ジョスリン糖尿病デスクブック
世界をリードするジョスリン糖尿病センターの精鋭が著す糖尿病診療の“いま”
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100年以上にわたり世界の糖尿病治療をリードする「ジョスリン糖尿病センター」において、糖尿病診療は現在いかに行われているのか--同センターの第一線で診療・研究にあたる精鋭の著者陣が著す糖尿病診療の“いま”を邦訳した本書は、各種療法、患者教育、心理的問題等を網羅。わが国の糖尿病診療を志す医師に多大な示唆を与える、必携の書!
編著 | Richard S. Beaser |
---|---|
監訳 | 松澤 佑次 |
発行 | 2007年05月判型:A5頁:588 |
ISBN | 978-4-260-00314-8 |
定価 | 9,680円 (本体8,800円+税) |
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序文
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監訳者の序
松澤佑次
このたびJoslin's Diabetes Deskbookの翻訳版を監修する機会を得た。ジョスリン糖尿病センターはハーバード大学に連携した糖尿病治療・研究・教育の研究所であり,100年以上の歴史と豊富な人材を擁して世界の糖尿病診療の指導的存在となっている。本書は,同センターで20年間にわたって糖尿病診療に携わり現在糖尿病教育部門の主任部長を務めておられるR. S. Beaser博士を編著者として,加えて10人の執筆者によってまとめられた糖尿病プライマリケアを中心としたガイドブックである。
飽食と運動不足を背景に糖尿病は世界的な勢いで増加しており,わが国でも2,000万人に迫ろうかという勢いであり,糖尿病を基盤にした多くの病態,いわゆる糖尿病合併症が医療費の高騰を引き起こし,特に最終結果としての動脈硬化性疾患,腎疾患などは生命予後を決定する深刻な医学的課題になっている。したがって,糖尿病を初期段階から的確に診断し,正しい管理を行うことによって,糖尿病の進行を止め,合併症の発症を防ぐ必要性は周知の事実であり,わが国でも糖尿病学会を中心に大きな努力が払われてきたが,これらの努力は現状では必ずしも結果として現れていない。今後,糖尿病発症さらには合併症発症を減らすためには,糖尿病専門医や糖尿病療養指導士などのコメディカルの育成をさらに推進すると共に,国民への啓発と教育を効果的に行っていく必要がある。最近注目されているメタボリックシンドロームという病態,つまり内臓脂肪蓄積を基盤に糖尿病を含むマルチプルリスク症候群への対策は,動脈硬化性疾患の予防に有効であるばかりではなく糖尿病の発症・進展の予防に極めて有用で,現在一般の関心が高まっている機会に一気にライフスタイルを改善する予防医学を定着させることも期待される。しかし,最も重要で効果的な対策は,全国の医師に糖尿病診療の基本知識とup-to-dateの知識を今以上に浸透させることであろう。これまでの糖尿病診療に関する教育・啓発は,主として糖尿病学会を中心にして糖尿病専門医のレベルを上げることに力が注がれてきた。これらによって,病院や糖尿病専門医を標榜する一部の実地医家の糖尿病診療の質が確実に上がっている。しかし,問題は2,000万人にも達する糖尿病患者や予備群が必ずしもそのような専門家の恩恵を蒙ることができないという事実である。ほとんどの糖尿病患者は,一般実地医家での診療を受けることになるのである。つまり,わが国の糖尿病診療の平均レベルを上げるためには,専門医の教育はもちろん必要ではあるが,それに加えて全国津々浦々でプライマリケアに専念されている実地医家の糖尿病診療の水準を上げることが必須の課題であろう。
さて本書は,副題に“A Guide for Primary Care Providers”とあるように,実地医家を対象とした糖尿病診療のガイドブックとして発行されたもので,非専門家においても糖尿病の日常診療に必要な知識を解説しており,大変有用な糖尿病教科書であると思われる。わが国の医療制度や薬物使用状況と異なる米国の医師を対象としていることから,直接には応用しにくい部分も若干あるが,その部分については訳注を入れてわが国の診療に導入できるように解説している。
いずれにしても,100年以上の糖尿病診療と教育の歴史を持つジョスリン糖尿病センターのチームによる糖尿病診療の基本を知ることは,非専門家にはもちろん糖尿病専門家においても意義深いものと考え,本書の日常診療での活用を期待している。
2007年 3月31日
松澤佑次
このたびJoslin's Diabetes Deskbookの翻訳版を監修する機会を得た。ジョスリン糖尿病センターはハーバード大学に連携した糖尿病治療・研究・教育の研究所であり,100年以上の歴史と豊富な人材を擁して世界の糖尿病診療の指導的存在となっている。本書は,同センターで20年間にわたって糖尿病診療に携わり現在糖尿病教育部門の主任部長を務めておられるR. S. Beaser博士を編著者として,加えて10人の執筆者によってまとめられた糖尿病プライマリケアを中心としたガイドブックである。
飽食と運動不足を背景に糖尿病は世界的な勢いで増加しており,わが国でも2,000万人に迫ろうかという勢いであり,糖尿病を基盤にした多くの病態,いわゆる糖尿病合併症が医療費の高騰を引き起こし,特に最終結果としての動脈硬化性疾患,腎疾患などは生命予後を決定する深刻な医学的課題になっている。したがって,糖尿病を初期段階から的確に診断し,正しい管理を行うことによって,糖尿病の進行を止め,合併症の発症を防ぐ必要性は周知の事実であり,わが国でも糖尿病学会を中心に大きな努力が払われてきたが,これらの努力は現状では必ずしも結果として現れていない。今後,糖尿病発症さらには合併症発症を減らすためには,糖尿病専門医や糖尿病療養指導士などのコメディカルの育成をさらに推進すると共に,国民への啓発と教育を効果的に行っていく必要がある。最近注目されているメタボリックシンドロームという病態,つまり内臓脂肪蓄積を基盤に糖尿病を含むマルチプルリスク症候群への対策は,動脈硬化性疾患の予防に有効であるばかりではなく糖尿病の発症・進展の予防に極めて有用で,現在一般の関心が高まっている機会に一気にライフスタイルを改善する予防医学を定着させることも期待される。しかし,最も重要で効果的な対策は,全国の医師に糖尿病診療の基本知識とup-to-dateの知識を今以上に浸透させることであろう。これまでの糖尿病診療に関する教育・啓発は,主として糖尿病学会を中心にして糖尿病専門医のレベルを上げることに力が注がれてきた。これらによって,病院や糖尿病専門医を標榜する一部の実地医家の糖尿病診療の質が確実に上がっている。しかし,問題は2,000万人にも達する糖尿病患者や予備群が必ずしもそのような専門家の恩恵を蒙ることができないという事実である。ほとんどの糖尿病患者は,一般実地医家での診療を受けることになるのである。つまり,わが国の糖尿病診療の平均レベルを上げるためには,専門医の教育はもちろん必要ではあるが,それに加えて全国津々浦々でプライマリケアに専念されている実地医家の糖尿病診療の水準を上げることが必須の課題であろう。
さて本書は,副題に“A Guide for Primary Care Providers”とあるように,実地医家を対象とした糖尿病診療のガイドブックとして発行されたもので,非専門家においても糖尿病の日常診療に必要な知識を解説しており,大変有用な糖尿病教科書であると思われる。わが国の医療制度や薬物使用状況と異なる米国の医師を対象としていることから,直接には応用しにくい部分も若干あるが,その部分については訳注を入れてわが国の診療に導入できるように解説している。
いずれにしても,100年以上の糖尿病診療と教育の歴史を持つジョスリン糖尿病センターのチームによる糖尿病診療の基本を知ることは,非専門家にはもちろん糖尿病専門家においても意義深いものと考え,本書の日常診療での活用を期待している。
2007年 3月31日
目次
開く
1 定義および病態
2 診断と治療へのアプローチ
3 糖尿病のモニタリング
4 医学的栄養療法
5 運動
6 2型糖尿病:複合疾患に対する複合的治療
7 2型糖尿病の薬物療法:その病態に合致する薬剤
8 インスリンを用いた糖尿病の治療--一般原則
9 インスリン従来療法
10 生理的インスリン治療プログラム
11 患者教育
12 急性合併症
13 細小血管合併症
14 大血管合併症
15 糖尿病性神経障害
16 足:臨床ケアとトラブルの予防
17 糖尿病患者の外科的管理
18 女性・男性それぞれに特有の問題
19 妊娠と糖尿病
20 小児糖尿病の治療
21 高齢者糖尿病
22 糖尿病治療における心理的問題
索引
2 診断と治療へのアプローチ
3 糖尿病のモニタリング
4 医学的栄養療法
5 運動
6 2型糖尿病:複合疾患に対する複合的治療
7 2型糖尿病の薬物療法:その病態に合致する薬剤
8 インスリンを用いた糖尿病の治療--一般原則
9 インスリン従来療法
10 生理的インスリン治療プログラム
11 患者教育
12 急性合併症
13 細小血管合併症
14 大血管合併症
15 糖尿病性神経障害
16 足:臨床ケアとトラブルの予防
17 糖尿病患者の外科的管理
18 女性・男性それぞれに特有の問題
19 妊娠と糖尿病
20 小児糖尿病の治療
21 高齢者糖尿病
22 糖尿病治療における心理的問題
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