皮膚科外来診療マニュアル 第2版
日常外来診療でしばしば遭遇する皮膚疾患の診断と治療に最適
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皮膚科医・実地医家が日常外来診療でしばしば遭遇する皮膚疾患の診断と治療を簡潔にまとめたマニュアル。皮膚科外来診療では,的確に臨床症状を把握し,診断に至る能力をはじめ,医師-患者関係,医療経済など多彩な状況を勘案して迅速,的確な治療を決断するスキルが求められる。本書はその一助となる一冊。
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目次
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第I章 症状から診断へ
第II章 外来で行う検査と治療
第III章 COMMON SKIN DISEASEの治療
付録
1. ステロイド外用薬の薬効による分類と血管収縮能
2. 妊娠と薬剤
3. 小児と薬剤
4. 皮膚科常用薬の禁忌一覧
5. 主な膠原病診断基準
6. 皮膚悪性腫瘍における固形がん薬物療法効果判定基準(抜粋)
7. ヒトのCD分類
索引
第II章 外来で行う検査と治療
第III章 COMMON SKIN DISEASEの治療
付録
1. ステロイド外用薬の薬効による分類と血管収縮能
2. 妊娠と薬剤
3. 小児と薬剤
4. 皮膚科常用薬の禁忌一覧
5. 主な膠原病診断基準
6. 皮膚悪性腫瘍における固形がん薬物療法効果判定基準(抜粋)
7. ヒトのCD分類
索引
書評
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ベテランの「目」をコンパクトに具現化,皮膚科初学者
書評者: 岩月 啓氏 (岡山大学大学院医歯学総合研究科教授 皮膚・粘膜・結合織学)
皮膚科医の診断は,皮疹の性状や分布を正確に認識することから始まる。ベテランは,問診と皮疹の視診・触診を行ないながら,どの部位にどのような皮疹があり,組織学的にどのレベルに病変があり,細胞浸潤がどの程度なのか,滲出性変化が強いかなど多くの情報を瞬時のうちに引き出し,多くの鑑別診断を想起する。いかに漏れなく鑑別診断を想起できるか,そして,さらなる問診や診察技術を駆使して鑑別診断を絞り込めるかによって皮膚科医の「目の値段」が決まる。十分な鑑別診断が想起できなければ,思い込みによる的外れな診断的アプローチをとり,余計な検査をオーダーする結果になりかねない。
◆初学者のための皮膚科診療の手引き
本書は皮疹の特徴から想起すべき重要な疾患がリストアップされている。忘れてはならないcommon diseaseが重点的にとりあげられ,実地医療に即座に役立つ内容になっている。ちょうど皮膚科医が皮疹をみて,鑑別診断を考えるプロセスを初学者にもわかりやすい形で具体化している。初学者が皮疹を診断する場合に,本書をチェックリストのように利用すれば鑑別診断を想起することができる。また,各疾患の記載事項を参考にして,さらなる問診を行なうことによって鑑別診断の絞り込みが可能となる。
鑑別診断が絞り込めたら,外来で実施可能な皮膚科的検査を行なうことが確定診断の早道である。その診断技術には,真菌・細菌・疥癬虫検査,硝子圧法,皮膚貼付試験,皮膚描記試験やTzanck試験などがある。これらの検査法は,その原理を理解し,多少の経験があれば誰にでも実施可能であるが,実践向きにその方法を記載した書物は少ない。本書はこれらの検査の進め方や実際の判読法などを簡潔に記載しており,臨床における皮膚科検査マニュアルとしても利用価値が高い。
◆診療の合間に知識が確認できる,整理された構成
診断が確定すると,次は治療の選択を迫られる。たくさんの種類の副腎皮質ホルモン剤,抗アレルギー薬,抗菌薬の中から適切な治療薬を選択するにあたっては,投与禁忌の合併症や薬剤の相互作用がどうであったかなど膨大な情報量を頭の中で整理して,複雑なシミュレーションを行なって処方しなくてはならない。本書では,頻用薬が特徴によって分類されており,用法や副作用や使用上の注意点が簡潔に記載されているため,不適切な投薬を回避することができる。本書の構成は,ベテラン皮膚科医が身に付けている診断・治療プロセスや思考過程をコンパクトに具現化している。疾患ごとの記載の簡潔さはエッセンシャルなものなので,忙しい診療の合間に,知識の確認のために用いることも可能である。医学生,卒後臨床研修医や皮膚科初学者が携帯して日常診療に活用するのに適している。
研修医,皮膚科医にとって力強い味方となる一冊
書評者: 戸倉 新樹 (産業医科大皮膚科学)
◆「診断のための引き出し」を引くヒントを与えてくれる
皮膚科医は頭の中に診断のためのいくつもの引き出しを持っている。ある皮疹を診る。どのカテゴリーの疾患に属するか考え,大きな引き出しを引く。その引き出しの中には,小さな引き出しがいっぱいある。さらに小さな引き出しを引くと,その中に診断が書かれた紙が入っている,といった手順で診断していく。ある時はすぐさま小さな引き出しを1個引く,つまり簡単に診断できてしまうこともある。しかし,またある時はいくつもの引き出しを,それも時によっては異なる複数の大きな引き出しを引くこともある。多くの場合,引き方には軽重がある。堂々と全部引くことも,自信無げに半開きにすることもある。
本書の第I章「症状から診断へ」はまさにこの引き出しを引く大きなヒントを与えてくれるものである。視診から診断に至る皮膚科独特の実践を遂行するうえでの指針となり,さらに自分の見落としまで補完してくれる可能性がある。
第II章「外来で行なう検査と治療」では,研修医や若い皮膚科医が外来診療で,「あれっ?どうだったかしら…」と迷う検査の手技と治療法の要点が簡潔に書かれている。忙しい診察時にはなかなか医師室に帰って調べることは困難であり,これ一冊あればほとんど事足りるという具合になっている。
第III章「Common Skin Diseaseの治療」では,よく見かける疾患の治療法が,まず何がfirst choiceなのか,という実践的な観点から書かれている。例えば,シラミは時に外来で遭遇する疾患であるが,皮膚科学として学ぶことは少なく実地上の知識が欠落していることもあるが,短かく適切に書かれた文章は便利この上ない。
◆「手帳」と言えるほど効率のよい構成
最後に「付録」が付いている。実は本書の中で一番ページを開く回数が多いのはこの部分かもしれない。大小6つの付録があるが,例えば「皮膚科常用薬の禁忌一覧」は日常診療上最も面倒臭い相互禁忌薬の調べを容易にしてくれる。
本書の帯見出しには,「外来診療の机上に,レジデントのポケットに」と書かれているが,まさにその目的に見合う本であろう。本というより手帳である。この種の本は役に立つ情報を満載しているということと,簡潔でかさばらないということの相反する条件を満足しなければならない運命を持っている。そこは編者の宮地,竹原両教授がご自身の手兵を束ねて本書をものしただけあり,無駄のない効率のいい紙面・内容となっている。恐らく最も本書のお世話になる医師は研修医であろうが,ど忘れしたり,あるいは歳には勝てずぼんやりとしか以前の知識が思い出されない医師にとっても,日常診療上の力強い味方になってくれるはずである。
書評者: 岩月 啓氏 (岡山大学大学院医歯学総合研究科教授 皮膚・粘膜・結合織学)
皮膚科医の診断は,皮疹の性状や分布を正確に認識することから始まる。ベテランは,問診と皮疹の視診・触診を行ないながら,どの部位にどのような皮疹があり,組織学的にどのレベルに病変があり,細胞浸潤がどの程度なのか,滲出性変化が強いかなど多くの情報を瞬時のうちに引き出し,多くの鑑別診断を想起する。いかに漏れなく鑑別診断を想起できるか,そして,さらなる問診や診察技術を駆使して鑑別診断を絞り込めるかによって皮膚科医の「目の値段」が決まる。十分な鑑別診断が想起できなければ,思い込みによる的外れな診断的アプローチをとり,余計な検査をオーダーする結果になりかねない。
◆初学者のための皮膚科診療の手引き
本書は皮疹の特徴から想起すべき重要な疾患がリストアップされている。忘れてはならないcommon diseaseが重点的にとりあげられ,実地医療に即座に役立つ内容になっている。ちょうど皮膚科医が皮疹をみて,鑑別診断を考えるプロセスを初学者にもわかりやすい形で具体化している。初学者が皮疹を診断する場合に,本書をチェックリストのように利用すれば鑑別診断を想起することができる。また,各疾患の記載事項を参考にして,さらなる問診を行なうことによって鑑別診断の絞り込みが可能となる。
鑑別診断が絞り込めたら,外来で実施可能な皮膚科的検査を行なうことが確定診断の早道である。その診断技術には,真菌・細菌・疥癬虫検査,硝子圧法,皮膚貼付試験,皮膚描記試験やTzanck試験などがある。これらの検査法は,その原理を理解し,多少の経験があれば誰にでも実施可能であるが,実践向きにその方法を記載した書物は少ない。本書はこれらの検査の進め方や実際の判読法などを簡潔に記載しており,臨床における皮膚科検査マニュアルとしても利用価値が高い。
◆診療の合間に知識が確認できる,整理された構成
診断が確定すると,次は治療の選択を迫られる。たくさんの種類の副腎皮質ホルモン剤,抗アレルギー薬,抗菌薬の中から適切な治療薬を選択するにあたっては,投与禁忌の合併症や薬剤の相互作用がどうであったかなど膨大な情報量を頭の中で整理して,複雑なシミュレーションを行なって処方しなくてはならない。本書では,頻用薬が特徴によって分類されており,用法や副作用や使用上の注意点が簡潔に記載されているため,不適切な投薬を回避することができる。本書の構成は,ベテラン皮膚科医が身に付けている診断・治療プロセスや思考過程をコンパクトに具現化している。疾患ごとの記載の簡潔さはエッセンシャルなものなので,忙しい診療の合間に,知識の確認のために用いることも可能である。医学生,卒後臨床研修医や皮膚科初学者が携帯して日常診療に活用するのに適している。
研修医,皮膚科医にとって力強い味方となる一冊
書評者: 戸倉 新樹 (産業医科大皮膚科学)
◆「診断のための引き出し」を引くヒントを与えてくれる
皮膚科医は頭の中に診断のためのいくつもの引き出しを持っている。ある皮疹を診る。どのカテゴリーの疾患に属するか考え,大きな引き出しを引く。その引き出しの中には,小さな引き出しがいっぱいある。さらに小さな引き出しを引くと,その中に診断が書かれた紙が入っている,といった手順で診断していく。ある時はすぐさま小さな引き出しを1個引く,つまり簡単に診断できてしまうこともある。しかし,またある時はいくつもの引き出しを,それも時によっては異なる複数の大きな引き出しを引くこともある。多くの場合,引き方には軽重がある。堂々と全部引くことも,自信無げに半開きにすることもある。
本書の第I章「症状から診断へ」はまさにこの引き出しを引く大きなヒントを与えてくれるものである。視診から診断に至る皮膚科独特の実践を遂行するうえでの指針となり,さらに自分の見落としまで補完してくれる可能性がある。
第II章「外来で行なう検査と治療」では,研修医や若い皮膚科医が外来診療で,「あれっ?どうだったかしら…」と迷う検査の手技と治療法の要点が簡潔に書かれている。忙しい診察時にはなかなか医師室に帰って調べることは困難であり,これ一冊あればほとんど事足りるという具合になっている。
第III章「Common Skin Diseaseの治療」では,よく見かける疾患の治療法が,まず何がfirst choiceなのか,という実践的な観点から書かれている。例えば,シラミは時に外来で遭遇する疾患であるが,皮膚科学として学ぶことは少なく実地上の知識が欠落していることもあるが,短かく適切に書かれた文章は便利この上ない。
◆「手帳」と言えるほど効率のよい構成
最後に「付録」が付いている。実は本書の中で一番ページを開く回数が多いのはこの部分かもしれない。大小6つの付録があるが,例えば「皮膚科常用薬の禁忌一覧」は日常診療上最も面倒臭い相互禁忌薬の調べを容易にしてくれる。
本書の帯見出しには,「外来診療の机上に,レジデントのポケットに」と書かれているが,まさにその目的に見合う本であろう。本というより手帳である。この種の本は役に立つ情報を満載しているということと,簡潔でかさばらないということの相反する条件を満足しなければならない運命を持っている。そこは編者の宮地,竹原両教授がご自身の手兵を束ねて本書をものしただけあり,無駄のない効率のいい紙面・内容となっている。恐らく最も本書のお世話になる医師は研修医であろうが,ど忘れしたり,あるいは歳には勝てずぼんやりとしか以前の知識が思い出されない医師にとっても,日常診療上の力強い味方になってくれるはずである。
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