保健師必携
こう書けばわかる! 保健師記録
個々の「記録」を「公文書」に変えるエッセンスを凝縮
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保健師記録は,訪問記録,相談記録,健診などの事業報告,さらにグループ活動の事業報告など多岐にわたる。本書は情報公開法の時代に対応した保健師記録の書き方について解説。記録を,誰が見ても意味のわかる公文書とするために,サービス提供者の思考過程Plan/Do/Seeが見える,わかりやすい記録の書き方を示す。
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- 目次
- 書評
目次
開く
基礎編1 記録の開示経緯と基本的な考え方
基礎編2 保健師記録のガイドライン
実践編1 保健師の思考過程をPlan/Do/Seeで書く
実践編2 良い記録を書くための条件
実践編3 精神障害者のインテーク面接の記録
実践編4 虐待を疑う母子訪問記録
実践編5 連携・協働を促進するツールとしての記録
実践編6 地域の多様なグループを記録する
実践編7 グループとしての成長をねらった支援記録
実践編8 グループ療法を活用した支援記録
展開編1 情報公開法と個人情報保護制度の基本的な考え方
展開編2 記録の管理
展開編3 行政評価に日々の実践記録を役立てるために
展開編4 記録の改善へのステップ
付録1 看護記録様式の紹介
付録2 付録様式のフォーマット例
あとがき
索引
基礎編2 保健師記録のガイドライン
実践編1 保健師の思考過程をPlan/Do/Seeで書く
実践編2 良い記録を書くための条件
実践編3 精神障害者のインテーク面接の記録
実践編4 虐待を疑う母子訪問記録
実践編5 連携・協働を促進するツールとしての記録
実践編6 地域の多様なグループを記録する
実践編7 グループとしての成長をねらった支援記録
実践編8 グループ療法を活用した支援記録
展開編1 情報公開法と個人情報保護制度の基本的な考え方
展開編2 記録の管理
展開編3 行政評価に日々の実践記録を役立てるために
展開編4 記録の改善へのステップ
付録1 看護記録様式の紹介
付録2 付録様式のフォーマット例
あとがき
索引
書評
開く
実践に役立つ記録の書き方を示した一冊
書評者: 平野 かよ子 (国立保健医療科学院公衆衛生看護部長)
これまで保健師の記録のあり方については,ほとんど取り上げられることがなかった。本書は,医療事故に伴いカルテ開示が求められることや,地域においても児童虐待や家庭内暴力のケースから保健師の記録の開示請求がなされるようになったことを踏まえ,これからの時代に対応した保健師の記録のあり方について,保健師ジャーナルに連載してきた『こう書けばわかる!保健師記録』を再構成してまとめた本である。全体は基礎編と実践編,さらに展開編で構成されている。
◆保健師記録は,情報公開の時代にあっては重要な公文書
基礎編では,1999年5月の情報公開法の制定,そして2003年5月の個人情報保護法の制定を契機に,保健師の記録の質が問題とされるようになったことを解説している。記録は,相談者とのかかわりの中で観察したこと,相談者の思い,そして保健師が感じたこと,言ったこと,行ったことを一連の流れを持って書き留めることが必要であるが,さらに,公文書として簡潔,明瞭に記載し,住民の利益を守り,行政責任を果たせる記録が必要となる。公文書ということは,個々の保健師が責任を持つ記録であるとともに,組織として責任を果たすための記録であり,各自治体の文書管理規定に基づき管理されなければならないことを展開編で述べている。
実践編では,望ましい記録のあり方として「保健師の思考過程」と,住民や関係者との「連携・協働の結果を評価」し記録することを提唱し,精神障害者との面接記録や虐待が疑われる母子の訪問記録,さらにグループとしての成長をねらった支援の記録など,保健師のかかわりが明瞭に示されると思われる記録の具体例を示して解説してくれている。
◆実践をPlan/Do/Seeの思考過程で示そう
保健師の家庭訪問の一例を考えてみたい。保健師は主人である住民に家に迎え入れられ,その場に自分自身を馴染ませ,相手の話を聞き観察し働きかける。客観的に対象と対峙しながらも,時には全身全霊でその場に居ることもある。訪問しても会おうとしてくれなかった人とやっと話ができたが,打ち解けて本音を語ってくれない。この人とのつながりをどう保てるか。また,家族が目の前で大声で言い争いをしはじめ,保健師も詰め寄られ,つい必死になることもある。そのような時は,自分自身にも対峙する視点をもって,その状況を体で感じながら立ち振る舞う。このようなことが常時あるわけではないが,そうした状況をどれだけ言語化し,概念化し,解釈・分析できるか。それはとりあえず「書き下ろす」ことで整理されることが多い。その場の臨場感を伝えることのできる記録は,必ずしも要素に分断されポイントを絞ったものではなく,一連の脈絡のあるものである。その場にいなかった者にも,その場の人々の姿,思いを伝えることは記録の本質であろう。公文書たることが優先されるのでなく,保健師が伝えたいことが伝わることを大切にし,かつ住民の利益を守り公文書として十分に機能しうる記録とすることが重要なのだと思わされた。そのひとつの突破口として,本書はPlan/Do/Seeの思考過程を書くことを提唱し,そのポイントを提示している。保健師記録のあり方についての貴重な一冊である。
書評者: 平野 かよ子 (国立保健医療科学院公衆衛生看護部長)
これまで保健師の記録のあり方については,ほとんど取り上げられることがなかった。本書は,医療事故に伴いカルテ開示が求められることや,地域においても児童虐待や家庭内暴力のケースから保健師の記録の開示請求がなされるようになったことを踏まえ,これからの時代に対応した保健師の記録のあり方について,保健師ジャーナルに連載してきた『こう書けばわかる!保健師記録』を再構成してまとめた本である。全体は基礎編と実践編,さらに展開編で構成されている。
◆保健師記録は,情報公開の時代にあっては重要な公文書
基礎編では,1999年5月の情報公開法の制定,そして2003年5月の個人情報保護法の制定を契機に,保健師の記録の質が問題とされるようになったことを解説している。記録は,相談者とのかかわりの中で観察したこと,相談者の思い,そして保健師が感じたこと,言ったこと,行ったことを一連の流れを持って書き留めることが必要であるが,さらに,公文書として簡潔,明瞭に記載し,住民の利益を守り,行政責任を果たせる記録が必要となる。公文書ということは,個々の保健師が責任を持つ記録であるとともに,組織として責任を果たすための記録であり,各自治体の文書管理規定に基づき管理されなければならないことを展開編で述べている。
実践編では,望ましい記録のあり方として「保健師の思考過程」と,住民や関係者との「連携・協働の結果を評価」し記録することを提唱し,精神障害者との面接記録や虐待が疑われる母子の訪問記録,さらにグループとしての成長をねらった支援の記録など,保健師のかかわりが明瞭に示されると思われる記録の具体例を示して解説してくれている。
◆実践をPlan/Do/Seeの思考過程で示そう
保健師の家庭訪問の一例を考えてみたい。保健師は主人である住民に家に迎え入れられ,その場に自分自身を馴染ませ,相手の話を聞き観察し働きかける。客観的に対象と対峙しながらも,時には全身全霊でその場に居ることもある。訪問しても会おうとしてくれなかった人とやっと話ができたが,打ち解けて本音を語ってくれない。この人とのつながりをどう保てるか。また,家族が目の前で大声で言い争いをしはじめ,保健師も詰め寄られ,つい必死になることもある。そのような時は,自分自身にも対峙する視点をもって,その状況を体で感じながら立ち振る舞う。このようなことが常時あるわけではないが,そうした状況をどれだけ言語化し,概念化し,解釈・分析できるか。それはとりあえず「書き下ろす」ことで整理されることが多い。その場の臨場感を伝えることのできる記録は,必ずしも要素に分断されポイントを絞ったものではなく,一連の脈絡のあるものである。その場にいなかった者にも,その場の人々の姿,思いを伝えることは記録の本質であろう。公文書たることが優先されるのでなく,保健師が伝えたいことが伝わることを大切にし,かつ住民の利益を守り公文書として十分に機能しうる記録とすることが重要なのだと思わされた。そのひとつの突破口として,本書はPlan/Do/Seeの思考過程を書くことを提唱し,そのポイントを提示している。保健師記録のあり方についての貴重な一冊である。