遺伝子検査学 第2版

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新カリキュラムで正式科目に入ったことを受け,より一層の内容の充実を図り改訂。遺伝子検査は,すでに臨床の現場ではルーチンとして行われつつある検査である。学生のみならず,この科目について系統だった講義を受けてこなかった現場の技師の知識の整理にも役立つ内容となっている。今版より2色刷りになった。
編集 菅野 剛史 / 松田 信義
須藤 加代子 / 前川 真人
発行 2002年10月判型:B5頁:184
ISBN 978-4-260-27466-1
定価 3,520円 (本体3,200円+税)
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  • 目次
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1. 遺伝子に関する基礎知識
2. 遺伝子操作に用いる酵素
3. 遺伝子組み換え技術
4. ベクター
5. 遺伝子導入による機能解析・応用
6. 組み換え蛋白質の発現
7. 遺伝子工学(生命工学)の応用
8. 塩基配列の決定
9. 核酸増幅法
10. 遺伝子解析法の応用―遺伝病のDNA診断
11. 癌の遺伝子検査
12. 移植と遺伝子検査
13. 細菌・ウイルスの遺伝子検査
14. 実習
和文索引
欧文索引

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基礎から実際までの内容を幅広く網羅した手引書
書評者: 登 勉 (三重大学教授・臨床検査医学)
◆最先端の内容も充実

 本書の目次を見て,臨床実習中の医学生でもこれほどの内容を学んでいないのではと思った。それほど遺伝子検査に関して,基礎から実際の応用まで広い範囲にわたる内容を含んでいるというのが第一印象であった。執筆者らの意図がそれぞれの章に表れていて,例えば,図表を多く配して2色刷りにし視覚的にも理解を深められるようにしてあり,基本知識に関しても必要かつ十分な内容を簡潔に説明する努力がされている。

 少々驚いたのは,5章から7章で遺伝子導入による機能解析・応用,組み換え蛋白質の発現,さらに遺伝子工学(生命工学)の応用といった生命科学研究の最先端の知識が平易にして簡潔にまとめられていることである。ここまできて初めて,執筆者らのもう1つの意図,すなわち,本書が単に臨床検査技師をめざす学生のみならず,既に医療の第一線で活躍している検査技師にとっても,遺伝子検査という比較的新しい分野の検査技術を修得するための手引書となることを理解した次第である。

◆精度管理への工夫も

 8章から13章では遺伝子解析技術の理論と応用について解説されているが,図表とともに「サイドメモ」が学習の助けになるであろう。また,解析技術の応用に関しては,臨床で頻用されている癌,移植,そして細菌・ウイルス感染症の遺伝子検査を取り上げて,代表的な検査法が解説されている。

 実習と題した最終章では,実習を始めるにあたっての注意が述べられている。この中で最も感心したのは,B.基本操作とC.遺伝子操作の項である。遺伝子検査が臨床応用される場合,精度管理が重要であることに議論の余地はない。その結果,検査がキット化され,誰が実施しても同じ結果が得られるような工夫がされている。遺伝子検査の場合,完全に自動化できる状況ではないので,検査実施者の技量や経験によって検査結果が左右される可能性が残っている。基礎知識と技術の歴史的背景を理解した検査技師の育成が課題であると考えられるが,執筆者らが,これまで研究室で使用されてきたプロトコールを敢えて基本操作と遺伝子操作として紹介している慧眼に敬意を表したい。

 各章ごとに,「学習の要点」と「理解度の点検と問題」を掲げ,理解度を自己評価できるようにしてあり,講義形式の教科書としても,また,自学自習のための参考書としても大変有用な一書である。

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