメントする
　5 領域1［ヘルスプロモーション］，類2｛健康管理｝に分類されている10個の看護診断
II 領域5［知覚/認知］に分類されている看護診断
　1 ［知覚/認知］の領域と類の解説
　2 T氏の事例の［知覚/認知］領域および類をアセスメントする
　3 領域5［知覚/認知］の類4｛認知｝に分類される理解が難しい6個の看護診断
III 領域6［自己知覚］に分類されている看護診断
　1 ［自己知覚］の領域と類の解説
　2 ［自己知覚］の領域と類を理解するのに有用な理論の解説
　3 T氏事例の［自己知覚］領域と類をアセスメントする
　4 領域6［自己知覚］に分類されている13個の看護診断
　5 ［自己知覚］の4つの看護診断を事例から考える
IV 領域9［コーピング/ストレス耐性］に分類される看護診断
　1 類2｛コーピング反応｝を理解するためにストレス―コーピング理論を知る
　2 T氏の事例の［コーピング/ストレス耐性］の領域と類をストレス-コーピングに
　　関する理論を適用しながらアセスメントする
　3 ｛コーピング反応｝に分類されている5個の看護診断を理解する
V 食道癌事例のNANDA-I看護診断“非効果的コーピング”の看護成果と看護介入を考える
　1 食道癌事例の13領域のアセスメントおよび全体像を見ておく
　2 T氏の“非効果的コーピング”の定義，診断指標，関連因子を見ておく
　3 T氏の“非効果的コーピング”に対する看護成果を考える
　4 NIC分類法からT氏の“非効果的コーピング”および看護成果に対する
　　看護介入を選択する