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保健活動のための調査・研究ガイド

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保健活動の現場で必要とされる調査・研究を,どのように実施すればよいのか? 意外と知られていない調査・研究の基本から,プレゼンテーションの仕方までを解説したガイドブック。文中に入り交じる著者のやさしい語り口,『中村節』を読めば,調査・研究がさらに面白くなる。
中村 好一
発行 2002年10月判型:B5頁:144
ISBN 978-4-260-33237-8
定価 2,640円 (本体2,400円+税)
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  • 目次
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第1章 調査・研究を始める前に
 A. 調査・研究とは
 B. 対象はあくまで「人」
第2章 どんな方法があるのか
 A. 街に出る前にできること
 B. どのような人たちを,どのように調査するのか
第3章 具体的な進め方
 A. 調査票の作り方
 B. データの種類と入力
 C. データのまとめ方
 D. 図表の作り方
第4章 集まったデータをどう処理するか
 A. 一体何が見えてくるのか
 B. 結果は本当に真実か?
 C. 年齢というノイズ
第5章 報告するにはどうするか
 A. プレゼンテーションの仕方
 B. 調査・研究の実際
付録
 A. 調査・研究を計画する際のチェックリスト
 B. 演習課題 1
 C. 演習課題 2
 D. 子供のアレルギーと両親のアレルギーに関する調査票
索引

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保健活動の現場における調査・研究の入門書として最適
書評者: 柳川 洋 (埼玉県立大副学長)
◆時宜を得た調査・研究ガイド

 2002年10月にさいたま市で開催された第61回日本公衆衛生学会では,初めての試みとして「公衆衛生活動における調査・研究の進め方」,「研究成果のまとめ方と公衆衛生雑誌を目標とした論文の作成方法」という2つのワークショップを開催した。公衆衛生の現場で活動する専門職を主たる対象としたワークショップであり,会場の関係で定員をそれぞれ70名としたが,何しろ初めての試みでもあり,企画の段階では,参加者が集まるのかどうかさえわからない状況であった。しかし,実際に募集してみると定員をはるかに超える方々の応募があり,会場の都合でお断りせざるを得ない状況が生じた。

 第一線の保健活動に従事する方々は,日頃の活動の中で,質の高い調査・研究を実践しようという意欲を持ち,その結果をどのようにまとめたらよいかということに,深い関心を持っている様子がうかがわれた。しかし,残念なことに,現場での調査・研究を指南する良書がなかったのも事実である。このような状況の中で,このたび医学書院から刊行された『保健活動のための調査・研究ガイド』(中村好一著)は,誠に時宜を得たものである。

◆光る現場感覚で解説された内容

 すでに10余年前の話だが,著者の中村教授は自治医科大学公衆衛生学教室に勤務する前は福岡県に奉職し,県庁衛生部や保健所に勤務していた。本人は謙遜して「すでに浦島太郎状態」と言っているが,数少ない,真に保健活動の現場を知っている公衆衛生学の教授である。そして現在でも毎年,栃木県内の保健所や市町村職員を対象とした調査・研究の研修会を開催しているし,また,彼の教室には,保健所や行政の現場で働く多くの意欲的な人材が研究生として集まっている。もちろん,前述のワークショップのひとつも担当してもらった。一方では現在,日本疫学会の会誌「Journal of Epidemiology」の編集委員長を務めていて,立派な学術雑誌として育つように努力している。

 このような中村教授が執筆した本書は,まさしく現場感覚で書かれた,保健活動の現場における調査・研究の入門書として最適なものである。研究を行なう意義に始まり,個人情報の保護,実際の調査の進め方,データのまとめ方,図表の作成方法から論文執筆のノウハウまで,調査・研究を行なう場合の一連の流れに沿った必須事項を過不足なく網羅している。さらに巻末には演習課題をつけ,現場での検討事項に対する解決の道筋や,実際のデータの解析方法を例示している。

 本人も認めているように,本書を読めば調査・研究を進めることができる,というわけではない。実際の調査・研究は,例えば冬山登山のように,知識(例えば地図の読み方)も必要だし,初心者はよきリーダーの指導のもとで経験を積む必要がある。経験だけで知識の欠落した状態,あるいは逆に知識のみで経験がない状態,いずれも危険であることは常識人にはすぐにわかる。

 本書は知識を得るためには最適なものであり,保健活動の現場で調査・研究を志す人はもとより,調査・研究が課題となっている医療・保健関係の学生にもお勧めしたい。

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