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神経解剖カラーテキスト 第2版

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豊富なカラー写真と図版を掲載した神経解剖学のテキスト。基礎知識を簡潔に解説し、神経疾患の病因と臨床診断法のアウトラインを知るための初歩的な臨床的概念を多数紹介。今版では巻末に症例を基にした問題集が設けられ、知識の定着を確認できる。神経解剖学の全体を概観したいと願う医学生やPT、OT、STを目指す学生にとっての優れた入門書。脳実習の参考書としても有効。
A. R. Crossman / D. Neary
野村 嶬 / 水野 昇
発行 2008年03月判型:A4頁:224
ISBN 978-4-260-00579-1
定価 6,160円 (本体5,600円+税)
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第2版の訳者まえがき
野村 嶬・水野 昇

 本書の特徴は,神経系の構成・発生・構造等を要領よく簡明に解説しているだけでなく,それらの知識が神経系疾患の臨床診断原理の基礎的理解に繋がるように工夫が凝らされている点にあります。この改訂版は旧版に比べて,それほどページ数が増えたわけではありませんが,それでも旧版の豊富な付図に,洗練された脊髄や脳のカラー写真や図が加えられ,神経解剖学のエッセンスの視覚的解説にさらに力が注がれています。また,改訂版ではその最後の章として第17章が新たに加えられていますが,この章では症例検討問題が与えられており,問題解決型の学習が読者に求められています。これにより,読者は神経解剖学の学習レベルを自己診断することができると同時に,神経解剖学の知識が臨床面でいかに利用されているか,臨床医学の基礎としての神経解剖学の側面を垣間見ることができるでありましょう。
 なお,学術用語については,できるだけ新しい呼称に従うよう,「解剖学用語(改訂13版)」,「生理学用語集(改訂第5版)」,「神経学用語集(改訂第2版)」および「神経外科学用語集(改訂第2版)」を参照しました。
 本書が神経解剖学のコア・カリキュラムやコメディカルの脳実習テキストなどとして,医学生,看護師・理学療法士・作業療法士・臨床検査技師・言語聴覚士・放射線技師・柔道整復師・鍼灸師・健康運動指導士・スポーツトレーナーなどを目指すコメディカルの学生,神経科学や心理学に興味を持つ学生などに広く利用されることを願うものであります。
 最後になりましたが,本書の発刊の労をお取り頂いた医学書院の方々に深く感謝いたします。
 2008年2月

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1. 序論と概観
2. 神経系の細胞
3. 末梢神経系
4. 自律神経系
5. 中枢神経系の被膜
6. 脳室系と脳脊髄液
7. 中枢神経系の血液循環
8. 脊髄
9. 脳幹
10. 脳神経と脳神経核
11. 小脳
12. 視床
13. 大脳半球と大脳皮質
14. 大脳基底核
15. 視覚系
16. 視床下部,大脳辺縁系,嗅覚系
17. 症例検討問題集
用語解説
索引

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初学者に必要な情報を厳選 臨床への橋渡し書
書評者: 木下 彩栄 (京大大学院教授・高齢者看護学)
 『神経解剖カラーテキスト』が6年ぶりに改訂された。原著は2005年に英国Manchester大学のCrossman博士とNeary博士によって出版された定評のある神経解剖学テキストである。1995年の原著初版の序にあるように,90年代の英国では医学教育論議が盛んに行われており,「必ずしも必要でない膨大な量の知識が学生に不当に要求されている」ことなども問題となっていた。そこで,「“システム”を基本に据えたコアカリキュラムの設定」や「基礎科学と臨床医学の統合」という指針に沿った医学教育改革が模索されるようになった。このような背景の下,改定された基礎教育カリキュラムに沿った新しい教科書が必要となり,「簡明な記述」,「理解を助ける図版と写真」,「臨床との融合」,という本書のコンセプトが生まれたとのことである。神経解剖学は臨床医としては,臨床神経学,脳神経外科学,整形外科学,眼科学において極めて重要な知識体系であるし,理学・作業療法学といったコメディカルにも必須の学問である。ただし,多くの学生にとって解剖学の中で理解が最も困難な領域であることもまた事実である。教育の場においては,複雑で情報量の多い知識体系を初学者が短期間に学習して一定の理解水準に到達することが求められるため,上記のコンセプトは特に重要になる。いずれも至極当然のことではあるが,旧来の神経解剖学教科書と比較すると,本質を損なわない形で情報量をそぎ落とすことや適切な模式図がいかに理解を助けるかが実感できる。原著は初版以来2度の改訂を経た本書では明快な図版が増え,上記のコンセプトが一層明確になった。その一方で,例えば臨床的に重要となる脳の循環系など,記述の不足を感じる個所も散見されるが,詳しくは専門書で,ということなのかもしれない。

 本書の序盤には,臨床診断の基本原理,最後に症例検討問題が配置されるなど,全体的な構成においても効率的な自己学習のための工夫が凝らされている。また,その他の項にも学習者のモチベーションを刺激する臨床関連事項が適度に散りばめられており,所期の目標の達成に成功したといえる。複雑化・高度化する臨床医学分野において専門職として要求される知識量は増加の一途をたどっている。神経解剖学分野に限らず,基礎教育に割り当てられる時間数が圧縮される傾向は今後も続くと思われる。医学の将来を担う教育カリキュラムや教材の最適化は永遠の課題であるが,上記の指針に沿った本書のコンセプトは普遍的な価値を持つであろう。

 訳者は初版に引き続き,京都大学などで医学生やコメディカルの神経解剖学教育に携わってこられた野村博士と水野博士である。学術用語の和訳に関しては最新の用語集に準拠するのみならず,海外の優れた教科書や専門書を多数翻訳された経験を生かして正確かつ平易な表現が吟味され,大変読みやすくなっている(タイトルを除き,図中の解剖学用語はすべて和訳のみ記載されているが,欧文の解剖学用語が併記してあればなお良いと思う)。

 本書は初学者向きに書かれたものであるが,専門外の臨床家や基礎系の研究者にとっても神経解剖学や神経症候学の基本を短時間で効率的にレビューし,基礎知識を整理する際に有用なテキストとなるであろう。

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