PTCAテクニック
慢性完全閉塞

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冠動脈インターベンションの大きな課題である慢性完全閉塞病変に対するPTCAテクニックを本邦の第一人者が懇切丁寧に解説。慢性完全閉塞病変に対するアプローチはさまざまなものがあるが,著者の豊富な経験に基づき,治療法の標準化を試みた。同著者による好評既刊本『PTCAテクニック 第2版』との併読により一層理解が深まる。
光藤 和明
発行 2003年03月判型:B5頁:124
ISBN 978-4-260-10266-7
定価 5,500円 (本体5,000円+税)

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  • 目次
  • 書評

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1. CTOの定義
2. CTOのためのCAGの撮り方と読み方
3. IVUSによるentry pointの同定
4. ガイディングカテーテルの選択と操作
5. CTOのワイヤリング1: over-the-wireシステム,multifunctional probing catheter
6. CTOのワイヤリング2:穿通用ガイドワイヤー
7. CTOのワイヤリング3:ガイドワイヤーの使い方,ガイドワイヤー変更戦略
8. ガイドワイヤーによる穿孔および出血の対策
9. CTOのチャネリング
10. CTOのチャネリングまで:標準化の試み
11. バルーンとステントの径と長さの決定
12. ステンティング
13. CTO病変と分岐部病変との複合治療
14. 止血デヴァイスの有効利用
索引

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慢性完全閉塞に対する治療法を達人が標準化
書評者: 井上 直人 (京都第二赤十字病院 循環器科部長)
◆誰もが驚いた「光藤マジック」

 2002年3月に光藤氏を当院の院内ライブデモンストレーションに招聘した。その際,他院で不成功であった右冠動脈の慢性完全閉塞(chronic total occlusion:CTO)を用意していた。透析患者であり石灰化が強く,さらに屈曲を伴うCTOであり誰もが成功率は低いものと考えていた。しかし,光藤氏は解説を加えながらいとも簡単にやり遂げてしまったのである。参加者の誰もが驚き,以後その症例は光藤マジックと呼ばれるようになった。光藤氏にとってはそれは決してマジックではなく,長年の技術の蓄積およびデバイス改良の当然の成果であると考えておられたことと思う。そのノウハウをまとめられたのが本書である。

◆CTOに対するテクニックは職人だけのものではない

 光藤氏は大胆にも本書にてCTOに対するテクニックを系統的に標準化しようとしている。非CTO病変に対してのテクニックはステントの出現以来急速に標準化されたが,CTOに対するテクニックが標準化されることは難しいであろうと私は思っていた。しかし,本書を一読するとそれは杞憂であることがわかる。CTOは決して一部の職人のものではなく,ある程度熟練した術者であれば一定以上の成績が得られるように解説されている。光藤氏の果敢な挑戦に敬意を表する次第である。

 さて,本書のポイントは以下の点である。
 (1)CTOを行う際には,まず冠動脈の解剖を熟知することが重要であり,本書を読むとそれが再認識させられる。多方向造影で確認し(可能であればbiplane),仮想冠動脈ラインを頭の中においてガイドワイヤーを進めることが重要であると説いている。

 (2)次に重要なのは偽腔を大きくしない工夫である。今まではどちらかというと,ガイドワイヤーを回転させてワイヤーでルートを作るように操作していた。この方法ではガイドワイヤーが偽腔の場合,偽腔を大きくするばかりで真腔をとらえにくくなる。また従来は,柔らかいワイヤーから段階的に硬いワイヤーに変更していたが,0.014インチのワイヤーをあまり回転させて操作すると偽腔を大きくすることになり,先端がtaperingした0.009インチのConquestワイヤーに比較的早く変更することを推奨している。この考え方はCTOに対するアプローチを根本的に変えるものと思われる。 

 (3)さらに,どうしても真腔をとらえられないときのパラレルワイヤーテクニック,シーソーワイヤーテクニックなど最新のテクニックも紹介されている。

 以上,本書はこれからCTOに本格的に取り組もうとしておられる中級者のみならず,すでに十分な経験を積まれた上級者にも参考になることが多い。1人でも多くのインターベンショナリストが本書をカテーテル室の座右の書としていただき,CTOに対する治療に取り組んでいただきたいと切望する。

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