日本のコロノスコピー
エキスパートに学ぶ心と技

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安全かつ確実に,患者にとって苦痛の少ないコロノスコピーを実践するために,何が求められているのか? 本書は現在の日本における6人のエキスパートによる珠玉の技術のみならず,彼らの心構えやコロノスコピストとしての素養をも伝え,読者の真の能力向上をめざす。関連の基本的知識,内視鏡治療についても解説。
編集 日比 紀文 / 光島 徹 / 上野 文昭
発行 2003年10月判型:B5頁:224
ISBN 978-4-260-10288-9
定価 9,900円 (本体9,000円+税)
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  • 目次
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I. コロノスコピストのための基礎知識
II. コロノスコピーを始める前に
III. 日本のコロノスコピーの挿入・観察手技
IV. コロノスコピーの周辺技術
索引

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達人からコロノスコピーの技術を学ぶ
書評者: 多賀須 幸男 (多賀須消化器科内科クリニック)
◆コロノスコピーの技術習得に悩む医師たち

 評者はこの本の実質的な編集者である光島,上野両先生の講演や対談を何度も拝聴したことがあり,達人らしい語りにそのつど聴き惚れたものである。

 上部消化管内視鏡を長年やっていた小生が開業に当たって下部内視鏡を習いはじめて思い知らされたのは,書物を読み雑誌を見ても一向に上達しないことである。5分で盲腸まで挿入することができないのである。同じ悩みの医師が多いことは,コロノスコープ挿入法のビデオシンポジウムが決まって大入り満員であることからわかる。「日本のコロノスコピー」と銘打ったユニークなこの本は,その悩みの解消をめざしている。

◆「真の達人」をめざして

 光島先生は序文でコロノスコピーは楽器の演奏などと同じく技能であり,教科書やビデオでは絶対に会得できないと言う。反復練習するほかないのであるが,袋小路に迷い込んで悩み抜いている時にその道の先達の何気ない一言で突破口が開けるもので,苦労の末にそれを会得した藤井隆広・五十嵐正広・趙栄済・和田亮一・神保勝一・中島均の6氏が綴った文章の中からそれを見つけてもらうべくこの本を編集したと述べている。

 上野先生は序文で,コロノスコピーの技術に情熱を傾けるのも結構であるが,それは患者さんの健康維持のための一手段にすぎないと注意している。コロノスコピーの名人を自負する「町の力自慢」は傲慢である。しかし腕は自慢のために研くのではなく,苦痛がなく見落としがない検査ができるように患者さんのために腕を研くのが「真の達人」であると,わが意を得る極意が書かれている。

 このように主張する光島・上野両先生が執筆された第2章の5つの項は,まさにコロノスコピーに携わる者の規範である。

 そして第3章に,腹腔にただよう柔らかい腸管を手なずけて盲腸までスコープを進めるエキスパート6氏それぞれのやりかたが書かれている。編者らが意図するように,悩めるエンドスコピストはそこから珠玉の突破口を見つけることができよう。

この1冊で消化器内視鏡の技と心が会得できる
書評者: 朝倉 均 (新潟大名誉教授/(財)国際医学情報センター理事長)
◆コロノスコピストに必要なもの

 消化器内視鏡のうちコロノスコピーは術者の腕と心が問題になる。食道や胃・十二指腸内視鏡検査は鑑別診断には多くの経験と勉学の蓄積が必要であるが,挿入には食道入口部に問題があるものの内視鏡の経験を積めば何とかクリアできる。一方,コロノスコピーはまず回腸ないし盲腸までの苦痛なき挿入が鑑別診断の前に立ちふさがる。上手な内視鏡医による検査を受けた患者さんは,「コロノスコピーは上部消化管内視鏡より楽な検査ですね」と言うし,下手な内視鏡医に検査された患者さんはもう「二度と検査を受けたくない」と言う。すなわち,コロノスコピーには医師の患者さんに対するいたわりの心とともに挿入の技術が不可欠である。

◆達人に学ぶコロノスコピー

 本書は日本のコロノスコピーの実績と技ではトップレベルにある6人のコロノスコピストが,コロノスコピー挿入の心構えと挿入手技を解説している。今までの内視鏡の解説書は,1人の内視鏡医の解説で終わってしまっていたが,1人ひとりのコロノスコピストの挿入のノウハウが異なるように,読者は自分に合う挿入法をこの本から会得することが大事であることを示している。さらに,この本は前半に,コロノスコピーのための基礎知識編,今までの内視鏡の教科書では具体的に記載されていない事項,すなわちコロノスコピーをはじめる前の検査を受ける患者さんに与えるかもしれない苦痛や精神的なサポートと心得,コメディカルの問題,インフォームド・コンセント,鎮静薬・鎮痙薬などの注意を解説している。そして後半にはさらに一歩進めた内視鏡技術,すなわち色素/拡大内視鏡法,内視鏡的超音波断層法,ホットバイオプシー,ポリペクトミー,粘膜切除術(EMR),止血クリップ法,狭窄拡張術,ステント,ドレナージ,バーチャルコロノスコピーなど,この本1冊で消化器内視鏡の技術と心が理解できるように盛りだくさんに記載されている。

 初めてコロノスコピーを行なおうとしている医師,日ごろ内視鏡挿入に悩んでいる医師,指導を受けるために,あるいは指導するために知識を整理する必要があるレジデントや指導医にも必須の本である。将来改訂版が出る時には,挿入法や内視鏡付属部品がDVDかCDで動画的に見られるようにすると,一層わかりやすくなるであろう。

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