脳損傷による視覚障害のリハビリテーション
長年の研究からリハビリテーションの理念と訓練法を概説
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脳損傷によって起こるさまざまな視覚障害について長年研究してきた著者のライフワーク。障害の回復と代償の観点から脳の可塑性について研究した著者が,豊富な事例から患者のリハビリテーションの理念と訓練法についてわかりやすく概説した書。
著 | Josef Zihl |
---|---|
監訳 | 平山 和美 |
発行 | 2004年09月判型:A5頁:264 |
ISBN | 978-4-260-24432-9 |
定価 | 3,850円 (本体3,500円+税) |
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第1章 序
第2章 視野障害
第3章 視力,空間コントラスト感度,視順応の障害
第4章 色覚障害
第5章 視空間知覚の障害
第6章 視覚性失認
第7章 中心暗点
付録
a. 同名性視野障害/b. 空間周波数感度/c. 色覚/d. 視空間的知覚/e. バリント症候群/f. 視覚的認識/g. 中心暗点
訳者注
文献
事項索引
人名索引
第2章 視野障害
第3章 視力,空間コントラスト感度,視順応の障害
第4章 色覚障害
第5章 視空間知覚の障害
第6章 視覚性失認
第7章 中心暗点
付録
a. 同名性視野障害/b. 空間周波数感度/c. 色覚/d. 視空間的知覚/e. バリント症候群/f. 視覚的認識/g. 中心暗点
訳者注
文献
事項索引
人名索引
書評
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視覚症状に対するリハビリテーションの普及を予感
書評者: 清澤 源弘 (東医歯大助教授・眼科)
筆者がこの本の監訳者 平山和美先生に日本神経眼科学会で出会ったのは先生が福島県立医大の神経内科で研究されていたころであった。先生はすでにいくつかの錯視を評価する小道具を作られ,それを使って脳損傷に伴って発生した中枢性の視覚障害を見事に評価されていた。それらの器具は脳のどのような作用を傷害することによって特定の錯視が消失するかを的確に示していた。その後,東北大学に転出されたが,視覚に関する神経心理学的な研鑽にはさらに磨きがかかり,このたび『脳損傷による視覚障害のリハビリテーション』の全訳を刊行された。本書はマックス・プランク精神医学研究所Josef Zihl教授の『Rehabilitation of visual disorders after brain injury』の全訳である。神経心理学者や臨床心理学者,作業療法士やリハビリテーション医などを対象に書かれたものであるが,歩行訓練ばかりではなくこのようなさまざまな視覚症状に対するリハビリテーションが一般に普及するであろうと予測させる本であり,この領域に興味がある方々には是非ご一読をお勧めしたい1冊である。
本書の内容では,脳血管障害の20%に合併する同名性視野障害と,その60%が示す探索障害に対するリハビリテーションに関する記載がほぼ半分を占めている。筆者は半盲の患者さんを多数診察しながら,“視覚的な探索の練習”などというものが存在するということさえ知らなかった。本書は視野の自然回復を待つだけではなく,意図的に探索行動をさせることによってその患者の行動が改善されることを示している。
さらに以下の章では,コントラスト感度の障害,中枢性の色覚障害,視空間知覚の障害,視覚性失認,中心暗点を対象にそれらの自然回復とリハビリテーションの方法が論じられている。これらの障害も成分として検出され認識されることは少ないが,現場では比較的頻繁に現れている重要な症状である。22頁にわたる詳細な訳者注が付されていて,その内容も大変わかりやすく本文の内容への理解を助けている。
書評者: 清澤 源弘 (東医歯大助教授・眼科)
筆者がこの本の監訳者 平山和美先生に日本神経眼科学会で出会ったのは先生が福島県立医大の神経内科で研究されていたころであった。先生はすでにいくつかの錯視を評価する小道具を作られ,それを使って脳損傷に伴って発生した中枢性の視覚障害を見事に評価されていた。それらの器具は脳のどのような作用を傷害することによって特定の錯視が消失するかを的確に示していた。その後,東北大学に転出されたが,視覚に関する神経心理学的な研鑽にはさらに磨きがかかり,このたび『脳損傷による視覚障害のリハビリテーション』の全訳を刊行された。本書はマックス・プランク精神医学研究所Josef Zihl教授の『Rehabilitation of visual disorders after brain injury』の全訳である。神経心理学者や臨床心理学者,作業療法士やリハビリテーション医などを対象に書かれたものであるが,歩行訓練ばかりではなくこのようなさまざまな視覚症状に対するリハビリテーションが一般に普及するであろうと予測させる本であり,この領域に興味がある方々には是非ご一読をお勧めしたい1冊である。
本書の内容では,脳血管障害の20%に合併する同名性視野障害と,その60%が示す探索障害に対するリハビリテーションに関する記載がほぼ半分を占めている。筆者は半盲の患者さんを多数診察しながら,“視覚的な探索の練習”などというものが存在するということさえ知らなかった。本書は視野の自然回復を待つだけではなく,意図的に探索行動をさせることによってその患者の行動が改善されることを示している。
さらに以下の章では,コントラスト感度の障害,中枢性の色覚障害,視空間知覚の障害,視覚性失認,中心暗点を対象にそれらの自然回復とリハビリテーションの方法が論じられている。これらの障害も成分として検出され認識されることは少ないが,現場では比較的頻繁に現れている重要な症状である。22頁にわたる詳細な訳者注が付されていて,その内容も大変わかりやすく本文の内容への理解を助けている。