透視下神経ブロック法
透視下神経ブロックの標準的テキスト、待望の刊行
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代表的なペインクリニック手技である神経ブロック法は、確実で安全に手技を行うために近年透視下で行われることが多くなった。本書は本邦初の透視下神経ブロックの標準的テキストであり、豊富な解剖図、術中画像を通して具体的な手技の進め方が学べる実践書である。X線透視下のみならず、CT・MR・超音波ガイド下の手技まで網羅し、各ブロックのスペシャリストからなる最高の執筆陣が筆を揮った。ペインクリニックに携わる医療者の必携書である。
編集 | 大瀬戸 清茂 |
---|---|
発行 | 2009年06月判型:B5頁:336 |
ISBN | 978-4-260-00797-9 |
定価 | 10,450円 (本体9,500円+税) |
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- 序文
- 目次
- 書評
序文
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序
筆者は,ペインクリニックに専従して,27年以上になるが,神経ブロックを始めとしたペインクリニック領域におけるinterventional therapyを安全確実に施行するにはどうすればよいかをかねがね考えてきた.ペインクリニックで行われる神経ブロックの件数は,現在もブラインドテクニックによるものが多く,X線透視下などによるものは,まだ少ない.
一方,ここ数年超音波装置の解像度が数段上がってきており,超音波ガイド下ブロックを施行している施設やその学会発表も増えてきている.
X線透視,CT,MRI,超音波などの装置を駆使して,画像上で神経ブロック針を可視化すれば,安全に,簡単に,名人芸に頼らなくても神経ブロックができると考え,それらの方法を解説したこの書籍が企画された.この本の制作にあたっては,全国でペインクリニックに携わる神経ブロックのスペシャリストに執筆していただいた.
本書の特徴は,ブロックで使用する装置ごとに,各章を独立させたことである.1章には現在最も多用されているX線透視下神経ブロックについて,頭部,頸部,胸部,腰部,仙骨・骨盤部,関節,その他に分けて書かれている.2章ではCTガイド下神経ブロックについて,現在行われている手技について実践的に説明した.3章ではMRガイド下神経ブロックについて記載している.4章の超音波ガイド下神経ブロックは,今後更に発展していくことが考えられる手技であり,リアルタイムに断面の神経,血管が画像化されて,針も可視化できるブロックである.
本書はB5判にして,図や写真を多用し,見出しや用語を統一して読みやすく,理解しやすいように工夫したガイドブックである.多くの執筆者が,それぞれの項目を担当し,既に完成された神経ブロック法を尊重すると同時に,各執筆者のoriginalityもできるだけ盛り込んだ.
ペインクリニックにおける治療の大きな柱は神経ブロック法である.診断も重要であるが,神経ブロックの手技によって患者の予後は大きく左右される.特にその中で透視下神経ブロックは重要な治療手段であり,本書によってこれらの手技を学びたいという機会がますます増えるに違いない.
神経ブロックは,より正確なピンポイントのブロック,可視化されたブロック,安全なブロックというようないくつかのキーワードに従って,手技を改良していく余地がまだある.本書を足がかりに更に優れた神経ブロックの手技が開発され,ペインクリニックがますます発展すれば,執筆者一同望外の喜びである.
最後に,終始ご尽力くださった医学書院の方々を始め,関係各氏に衷心より感謝する次第である.
2009年5月吉日
大瀬戸 清茂
筆者は,ペインクリニックに専従して,27年以上になるが,神経ブロックを始めとしたペインクリニック領域におけるinterventional therapyを安全確実に施行するにはどうすればよいかをかねがね考えてきた.ペインクリニックで行われる神経ブロックの件数は,現在もブラインドテクニックによるものが多く,X線透視下などによるものは,まだ少ない.
一方,ここ数年超音波装置の解像度が数段上がってきており,超音波ガイド下ブロックを施行している施設やその学会発表も増えてきている.
X線透視,CT,MRI,超音波などの装置を駆使して,画像上で神経ブロック針を可視化すれば,安全に,簡単に,名人芸に頼らなくても神経ブロックができると考え,それらの方法を解説したこの書籍が企画された.この本の制作にあたっては,全国でペインクリニックに携わる神経ブロックのスペシャリストに執筆していただいた.
本書の特徴は,ブロックで使用する装置ごとに,各章を独立させたことである.1章には現在最も多用されているX線透視下神経ブロックについて,頭部,頸部,胸部,腰部,仙骨・骨盤部,関節,その他に分けて書かれている.2章ではCTガイド下神経ブロックについて,現在行われている手技について実践的に説明した.3章ではMRガイド下神経ブロックについて記載している.4章の超音波ガイド下神経ブロックは,今後更に発展していくことが考えられる手技であり,リアルタイムに断面の神経,血管が画像化されて,針も可視化できるブロックである.
本書はB5判にして,図や写真を多用し,見出しや用語を統一して読みやすく,理解しやすいように工夫したガイドブックである.多くの執筆者が,それぞれの項目を担当し,既に完成された神経ブロック法を尊重すると同時に,各執筆者のoriginalityもできるだけ盛り込んだ.
ペインクリニックにおける治療の大きな柱は神経ブロック法である.診断も重要であるが,神経ブロックの手技によって患者の予後は大きく左右される.特にその中で透視下神経ブロックは重要な治療手段であり,本書によってこれらの手技を学びたいという機会がますます増えるに違いない.
神経ブロックは,より正確なピンポイントのブロック,可視化されたブロック,安全なブロックというようないくつかのキーワードに従って,手技を改良していく余地がまだある.本書を足がかりに更に優れた神経ブロックの手技が開発され,ペインクリニックがますます発展すれば,執筆者一同望外の喜びである.
最後に,終始ご尽力くださった医学書院の方々を始め,関係各氏に衷心より感謝する次第である.
2009年5月吉日
大瀬戸 清茂
目次
開く
序論
1章 X線透視下神経ブロック手技
頭部
頸部
胸部
腰部
仙骨・骨盤部
関節
その他
2章 CTガイド下神経ブロック手技
3章 MRガイド下神経ブロック手技
4章 超音波ガイド下神経ブロック手技
索引
1章 X線透視下神経ブロック手技
頭部
頸部
胸部
腰部
仙骨・骨盤部
関節
その他
2章 CTガイド下神経ブロック手技
3章 MRガイド下神経ブロック手技
4章 超音波ガイド下神経ブロック手技
索引
書評
開く
治療を行う上での選択肢の一つとして
書評者: 菊地 臣一 (福島県立医科大学理事長兼学長・整形外科学)
痛みを,症状としてではなく,診断として扱うようになったのは1980年代である。痛みそれ自体を治療の対象とする時代が到来したのである。この結果,ペインクリニックが創設された。
その時から約30年が経過した今という時代,痛みに対する認識も劇的に変化を遂げている。まず,最新の科学は,痛みをできるだけ速やかに取り除くことの大切さを立証した。次に,痛みを取ることは治療の目的ではなく,痛みの除去は健康な生活に速やかに復帰させるための手段であるという認識が確立された。第三に,痛みの治療効果の向上には,患者と医師との信頼関係,そしてplacebo効果(心理的効用)が深く関与していることもわかってきた。第四に,痛みの増悪や遷延化には,従来われわれが認識していた以上に早期から,心理・社会的因子が深く関与していることが立証された。
このような新知見が提示されていく中で,痛みを速やかに除去することのできるペインクリニック手技の代表である神経ブロックの果たす役割は大きい。ただし,神経ブロックの手技は決して易しいものではない。安全に実施するには局所解剖の知識の習得は必須である。
しかも,現在の医療環境の下では,それだけでは不十分と言わざるを得ない。確実に,しかも安全に手技を行うための一手段として,近年,神経ブロックは,透視下で広く行うのが一般的になってきた。
透視の手段として広く普及しているX線透視,CT,MRI,そして,最近では超音波などの近代装置を駆使しての透視下神経ブロック手技を解説した成書は,残念ながら今まで刊行されていなかった。この度,神経ブロックで使用する装置ごとに,各章を独立させた構成での透視下神経ブロック法の実際を提示する手技書が初めて発刊された。
一般に,手技を提示,あるいは解説する成書は,その記載の仕方の難しさもあり,隔靴掻痒の感があるものが少なくなかった。幸いに,本書は豊富な解剖図と術中の画像を多数掲載しており,極めて実践的な手技解説書になっている。神経ブロックを習得したいと思っている初心者にも,「自分にもできる」と思わせる簡易にして明快な構成になっている。この「わかりやすさ」には,治療の第一線で活躍している執筆者を揃えたことも大きく寄与している。執筆陣をみると,ペインクリニックのオールジャパンという顔触れである。
痛みを取り扱う医療従事者にとって神経ブロックは,自分の武器として,治療を行う上での選択肢の一つとして持っておくことは極めて有用である。神経ブロックの手技の習得に際して,本書は時宜を得た刊行といえる。初心者には技術やノウハウの習得を,経験者には安全な,そして確実な手技の再確認をする上で本書の価値は高い。
9,500円という本書の値段は安くない。しかし,それだけの価値は十分あり,推薦に値する。
書評者: 菊地 臣一 (福島県立医科大学理事長兼学長・整形外科学)
痛みを,症状としてではなく,診断として扱うようになったのは1980年代である。痛みそれ自体を治療の対象とする時代が到来したのである。この結果,ペインクリニックが創設された。
その時から約30年が経過した今という時代,痛みに対する認識も劇的に変化を遂げている。まず,最新の科学は,痛みをできるだけ速やかに取り除くことの大切さを立証した。次に,痛みを取ることは治療の目的ではなく,痛みの除去は健康な生活に速やかに復帰させるための手段であるという認識が確立された。第三に,痛みの治療効果の向上には,患者と医師との信頼関係,そしてplacebo効果(心理的効用)が深く関与していることもわかってきた。第四に,痛みの増悪や遷延化には,従来われわれが認識していた以上に早期から,心理・社会的因子が深く関与していることが立証された。
このような新知見が提示されていく中で,痛みを速やかに除去することのできるペインクリニック手技の代表である神経ブロックの果たす役割は大きい。ただし,神経ブロックの手技は決して易しいものではない。安全に実施するには局所解剖の知識の習得は必須である。
しかも,現在の医療環境の下では,それだけでは不十分と言わざるを得ない。確実に,しかも安全に手技を行うための一手段として,近年,神経ブロックは,透視下で広く行うのが一般的になってきた。
透視の手段として広く普及しているX線透視,CT,MRI,そして,最近では超音波などの近代装置を駆使しての透視下神経ブロック手技を解説した成書は,残念ながら今まで刊行されていなかった。この度,神経ブロックで使用する装置ごとに,各章を独立させた構成での透視下神経ブロック法の実際を提示する手技書が初めて発刊された。
一般に,手技を提示,あるいは解説する成書は,その記載の仕方の難しさもあり,隔靴掻痒の感があるものが少なくなかった。幸いに,本書は豊富な解剖図と術中の画像を多数掲載しており,極めて実践的な手技解説書になっている。神経ブロックを習得したいと思っている初心者にも,「自分にもできる」と思わせる簡易にして明快な構成になっている。この「わかりやすさ」には,治療の第一線で活躍している執筆者を揃えたことも大きく寄与している。執筆陣をみると,ペインクリニックのオールジャパンという顔触れである。
痛みを取り扱う医療従事者にとって神経ブロックは,自分の武器として,治療を行う上での選択肢の一つとして持っておくことは極めて有用である。神経ブロックの手技の習得に際して,本書は時宜を得た刊行といえる。初心者には技術やノウハウの習得を,経験者には安全な,そして確実な手技の再確認をする上で本書の価値は高い。
9,500円という本書の値段は安くない。しかし,それだけの価値は十分あり,推薦に値する。
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