ヘルスプロモーションの評価
成果につながる5つのステップ
ヘルスプロモーションの評価プロセスをわかりやすく解説
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ヘルスプロモーション活動の実践者を対象にしたヘルスプロモーションプログラムの評価本。計画策定段階から住民が参加するニーズ調査を含めた事前評価をはじめ,地域の対象者に利益をもたらしつつ,現場の実状に応じた評価をいかに行うかを,具体的な評価場面を例に挙げ,考え方のプロセスをわかりやすく解説。
著 | Penelope Hawe / Deirdre Degeling / Jane Hall |
---|---|
訳 | 鳩野 洋子 |
発行 | 2003年06月判型:A5頁:196 |
ISBN | 978-4-260-33284-2 |
定価 | 3,300円 (本体3,000円+税) |
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プログラム評価:われわれは何を知る必要があるのか
第1章 プログラムを始める前に評価を考える
第2章 ニーズアセスメント:あなたのプログラムが取り組むべき問題は何か
第3章 プログラムを立案する
第4章 最初に測定するもの:プロセス評価
第5章 評価可能性のアセスメント:プログラムの効果測定の準備をする
第6章 影響評価と結果評価:プログラム効果のアセスメント
付録 ヘルスプロモーションへの異なるアプローチ
訳者あとがき
索引
第1章 プログラムを始める前に評価を考える
第2章 ニーズアセスメント:あなたのプログラムが取り組むべき問題は何か
第3章 プログラムを立案する
第4章 最初に測定するもの:プロセス評価
第5章 評価可能性のアセスメント:プログラムの効果測定の準備をする
第6章 影響評価と結果評価:プログラム効果のアセスメント
付録 ヘルスプロモーションへの異なるアプローチ
訳者あとがき
索引
書評
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本邦初。ヘルスプロモーション評価の実用書
書評者: 中原 俊隆 (京大教授・公衆衛生学)
◆ヘルスプロモーションの先進国から
本書は,シドニー大学公衆衛生学部に在籍していたPenelope Hawe氏らの著書「Evaluating Health Promotion; A Health Worker’s Guide」を翻訳したものである。わが国ではあまり知られていないが,オーストラリアでは,国民の健康に対する関心がたいへん高く,各州政府をはじめ,さまざまな団体によって,先進的なヘルスプロモーション活動が実施されている。原書は,1990年の発行以来,ヘルスプロモーションの立案・評価の教科書として,オーストラリア国内の公衆衛生大学(School of Public Health)をはじめ,保健医療分野の関係者の間で広く読まれ,活用されている。本書はその前半の総論・理論編を訳出したものであり,後半の手法編は類書も豊富とのことで割愛されている。
本書では,ヘルスプロモーション活動の立案から評価まで,5つのステップに分けて具体的なポイントを丁寧に解説しているのが最大の特徴である。第1章は,まずプログラムを始める前に,評価とは何か,なぜ行なわなければならないのかをきちんと考えることの重要性を述べている。そのうえで,第2章では,ステップ1として「ニーズアセスメント」をどのように行なうべきかを第1~9段階に分けて詳細に説明し,第3章では,ステップ2として「プログラム立案」段階での目的,目標の設定を解説し,評価のためにいかにこれらの設定が重要かを強調している。第4章からは,実際の評価として「プロセス評価」を取り上げ,かなり具体的な評価方法を示している。第5章は「評価可能性のアセスメント」であり,評価のための前提条件の確認を取り上げ,第6章は,最終ステップとして「影響評価と結果評価」の実際とその注意点を解説している。
◆現場で使える「実用書」
本書は,決して評価に関する突飛な「アイディア」集ではない。むしろ,極めてオーソドックスな,しかしこれまで誰もきちんと整理して,系統立てて述べてこなかった事柄が,親しみやすい文体で述べられている「実用書」である。しかし,例えば,プロセス評価について,「プログラムが最も望ましい形で行なわれていないのに,その効果を検証しようとするのは愚かなことである」とその重要性を強調するなど,随所に膝をたたいて肯く記述がちりばめられている。特に「評価可能性のアセスメント」の章は,これまでのわが国の地域保健活動の評価に希薄だった「誰のための,何を目的とした評価なのか」という問いかけに焦点を当てており,「評価情報の使い手を意識すること」が不可欠な要素であることを再認識させてくれる。
わが国では,ヘルスプロモーション活動の評価に関してここまで実用的な本は初めてといえる。都道府県や市町村では,健康日本21地方計画の中間評価・見直しの時期が間もなくやってくる。また,日々の活動について,その評価をどれだけきちんと実施するかが今後の公衆衛生の行方を左右するといっても過言ではない。評価の本質と実際をわかりやすく示した本書は,公衆衛生の現場で働く多くの技術職,事務職にとって極めて利用価値が高い。評価についてあれこれ悩む前に,ぜひ一度本書を通読されることをお勧めする。なお,訳文は,日本語としてこなれており,たいへん読みやすいことを付け加えておきたい。
書評者: 中原 俊隆 (京大教授・公衆衛生学)
◆ヘルスプロモーションの先進国から
本書は,シドニー大学公衆衛生学部に在籍していたPenelope Hawe氏らの著書「Evaluating Health Promotion; A Health Worker’s Guide」を翻訳したものである。わが国ではあまり知られていないが,オーストラリアでは,国民の健康に対する関心がたいへん高く,各州政府をはじめ,さまざまな団体によって,先進的なヘルスプロモーション活動が実施されている。原書は,1990年の発行以来,ヘルスプロモーションの立案・評価の教科書として,オーストラリア国内の公衆衛生大学(School of Public Health)をはじめ,保健医療分野の関係者の間で広く読まれ,活用されている。本書はその前半の総論・理論編を訳出したものであり,後半の手法編は類書も豊富とのことで割愛されている。
本書では,ヘルスプロモーション活動の立案から評価まで,5つのステップに分けて具体的なポイントを丁寧に解説しているのが最大の特徴である。第1章は,まずプログラムを始める前に,評価とは何か,なぜ行なわなければならないのかをきちんと考えることの重要性を述べている。そのうえで,第2章では,ステップ1として「ニーズアセスメント」をどのように行なうべきかを第1~9段階に分けて詳細に説明し,第3章では,ステップ2として「プログラム立案」段階での目的,目標の設定を解説し,評価のためにいかにこれらの設定が重要かを強調している。第4章からは,実際の評価として「プロセス評価」を取り上げ,かなり具体的な評価方法を示している。第5章は「評価可能性のアセスメント」であり,評価のための前提条件の確認を取り上げ,第6章は,最終ステップとして「影響評価と結果評価」の実際とその注意点を解説している。
◆現場で使える「実用書」
本書は,決して評価に関する突飛な「アイディア」集ではない。むしろ,極めてオーソドックスな,しかしこれまで誰もきちんと整理して,系統立てて述べてこなかった事柄が,親しみやすい文体で述べられている「実用書」である。しかし,例えば,プロセス評価について,「プログラムが最も望ましい形で行なわれていないのに,その効果を検証しようとするのは愚かなことである」とその重要性を強調するなど,随所に膝をたたいて肯く記述がちりばめられている。特に「評価可能性のアセスメント」の章は,これまでのわが国の地域保健活動の評価に希薄だった「誰のための,何を目的とした評価なのか」という問いかけに焦点を当てており,「評価情報の使い手を意識すること」が不可欠な要素であることを再認識させてくれる。
わが国では,ヘルスプロモーション活動の評価に関してここまで実用的な本は初めてといえる。都道府県や市町村では,健康日本21地方計画の中間評価・見直しの時期が間もなくやってくる。また,日々の活動について,その評価をどれだけきちんと実施するかが今後の公衆衛生の行方を左右するといっても過言ではない。評価の本質と実際をわかりやすく示した本書は,公衆衛生の現場で働く多くの技術職,事務職にとって極めて利用価値が高い。評価についてあれこれ悩む前に,ぜひ一度本書を通読されることをお勧めする。なお,訳文は,日本語としてこなれており,たいへん読みやすいことを付け加えておきたい。
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