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病院前救護とメディカルコントロール

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病院前救急体制におけるメディカルコントロールの重要性が増す中で,日本救急医学会が認定する救急指示医の養成が急がれている。本書は,救急医療システムを十分に機能させるために指示医を目指す医師が必ず把握しておかなければならないシステム自体についての知識を過不足なく収載したテキスト。
監修 日本救急医学会 / 厚生労働省 / 総務省消防庁
編集 日本救急医学会メディカルコントロール体制検討委員会
発行 2005年01月判型:B5頁:368
ISBN 978-4-260-12262-7
定価 7,150円 (本体6,500円+税)

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目 次 ■第1章 救急医療システム
A. 救急医療システムの歴史
 1. 救急医療供給体制の歴史
  1.1 救急医療の始まり
  1.2 夜間の救急医療の充足に向けて
  1.3 疾病構造の変化と救急医療体制の確立
  1.4 プレホスピタルケアと救急救命士制度
  1.5 阪神・淡路大震災と21世紀に向けた救急医療体制
  1.6 小児救急医療の確保
  1.7 今後の救急医療の発展に向けて
 2. 消防救急行政の歴史
  2.1 消防救急行政の始まり
  2.2 消防組織法の制定と救急業務
  2.3 救急業務の法制化に向けて
  2.4 法制化後の流れ
  2.5 救急隊員の応急処置拡大と救急救命士制度の誕生
B. 救急医療システムの現状と問題点
 1. 初期・二次・三次救急医療体制―現状と問題点
  1.1 初期・二次・三次救急医療体制の現状
  1.2 機能別救急医療体制(特殊救急医療体制)
  1.3 救急医療体制の問題点
 2. 病院前救護体制・組織の現状と問題点
  2.1 メディカルコントロール
  2.2 ドクターヘリによる病院前救護
 3. メディカルコントロールの現状と問題点
  3.1 メディカルコントロールの必要性
  3.2 消防機関・救急救命士の現状と問題点
  3.3 医療機関・医師側の現状と問題点
  3.4 メディカルコントロールを行う組織の現状と問題点
  3.5 海外でのメディカルコントロールの実態―病院前診療の特性からみて
  3.6 わが国のメディカルコントロールの現状と問題点
 4. Chain of Survivalと市民救護の現状と課題
  4.1 疫学
  4.2 市民による蘇生の評価
  4.3 市民が行う心停止を対象とした蘇生術
  4.4 PADプログラム
  4.5 口頭指導
  4.6 わが国における啓発活動
C. 救急医療システムの関連法規
 1. 省令と救急医療システム
 2. 医療計画における救急医療体制
■第2章 消防組織と救急業務
A. 消防組織の構造と機能
 1. 消防力の基準
  1.1 消防力の基準の概要
  1.2 消防力の基準改正の経過
  1.3 救急に関する基準
 2. 消防本部と消防署
  2.1 消防本部の設置基準
  2.2 消防本部常備化の方法
  2.3 消防本部の規模・組織
 3. 消防組織の業務
  3.1 消防の任務
  3.2 消防庁の役割
  3.3 都道府県の役割
 4. 救急業務の統括部門と指導系統
  4.1 消防本部における救急担当部門
 5. 救急業務の組織と職員
  5.1 救急隊の編成
  5.2 消防職員の階級制度
  5.3 救急隊と救急隊員,救急救命士
  5.4 救急業務の実施状況
B. 通信指令システム
 1. 通信指令室の組織,職員と業務
  1.1 通信指令システム
  1.2 通信指令室の組織
  1.3 職員
  1.4 業務
 2. 口頭指導
  2.1 口頭指導の歴史
  2.2 口頭指導の効果
  2.3 口頭指導の安全性
  2.4 口頭指導の法的根拠と災害補償
  2.5 口頭指導員の教育・訓練
  2.6 口頭指導のプロトコール
  2.7 口頭指導の実際
  2.8 口頭指導の問題点
C. 出場・搬送システム
 1. 救急隊の出場システム
  1.1 救急要請
  1.2 出場指令
  1.3 緊急走行および車内準備
  1.4 覚知時刻から現場到着までの時間
  1.5 感染防止
 2. 消防隊・救助隊との同時出場システム
  2.1 同時出場の効果について
  2.2 同時出場時の留意事項
  2.3 相互理解と日常の訓練
  2.4 連携体制の充実
 3. ドクターカーとの同時運用システム
  3.1 運用体制
  3.2 運用開始時期と開始時の状況
  3.3 運用の見直し
  3.4 出動の基準
  3.5 出動依頼
  3.6 通信指令員の研修の必要性
  3.7 管理体制と医療用機材
  3.8 まとめ
 4. 不搬送の事例と対応
  4.1 救急業務における不搬送
  4.2 死亡者の取り扱い
  4.3 搬送を拒んだ傷病者の取り扱い
  4.4 酩酊者の取り扱い
  4.5 感染症患者の取り扱い
D. 救急隊員の業務
 1. 資格別の処置範囲(応急処置の基準を含む)
  1.1 救急隊員の資格
  1.2 救急隊員が行う応急処置の法的位置づけ
  1.3 応急処置の教育訓練
  1.4 救急救命士の国家資格
 2. 救急活動の基本
  2.1 救急隊員の心構え
  2.2 救急活動の原則
  2.3 事前準備
  2.4 出場
  2.5 現場評価
  2.6 傷病者観察と評価
  2.7 応急処置
  2.8 病院選定
  2.9 搬送
  2.10 医師への引き継ぎ
  2.11 記録
  2.12 感染防止対策
 3. 救急活動の記録
  3.1 救急活動記録票の性格
  3.2 記録の根拠法令
  3.3 救急活動記録票の作成
  3.4 救急活動記録票の取り扱い
E. 救急隊員の養成・教育システム
 1. 救急I課程,救急II課程(救急標準課程)
  1.1 救急隊員の資格要件
  1.2 救急 I 課程
  1.3 救急 II 課程
  1.4 救急標準課程
  1.5 今後の課題
 2. 救急救命士(研修所・養成施設)―4号施設を中心に
  2.1 救急救命士養成施設
  2.2 教育内容
  2.3 教員
  2.4 教育効果の評価
 3. 救急救命士(大学・大学院)
  3.1 救急救命士専門養成学校と大学における救急救命士教育
  3.2 施設による教育カリキュラムの差異と大綱化の目的
  3.3 座学と臨地実習プログラムのあり方
  3.4 民間養成校,大学機関での問題点
  3.5 救急救命士の大学院
F. 救急自動車搭載資器材と管理
 1. 救急自動車
 2. 応急処置に必要な資器材
  2.1 観察用資器材
  2.2 呼吸・循環管理用資器材
  2.3 搬送資器材(担架・ストレッチャー)
  2.4 通信用資器材(心電図伝送装置)
  2.5 その他の資器材
  2.6 その他必要と認められる資器材
 3. 救急資器材の点検・管理
■第3章 現場出動型救急医療と消防救急との連携
A. ドクターカー・システム
 1. 医療機関救急車活用型ドクターカー
  1.1 ドクターカーの概要
  1.2 ドクターカーとメディカルコントロール
 2. 消防救急車活用型ドクターカー(ワークステーション方式を含む)
  2.1 地域救急医療体制構築における医師会の役割
  2.2 ドクターカーと救急ステーションの役割
B. ドクターヘリ・システム
 1. 救急医療専用ヘリの現況
  1.1 ドクターヘリの役割
  1.2 ドクターヘリ導入の歴史
  1.3 ドクターヘリに必要な搭載医療資器材
  1.4 ヘリポートの設置
  1.5 ドクターヘリの出動基準
 2. 民間ヘリ活用型ドクターヘリの運用
  2.1 運用管理と情報管理
  2.2 必要な人員と施設・設備
  2.3 典型的な運航パターン
  2.4 活動実績
 3. 消防・防災ヘリ活用型ドクターヘリの運用
  3.1 消防・防災ヘリの現況
  3.2 典型的な運航パターン
  3.3 活動実績
 4. ドクターヘリとメディカルコントロール
  4.1 メディカルコントロール体制の確立
  4.2 通信連絡体制の確立
  4.3 今後の課題
■第4章 リスクマネージメント
A. 救急現場の感染対策
 1. 消毒
 2. Standard Precaution(標準予防策)
 3. 救急現場の安全対策
 4. 針刺しなどの事故の予防と事後対応
 5. 廃棄物処理
 6. 汚染事故報告と労災認定/保障
 7. 消防組織の労働安全対策
 8. 医療機関からの感染情報の提供
B. ストレスマネージメント
 1. 救援者(消防隊員)のストレス
  1.1 職場のストレス
  1.2 救援者のストレス(CIS)
 2. CISマネージメント(CISM)
  2.1 CISMの効果と導入
  2.2 CISMの介入方法
 3. 今後の課題
■第5章 救急救命士制度
A. 救急救命士の役割と責任
 1. 救急救命士の役割
  1.1 救急救命士制度誕生の背景
  1.2 救急救命士とプレホスピタルケア
  1.3 救急救命士のその他の役割
 2. 救急救命士の責任
  2.1 業務範囲の遵守
  2.2 医師の指示・助言の遵守
  2.3 守秘義務
  2.4 活動記録の作成と保管
  2.5 国民に対する責任
  2.6 消防職としての責任
B. 救急救命士の業務
C. 救急救命士と生命倫理
 1. 生命倫理とは
 2. 救急救命士に必要なこと
  2.1 生命倫理にかかわる代表的な規範
  2.2 インフォームドコンセント
  2.3 リヴィングウィル
  2.4 終末期医療
  2.5 尊厳死と安楽死
D. 救急救命士制度とメディカルコントロール
E. 病院前救護の法的問題
 1. 救急救命士の業務
 2. 業務の適正な遂行とその責任
  2.1 過失の判断
  2.2 因果関係
  2.3 権利侵害ということ
  2.4 事故の法的責任の所在
 3. 業務の適正な遂行のために
  3.1 免許取得後の研修と継続研修の必要性
  3.2 研修という特殊な状況下における法的問題
■第6章 病院前救護におけるメディカルコントロール
A. メディカルコントロールの目的と役割
 1. メディカルコントロールの歴史的背景
 2. 救急業務の拡大と高度化
 3. 医行為の質の確保に向けて
B. メディカルコントロールの制度と組織
 1. 救急医療協議会制度
  1.1 地域救急医療の実践主体として
  1.2 メディカルコントロール協議会の位置づけ
 2. 検証医師制度
 3. 指示,指導・助言医師制度
 4. 消防機関の医療職指導者の制度
 5. 消防機関における救急統括部門
C. 救急医療協議会組織のあり方
 1. 都道府県救急医療調整協議会
 2. メディカルコントロール単位協議会
D. メディカルコントロールにおける医師の役割と業務
 1. 検証医師の役割と業務
 2. 指示,指導・助言医師の役割と業務
 3. 消防機関の医療職指導者
■第7章 オンライン・メディカルコントロール
A. オンライン・メディカルコントロール・システム
 1. オンライン・メディカルコントロールの機能と役割
  1.1 指導にあたる医師の所在
  1.2 指示内容
 2. 今後の課題
  2.1 研修・教育プログラム
  2.2 通信方法
B. コントロールセンターのあり方
 1. 医療機関
 2. 通信指令室(台),情報センター
  2.1 通信指令室でのコントロール(横浜市)
  2.2 情報センターでのコントロール(神奈川県)
C. オンライン・メディカルコントロールセンターに必要な要件
 1. 指示医療機関の現状と問題点
 2. オンラインMCセンターの設置施設
  2.1 医療機関
  2.2 消防指令センター,情報センター
 3. オンラインMCセンター設置医療施設に必要な要件
D. “指示,指導・助言医師” の役割と要件
 1. “指示,指導・助言医師” の現状と問題点
 2. “指示,指導・助言医師” の役割と責任
  2.1 “指示,指導・助言医師” の役割
  2.2 “指示,指導・助言医師” の行為責任と法的責任
  2.3 臨場医師による指示,指導・助言と法的責任
 3. “指示,指導・助言医師” の要件
 4. “指示,指導・助言医師” の養成
  4.1 MCにかかわる医師研修
  4.2 救急自動車,ヘリコプターによる医師同乗実習
E. 指示,指導・助言の内容と方法
 1. 指示,指導・助言の原理
 2. 指示,指導・助言の内容
 3. 指示,指導・助言マニュアル
 4. 指示,指導・助言の具体例
  4.1 特定行為の具体的指示
  4.2 プロトコールで指示を要すると定められた医行為の具体的指示
  4.3 救急活動プロトコールを実践するうえでの指導・助言
  4.4 救急活動プロトコールにない医行為に対する医学的判断・助言―気道熱傷の場合
  4.5 重症度・緊急度判断,病院選定の指導・助言
  4.6 病院選定,搬送手段および搬送経路に関する指導・助言
F. “指示,指導・助言” 内容の記録と検証
 1. “指示,指導・助言” 内容の記録
  1.1 記録の必要性と意義
  1.2 記録項目
 2. “指示,指導・助言” 内容の検証と質の管理
  2.1 検証の必要性と意義
  2.2 検証の実際
  2.3 検証結果のフィードバック
  2.4 オンラインMCの質の管理
■第8章 オフライン・メディカルコントロール
A. オフライン・メディカルコントロール・システム
 1. オフライン・メディカルコントロールの機能と役割
 2. オフライン・メディカルコントロールの実施主体(地域システム)
  2.1 地域の組織
  2.2 オフライン・メディカルコントロールの実務
  2.3 地域システムの調整
B. 検証/研修医療施設の要件
 1. 検証/研修が必要とされる背景
 2. 検証医師の所属する医療施設の要件と役割
  2.1 検証医療施設の要件
  2.2 検証医療施設の役割
C. 検証医師の役割と要件
 1. 検証医師の役割と要件
  1.1 検証医師の役割
  1.2 検証医師の具備すべき資格
  1.3 検証医師の要件
 2. 検証医師の養成と質の管理
  2.1 検証医師の養成
  2.2 検証医師の認証と統括医師
D. 救急活動記録(検証票)
 1. 救急活動評価の基準と指標
 2. 救急活動記録(検証票)の項目
 3. ウツタイン・スタイルの導入(意義,目的,運用)
 4. 救急活動記録の運用と検証
 5. 消防統計
E. 事後検証
 1. 事後検証の目的
 2. 事後検証の対象
 3. 事後検証における評価レベル
 4. 事後検証の内容と方法
  4.1 事後検証における5つの留意点
  4.2 その他の留意点と検証の基準
 5. フィードバックの方法
  5.1 フィードバックの必要性
  5.2 PRE Sheetの運用方法
 6. 救急室での指導・助言
 7. 重症度・緊急度判断と病院選定の評価
F. 病院前救護プロトコール
 1. 病院前救護プロトコールの定義
 2. 病院前救護プロトコール作成の必要性
 3. プロトコールの草案と作成
 4. プロトコールの導入の方法
 5. プロトコールの検証と更新
 6. プロトコール冊子の構成例
 7. ソフトやハード面での工夫
G. 教育指導
 1. 症例検討の目標と方法
  1.1 症例検討の目標
  1.2 症例検討の方法
 2. 研修プログラムの導入(特に外傷プログラムを中心に)
 3. 救急車同乗指導
 4. 系統的な教育講習のあり方
  4.1 生涯研修の必要性
  4.2 情報活用の工夫
 5. 救急隊員の資質の評価に基づく指導(養成所における救急救命士養成課程)
H. 病院実習
 1. 病院実習とは
 2. 病院実習の位置づけと目標
  2.1 病院実習の必要性と意義
  2.2 病院実習の基本的な目標
 3. 今までの病院実習の問題点
 4. 現在行われている病院実習
  4.1 病院実習の種類
  4.2 救急救命士養成課程中の病院実習
  4.3 資格取得後就業前の病院実習
  4.4 生涯教育のための病院実習
 5. 病院実習の期間
 6. 病院実習の要件
  6.1 実習受講者の要件
  6.2 実習病院側の要件
 7. 効果的な病院実習とは
 8. 救急救命士個人の実習などの記録の取り扱い
 9. 実習時の患者への同意取得
 10. 病院実習の評価
 11. 今後の病院実習のあり方
I. 学術研究活動への支援
 1. 救急隊員の研究活動の必要性
  1.1 研究の必要性
  1.2 研究とは
  1.3 研究の契機
 2. 学術研究活動への医学的支援
  2.1 準備段階
  2.2 データ集積の実際
  2.3 研究成果の集計
 3. 学会・研究会活動の支援
  3.1 学会発表の支援
  3.2 学会運営の支援
J. 市民啓発活動および口頭指導の検証
 1. 市民普及の検証
  1.1 救命講習での検証項目
  1.2 CPA症例での検証項目
  1.3 検証の役割
  1.4 検証結果の活用
 2. 口頭指導の事後検証
  2.1 指令課におけるメディカルコントロール
  2.2 事後検証の目的
  2.3 事後検証の実施方法
  2.4 事後検証の実際
  2.5 事後検証の活用
K. 救急医療システムの検証と改善
 1. 地域救急医療システムの評価
  1.1 評価の眼をどこに置くか
  1.2 評価分野
 2. 地域救急医療システムの改善
 3. TQMと持続的品質改善
■第9章 災害医療
A. 集団災害と救護活動
 1. 災害の基本的な考え方
 2. 災害医療サイクル
 3. 災害の種類と集団災害
 4. 捜索と救助
B. トリアージ(現場および院内)
 1. 現場
 2. 院内
C. 広域搬送
D. 瓦礫の下の医療
 1. CSMとは
 2. CSMでの活動
E. 災害医療計画と災害医療訓練のあり方
 1. 災害医療体制の現況
  1.1 防災基本計画と地域防災計画
  1.2 災害拠点病院
  1.3 広域搬送システム
  1.4 広域災害・救急医療情報システム
 2. 災害医療計画の策定
 3. 災害医療訓練のあり方
F. 検証医師,指示,指導・助言医師の役割と任務
■第10章 病院前の心肺蘇生法の教育指導法
A. 病院前の心肺蘇生プロトコール
 1. 心肺蘇生プロトコールの必要性
 2. 心肺蘇生プロトコールの根拠
 3. 心肺蘇生プロトコールの作成
B. 病院前の心肺蘇生法アルゴリズム
 1. 心肺蘇生法アルゴリズムの考え方
 2. 「ガイドライン2000」にみる心肺蘇生法アルゴリズム
 3. 病院前の心肺蘇生法アルゴリズムの実際
  3.1 包括的指示下での除細動プロトコールの概要
  3.2 気管挿管プロトコールの概要
C. 病院前の心肺蘇生法の器材とスキル
 1. Standard Precaution
 2. 気道確保器材
  2.1 酸素投与器材
  2.2 気道確保器材
 3. 除細動器材
 4. 静脈路確保器材
 5. その他
D. 病院前の心肺蘇生法の訓練法
 1. on-the-jobトレーニング
 2. off-the-job トレーニング
E. 病院前の心肺蘇生法の質の管理
 1. 活動記録と事後検証
 2. プロトコールと事後検証
■第11章 外傷現場の観察処置法の教育指導法
A. 外傷現場の観察・処置の基本的考え方
 1. Load & Goの概念
 2. 外傷の救急活動のアルゴリズム
  2.1 現場活動
  2.2 車内活動
B. 外傷患者の観察・処置の流れ
 1. 状況評価
 2. 初期評価
 3. 全身観察/重点観察
  3.1 全身観察
  3.2 重点観察
 4. 背部観察と全身固定
 5. 車内収容直後の活動
 6. 詳細観察
 7. 継続観察
■第12章 コラボレーションとコミュニケーション
A. 消防組織とのコラボレーションのつくり方
 1. 消防組織と院内医療専門職組織との違い
 2. 望ましい連携を築くための条件
 3. 連携のためのステップ
B. 組織連携におけるコミュニケーション技法
 1. 組織連携
  1.1 組織内コミュニケーション
  1.2 組織間コミュニケーション
 2. コミュニケーションのプロセス
  2.1 送り手と受け手
  2.2 コミュニケーションの成立要件
 3. コミュニケーション技法
  3.1 オンライン・メディカルコントロール
  3.2 コミュニケーションプロセスの吟味
  3.3 オフライン・メディカルコントロール
 4. 生涯教育活動

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まさにメディカルコントロール『必携』
書評者: 雪下 國雄 (日本医師会常任理事)
 とかく外国から直輸入のカタカナ文字は,充分に理解されないまま独り歩きしがちだ。ともすれば,「メディカルコントロール」(以下,「MC」)もその仲間に入りかねない。

 本書は,その危機を救うために登場した救世主と言っては大げさだろうか。

 けだし,MCがはじめて公の場に登場したのは,厚生省(当時)「病院前救護体制のあり方に関する検討会」においてである。

 以来,病院前救護とMCは表裏一体のものとされ,特に救急救命士の業務拡大の際には,必ずMCがその前提条件とされてきた。

 しかるに,わが国では,医師の具体的指示等のMCに相当する行為が当然実践されていなければならないはずなのに,オフラインを含めたMC体制の体系的な整備が不充分なままにいたずらに時が過ぎてしまった。

◆MCを体系的に理解できる

 厚生省における検討会の提言やその後の救急救命士の業務拡大を受け,MC協議会の立ち上げを中心にオンライン・オフラインのMC体制の整備が真剣に取り組まれるようになった。

 しかし,MC協議会という「器」をこしらえても,これに盛る料理がてんでんバラバラでは意味がない。指示体制,実習,事後検証,再教育等を首尾一貫して実施していくためには,MCの体系的な理解が必要である。

 本書では,総論,次いでオンラインMC,オフラインMCにそれぞれ章を与え,具体例を交えながら詳細に説明している。我が国の病院前救護とMCをおおよそ網羅し,かつ合理的に項目立てた構成となっており,体系的な理解を得ることができる。

 特に,MCの両輪の一方に位置しながら影が薄くなりがちなオフラインMCにも,相当のページを割いていることは注目に値する。

◆医療と救急の「コラボレーション」

 医療と救急の連携が,病院前救護体制の全般にわたって重要なことは論を俟たない。

 そう思いながら読み進めていると,「現場出動型救急医療と消防救急との連携」としてドクターカー・ドクターヘリシステムを説明している章に目が留まった。救急患者の救命,社会復帰には,医師による病院前救護活動が重要であることは言うまでもない。が,これらのシステムを完全に構築している地域は稀で,仮に構築していても医師が実際に現場に出動する例は当然限られている。

 つまり,医療サイドと救急サイドとの相互の連携と役割分担なくしてドクターカー・ドクターヘリシステムは成立し得ない。

 救急救命士の業務拡大(気管挿管・薬剤投与)に伴う病院実習でも同様である。本書でも指摘の通り,救急救命士の病院実習が未だ国民に広く理解されているとは言えず,また医師の臨床研修医制度も必修化された今日,加えて救急救命士の病院実習の継続には医療サイドの絶大な熱意と協力が必須である。

 最終章に至っては,「コラボレーションとコミュニケーション」として「さらに一歩深めた連携をとる」ための説明を展開している。

 そしてなにより,本書の構成自体が,医療と救急の見事な「コラボレーション」をなしていて両サイドの連携を重視していることに編集者の慧眼がうかがい知れる。

◆医師会の役割

 本書では,ドクターカーシステムの項で,地域医師会が救急医療機関をコントロールする立場にあり,その役割の重要性と個々の利害を越えて地域住民の生命を守るという本来の立場を自覚すべきであるとしている。

 誠にその通りで,地域医師会には非常な重圧をかけて恐縮だが,ドクターカーシステムに限らず,MC体制に中心的な役割を果たして欲しい。

◆MC体制整備の「必携本」

 MCは,救急患者の生命に深く関わり,国民の救急医療に対する信頼を左右するもので,正しく理解し,実践されなければならない。

 これまで,MCについて多くの研究,議論が行われてきたが,体系的に理解できる参考書は不思議と少なかった。

 本書は,小林国男先生はじめ多くの叡智の集大成であり,病院前救護とMCに必要十分な知見を得られる,まさに「必携本」といえる。

 また随所に地域の具体例が盛り込まれており,この類の図書にありがちな硬直化,抽象化を避けるための努力が施されている。

 我が国の救急医療体制の一翼を担う方々はもとより,研究者,学生,マスコミ関係者等も,是非,本書を熟読し,活用されることを希求するものである。

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