医療入門
よりよいコラボレーションのために
医療職を目指す学生必読の医療入門書
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これから医療職を目指す学生に、自分達がどのような世界で働くのか、そのためにはどんなことを学び、どんな心構えで望むべきかを説く医療入門書。共に働く他の専門職の成り立ちと、持っている知識・役割を知ることで、医療現場における真の患者中心のコラボレーションの実現を目指す。
監修 | 栗原 敏 |
---|---|
発行 | 2006年03月判型:B5頁:232 |
ISBN | 978-4-260-00230-1 |
定価 | 2,420円 (本体2,200円+税) |
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- 書評
目次
開く
序章 本書が目指すもの
第1章 現代医療の現場――Aさんのケース
第2章 医療者の誕生とその養成課程
第3章 ライフ・サイクルと医学・医療
第4章 医学と看護学
第5章 医療を支えるさまざまな技術
第6章 医療倫理ケーススタディー
第7章 医療安全
第8章 社会と医療
第9章 生涯学習
終章 よりよいコラボレーションのために
索引
第1章 現代医療の現場――Aさんのケース
第2章 医療者の誕生とその養成課程
第3章 ライフ・サイクルと医学・医療
第4章 医学と看護学
第5章 医療を支えるさまざまな技術
第6章 医療倫理ケーススタディー
第7章 医療安全
第8章 社会と医療
第9章 生涯学習
終章 よりよいコラボレーションのために
索引
書評
開く
職種間の相互理解から真の協働をめざす
書評者: 草刈 淳子 (前愛知県立看護大学学長)
本書は,医学や看護といった医療分野の垣根を越えた医療全般に関する入門書である。この種の入門書は,これまで医学教育の中では「医学概論」あるいは「医療学序論」などとして,また看護学教育では「看護学総論」あるいは「看護学概論」として,それぞれ入学後の最初の段階で教えるものとして用いられてきた。
本書のユニークなところは,その副題に「よりよいコラボレーションのために」とあるとおり,医師・看護師はもちろん,薬剤師,診療放射線技師,理学療法士,作業療法士,検査技師,栄養士など,医療に携わる多くの職種を対象に,「医療人」としての今日の医療における基本的なあり方・心得について書かれている点である。医療法が改正され,患者中心の「チーム医療」の実現に向け,徐々に個別的にはその実践がなされつつあるとはいえ,今までこうした横断的な共通の医療入門書がなかっただけに待望の書である。しかも,執筆者は皆,「病気を診ずして病人を診よ」「医師と看護婦は車の両輪である」という,今後も日本の医療理念であり続けるであろう歴史学的学訓を,既に125年も前から掲げていた同じ医科大学の関係者である。このような背景を持つ一つの教育組織体の方々によって書かれたというだけでなく,その組織を統括する現学長が自ら監修者となっておられることに,本書にかける関係者の熱い思いが感じられる。
◆協働の前提にある相互理解
協働のためには,まずは相互の理解が必要である。そのため本書は,以下の全9章から構成されている。1.現代医療の現場,2.医療者の誕生とその養成課程,3.ライフサイクルと医学・医療,4.医学と看護学,5.医療を支えるさまざまな技術,6.医療倫理ケーススタディー,7.医療安全,8.社会と医療,9.生涯教育。
医療現場で常に一緒に仕事をしているにもかかわらず,医療者は,それぞれの職種の最新の教育内容には,意外に疎いものである。本書には,各医療関係職の最新の教育カリキュラムや医療関係法が同時に掲載されている。これは,相互に各職種の機能を理解し,役割に応じた協働を進め,今日の医療が抱えるさまざまな課題を改善していくうえで,大いに役立つはずだ。医療関係法の一覧に各法律の制定年月日が示されていれば,医療関係職の発展過程をたどることができ,理解をさらに容易にしたことだろう。
第33回日本医事法学会学術大会「いま,医行為を問い直す:静脈注射・気管内挿管・喀痰吸引」のシンポジウム(年報医事法学19, 2004)は,「新たな看護の見直し検討会」の最終報告を受けて行われた。そこで,ようやく戦後60年経った今日の医療の実態に合わせた法改正が必要なことが,法学者たちにも認識されたのである。教育の高度化により看護系大学が144になったとはいえ,看護職が現場でフラストレーションを募らせ,また困惑を感じてきている今,共通目標を示した本書の意義は大きい。
東京慈恵会医科大学は,わが国の近代看護教育発祥の歴史を有し,戦後,日本の看護職の基礎を築いた初代厚生省看護課長保良せき女史の母校でもある。なればこそ,本書の出版を機に,医科大学附属病院の医療現場においても,この理念に基づいたコラボレーションの実践モデルを展開し,他の範となってほしいと願うものである。
書評者: 草刈 淳子 (前愛知県立看護大学学長)
本書は,医学や看護といった医療分野の垣根を越えた医療全般に関する入門書である。この種の入門書は,これまで医学教育の中では「医学概論」あるいは「医療学序論」などとして,また看護学教育では「看護学総論」あるいは「看護学概論」として,それぞれ入学後の最初の段階で教えるものとして用いられてきた。
本書のユニークなところは,その副題に「よりよいコラボレーションのために」とあるとおり,医師・看護師はもちろん,薬剤師,診療放射線技師,理学療法士,作業療法士,検査技師,栄養士など,医療に携わる多くの職種を対象に,「医療人」としての今日の医療における基本的なあり方・心得について書かれている点である。医療法が改正され,患者中心の「チーム医療」の実現に向け,徐々に個別的にはその実践がなされつつあるとはいえ,今までこうした横断的な共通の医療入門書がなかっただけに待望の書である。しかも,執筆者は皆,「病気を診ずして病人を診よ」「医師と看護婦は車の両輪である」という,今後も日本の医療理念であり続けるであろう歴史学的学訓を,既に125年も前から掲げていた同じ医科大学の関係者である。このような背景を持つ一つの教育組織体の方々によって書かれたというだけでなく,その組織を統括する現学長が自ら監修者となっておられることに,本書にかける関係者の熱い思いが感じられる。
◆協働の前提にある相互理解
協働のためには,まずは相互の理解が必要である。そのため本書は,以下の全9章から構成されている。1.現代医療の現場,2.医療者の誕生とその養成課程,3.ライフサイクルと医学・医療,4.医学と看護学,5.医療を支えるさまざまな技術,6.医療倫理ケーススタディー,7.医療安全,8.社会と医療,9.生涯教育。
医療現場で常に一緒に仕事をしているにもかかわらず,医療者は,それぞれの職種の最新の教育内容には,意外に疎いものである。本書には,各医療関係職の最新の教育カリキュラムや医療関係法が同時に掲載されている。これは,相互に各職種の機能を理解し,役割に応じた協働を進め,今日の医療が抱えるさまざまな課題を改善していくうえで,大いに役立つはずだ。医療関係法の一覧に各法律の制定年月日が示されていれば,医療関係職の発展過程をたどることができ,理解をさらに容易にしたことだろう。
第33回日本医事法学会学術大会「いま,医行為を問い直す:静脈注射・気管内挿管・喀痰吸引」のシンポジウム(年報医事法学19, 2004)は,「新たな看護の見直し検討会」の最終報告を受けて行われた。そこで,ようやく戦後60年経った今日の医療の実態に合わせた法改正が必要なことが,法学者たちにも認識されたのである。教育の高度化により看護系大学が144になったとはいえ,看護職が現場でフラストレーションを募らせ,また困惑を感じてきている今,共通目標を示した本書の意義は大きい。
東京慈恵会医科大学は,わが国の近代看護教育発祥の歴史を有し,戦後,日本の看護職の基礎を築いた初代厚生省看護課長保良せき女史の母校でもある。なればこそ,本書の出版を機に,医科大学附属病院の医療現場においても,この理念に基づいたコラボレーションの実践モデルを展開し,他の範となってほしいと願うものである。
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