NANDA-I看護診断
定義と分類 2007-2008

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2006年のNANDAインターナショナルの総会で承認された看護診断を収めたハンディなポケットブック。新しい看護診断が15追加され、26の看護診断が改定された。診断指標、関連因子(危険因子)も大幅に改定。臨床でのレファレンスに、また看護診断の学習に役立つナース必携の書。
NANDAインターナショナル
監訳 日本看護診断学会
中木 高夫
発行 2007年06月判型:B6変頁:436
ISBN 978-4-260-00490-9
定価 2,640円 (本体2,400円+税)
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訳者まえがき
中木高夫(日本赤十字看護大学)

 本書はNANDAインターナショナルの『Nursing Diagnoses: Definitions & Classification 2007-2008』の全訳です。2005-2006年版では,次回は新学期の4月に間に合うように発行したいと約束していたのですが,英語版の発行が本年1月であったために,例年どおり日本看護診断学会の学術大会に間に合わせるのに精一杯で,約束を守れなかったことを深くおわびします。
 さらに,今回の版は,T. Heather Herdman現NANDAインターナショナル理事長が「序」で述べているように,いままでで最大の変化があったために翻訳や修正に時間がかかり,報告が遅れました。
◎今回の翻訳作業
1. 新しく15の診断が採択されました。
2. 修正が加えられたのは26ですが,そのうちのいくつかは診断ラベルがいままでとまったく異なるものに変更されました。
3. その他の以前からある診断に関しても,診断指標と関連因子(または危険因子)については,1つの項にandやorでいくつかの組み合わせが可能なものについては,それぞれを1つずつに分解しています。その作業のなかで明らかに間違っていると思えるものについては訂正しておきました。
4. このような作業を行うためにすべての診断を見直したところ,いままで気づかなかったいくつかの誤りが見つかりました。恥ずかしいかぎりです。
5. さらに,最近の医学用語や看護用語に用いられている漢語や少し難しい意味を含んでいる言葉が読めず,意味もわからない人が増えているため,可能な限りルビをふり,訳注をつけました。
◎新しい表現となった診断ラベル
 新たに採択された看護診断および改訂された看護診断のなかのいくつかについて,なぜその訳語を採用したか説明することにします。
●新たに採択された看護診断より
・安楽促進準備状態
 安楽の原語であるComfortという言葉は看護にとって特別な言葉です。いままでの日本での用い方は,「苦痛のある症状」=「安楽の変調」という安易な使用が目立ちます。引用文献を見ると,KolcabaのA theory of holistic comfort for nursingが引用されているので,それほど安直な概念ではなさそうです。Kolcabaは,オーランドの《緩和》,ヘンダーソンの《安心》,パターソンとズデラードの《超越》から導き出して概念構築しています。もっとも,日本語での「安楽」という言葉も,よく考えれば心身の安楽という状況を想像すれば,極めて深い概念であることがわかります。
・希望促進準備状態
 Hopeは,トラベルビーの『人間対人間の看護』でも,第7章のHopeと同じように「希望」と訳されていました。ちなみに,その章の後半部分のHopelessnessは「絶望」で,看護診断でも〈絶望〉と訳しています。
・パワー促進準備状態
 Powerを「力」と訳すか,それとも「パワー」か。「権力」というのもあります。関連文献からロジャース派の考え方の影響が強いことがわかるので,「パワー」としました。
・人間の尊厳毀損リスク状態
 1970年代に,米国など英語圏でbioethicsと呼ばれる学問が勃興しました。そこでは「Dignity of Life」(生命の尊厳)や「Sanctity of Life」(生命の神聖性)から「Quality of Life」(生の質)が重視されました。「人間の尊厳」はこうした近代のbioethicsの諸理論が強く影響を受けたカント哲学の用語で,人間個人の尊厳であるとともに,類としての人間(人類)の尊厳も意味しています。
 「毀損」にあたる語はcompromisedで「傷つけられる」という意味なので,尊厳という言葉にふさわしい重みのある「毀損」を選びました。
●改訂された看護診断より
・リスク傾斜健康行動
 〈適応障害〉からの診断ラベルの変更です。「リスクに傾斜していく傾向がある」という意味です。
・悲嘆複雑化
 以前の〈悲嘆機能障害〉であったのが変更になったものです。本来なら正常な〈悲嘆〉が看護を必要とする複雑化した状態となったと解釈してください。
 NANDAインターナショナルはいま大きな変革期で,いままでに採択された看護診断をさらに精緻なものにするとともに,新たな看護診断の開発に組織をあげて取り組もうとしています。となると,日本からもと切に思います。

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第1部 NANDA-I看護診断2007-2008 定義・診断指標(または危険因子)・関連因子
第2部 分類法IIについて
 《分類法II》の開発経緯
 《分類法II》の構造
 各軸の定義
 看護診断の記述の構造
 看護実践のNNN分類法
 開発の推進が承認された看護診断
 《分類法II》の今後の発展
 図2.1 分類法IIの領域(ドメイン)と類(クラス)
 図2.2 国際標準化機構(ISO)の看護診断のための参照用語モデル
 図2.3 NANDAインターナショナルの看護診断のモデル
 図2.4 NANDAインターナショナルの看護診断のモデル:非効果的コーピング
 図2.5 NANDAインターナショナルの看護診断のモデル:ペアレンティング障害リスク状態:青年期
 図2.6 NANDAインターナショナルの看護診断のモデル:家族コーピング促進準備状態
 表2.1 分類法II:領域(ドメイン)・類(クラス)・看護診断
 表2.2 看護実践のNNN分類法:看護診断の配置
第3部 看護診断の活用とNANDAインターナショナルへの診断提案のガイドライン 2007-2008
 教育分野における看護診断
 電子健康記録システムにおける看護診断の価値
 看護診断と看護研究
 看護管理における看護診断
 看護診断の提案のためのガイドライン
 用語解説
 NANDAインターナショナルの版権許諾取得のためのガイドライン
 NANDAインターナショナル理事会役員・NANDAインターナショナル診断開発委員会・NANDAインターナショナル分類法委員会
 NANDAインターナショナル入会案内
索引

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