困ったときの透析患者の看護
透析看護におけるベテランナースの「臨床の知」
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透析患者の看護を行うなかで,「困った患者さん」への対応に迷う場面は多い。本書では,透析導入をためらう患者,自己管理が困難な患者,透析に伴う苦痛を訴える患者など,さまざまなケースをとりあげ,看護上の問題を解決するための具体的方策を解説。教科書には載っていない,ベテランナースの「臨床の知」を知るための1冊。
編集 | 宇田 有希 |
---|---|
発行 | 2003年06月判型:A5頁:248 |
ISBN | 978-4-260-33283-5 |
定価 | 2,860円 (本体2,600円+税) |
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第1章 透析導入をためらう患者に対する援助
A. 突然の告知により,治療選択に迷う患者
B. 緊急透析導入の受け入れが困難な高齢患者
第2章 自己管理が困難な患者に対する援助
A. 保存期の自己管理継続が困難な患者
B. 生活管理が難しい腎移植前後の患者
C. 血糖コントロールの難しい糖尿病透析患者
D. 高カリウム血症になりやすい食習慣のある患者
E. 精神疾患があり,通院・治療の継続が難しい患者
第3章 体重コントロールに難渋する患者への援助
A. 飲水制限が守れず,体重増加が著しい患者
B. 食事管理が困難で,合併症を悪化させる患者
C. 体重管理不良で,透析を拒否する患者
第4章 透析に伴う苦痛,合併症に対する援助
A. 掻痒感が強く,不眠を訴える患者
B. 心血管系合併症を呈する患者
C. 骨の変形が進み,疼痛を訴える患者
D. 足壊疽,視力低下などのある糖尿病性腎症患者
E. QOLが著しく低下した終末期の透析患者
第5章 透析の継続が困難な患者への援助
A. 医療不信に陥り,攻撃的になる患者
B. 「死にたい」と訴える抑うつの強い長期透析患者
C. 経済的な問題を理由に依存的になる患者
D. 不安感が強く,CAPD導入・継続が困難な患者
第6章 ケアの難しい高齢患者に対する援助
A. 痴呆症状を呈する高齢透析患者
B. ADLが低下した高齢透析患者
C. 介護サービスと透析計画の調整が必要な高齢患者
A. 突然の告知により,治療選択に迷う患者
B. 緊急透析導入の受け入れが困難な高齢患者
第2章 自己管理が困難な患者に対する援助
A. 保存期の自己管理継続が困難な患者
B. 生活管理が難しい腎移植前後の患者
C. 血糖コントロールの難しい糖尿病透析患者
D. 高カリウム血症になりやすい食習慣のある患者
E. 精神疾患があり,通院・治療の継続が難しい患者
第3章 体重コントロールに難渋する患者への援助
A. 飲水制限が守れず,体重増加が著しい患者
B. 食事管理が困難で,合併症を悪化させる患者
C. 体重管理不良で,透析を拒否する患者
第4章 透析に伴う苦痛,合併症に対する援助
A. 掻痒感が強く,不眠を訴える患者
B. 心血管系合併症を呈する患者
C. 骨の変形が進み,疼痛を訴える患者
D. 足壊疽,視力低下などのある糖尿病性腎症患者
E. QOLが著しく低下した終末期の透析患者
第5章 透析の継続が困難な患者への援助
A. 医療不信に陥り,攻撃的になる患者
B. 「死にたい」と訴える抑うつの強い長期透析患者
C. 経済的な問題を理由に依存的になる患者
D. 不安感が強く,CAPD導入・継続が困難な患者
第6章 ケアの難しい高齢患者に対する援助
A. 痴呆症状を呈する高齢透析患者
B. ADLが低下した高齢透析患者
C. 介護サービスと透析計画の調整が必要な高齢患者
書評
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透析看護の「臨床の知恵」に学ぶ
書評者: 牛崎 ルミ子 (新生会第一病院)
◆増加の一途を辿る透析者
慢性腎不全による透析者は年々増加し,日本透析医会調査委員会の報告では2002年12月現在の透析患者は22万人を超え,治療形態は血液透析療法が大部分の96%を占め,CAPD8569人,家庭血液透析99人とされています。導入患者と死亡患者は,年々並行して増加し,長期透析者は最長透析歴36年8か月で25年以上5008人(2.3%)となっています。年齢は平均62.19歳,導入患者平均年齢64.7歳と毎年高齢化しています。原疾患では,1998年から糖尿病が第1位を占めています。透析療法の管理については,高齢者や合併症の増加にもかかわらず十分行なわれているといわれています。
高齢社会,そして生活習慣病としての糖尿病などが増加しているという現実が,透析医療の現場へ押し寄せてくる中,総合医療が求められています。
透析療法では週に2―3回の人工透析を一生涯継続しなければならず,中止は死を意味します。透析看護の分野では,透析療法の知識・技術のみならず,重複した疾患や合併症を持っている患者のケア,自己管理指導,通院生活支援,心理的サポート(コミュニケーション,カウンセリング),家族支援,社会資源の活用における他職種との連携など毎回の透析で患者に接しながら,QOLの向上へ向けた支援を継続的に行なうことが必要となります。透析看護に携わる看護師には,個々の患者の心理面や身体面の状況に応じた適切な対応が求められているのです。
◆実践を活かした透析患者の看護
新人看護師や透析室に配属になったばかりの看護師は,患者への対応に悩む場面が少なくないと思われます。そんな時には,マニュアルや技術書からでは得られない,ベテランの看護師が何気なく実践している知恵や工夫が大きな助けになるはずです。
本書は,各透析施設のベテランの透析看護師が,根拠を持った看護実践をもとに,どこの透析現場でも実際に体験する患者問題の看護展開を示しています。透析導入期の患者の問題,自己管理困難な患者への援助,透析に伴う苦痛・合併症に対する援助,維持期に起こる身体的・精神的・心理的・社会的問題などに対して,その時起こっている患者状況はどういうことか,また上記の問題の対策など看護介入方法をわかりやすくまとめられています。事例を挙げて看護介入していることから,読者にとってより身近に感じることができ,実際の場面に活かしていけると思います。
透析室では,配属直後に突然患者から激しい怒りをぶつけられたり,自己管理の指導をどうしたらわかりやすくできるか悩んでいたり,未体験の患者問題に遭遇し,時には深く傷ついている看護師の悩みが渦巻いています。
本書は,問題解決に向けた紐解きの一助となるのではないでしょうか。参考文献も記されていることから,文献検索して学び,看護実践に繋げていけると思われます。
2004年1月には,第1回「日本透析療法指導看護師」認定試験が実施されます。透析看護においてケアの質の向上,専門性の確立の必要性が高まっている現在,新人看護師はもちろん,ベテラン看護師にも日ごろのケアを見直す意味で,是非一読を勧めたいと思います。
書評者: 牛崎 ルミ子 (新生会第一病院)
◆増加の一途を辿る透析者
慢性腎不全による透析者は年々増加し,日本透析医会調査委員会の報告では2002年12月現在の透析患者は22万人を超え,治療形態は血液透析療法が大部分の96%を占め,CAPD8569人,家庭血液透析99人とされています。導入患者と死亡患者は,年々並行して増加し,長期透析者は最長透析歴36年8か月で25年以上5008人(2.3%)となっています。年齢は平均62.19歳,導入患者平均年齢64.7歳と毎年高齢化しています。原疾患では,1998年から糖尿病が第1位を占めています。透析療法の管理については,高齢者や合併症の増加にもかかわらず十分行なわれているといわれています。
高齢社会,そして生活習慣病としての糖尿病などが増加しているという現実が,透析医療の現場へ押し寄せてくる中,総合医療が求められています。
透析療法では週に2―3回の人工透析を一生涯継続しなければならず,中止は死を意味します。透析看護の分野では,透析療法の知識・技術のみならず,重複した疾患や合併症を持っている患者のケア,自己管理指導,通院生活支援,心理的サポート(コミュニケーション,カウンセリング),家族支援,社会資源の活用における他職種との連携など毎回の透析で患者に接しながら,QOLの向上へ向けた支援を継続的に行なうことが必要となります。透析看護に携わる看護師には,個々の患者の心理面や身体面の状況に応じた適切な対応が求められているのです。
◆実践を活かした透析患者の看護
新人看護師や透析室に配属になったばかりの看護師は,患者への対応に悩む場面が少なくないと思われます。そんな時には,マニュアルや技術書からでは得られない,ベテランの看護師が何気なく実践している知恵や工夫が大きな助けになるはずです。
本書は,各透析施設のベテランの透析看護師が,根拠を持った看護実践をもとに,どこの透析現場でも実際に体験する患者問題の看護展開を示しています。透析導入期の患者の問題,自己管理困難な患者への援助,透析に伴う苦痛・合併症に対する援助,維持期に起こる身体的・精神的・心理的・社会的問題などに対して,その時起こっている患者状況はどういうことか,また上記の問題の対策など看護介入方法をわかりやすくまとめられています。事例を挙げて看護介入していることから,読者にとってより身近に感じることができ,実際の場面に活かしていけると思います。
透析室では,配属直後に突然患者から激しい怒りをぶつけられたり,自己管理の指導をどうしたらわかりやすくできるか悩んでいたり,未体験の患者問題に遭遇し,時には深く傷ついている看護師の悩みが渦巻いています。
本書は,問題解決に向けた紐解きの一助となるのではないでしょうか。参考文献も記されていることから,文献検索して学び,看護実践に繋げていけると思われます。
2004年1月には,第1回「日本透析療法指導看護師」認定試験が実施されます。透析看護においてケアの質の向上,専門性の確立の必要性が高まっている現在,新人看護師はもちろん,ベテラン看護師にも日ごろのケアを見直す意味で,是非一読を勧めたいと思います。
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