レジデントのためのアレルギー疾患診療マニュアル
アレルギー疾患の診療スキル向上に最適の1冊
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花粉症や食物アレルギーの急増など、一般内科医にとってアレルギー疾患の診療スキルを磨く重要性は近年とみに増している。本書は好評を博してきた『米国内科学会アレルギー診療ガイド』の訳者による待望のオリジナル書き下ろし。アナフィラキシー、喘息、アトピー性皮膚炎、薬物アレルギーなど、エビデンスに基づく診療を実践的に解説。
シリーズ | レジデントマニュアル |
---|---|
著 | 岡田 正人 |
発行 | 2006年10月判型:A5頁:392 |
ISBN | 978-4-260-00145-8 |
定価 | 4,620円 (本体4,200円+税) |
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- 書評
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目次
開く
第1章 アレルギー疾患の診方・考え方
第2章 食物アレルギー
第3章 アナフィラキシーと虫刺されアレルギー
第4章 鼻炎
第5章 副鼻腔炎
第6章 喘息
第7章 薬物アレルギー
第8章 アトピー性皮膚炎
第9章 じん麻疹・血管浮腫・接触性皮膚炎
索引
第2章 食物アレルギー
第3章 アナフィラキシーと虫刺されアレルギー
第4章 鼻炎
第5章 副鼻腔炎
第6章 喘息
第7章 薬物アレルギー
第8章 アトピー性皮膚炎
第9章 じん麻疹・血管浮腫・接触性皮膚炎
索引
書評
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国内外のエビデンスをもとに臨床で即応用できる実践書
書評者: 森本 佳和 (コロラド大アシスタントプロフェッサー・アレルギー科)
本書の著者である岡田正人氏はニューヨークで内科研修,Yale大学でリウマチ・アレルギー臨床免疫科のフェローシップを修了され,米国の内科学・リウマチ学・アレルギー免疫学の3つの専門医を持っておられる。その後,フランスの大学関連病院にて8年間の臨床および医学教育の経験を持たれ,現在は聖路加国際病院に勤務しておられる。アレルギーは,日本-米国-ヨーロッパで大きな違いの見られる医療分野の1つである。アレルゲンに対する減感作療法ひとつを比較しても,あまり一般的に行われない日本,皮下投与による減感作療法を中心とする米国,舌下投与による減感作療法を積極的に取り入れるヨーロッパ,という具合である。これら異なる医療地域をトップレベルの医療機関で実際に臨床医療を経験してこられた岡田氏が書かれた書物であり,その価値は高い。
さて,本書を手にし,ページをめくると,そのギッチリと詰め込まれた内容に手に汗をかく思いさえする。内容は新しく,多くのエビデンスをもとに著者である岡田氏の経験や知識に触れることができる。米国におけるアレルギー免疫学の専門臨床トレーニング(フェローシップ)は最低2年間であり,筆者自身その教職にあるが,本書にある内容を身につけて実践できれば,アレルギー疾患に関してはそれで十分ではないかとさえ感じさせられる。
アレルギー疾患はその病因においてアトピー性素因という共通点があり,例えば鼻炎,アトピー性皮膚炎,喘息,食物アレルギーの疾患が一人の患者に合併することは頻繁にある。日本においてこれら疾患の専門的治療を受けるとなると,耳鼻咽喉科・皮膚科・呼吸器内科・小児科などと多くの科にわたることになる。患者側にとっても問題であるが,医療を行う側にとっても良質で包括的なアレルギー疾患のトレーニングを受けることが難しい状況にある。
このような背景があるため,例えばプライマリケアレベルでアトピー性皮膚炎,蕁麻疹,鼻炎,喘息,食物アレルギーといった疾患に対して,標準的で質の高い治療が広く行われているかどうかははっきりしない。これらアレルギー疾患については,同僚や先輩医師からの教え,あるいはどこかで仕入れた知識をもとに,慣習的医療が行われているのが一般的かもしれない。また,日本でアレルギー疾患の診療についての実践的な書物は限られている。かといって,海外由来のエビデンスを日常診療に取り入れるにはさまざまな問題に直面する。使用される薬剤も異なるうえに,文化もスタディされる患者も異なる。海外からの書物あるいは翻訳書を読むことはできても,そこに記されている内容を日常診療に応用できるかどうかは別問題である。本書は海外・国内のエビデンスをもとに,岡田氏自身の類まれなる経験に基づく解釈によって,臨床的にすぐに応用できる情報が詰め込まれている。日本でのアレルギー疾患の診療に即応用できる実践的な書物である。
さらに本書の章末ごとにある「臨床医のための免疫学」OverSimplifiedは圧巻である。「自然免疫と適応免疫(獲得免疫)―お巡りさんと刑事さん」ではToll-like receptor(TLR)とアレルギー疾患の関連,「細かいことは気にしないスーパー抗原」ではスーパー抗原とアトピー性皮膚炎の関連性など,近年よく話題にされるアレルギー領域での免疫学の知識がわかりやすく述べられている。近年の進歩によって,基礎医学の知識が臨床医学に応用されるということが多くなり,基礎的な免疫学の知識はますます重要性を帯びてきており,それをこのように楽しく学べることは大変嬉しいことである。
タイトルは控えめに「レジデントのための…」とあるが,上級医や指導医,アレルギー疾患を専門とされる医師にこそ読んでいただきたい名著である。
アレルギー診療への理解と実践を助ける良書
書評者: 狩野 庄吾 (自治医大名誉教授)
『レジデントのためのアレルギー疾患診療マニュアル』は,アレルギー専門医をめざすレジデントだけでなく,他の分野に進む臨床研修医,プライマリケア医にもお勧めしたい本である。
著者の岡田正人氏は,医師免許取得後,横須賀米海軍病院で卒後研修生として1年間臨床研修を受けた。1991年に渡米してNew YorkのBeth Israel Medical Centerで3年間内科レジデントとして臨床のトレーニングを受け,さらにYale Universityで3年間フェローとしてリウマチ学とアレルギー学の臨床と研究に従事した経歴を持つ。米国の内科専門医,アレルギー・臨床免疫科専門医,リウマチ科専門医の資格を取得している。その後,フランスのAmerican Hospital of Parisで内科,アレルギー,リウマチの診療を続け,2006年4月から聖路加国際病院のアレルギー膠原病科に勤務している。日本,米国(コネチカット州),フランスの医師免許を取得している。
本書は,アレルギー疾患診療に関して米国で受けた体系的な臨床研修の体験を基盤にして,その後の日米仏における診療の中で身につけた臨床経験と,アレルギー全般に関する著者自身の生涯研修の成果をまとめたものであり,アレルギー診療を行うための実践書である。
アレルギー疾患は,全身性疾患であり,小児から高齢者まで幅広い年齢層が罹患する。わが国ではアレルギー疾患の教育が,小児科,内科,皮膚科,耳鼻咽喉科,眼科など別々のアプローチで行われることが通常である。本書では,アレルギー医は全身を診ることが重要であることを強調し,「アレルギー疾患の診方・考え方」を最初に置いている。呼吸器系のアレルギー疾患を連続した病態(one airway one disease)として理解すること,年齢によって頻度の高いアレルギー疾患やその原因となるアレルゲンや症状が異なることを念頭に置いて診療に当たる必要があることなど,アレルギー疾患診療の基本的考え方を示している。
食物アレルギー,アナフィラキシー,アレルギー鼻炎,副鼻腔炎,喘息,薬物アレルギー,アトピー性皮膚炎,じんま疹,血管浮腫,接触性皮膚炎などの各論においても,診断・治療・予防についての要点をEBMに即して記述してある。海外・国内の主要な論文は文献として引用されており,その中には日本アレルギー学会喘息ガイドライン専門部会監修の『喘息予防・管理ガイドライン2006』や厚生労働科学研究班による「食物アレルギーの診療の手引き2005」などわが国における最新の診療ガイドラインも含まれ,臨床第一線の専門医にとっても役立つと思われる。
週刊医学界新聞に寄稿した「米国における専門医資格更新制度」に著者が2005年に米国のアレルギー・臨床免疫科専門医更新試験を受験した体験が述べられており,日頃の研鑽の成果が本書の基盤となっていることが推測される。
本書が臨床研修医に広く読まれ,アレルギー診療に対する理解と関心を高めることを願うとともに,著者の経験がわが国の医学教育や卒後教育にさらに活かせることを期待したい。
書評者: 森本 佳和 (コロラド大アシスタントプロフェッサー・アレルギー科)
本書の著者である岡田正人氏はニューヨークで内科研修,Yale大学でリウマチ・アレルギー臨床免疫科のフェローシップを修了され,米国の内科学・リウマチ学・アレルギー免疫学の3つの専門医を持っておられる。その後,フランスの大学関連病院にて8年間の臨床および医学教育の経験を持たれ,現在は聖路加国際病院に勤務しておられる。アレルギーは,日本-米国-ヨーロッパで大きな違いの見られる医療分野の1つである。アレルゲンに対する減感作療法ひとつを比較しても,あまり一般的に行われない日本,皮下投与による減感作療法を中心とする米国,舌下投与による減感作療法を積極的に取り入れるヨーロッパ,という具合である。これら異なる医療地域をトップレベルの医療機関で実際に臨床医療を経験してこられた岡田氏が書かれた書物であり,その価値は高い。
さて,本書を手にし,ページをめくると,そのギッチリと詰め込まれた内容に手に汗をかく思いさえする。内容は新しく,多くのエビデンスをもとに著者である岡田氏の経験や知識に触れることができる。米国におけるアレルギー免疫学の専門臨床トレーニング(フェローシップ)は最低2年間であり,筆者自身その教職にあるが,本書にある内容を身につけて実践できれば,アレルギー疾患に関してはそれで十分ではないかとさえ感じさせられる。
アレルギー疾患はその病因においてアトピー性素因という共通点があり,例えば鼻炎,アトピー性皮膚炎,喘息,食物アレルギーの疾患が一人の患者に合併することは頻繁にある。日本においてこれら疾患の専門的治療を受けるとなると,耳鼻咽喉科・皮膚科・呼吸器内科・小児科などと多くの科にわたることになる。患者側にとっても問題であるが,医療を行う側にとっても良質で包括的なアレルギー疾患のトレーニングを受けることが難しい状況にある。
このような背景があるため,例えばプライマリケアレベルでアトピー性皮膚炎,蕁麻疹,鼻炎,喘息,食物アレルギーといった疾患に対して,標準的で質の高い治療が広く行われているかどうかははっきりしない。これらアレルギー疾患については,同僚や先輩医師からの教え,あるいはどこかで仕入れた知識をもとに,慣習的医療が行われているのが一般的かもしれない。また,日本でアレルギー疾患の診療についての実践的な書物は限られている。かといって,海外由来のエビデンスを日常診療に取り入れるにはさまざまな問題に直面する。使用される薬剤も異なるうえに,文化もスタディされる患者も異なる。海外からの書物あるいは翻訳書を読むことはできても,そこに記されている内容を日常診療に応用できるかどうかは別問題である。本書は海外・国内のエビデンスをもとに,岡田氏自身の類まれなる経験に基づく解釈によって,臨床的にすぐに応用できる情報が詰め込まれている。日本でのアレルギー疾患の診療に即応用できる実践的な書物である。
さらに本書の章末ごとにある「臨床医のための免疫学」OverSimplifiedは圧巻である。「自然免疫と適応免疫(獲得免疫)―お巡りさんと刑事さん」ではToll-like receptor(TLR)とアレルギー疾患の関連,「細かいことは気にしないスーパー抗原」ではスーパー抗原とアトピー性皮膚炎の関連性など,近年よく話題にされるアレルギー領域での免疫学の知識がわかりやすく述べられている。近年の進歩によって,基礎医学の知識が臨床医学に応用されるということが多くなり,基礎的な免疫学の知識はますます重要性を帯びてきており,それをこのように楽しく学べることは大変嬉しいことである。
タイトルは控えめに「レジデントのための…」とあるが,上級医や指導医,アレルギー疾患を専門とされる医師にこそ読んでいただきたい名著である。
アレルギー診療への理解と実践を助ける良書
書評者: 狩野 庄吾 (自治医大名誉教授)
『レジデントのためのアレルギー疾患診療マニュアル』は,アレルギー専門医をめざすレジデントだけでなく,他の分野に進む臨床研修医,プライマリケア医にもお勧めしたい本である。
著者の岡田正人氏は,医師免許取得後,横須賀米海軍病院で卒後研修生として1年間臨床研修を受けた。1991年に渡米してNew YorkのBeth Israel Medical Centerで3年間内科レジデントとして臨床のトレーニングを受け,さらにYale Universityで3年間フェローとしてリウマチ学とアレルギー学の臨床と研究に従事した経歴を持つ。米国の内科専門医,アレルギー・臨床免疫科専門医,リウマチ科専門医の資格を取得している。その後,フランスのAmerican Hospital of Parisで内科,アレルギー,リウマチの診療を続け,2006年4月から聖路加国際病院のアレルギー膠原病科に勤務している。日本,米国(コネチカット州),フランスの医師免許を取得している。
本書は,アレルギー疾患診療に関して米国で受けた体系的な臨床研修の体験を基盤にして,その後の日米仏における診療の中で身につけた臨床経験と,アレルギー全般に関する著者自身の生涯研修の成果をまとめたものであり,アレルギー診療を行うための実践書である。
アレルギー疾患は,全身性疾患であり,小児から高齢者まで幅広い年齢層が罹患する。わが国ではアレルギー疾患の教育が,小児科,内科,皮膚科,耳鼻咽喉科,眼科など別々のアプローチで行われることが通常である。本書では,アレルギー医は全身を診ることが重要であることを強調し,「アレルギー疾患の診方・考え方」を最初に置いている。呼吸器系のアレルギー疾患を連続した病態(one airway one disease)として理解すること,年齢によって頻度の高いアレルギー疾患やその原因となるアレルゲンや症状が異なることを念頭に置いて診療に当たる必要があることなど,アレルギー疾患診療の基本的考え方を示している。
食物アレルギー,アナフィラキシー,アレルギー鼻炎,副鼻腔炎,喘息,薬物アレルギー,アトピー性皮膚炎,じんま疹,血管浮腫,接触性皮膚炎などの各論においても,診断・治療・予防についての要点をEBMに即して記述してある。海外・国内の主要な論文は文献として引用されており,その中には日本アレルギー学会喘息ガイドライン専門部会監修の『喘息予防・管理ガイドライン2006』や厚生労働科学研究班による「食物アレルギーの診療の手引き2005」などわが国における最新の診療ガイドラインも含まれ,臨床第一線の専門医にとっても役立つと思われる。
週刊医学界新聞に寄稿した「米国における専門医資格更新制度」に著者が2005年に米国のアレルギー・臨床免疫科専門医更新試験を受験した体験が述べられており,日頃の研鑽の成果が本書の基盤となっていることが推測される。
本書が臨床研修医に広く読まれ,アレルギー診療に対する理解と関心を高めることを願うとともに,著者の経験がわが国の医学教育や卒後教育にさらに活かせることを期待したい。
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本書の記述の正確性につきましては最善の努力を払っておりますが、この度弊社の責任におきまして、下記のような誤りがございました。お詫び申し上げますとともに訂正させていただきます。
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