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内分泌代謝疾患レジデントマニュアル 第2版

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本当は決して稀ではない内分泌代謝疾患が,日常診療の場で数多く見逃されてはいないか? なんとなく面倒でまどろっこしいと,敬遠されてはいないか? そんな声を払拭すべく,内分泌代謝疾患の概念や病態・治療をコンパクトにまとめたロングセラー。新たな知見・症例も充実した,待望の第2版。
*「レジデントマニュアル」は株式会社医学書院の登録商標です。
シリーズ レジデントマニュアル
吉岡 成人 / 和田 典男 / 伊東 智浩
発行 2004年08月判型:B6変頁:296
ISBN 978-4-260-10658-0
定価 3,300円 (本体3,000円+税)
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  • 目次
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I 内分泌疾患
 1 甲状腺疾患
 2 下垂体疾患
 3 副腎疾患
 4 副甲状腺疾患
 5 性腺疾患
 6 内分泌関連疾患
II 代謝疾患
 1 糖尿病
 2 高脂血症
 3 肥満症
 4 高尿酸血症
 5 ポルフィリン症
付録
 1 内分泌負荷試験
 2 内分泌疾患の主な徴候と鑑別診断
略語一覧
事項索引
薬剤索引

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研修医はもちろん,ベテラン内科医にも薦めたい,内分泌代謝疾患への想像力を補ってくれる一冊
書評者: 大澤 佳之 (おおさわ胃腸科内科クリニック院長)
 この本はコンパクトにまとまっている。新書サイズで270ページ程の容量は,忙しくなかなか時間がとれない実地医家にとって本を手に取ってみるひとつのきっかけになる。初老と言われる年齢に足を踏み入れた田舎の開業医としては,実際のところ久しぶりに通読した一冊になった。著者らは,研修医や卒後3―5年くらいの内科専攻レジデントを読者として想定して,このマニュアルを執筆したと思うのだが,大昔の研修医にとっても,とてもよくできた一冊と実感した。私と同年代の内科医にもぜひとも薦めてみたい。そういうわけで,一開業医の感想に終始するのをお許しいただきたい。

 内分泌疾患に関しては,医学生時代には,比較的容易に頭に入ったものであった。ホルモンのフィードバック機構や理論に基づいた負荷試験などは理路整然としており,臨床感覚に未熟な学生にも比較的理解しやすい。一方,代謝疾患の代表といえる糖尿病に関しては,わかったようなわからないような感じで卒業した。糖尿病に関してはやはりわかっていなかったことが後でわかったが,その後の糖尿病臨床医としての経験の中で,疾患に対する理解を深めていった。一方,わかっていたはずの内分泌疾患に関しては,実際の臨床を行う上でいろいろと問題があった。一般内科にまぎれ込んでくる内分泌疾患を見つけるのはなかなか困難なものである。最も一般的な内分泌疾患は甲状腺疾患であるが,それさえもなかなか診断に至らないことも多い。頻脈,発汗,やせ,眼球突出,甲状腺腫を呈する典型的な甲状腺機能亢進症はむしろ少ないくらいである。

 本書の前半は,内分泌疾患に当てられている。日常診療に流されていく中で,内分泌疾患を拾い上げていく第一のコツは,まず,その疾患を思い起こすことであるのは言うまでもないだろう。しかし,一般開業医における長年の外来の中で,ついつい疾患を見逃している場合も多いと思う。本書のおかげでしばらくはまた内分泌疾患を想定しての日常診療ができそうに感じた。

 基本中の基本であるが,甲状腺の触診を忘れないようにしよう。下垂体副腎系の疾患では,身体所見や一般検査成績から,疾患を想起することが重要なのであるが,とりわけ初診時の直感が大事ということであろうか。二次性高血圧症を拾い出すのはやはり難しそうだ。開業医の外来で,PRA/PACの測定をどこまで行えばよいのだろう。発作性の高血圧症で,ワンポイントでのカテコラミン採血も行ってみなければならないか。即,副腎CT検査を行って,褐色細胞腫を探すのは,どうなんだろうか。少々乱暴か。副甲状腺疾患を想定しての外来診療も必要だ。不定愁訴の患者でも,一度は血清Caを測定するようにしなければ。

 本書の後半は,代謝性疾患である。糖尿病の記述がその主たるものである。一般内科においての糖尿病の診療は先の内分泌疾患とは少々違ったものになる。疾患を拾い上げるのはさほど重要なことではない。眼の前に存在する糖尿病患者を診て判断しなければならないことは多い。糖尿病の病型,血糖コントロールの状況,薬剤治療の選択,治療の評価,などであるが,本書の記述は大変よくまとまっている。しかし,糖尿病への考え方が身についている年配の専門医にはとてもよいのだが,レジデントや糖尿病非専門内科医にとっては,記述がいささかまとまりすぎているかもしれない。限られた紙面の都合上,仕方のないことなのではあるが。

 最後になるが,本書の随所にちりばめられた貴重な症例が読者の疾患への想像力を補ってくれて,side memoもとても役に立つ。研修医やレジデントだけでなく,ベテラン内科医にも一読を薦めたい好著である。

これぞ,シマウマとウマの見分けのできるeffective clinicianへの道
書評者: 細井 雅之 (大阪市立総合医療センター代謝内分泌内科・副部長)
 初版の序にある言葉「You are looking for zebra!」「シマウマ探しに陥るな」は,まさにこの本のポリシーです。内分泌をシマウマ(稀な疾患)と思い込みがちなレジデントや上級医,はたまた指導医にも必須マニュアル本です。臨床重視の吉岡先生らしく症例の実例をあげて,いかに内分泌がシマウマでないかを気づかせてくれます。そして第2版の序にあるように,これはeffective clinician「よき臨床医」をめざす吉岡先生のポリシーを感ずる「バイブル」のようなマニュアルです。マニュアルに従いつつ,最終的には患者さん1人ひとりにもどって考える考え方を導いてくれます。バーガー20人分を買いに来たお客さんに「こちらでお召し上がりですか?」というような店員をつくるようなマニュアル本ではありません。

 最後にある,負荷試験のまとめや,徴候からみた鑑別診断もベッドサイドで必須です。治療内容も現場で迷わぬように,薬剤の商品名と用法,点滴のスピードまで示してあり,そのまま指示簿にもかけるぐらいになっています。

 かといってナラティブばかりのマニュアルではなく,大規模スタディの最新のエビデンスと引用文献まで示されています(内科認定医の症例報告の考察にも使えそうです)。ポルフィリン症までカバーされています。

 あえて注文をお願いするとすれば,糖尿病の項目で,HOMA―βについて,2型糖尿病患者のインスリン導入についての外来導入方法,インスリン中止可能症例の見分け方,フットケアの項目も次回の改訂ではお願いいたします。

 会社の宣伝にのった薬の紹介ではなく,論文のNNT(Number needed to treat)を冷静に分析して最適な治療法を教えてくださる吉岡先生だからこそ,まさに信頼がおけるマニュアルです。スーパーローテーションの研修医には必携してほしいマニュアルです(われわれ指導医も助かります)。

ガンコおじさんに宗旨替えをせまるマニュアル
書評者: 相澤 徹 (信州大学健康安全センター長)
 「マニュアル本は読むな」,より正しくは「日本語で書かれたマニュアル本は読むな」と私は口癖のように後輩の方々や学生に言っている。「さしあたりどうするか」を羅列してあるだけの本が多いからである。私たち医師はクラフトマンとしてさしあたり目の前の問題をどうするかのノウハウを要領よく身につけて,その名人となってはならない。単なるクラフトマンで終わってはいけない。そんなことを一生続けても第一おもしろいはずがない。少々要領が悪くても,病態の本質が何か,私たちの医療に足りないところは何か,を真剣に考えて病気と患者(けっして患者様でなく)に接して,勉強し続けていくことが大事であり,それこそが医師という職業の醍醐味である。そういう脳の働きを導いてくれないので,「マニュアル本は読むな」というのが私の宗旨である。

◆レジデントにかけてあげたい一言が随所に織り込まれる

 ところが,である。本書はマニュアル本でありながら,極めてコンパクトに要領よく内分泌代謝疾患の診断治療の原則を網羅してまとめただけでなく,いたる所に病棟でレジデントの先生にかけてあげたい一言,「原則は……,でも本当のところは……かもしれないね。」が織り込まれている。クラフトマンを超える道筋,疑問や議論について考えていく(簡単に解決できないことを考えることが大事!)よすがとなる事実,症例,論文が,示されている。これがきわめて大切である。私は著者らの後輩医師への,患者への,さらに言えば医師という職業への暖かい息づかいを感じた。

 本来マニュアルは通読する本ではない。また通読すべき本でもない。しかし,書評を依頼された手前,この原則に逆らって私はこの本を序から付録まで一気に通読した。本書は著者代表の吉岡成人氏の「ホルモン負荷試験の毎日」「食事療法を守っている患者…ほど太っている」という言葉ではじまる。けだし名言である。

 内容の概略はインターネットでも簡単に調べられるが,一応記しておくと,I.内分泌疾患(甲状腺疾患,下垂体疾患,副腎疾患,副甲状腺疾患,性腺疾患,内分泌関連疾患),II.代謝疾患(糖尿病,高脂血症,肥満症,高尿酸血症,ポルフィリン症),付録.(内分泌負荷試験,内分泌疾患の主な徴候と鑑別診断)となっている。あえて言うならば,糖尿病の項では,現在の糖尿病管理に明確な限界点のあること,しかしながらそうした統計上の限界点はきわめて多数の患者が無治療である(またはきわめて不適切な管理下にある)ことに起因するかもしれないこと,そして,病初期から厳格な糖尿病管理を行えば一病息災も決して不可能でないこと,などにも触れて欲しかった,というのが糖尿病を主戦場とする私の感想である。また,付録の「内分泌疾患の主な徴候と鑑別診断」は「主な症状と検査値の異常から考えるべき鑑別診断」のほうが適切かもしれない。

 珠玉のマニュアルである。私は宗旨替えを迫られている。

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本書の記述の正確性につきましては最善の努力を払っておりますが、この度弊社の責任におきまして、下記のような誤りがございました。お詫び申し上げますとともに訂正させていただきます。

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