看護研究 はじめの一歩

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看護研究のテーマ,どうやって見つけるの? 統計や研究の本,読んでも全然わからない! 質問紙調査は,患者さんの負担にならない? 文献,お金,そして患者さんへの配慮のこと。データ整理,論文作成のコツ。わかっていそうで,わかっていない,一番大切な研究の基本,「はじめの一歩」で楽しく学べる。
編集 岡本 和士
岡本 和士 / 長谷部 佳子
発行 2005年01月判型:A5頁:168
ISBN 978-4-260-33378-8
定価 1,980円 (本体1,800円+税)

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  • 目次
  • 書評

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Step 1 看護研究を始める前に

研究とは何かについて知っておこう

  ── 研究に関する基礎知識

 Q1 研究とは,いったい何をすることですか?

 Q2 研究とは,何のためにするのですか?

 Q3 研究は誰にでもできるものですか?

 Q4 研究を楽しく始めたり,続けていくためのコツを教えてください

 Q5 研究はどのような手順で進めればよいのですか?

 Q6 「研究がうまくいく」とは,どういうことですか?

 Q7 研究を行うとき,最も心がけるべきことは何ですか?

看護研究とは何かについて知ろう

  ── 看護研究に関する基礎知識

 Q1 看護研究の目的は何ですか?

 Q2 看護研究ではどのような研究方法がよく使われるのですか?

 Q3 レポートと研究の違いは何ですか?

 Q4 看護研究をする時期は決まっているのですか?

Step 2 解決したい問題をみつけよう

 Q1 看護研究では,何をテーマにすればよいのですか?

コラム:日常の疑問点から研究テーマをみつけよう

 Q2 研究してみたいテーマが1つにしぼれないときはどうすればよいですか?

 Q3 研究テーマは,漠然としたことでもよいのでしょうか?

 Q4 研究したいことは,何でも研究テーマとなるのですか?

 Q5 研究テーマに普遍性を持たせることは, なぜ必要なのですか?

 Q6 なぜ研究テーマに新しい視点や考え方(独創性)が必要なのですか?

コラム:オリジナリティが必要なのは,研究テーマだけじゃない!

Step 3 問題の解決に入る前に,これだけは準備しておこう

研究に役立つ文献を探そう

 Q1 文献を読むことで,何がわかるのですか?

 Q2 質の高い研究をするためには,どのような文献を読めばよいのですか?

 Q3 文献はいつ読めばよいのでしょうか?

コラム:文献の役割と読み方のコツ

研究に入る前に,これだけは準備しておこう

 Q1 研究を始めるときの心構えについて,教えてください

 Q2 実際に研究に入る前に,準備しておくものはありますか?

コラム:手がかりとなる文献を探そう!

──看護分野の代表的文献検索サイト

Step 4 問題の解決のための手順を決めよう

 Q1 研究計画とは何ですか?

 Q2 研究計画は,どのように作ればよいのですか?

 Q3 研究目的には,何を,どのように書けばよいのですか?

 Q4 なぜ,タイムスケジュールを作成する必要があるのですか?

 Q5 対象者は,どのように設定すればよいのですか?

 Q6 なぜ対照となる集団を設定する必要があるのですか

 Q7 調査項目(変数)は,どのように設定すればよいのですか?

 Q8 調査方法はどのようにして決めればよいのですか?

 Q9 面接調査の研究計画を立てる際には,どのような注意が必要でしょうか?

 Q10 倫理的配慮に関する記載はどのようにすればよいのですか?

 Q11 なぜ解析方法についても,研究計画に含めるのですか?

Step 5 患者さんへの倫理的配慮の大切さを知ろう

 Q1 看護研究の中で,なぜ倫理的な配慮が必要なのですか?

 Q2 看護研究において,倫理的にどのような問題が生じるのですか?

 Q3 看護研究において,倫理的にどのような配慮をすればよいのですか?

 Q4 研究の際に欠かせないインフォームドコンセントとは何ですか?

 Q5 インフォームドコンセントをとるとき,どのように接すればよいですか?

 Q6 インフォームドコンセントでは,どのような内容について説明すればよいのですか?

 Q7 プライバシーの保護についてどのように説明すべきでしょうか?

 Q8 インフォームドコンセントは,いつ,どのようにとればよいのですか?

 Q9 調査資料の収集方法で,インフォームドコンセントのとり方を変える必要がありますか?

コラム:インフォームドコンセントは,口約束よりも文書が確実!

Step 6 問題の答えを出すためのデータを集めよう

 Q1 データとは何ですか?

 Q2 データはどのようにして集めればよいのですか?

 Q3 データを収集するとき,どのような注意が必要ですか?

 Q4 面接調査にてバイアスの影響を小さくするには,どうしたらよいですか?

 Q5 集めたデータはどのように整理すればよいのですか?

Step 7 データの中から,問題の答えをみつけよう

 Q1 データの解析はどのように進めればよいのですか?

 Q2 データの解析方法に決まりはあるのですか?

 Q3 統計学的検定で有意差が出なかった場合は,どうすればよいのですか?

 Q4 統計学書を読んでもどのような統計手法を使ってよいかわかりません

 Q5 交絡変数に注意しなければならないのはなぜですか?

コラム:交絡変数は身近にもあった!

コラム:対立仮説と帰無仮説──統計の話を少しだけ

Step 8 答えが出たら,それを論文にまとめてみよう

論文の書き方を確認しておこう──論文の組み立て方と心構え

 Q1 なぜ,研究を論文にまとめなければならないのですか?

 Q2 論文はどのように書き進めればよいのですか?

 Q3 わかりやすい論文を書くために,どのようなことを心がければよいですか?

論文を書いてみよう──「はじめに」から「考察」まで

 Q1 「はじめに」には,どのようなことを書けばよいのですか?

 Q2 「対象・方法」には,どのようなことを書けばよいのですか?

 Q3 「結果」については,どのように書けばよいのですか?

 Q4 「考察」には,何を書けばよいのでしょうか?

 Q5 抄録にはどのようなことを書けばよいのでしょうか?

コラム:文献の出し方,書き方,注意点

Case

 1 高齢者のライフスタイル要因に対する家族の認知度と高齢者の健康状態との関連

 2 温罨法が就床中の生態の快適感,体温,血流量に及ぼす影響

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看護研究を体験してこそ得られるものがある
書評者: 梅村 美代志 (聖母大学看護学部)
 本書の特徴は,(1)初心者に共通の疑問をQ&A形式にしてまとめられていること,(2)看護研究について順を追ってわかりやすい文章で述べられていること,である。本書を読み進めていくうちに,「看護研究は大変」という思い込みがなくなり「私もやってみようかな」「できるかもしれない」と前向きに変化していく。

 前向きに導かれていく理由は,本書が研究過程を丁寧に述べ,研究する人を励ましているからだと思う。問題を探求していく研究の過程では,一生懸命に取り組んでいればそれだけ結果も気になる。本書から,結果は「過程がいきついたところが,成果であるし,言い換えれば,過程とは結果が刻一刻と生成されていっている姿そのものともいえるからである」1)ということを支えに歩んでほしいという願いを感じた。

 同時に,看護研究は対象があって成立するものである。対象=人を大切にしようとする考え方が看護研究への倫理的配慮となって反映され,それが,得られた研究結果を謙虚に受け止めることや看護研究に対する真摯な姿勢となっていくことを語っているように思う。

 私は,看護研究を体験してみてこそ得られるものがあると思っている。研究の結果が得られた時,あるいはそこまでの過程で自分の中で「何か」が違って見えることがあるからだ。「何か」は,各々違うであろう。看護をする中での疑問は一人だけのものではない。疑問をそのままにせず,「知りたい」を系統的に探求し,「何か」を実感し,看護に還元していくこと。その大切さを本書から教えられたように思う。


●引用文献
1)ミルトン・メイヤロフ,田村真・向野宣之訳:ケアの本質―生きることの意味,73,ゆみる出版,1987.
(『看護教育』Vol. 40, No. 3より)
読めば研究をはじめたくなる
書評者: 堀 容子 (名大医学部保健学科助教授・看護学)
 本書には,「看護研究って楽しそうだな,やってみようかな」と読者をその気にさせるパワーがある。ともかく,簡潔,明快,具体的であり,さらに親切である。編者の言葉を借りるならば,かゆいところに手が届き,肩がこらないような工夫が随所になされた本である。また,研究者にとっては常識であるが,常識すぎてテキストに掲載されないようなことがらも丁寧に拾い上げられている。まさに,看護研究初学者に読んでもらいたい一冊である。

 本書は,すべてQ&A方式でまとめられているため,自分の疑問や関心にあわせてどこからでも読み始めることができるようになっている。編者は,数年にわたり愛知県立看護大学で学部生や院生,臨床看護師などの研究指導に携わってきた。Q&Aの内容は,この豊富な経験で培ってきた初学者の疑問を凝縮したものである。また回答は,本文以外に2~3行で簡潔に述べられており,瞬時にポイントを理解できるようになっている。このポイントを頭に入れて本文を読むことで,回答に対する理解がより深まるという心憎い配慮がなされている。とりあえず,質問と回答のポイントを読むだけでも研究に対する自身の知識がクリアに整理されるので,看護研究の勉強の必要性を感じながらも,日々の業務に追われ,なかなか第一歩を踏み出せない臨床看護師に読んでもらいたい。もちろん,看護学生,大学院生にとってもきわめて有用なのは言うまでもない。

 本書は,8Step 60項目のQ&Aで構成されており,主な内容は,「研究とは何か」「研究テーマについて」「文献や研究の原則について」「研究計画について」「倫理的配慮について」「データ収集について」「データ解析について」「論文の書き方について」である。上記から,本書が研究の基本をきちんと押さえたものであることが確認できる。

 また,本書の特徴のひとつとして,説明内容のきめ細かさがあげられる。例えば,テーマの絞り込みの手順,自分のオリジナリティの見つけ方,質の高い論文を選ぶためのチェックリスト,文献の役割と読み方のコツなどである。これらは図表あるいはコラムとして提示されており,実践的な工夫がなされている。読み終えた人は,きっと研究を始めたくなるに違いない。第2の特徴は,口語文による日常用語を使っての文章である。例えば,「研究とは自分の設定した研究目的に対し解答を与える作業です」「研究の原則は,研究のあらすじが首尾一貫していること」「目的と結論が対応しなくなる最も大きな理由は,研究目的が明確でないことです」。このように本文は,平易な口語体で書かれているため,そのまま研究指導で利用することができ,初学者を教える看護教員の指導書としても活用できる優れものでもある。

 本書は,看護研究の実用書でもあるが,編者の研究哲学が伝わってくる一冊となっている。ここに,類書と異なる点があると思われる。本書を読んで,研究にも人柄が出ることに気づいていただければ幸いである。

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