運動療法学 各論 第3版

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理学療法士が運動療法を行ううえで求められる知識や技術を学生向けに解説した教科書。今回の改訂では、すべての項目が「A.概念と特徴」→「B.運動療法の実際」→「C.運動療法上の注意点」の順番で解説されるように統一を図り、座学はもちろん臨床実習の場面などでクイックリファレンスとして使用できるよう工夫した。臨床で実際に行われる運動療法をわかりやすく解説した1冊。
*「標準理学療法学」は株式会社医学書院の登録商標です。
シリーズ 標準理学療法学 専門分野
シリーズ監修 奈良 勲
編集 吉尾 雅春
発行 2010年03月判型:B5頁:504
ISBN 978-4-260-00899-0
定価 6,380円 (本体5,800円+税)
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第3版 序

 2001年に創刊された『運動療法学 各論』は2006年に改訂され,このたび第3版として生まれ変わることになった.10年ひと昔というが,本書の創刊以来,理学療法をとりまく社会は大きく様変わりし,理学療法士も自己変革が求められる時代になってきている.
 最も大きな変革はWHOによる国際障害分類(ICIDH)から国際生活機能分類(ICF)への転換である.理学療法の世界では評価においても,運動療法においても,「障害」に注目する習慣が定着している.障害を分析評価したうえで運動療法のあり方を考えるという,理学療法士にとってみると至極当然の手続きである.しかし,ICFはその手続きでは不十分であり,対象者のよい部分や可能性に,さらには環境因子にもっと目を配るべきであると主張している.評価の段階でそれを文字化し,さらに運動療法に生かしていく過程は,ICF以前の風土に親しんだ理学療法士にとってはきわめて困難な課題であるが,これからの理学療法評価と運動療法にはICFのこの視点は不可欠であり,積極的に取り組んでいかなければならない.今回の改訂のみでは十分に切り込めたとはいえないが,本書では収載したすべての疾病について,「A.概念と特徴」「B.運動療法の実際」「C.運動療法上の留意点」の順番で解説した.特に「B.運動療法の実際」では「評価のポイント」という新しい項を設けて,運動療法が「評価あっての取り組み」であることを強調した.
 最近では,医療界全体の趨勢として診療ガイドラインが積極的に示されるようになってきており,その改訂作業も進められている.こうした流れもまた経験則ではなく,根拠に根ざした合理的かつ効率的な運動療法の実践をわれわれに求めている.本書は標準理学療法学シリーズの一冊であり,「標準」という名を冠するからには,実質的に理学療法ガイドラインに匹敵する内容を含んでいる必要がある.本書で取り上げた疾病それぞれについて,そこに一歩でも二歩でも近づけるような努力をしていかなければならないと考え,限られた紙面のなかで,それぞれが力を注いだ.
 理学療法士の大半が「起き上がりの主動筋は腹直筋を中心とした腹筋群である」と考えていたら…,あるいは「背臥位で膝を伸展したまま下肢を挙上する主動筋が腸腰筋である」と考えていたら….いずれも明らかな誤りであるが,この誤りを前提に運動療法が企画されたとすると,得られる結果はどうなるのだろうか.本書の存在がこのような基本的な問題を排除し,根拠に基づく運動療法の発展に寄与していくことを期待している.

 2010年3月
 吉尾雅春

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第1章 骨関節疾患の運動療法
 I.骨折・脱臼の運動療法
 II.膝の靱帯・半月板損傷の運動療法
 III.腱断裂の運動療法
 IV.関節リウマチの運動療法
 V.変形性関節症と人工関節置換術の運動療法
 VI.側弯症の運動療法
第2章 脳障害の運動療法
 I.脳血管障害の運動療法-早期
 II.脳血管障害の運動療法-回復期
 III.パーキンソン病の運動療法
 IV.小脳性運動失調症の運動療法
 V.脳外傷の運動療法
 VI.脳性麻痺の運動療法
第3章 脊髄疾患の運動療法
 I.脊髄損傷の運動療法
 II.腰部脊柱管狭窄症の運動療法
 III.頸椎症性脊髄症と頸椎後縦靱帯骨化症の運動療法
第4章 神経筋疾患の運動療法
 I.脊髄小脳変性症の運動療法
 II.筋萎縮性側索硬化症の運動療法
 III.多発性硬化症の運動療法
 IV.ギラン・バレー症候群の運動療法
 V.筋ジストロフィーの運動療法
第5章 疼痛疾患の運動療法
 I.腰痛症の運動療法
 II.肩関節痛の運動療法
第6章 切断の運動療法
第7章 呼吸器・循環器疾患の運動療法
 I.呼吸器不全の運動療法
 II.循環器疾患の運動療法
第8章 糖尿病の運動療法
第9章 ICUにおける運動療法
第10章 熱傷の運動療法
第11章 高齢者の運動療法
 I.高齢者の運動療法
 II.在宅における運動療法

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