セカンドオピニオン
精神分裂病/統合失調症Q&A
病気との折り合いのつけ方に正答はない
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医師とのつきあい方から制度解説まで,109の質問に約30人の専門家が答えます。納得のいく答えが満載。特に医療の枠を越えた患者・家族のコメントには目が開かれる思いがするでしょう。本書は,多様な「くらし」を支えるための,多様な「答え」が詰まったQ&A集です。
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- 目次
- 書評
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1 精神分裂病とは-その症状・診断・疫学
2 病院では何をするのか-精神分裂病の治療
[1] 治療の原則
[2] 薬物治療
[3]非薬物的治療
3 医師とのつきあい方
4 家族はどうしたらいい?
[1] 対応のしかた
[2] 家族のこころのケア
5 精神分裂病の研究はどこまで進んでいるか
6 生活を支えるために大切なこと-諸サービスに関する制度や法律
[1] 親亡き後
[2] 年金・手帳など
[3] 就労・社会復帰
[4] 医療の確保
[5] 生活支援・生活保護
☆患者さんから
◎ご家族から
○コラム
2 病院では何をするのか-精神分裂病の治療
[1] 治療の原則
[2] 薬物治療
[3]非薬物的治療
3 医師とのつきあい方
4 家族はどうしたらいい?
[1] 対応のしかた
[2] 家族のこころのケア
5 精神分裂病の研究はどこまで進んでいるか
6 生活を支えるために大切なこと-諸サービスに関する制度や法律
[1] 親亡き後
[2] 年金・手帳など
[3] 就労・社会復帰
[4] 医療の確保
[5] 生活支援・生活保護
☆患者さんから
◎ご家族から
○コラム
書評
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患者や家族側の思いにぴったり対応したQ&A
書評者: 日野原 重明 (聖路加国際病院理事長)
本書は,国立精神・神経センターの高橋清久総長の図らいで,医療を提供する病院のスタッフと1999(平成11)年4月に発足した「むさしの会」(入院中または退院された患者とその家族の会)の会員の方々との両サイドの共同作業としてまとめられたものである。
この病院では,3年前から毎月1回,患者と家族のために講演会が計画されており,その会での講演の後の質問とその応答の記録がまとめられた。医師や看護師,その他の専門職が,患者側に病気や病状や患者の対応について述べた言葉をそのまま本にすれば,日本には26万人とも言われる精神分裂病(2002年1月からは統合失調症という病名に変更された)の患者や家族に非常にわかりやすい学習書となろうという発想がなされて,この本作りが病院側と「むさしの会」との共同作品として誕生することになった。そこで,高橋総長の指導の下で,同病院で精神科医長を6年間務め,この「むさしの会」を直接指導された朝田隆先生(現在筑波大学精神医学教授)が,編集責任者となって,A5判184頁の本書が医学書院から刊行されるに至ったのである。
◆医療側と家族会の絶妙の調和―膝を打つ答えが満載
「まえがき」は,高橋総長と家族会の「むさしの会」代表の風間美代子さんのお2人が書いておられる。
総長は,国立精神・神経センター武蔵病院の理念,「私たちは,ご家族と力を合わせて,患者様が病気や障害を受け入れながら克服して,こころ豊かで明るい未来を送るための支援を致します」と語られ,風間美代子さんは,「本音で尋ね,本音で答えられたわかりやすいこの記録集を,この病気をもつ当人や家族,そして病人を支える友人たちにも読んでもらいたい」と書いておられる。
一般に,病気の解説書は表通りから家の中を覗くように,通り一遍の医学的記事の解説に終わるものが大半で,その家を裏から見た,ありのままの病む患者や家族の心の中身は,取り扱われていないことが多い。ところが,本書を読むと,この「むさしの会」に出席した方々はまるで最寄りの会で気楽に尋ねたりおしゃべりしているような気がして,患者の家族は自分以外にもこんなに多くの人が同じ問題をもって,互いに助け合っている姿が実感されるようである。
本書は,6章からなる。1章には,「精神分裂病とは」,2章は,「病院では何をするのか」,3章は,「医師とのつきあい方」,4章は,「家族はどうしたらいい?」,5章は,精神分裂病の研究はどこまで進んでいるか」,6章は,「生活を支えるために大切なこと」となっている。特に6章には,(1)親亡き後,(2)年金・手帳など,(3)就労・社会復帰,(4)医療の確保,(5)生活支援・生活保護について書かれて,理解するのに必要な資料は表としてつけ加えられている。
質問に対する医療者側の答えのほかに,患者や家族から,悩んでいる症例の具体的記載が19例紹介され,そのほか看護師やカウンセラー,その他の医療者側からヒントになるコラムが6か所に書かれている。医学の専門用語が使われているところは,欄外にその言葉の注釈がつけられている。
本書できわめて特徴とされることは,返答は精神科医師のほかに,看護師,精神保健福祉士,作業療法士,全国精神障害者家族会連合会事務局長,その他「むさしの会」のメンバーによって書かれていることで,その執筆者の数は30名にも及んでいる。
◆生きるセカンドオピニオンの記載
私がもっとも興味を感じたのは,同じ病状や経過や予後の質問に答える医師が必ずしも1人でなく,2人の医師が別々の答えを書いている箇所が,あちこちにあることである。すなわち,本症には,答えは1つではなく,別の答えもあり,患者の指導や家族の方に納得させる説明も,答える複数の医師の間では多少違うということである。本書を読むと,この病気は患者1人ひとりにより,治療も対応の仕方も,社会復帰も一律にはいかないということが医師にわかる。1人の医師でなく,他の医師の答えも紹介されていることや,看護師は医師とは多少違った角度から答えがくるということなど,それがセカンドオピニオンであり,いろいろの方から意見を聞きたいと思う患者や,家族の側の思いにぴったり対応する本ということができるのである。
医学や看護の専門書は,数知れず多く出版されているが,異なる医療提供者から,また医師でも複数の医師がそれぞれ答えている本はきわめて稀と考え,本書が患者と家族のほか,いろいろの医療者にも読まれることをお勧めしたい。
書評者: 日野原 重明 (聖路加国際病院理事長)
本書は,国立精神・神経センターの高橋清久総長の図らいで,医療を提供する病院のスタッフと1999(平成11)年4月に発足した「むさしの会」(入院中または退院された患者とその家族の会)の会員の方々との両サイドの共同作業としてまとめられたものである。
この病院では,3年前から毎月1回,患者と家族のために講演会が計画されており,その会での講演の後の質問とその応答の記録がまとめられた。医師や看護師,その他の専門職が,患者側に病気や病状や患者の対応について述べた言葉をそのまま本にすれば,日本には26万人とも言われる精神分裂病(2002年1月からは統合失調症という病名に変更された)の患者や家族に非常にわかりやすい学習書となろうという発想がなされて,この本作りが病院側と「むさしの会」との共同作品として誕生することになった。そこで,高橋総長の指導の下で,同病院で精神科医長を6年間務め,この「むさしの会」を直接指導された朝田隆先生(現在筑波大学精神医学教授)が,編集責任者となって,A5判184頁の本書が医学書院から刊行されるに至ったのである。
◆医療側と家族会の絶妙の調和―膝を打つ答えが満載
「まえがき」は,高橋総長と家族会の「むさしの会」代表の風間美代子さんのお2人が書いておられる。
総長は,国立精神・神経センター武蔵病院の理念,「私たちは,ご家族と力を合わせて,患者様が病気や障害を受け入れながら克服して,こころ豊かで明るい未来を送るための支援を致します」と語られ,風間美代子さんは,「本音で尋ね,本音で答えられたわかりやすいこの記録集を,この病気をもつ当人や家族,そして病人を支える友人たちにも読んでもらいたい」と書いておられる。
一般に,病気の解説書は表通りから家の中を覗くように,通り一遍の医学的記事の解説に終わるものが大半で,その家を裏から見た,ありのままの病む患者や家族の心の中身は,取り扱われていないことが多い。ところが,本書を読むと,この「むさしの会」に出席した方々はまるで最寄りの会で気楽に尋ねたりおしゃべりしているような気がして,患者の家族は自分以外にもこんなに多くの人が同じ問題をもって,互いに助け合っている姿が実感されるようである。
本書は,6章からなる。1章には,「精神分裂病とは」,2章は,「病院では何をするのか」,3章は,「医師とのつきあい方」,4章は,「家族はどうしたらいい?」,5章は,精神分裂病の研究はどこまで進んでいるか」,6章は,「生活を支えるために大切なこと」となっている。特に6章には,(1)親亡き後,(2)年金・手帳など,(3)就労・社会復帰,(4)医療の確保,(5)生活支援・生活保護について書かれて,理解するのに必要な資料は表としてつけ加えられている。
質問に対する医療者側の答えのほかに,患者や家族から,悩んでいる症例の具体的記載が19例紹介され,そのほか看護師やカウンセラー,その他の医療者側からヒントになるコラムが6か所に書かれている。医学の専門用語が使われているところは,欄外にその言葉の注釈がつけられている。
本書できわめて特徴とされることは,返答は精神科医師のほかに,看護師,精神保健福祉士,作業療法士,全国精神障害者家族会連合会事務局長,その他「むさしの会」のメンバーによって書かれていることで,その執筆者の数は30名にも及んでいる。
◆生きるセカンドオピニオンの記載
私がもっとも興味を感じたのは,同じ病状や経過や予後の質問に答える医師が必ずしも1人でなく,2人の医師が別々の答えを書いている箇所が,あちこちにあることである。すなわち,本症には,答えは1つではなく,別の答えもあり,患者の指導や家族の方に納得させる説明も,答える複数の医師の間では多少違うということである。本書を読むと,この病気は患者1人ひとりにより,治療も対応の仕方も,社会復帰も一律にはいかないということが医師にわかる。1人の医師でなく,他の医師の答えも紹介されていることや,看護師は医師とは多少違った角度から答えがくるということなど,それがセカンドオピニオンであり,いろいろの方から意見を聞きたいと思う患者や,家族の側の思いにぴったり対応する本ということができるのである。
医学や看護の専門書は,数知れず多く出版されているが,異なる医療提供者から,また医師でも複数の医師がそれぞれ答えている本はきわめて稀と考え,本書が患者と家族のほか,いろいろの医療者にも読まれることをお勧めしたい。
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