病院のDON
看護管理で病院がよみがえる

もっと見る

病院を取り巻く環境は大きく変化しつつあり,看護管理の重要性が増してきている。わが国で病院管理・看護管理の現場に最も精通している著者が,現場の声に耳を傾けつつ,いま,看護管理者に何が必要なのかを,雑誌『病院』に3年間にわたって連載した内容に加筆してまとめた書。DONとは看護部長(Director of Nursing)のこと。
小山 秀夫
発行 2004年11月判型:A5頁:192
ISBN 978-4-260-33376-4
定価 2,860円 (本体2,600円+税)
  • 販売終了

お近くの取り扱い書店を探す

  • 更新情報はありません。
    お気に入り商品に追加すると、この商品の更新情報や関連情報などをマイページでお知らせいたします。

  • 目次
  • 書評

開く

Chapter1 病院のDON
Chapter2 看護部長の基本的業務
Chapter3 変化への対応力
Chapter4 看護部長の組織管理
Chapter5 マネジメント技法への関心度
Chapter6 専門看護職と組織改革
Chapter7 看護部門の組織文化
Chapter8 医療事故と患者安全
Chapter9 変革期の人材マネジメント
Chapter10 職場内ストレスマネジメント
Chapter11 看護政策対応力
Chapter12 院内看護政策力
Chapter13 看護職の賃金管理
Chapter14 看護単位
Chapter15 超過勤務手当
Chapter16 看護報酬の考え方
Chapter17 平均在院日数と紹介率
Chapter18 採用管理
Chapter19 院内看護教育力
Chapter20 看護組織の革新
Chapter21 キャリア・ディベロップメント
Chapter22 情報マネジメント
Chapter23 コミュニケーション
Chapter24 看護業務の変化
Chapter25 苦情対応のマネジメント
Chapter26 看護研究マネジメント
Chapter27 組織フレームワークの再検討
Chapter28 アウトソーシング
Chapter29 院内物流
Chapter30 管理職のワーキングスペース
Chapter31 ワーキングスペースとOA
Chapter32 コスト意識と金銭感覚
Chapter33 喫煙と看護管理
Chapter34 看護情報提供と看護連携
Chapter35 看護業務の電子化
Chapter36 病院統治力
さくいん

開く

看護管理者の現代のバイブル (雑誌『看護管理』より)
書評者: 星野 惠美子 (社会保険船橋中央病院看護局長)
◆現場で得た豊富な知見がベース

 この本を読んで4年前のことが思い起こされた。現在の施設の看護局長(この本でいう“DON=Directer of Nursing”)就任の要請を受けたときのことである。決心をしてからも何をどのように準備をし,整えておけばよいのかわからず焦りを感じていた。手当たり次第に本を読めば読むほど次々に湧き上がる課題に,仕事の範囲と量は増えるばかりであった。

 しかし,そのときに,この本があれば随分と助かったと思ったのが第一印象である。この本は,私たち“DON”が取り組まねばならない重要なこと,時には実際に悩んでいることが,一節一節に簡潔にわかりやすく,しかも,広範囲のテーマを網羅する形でまとめられている。そして,現場に即して述べられていることが大きな特徴である。つまり,理想論で「こうあらねばねらない,このようにすべきである」ということだけで話が終わっていないということである。現在の医療の現場に至るまでの経緯と,今何ができ,何が困難であるか,しかし,何に挑戦しなければならないかがていねいに述べられている。これは,著者自身が多くの施設の現場を見聞し,多くのDONからさまざまな問題を収集し得られた豊富な知見をベースにしてはじめて可能となる。

 例えば,Chapter32の「コスト意識と金銭感覚」では,「筆者の体験だが,看護部内のコスト対策を単にスタッフの『コスト意識』の醸成から開始すると失敗する場合が多い。コスト対策に必要なことは,まず……,次に……」というように具体的に示されている。そして,そのプロセスでは,コスト意識の考え方,意義をも示唆している。別のChapterでは,諸外国との対比や今後の課題などが示され,多角的な視点や歴史的な意味づけがなされて解説されている。これらは,院長をはじめとする病院経営層との交渉時に大いに役に立つだろう。

◆意欲をもって看護に携わるすべての人に

 また,ストレスや孤独に関しては,セリエの理論など,科学的知識の重要性をも指摘しているし,責任の重さから自分の限界を感じて押しつぶされそうになるぎりぎりのところで勇気づけてくれるChapterも多々ある。

 この本を読んでいて,高校時代の教師の言葉を思い出した。「頭の良い人は,何か分からないとき,困ったときに,どの本でどのように調べればよいかを知っている」といわれた。いまなら,まさにこの本のことである。

 以上,述べてきたようにDONに向けての指導書という形をとっているが,中堅管理者のみならず現状を変革しようと前向きに奮闘しているリーダー看護師にとっても,今何ができ,何をやらなければならないかの手がかりを実感として掴むことができ,変革への取り組みに勇気をもらえる。意欲をもって看護に携わる全ての立場の人にとって,バイブルとなりえる1冊である。

(『看護管理』2005年4月号掲載)

  • 更新情報はありません。
    お気に入り商品に追加すると、この商品の更新情報や関連情報などをマイページでお知らせいたします。