臨床麻酔レジデントマニュアル
初期研修から麻酔科後期研修まで、この1冊で!
もっと見る
定評のあるレジデントマニュアルシリーズの1冊。研修に熱心に取り組んでいる奈良医大麻酔科が総力を挙げて作成した実践的マニュアル。麻酔薬の薬理、術前評価、手技、モニタリング、合併症対策、術後管理、危機管理などの必要十分な知識を網羅し、各科麻酔についてはよく遭遇する重要な症例という切り口で臨床に即役立つように構成した。この1冊で初期研修から麻酔科後期研修、専門医を目指すレベルまで対応。
*「レジデントマニュアル」は株式会社医学書院の登録商標です。
シリーズ | レジデントマニュアル |
---|---|
編集 | 古家 仁 |
編集協力 | 川口 昌彦 / 井上 聡己 |
発行 | 2008年06月判型:B6変頁:324 |
ISBN | 978-4-260-00617-0 |
定価 | 4,180円 (本体3,800円+税) |
- 販売終了
更新情報
-
更新情報はありません。
お気に入り商品に追加すると、この商品の更新情報や関連情報などをマイページでお知らせいたします。
- 序文
- 目次
- 書評
- 正誤表
序文
開く
序
本書は医学書院の『レジデントマニュアル』シリーズの1冊として,その基本路線に沿って,いつもポケットに入れて携帯し参照できるようなボリュームと困ったときに調べたいことがすぐ出てくるような体裁にしました.そのため教科書とは一線を画した内容になっており,細かい説明などは省いてあります.内容は奈良県立医科大学麻酔科で実際に実施している麻酔業務から得られた点を中心に記載するようにしました.そして,奈良県立医科大学麻酔科の総力を上げて,また奈良県立医科大学麻酔科らしく,ということもモットーに作成しました.もっとも,麻酔科臨床の基本を忠実に網羅することを心がけていますので,もちろんどの施設でも共通して使える内容になっています.
レベルとしては麻酔科後期研修から専門医受験生ぐらいまで使える内容としていますが,初期研修医にも十分理解できる内容ですから,麻酔科の研修時に持ち歩いて自分が必要と思ったことを書き込んでいって欲しいと思います.基礎的理論よりもすぐに役立つ実践的な内容にしたつもりです.困ったときに上級医に尋ねたいような内容も盛り込んでいます.より実践的な内容にするため薬剤投与量なども実際の数値を提示するようにしました.また,記述形式としては簡素化するために箇条書きの構成にし,項目ごとにページを改めるようにしました.
また,「What would you do?」というコラムを時々入れております.ここには,ちょっとした知識,少し詳しい知識,考えさせられることなどを簡略に書いております.知識を増やしたり,新しい課題を考えたりする上でも役立てて欲しいと思います.
本書を実際に使われ,お読みになって,疑問に思われた点,お気づきになった点がございましたら是非ご指摘いただきたく存じます.
最後に,執筆の機会を与えてくださった医学書院に深く感謝いたします.
2008年5月
奈良県立医科大学麻酔科学 教授
古家 仁
本書は医学書院の『レジデントマニュアル』シリーズの1冊として,その基本路線に沿って,いつもポケットに入れて携帯し参照できるようなボリュームと困ったときに調べたいことがすぐ出てくるような体裁にしました.そのため教科書とは一線を画した内容になっており,細かい説明などは省いてあります.内容は奈良県立医科大学麻酔科で実際に実施している麻酔業務から得られた点を中心に記載するようにしました.そして,奈良県立医科大学麻酔科の総力を上げて,また奈良県立医科大学麻酔科らしく,ということもモットーに作成しました.もっとも,麻酔科臨床の基本を忠実に網羅することを心がけていますので,もちろんどの施設でも共通して使える内容になっています.
レベルとしては麻酔科後期研修から専門医受験生ぐらいまで使える内容としていますが,初期研修医にも十分理解できる内容ですから,麻酔科の研修時に持ち歩いて自分が必要と思ったことを書き込んでいって欲しいと思います.基礎的理論よりもすぐに役立つ実践的な内容にしたつもりです.困ったときに上級医に尋ねたいような内容も盛り込んでいます.より実践的な内容にするため薬剤投与量なども実際の数値を提示するようにしました.また,記述形式としては簡素化するために箇条書きの構成にし,項目ごとにページを改めるようにしました.
また,「What would you do?」というコラムを時々入れております.ここには,ちょっとした知識,少し詳しい知識,考えさせられることなどを簡略に書いております.知識を増やしたり,新しい課題を考えたりする上でも役立てて欲しいと思います.
本書を実際に使われ,お読みになって,疑問に思われた点,お気づきになった点がございましたら是非ご指摘いただきたく存じます.
最後に,執筆の機会を与えてくださった医学書院に深く感謝いたします.
2008年5月
奈良県立医科大学麻酔科学 教授
古家 仁
目次
開く
序章 麻酔科研修と麻酔科専門医への道
第I章 臨床麻酔のための薬理学
第II章 術前評価
第III章 麻酔管理に必要な手技
第IV章 モニタリング
第V章 合併症とその対策
第VI章 比較的頻度が高い留意すべき症例
第VII章 術後管理
第VIII章 麻酔と危機管理
付録
索引
第I章 臨床麻酔のための薬理学
第II章 術前評価
第III章 麻酔管理に必要な手技
第IV章 モニタリング
第V章 合併症とその対策
第VI章 比較的頻度が高い留意すべき症例
第VII章 術後管理
第VIII章 麻酔と危機管理
付録
索引
書評
開く
研修医,若手麻酔医,そして指導医に
書評者: 並木 昭義 (札幌医大教授・麻酔学)
今年の6月に医学書院から『臨床麻酔レジデントマニュアル』が発刊された。この本の編集執筆を奈良県立医科大学麻酔学教室に依頼されたことは最適な選択であった。編集責任者の古家仁教授は日本麻酔科学会常務理事として,日本の麻酔科および麻酔科医に現在そして将来何が必要かを十分に理解している。その教室は術中の麻酔業務だけでなく,術前,術後の周術期管理に熱心に取り組んでいる。そして研修医,若手麻酔科医に臨床麻酔の知識,技術を習得させるだけでなく,患者への接し方および他科医師,看護師への対応などの教育にも力を注いでいるからである。
本書はポケット版のマニュアルであるが,臨床麻酔に必要な内容がほぼ網羅されている。しかも簡潔な表現で図表も多く用い,理解しやすく編集してある。このような本ができたのは編集協力者の川口昌彦准教授,井上聡己講師および執筆に携わった29名の教室員の皆さんの努力と頑張りによる。この本からは,各執筆者が臨床現場で研修医や若手麻酔科医が何を求めているかよく知っているということや,その知識と技術を伝えたいという彼らの意気込みが伝わってくる。自分で書いたものを用いて指導に当たることは執筆者にとって嬉しいことだけでなく自分の勉強と励みになる。
この本は序章,本文8章,付録,コラムから構成される。序章では麻酔科研修と麻酔科専門医への道が書かれている。第I章は臨床麻酔のための薬理学で各種麻酔薬,麻酔関連薬など6項目から成る。第II章は術前評価,前投薬などの術前対応など10項目から成る。第III章は麻酔管理に必要な手技で麻酔器の始業点検,吸入および静脈麻酔法,気道確保に必要な各種方法や器具,輸血輸液法,各種神経ブロック法,救命処置など10項目と広範囲にわたり書かれている。第IV章はモニタリングで基本モニターをはじめ筋弛緩,経食道心エコー,麻酔深度など8項目を取り上げている。第V章は合併症とその対策で低酸素血症,肺塞栓症,アナフィラキシーなど日常臨床でよく遭遇する11項目を挙げている。第VI章は比較的頻度が高い留意すべき症例で37項目を挙げており,日常臨床において必要な症例がほぼ網羅されており,その内容もよく書かれている。第VII章は術後管理で術後訪問から術後管理,合併症対策など6項目が書かれている。第VIII章は麻酔と危機管理でヒヤリハット,災害時の対応,麻酔事故への対応など5項目から成る。付録は臨床麻酔の現場に携わる者にとって必要な知識を図表を多く用いて簡潔にまとめられており,大変有益である。文中の適所に「what would you do?」という27のコラムが入っている。この内容は現場で関心かつ重要な問題を取り上げ適切に解説されており参考になる。
この本はポケット版であるが,その内容の質は通常の教科書に引けをとらないものがあり,研修医,若手麻酔科医だけでなく指導に当たる専門医もぜひ手元に置き大いに活用することを薦める。
一分の隙も見せない見事な臨床麻酔実践書
書評者: 澄川 耕二 (長崎大教授・麻酔蘇生学)
臨床麻酔の実践はまさに患者の生命を預かることであり,広範な事項にわたって適切な判断が要求される。知識の一部が欠落するだけで重大な結果を招く恐れがあり,実践の根拠となる知識は常に再確認が必要である。医学生は試験で80点も取れば余裕で合格するであろうが,専門医の判断には100点満点が要求されるのである。
臨床麻酔の実践にあたっては,生理学や薬理学の系統的な知識をベースとした最新の技法ときめ細かな配慮が欠かせない。さらに,臨床の現場で遭遇する偶発症やさまざまな出来事に対しても適切な対処が必要である。本書は臨床麻酔を実践するにあたり,現場での意思決定に必要なあらゆる知識・技術を網羅しており,一分の隙も見せない見事な構成となっている。麻酔科専門医を目指すレジデントに格好のマニュアルであるが,専門医にとっても知識の欠落がないかをチェックするのに大いに有用である。また,初期研修医にとっても具体的な手引書として研修効果を高めることができよう。
本書の記述は実証的かつ具体的で即実践に応用できる。術前評価の章では説明と同意についても項を設け,奈良医科大学麻酔科で実践している術前外来の方法に基づいて,ビデオの利用,説明方法,注意点などをきめ細かに述べる。術前禁煙についても,禁煙1日で酸素運搬能改善,3日で気管支線毛運動改善,2週間で喀痰減少,2か月で肺合併症減少と具体的データを提供する。麻酔管理に必要な手技の章では,各種の麻酔法を解説するが,VIMAやTIVAについても初心者でも実践できるよう薬剤の投与法やタイミング,術後鎮痛まできめ細かい。ラリンジアルマスクや各種挿管器具の使用手技も,エキスパートのテクニックが伝授される。留意すべき症例の章では,各科手術や特殊症例の麻酔を網羅するが,低出生体重児,覚醒下開頭手術,日帰り手術,エホバの証人などの麻酔や手術室外での麻酔についても必要事項が過不足なく述べられる。術後管理の章では術後外来の実践や術後鎮痛法,術後合併症への対処などが述べられ,麻酔と危機管理の章ではCDC手術部位感染防止ガイドライン,針刺し事故,災害時の対応まで解説が及ぶ。
本書はいつもポケットに入れて携帯できるコンパクトなサイズに作られており,日々の臨床で疑問点を解消するのに大いに威力を発揮するのは間違いない。要点を箇条書きにすることで,限られたボリュームに膨大な情報量を収載し,しかも調べたい情報の検索が容易である。臨床麻酔の実践能力を高めるために大いに活用されることを勧めたい。
書評者: 並木 昭義 (札幌医大教授・麻酔学)
今年の6月に医学書院から『臨床麻酔レジデントマニュアル』が発刊された。この本の編集執筆を奈良県立医科大学麻酔学教室に依頼されたことは最適な選択であった。編集責任者の古家仁教授は日本麻酔科学会常務理事として,日本の麻酔科および麻酔科医に現在そして将来何が必要かを十分に理解している。その教室は術中の麻酔業務だけでなく,術前,術後の周術期管理に熱心に取り組んでいる。そして研修医,若手麻酔科医に臨床麻酔の知識,技術を習得させるだけでなく,患者への接し方および他科医師,看護師への対応などの教育にも力を注いでいるからである。
本書はポケット版のマニュアルであるが,臨床麻酔に必要な内容がほぼ網羅されている。しかも簡潔な表現で図表も多く用い,理解しやすく編集してある。このような本ができたのは編集協力者の川口昌彦准教授,井上聡己講師および執筆に携わった29名の教室員の皆さんの努力と頑張りによる。この本からは,各執筆者が臨床現場で研修医や若手麻酔科医が何を求めているかよく知っているということや,その知識と技術を伝えたいという彼らの意気込みが伝わってくる。自分で書いたものを用いて指導に当たることは執筆者にとって嬉しいことだけでなく自分の勉強と励みになる。
この本は序章,本文8章,付録,コラムから構成される。序章では麻酔科研修と麻酔科専門医への道が書かれている。第I章は臨床麻酔のための薬理学で各種麻酔薬,麻酔関連薬など6項目から成る。第II章は術前評価,前投薬などの術前対応など10項目から成る。第III章は麻酔管理に必要な手技で麻酔器の始業点検,吸入および静脈麻酔法,気道確保に必要な各種方法や器具,輸血輸液法,各種神経ブロック法,救命処置など10項目と広範囲にわたり書かれている。第IV章はモニタリングで基本モニターをはじめ筋弛緩,経食道心エコー,麻酔深度など8項目を取り上げている。第V章は合併症とその対策で低酸素血症,肺塞栓症,アナフィラキシーなど日常臨床でよく遭遇する11項目を挙げている。第VI章は比較的頻度が高い留意すべき症例で37項目を挙げており,日常臨床において必要な症例がほぼ網羅されており,その内容もよく書かれている。第VII章は術後管理で術後訪問から術後管理,合併症対策など6項目が書かれている。第VIII章は麻酔と危機管理でヒヤリハット,災害時の対応,麻酔事故への対応など5項目から成る。付録は臨床麻酔の現場に携わる者にとって必要な知識を図表を多く用いて簡潔にまとめられており,大変有益である。文中の適所に「what would you do?」という27のコラムが入っている。この内容は現場で関心かつ重要な問題を取り上げ適切に解説されており参考になる。
この本はポケット版であるが,その内容の質は通常の教科書に引けをとらないものがあり,研修医,若手麻酔科医だけでなく指導に当たる専門医もぜひ手元に置き大いに活用することを薦める。
一分の隙も見せない見事な臨床麻酔実践書
書評者: 澄川 耕二 (長崎大教授・麻酔蘇生学)
臨床麻酔の実践はまさに患者の生命を預かることであり,広範な事項にわたって適切な判断が要求される。知識の一部が欠落するだけで重大な結果を招く恐れがあり,実践の根拠となる知識は常に再確認が必要である。医学生は試験で80点も取れば余裕で合格するであろうが,専門医の判断には100点満点が要求されるのである。
臨床麻酔の実践にあたっては,生理学や薬理学の系統的な知識をベースとした最新の技法ときめ細かな配慮が欠かせない。さらに,臨床の現場で遭遇する偶発症やさまざまな出来事に対しても適切な対処が必要である。本書は臨床麻酔を実践するにあたり,現場での意思決定に必要なあらゆる知識・技術を網羅しており,一分の隙も見せない見事な構成となっている。麻酔科専門医を目指すレジデントに格好のマニュアルであるが,専門医にとっても知識の欠落がないかをチェックするのに大いに有用である。また,初期研修医にとっても具体的な手引書として研修効果を高めることができよう。
本書の記述は実証的かつ具体的で即実践に応用できる。術前評価の章では説明と同意についても項を設け,奈良医科大学麻酔科で実践している術前外来の方法に基づいて,ビデオの利用,説明方法,注意点などをきめ細かに述べる。術前禁煙についても,禁煙1日で酸素運搬能改善,3日で気管支線毛運動改善,2週間で喀痰減少,2か月で肺合併症減少と具体的データを提供する。麻酔管理に必要な手技の章では,各種の麻酔法を解説するが,VIMAやTIVAについても初心者でも実践できるよう薬剤の投与法やタイミング,術後鎮痛まできめ細かい。ラリンジアルマスクや各種挿管器具の使用手技も,エキスパートのテクニックが伝授される。留意すべき症例の章では,各科手術や特殊症例の麻酔を網羅するが,低出生体重児,覚醒下開頭手術,日帰り手術,エホバの証人などの麻酔や手術室外での麻酔についても必要事項が過不足なく述べられる。術後管理の章では術後外来の実践や術後鎮痛法,術後合併症への対処などが述べられ,麻酔と危機管理の章ではCDC手術部位感染防止ガイドライン,針刺し事故,災害時の対応まで解説が及ぶ。
本書はいつもポケットに入れて携帯できるコンパクトなサイズに作られており,日々の臨床で疑問点を解消するのに大いに威力を発揮するのは間違いない。要点を箇条書きにすることで,限られたボリュームに膨大な情報量を収載し,しかも調べたい情報の検索が容易である。臨床麻酔の実践能力を高めるために大いに活用されることを勧めたい。
正誤表
開く
本書の記述の正確性につきましては最善の努力を払っておりますが、この度弊社の責任におきまして、下記のような誤りがございました。お詫び申し上げますとともに訂正させていただきます。