肺塞栓症診療のポイント
どんなとき疑い,予防,初期治療をどう行うか
一般臨床医が知っておくべき肺塞栓症治療の知識をまとめた
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肺塞栓症は,長期臥床患者や術中・術後の安静時に突然発症し,急性死を来すことがあり,近年はエコノミー症候群などにより注目されるようになった。本書は,一般臨床医が知っておくべき診断および治療上のポイントから,発症予防とそれに向けての患者教育まで,わかりやすく解説した。
著 | 国枝 武義 |
---|---|
発行 | 2002年04月判型:A5頁:144 |
ISBN | 978-4-260-11996-2 |
定価 | 3,300円 (本体3,000円+税) |
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I 肺塞栓症とは
1. 定義と概念
2. 通常は急性肺塞栓症を意味する
3. 急性肺塞栓症と慢性肺塞栓症
4. 血栓溶解薬による肺塞栓症の治療効果からみた肺塞栓症の病態
5. 急性肺塞栓症における肺血栓塞栓子は自然に溶解するか
6. 院内発生と院外発生の問題
7. 肺梗塞への移行について
II 臨床で重要な肺塞栓症
1. 致死性急性肺塞栓症
2. 慢性血栓塞栓性肺高血圧症
III どんなとき疑うか
1. 診断のポイント
2. 特異的臨床症状はあるか
3. ルチン検査は肺塞栓症を示唆するか
4. 確定診断への道
IV 初期治療をどうするか
1. 治療のポイント
2. 急性肺塞栓症の救急治療
3. 慢性肺塞栓症の治療
4. いつ専門医に送るか
V 予防はどうしたらよいか
1. 発症予防は可能か
2. 再発予防はどうしたらよいか
3. 患者教育について
1. 定義と概念
2. 通常は急性肺塞栓症を意味する
3. 急性肺塞栓症と慢性肺塞栓症
4. 血栓溶解薬による肺塞栓症の治療効果からみた肺塞栓症の病態
5. 急性肺塞栓症における肺血栓塞栓子は自然に溶解するか
6. 院内発生と院外発生の問題
7. 肺梗塞への移行について
II 臨床で重要な肺塞栓症
1. 致死性急性肺塞栓症
2. 慢性血栓塞栓性肺高血圧症
III どんなとき疑うか
1. 診断のポイント
2. 特異的臨床症状はあるか
3. ルチン検査は肺塞栓症を示唆するか
4. 確定診断への道
IV 初期治療をどうするか
1. 治療のポイント
2. 急性肺塞栓症の救急治療
3. 慢性肺塞栓症の治療
4. いつ専門医に送るか
V 予防はどうしたらよいか
1. 発症予防は可能か
2. 再発予防はどうしたらよいか
3. 患者教育について
書評
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ズバリ解決 肺塞栓症診療のすべて
書評者: 白土 邦男 (東北大教授・内科学)
◆明らかに増加に転じた肺塞栓症
肺塞栓症は,従来わが国では少ないとされてきたが,近年の高齢化社会と生活様式の欧米化にともなって,最近では明らかに増加している。
本書は,肺塞栓症の研究ではわが国の第一人者でもある著者の長年にわたる経験をもとに書かれたものである。簡便にしかもポイントをおさえて要領よくまとめられている。また,ところどころに本症に関連した事項についての解説が加えられており,本症の理解を容易にしている。それゆえ本書は,一般臨床家にもわかりやすく書かれた書と言える。
肺塞栓症は,すべての臨床科で経験し得る疾患であり,しかも重症例では急死する場合もあり得る。また一方では,本症を疑わない限り診断が難しい疾患でもある。しかも本症の発生には医原性の要素を含んでおり,訴訟問題にも発展しかねない一面を有している。以上のような理由から,第一線の臨床の場で働く医師は,本疾患への理解を深めておく必要がある。このような意味からも本書は,必読の書の1つと言える。
◆急性肺塞栓症の初期治療の重要性
本書では,まず肺塞栓症の一般的な知識について述べた後,急性肺塞栓症と慢性肺塞栓症の違い,わが国と欧米との違いについて記述している。つぎに臨床上特に問題になる致死性急性肺塞栓症と慢性血栓塞栓性肺高血圧症について論じている。致死性急性肺塞栓症は,深部静脈血栓症の合併症としての観点から論じられ,本症に影響を及ぼす基礎疾患や危険因子についても言及している。後者の慢性血栓塞栓性肺高血圧症は,これまで原発性肺高血圧症と同一視されがちであったが,両者の差を詳細に述べている。
急性肺塞栓は,前述のごとく診断の難しい疾患の1つではあるが,本症をまず疑い,念頭において診断にあたることの重要性を強調している。さらに胸部X線写真と心電図における疑い症例の選別のポイント,血液ガス,心エコー,肺シンチグラム,肺動脈造影,また最近普及し,本症の診断を容易にしたCT,MRIの所見を簡潔にまとめている。
本症の急性期では,全身状態の管理,再発防止の上から初期治療の重要性を指摘している。また重症例における非薬物療法,外科的療法についても論じている。
慢性肺塞栓の治療においては,最近注目されている肺血栓内膜除去術について述べている。これは国内でも限られた施設でのみ行なわれているきわめて難しい手術であるが,成功例では著明な改善が得られる。
肺塞栓症は,大部分が深部静脈血栓症の合併症として発症することより,本症の予防は深部静脈血栓症の予防ということになる。それゆえ1次予防,2次予防の面より深部静脈血栓症予防の薬物療法,非薬物療法,さらには下大動脈フィルターの適応などが論じられている。
本書は肺塞栓症の臨床を簡潔に,しかも重要なポイントをわかりやすく解説した書である。本症が,各臨床科目にまたがる疾患であることから,臨床家は一読しておくべき書であろう。
書評者: 白土 邦男 (東北大教授・内科学)
◆明らかに増加に転じた肺塞栓症
肺塞栓症は,従来わが国では少ないとされてきたが,近年の高齢化社会と生活様式の欧米化にともなって,最近では明らかに増加している。
本書は,肺塞栓症の研究ではわが国の第一人者でもある著者の長年にわたる経験をもとに書かれたものである。簡便にしかもポイントをおさえて要領よくまとめられている。また,ところどころに本症に関連した事項についての解説が加えられており,本症の理解を容易にしている。それゆえ本書は,一般臨床家にもわかりやすく書かれた書と言える。
肺塞栓症は,すべての臨床科で経験し得る疾患であり,しかも重症例では急死する場合もあり得る。また一方では,本症を疑わない限り診断が難しい疾患でもある。しかも本症の発生には医原性の要素を含んでおり,訴訟問題にも発展しかねない一面を有している。以上のような理由から,第一線の臨床の場で働く医師は,本疾患への理解を深めておく必要がある。このような意味からも本書は,必読の書の1つと言える。
◆急性肺塞栓症の初期治療の重要性
本書では,まず肺塞栓症の一般的な知識について述べた後,急性肺塞栓症と慢性肺塞栓症の違い,わが国と欧米との違いについて記述している。つぎに臨床上特に問題になる致死性急性肺塞栓症と慢性血栓塞栓性肺高血圧症について論じている。致死性急性肺塞栓症は,深部静脈血栓症の合併症としての観点から論じられ,本症に影響を及ぼす基礎疾患や危険因子についても言及している。後者の慢性血栓塞栓性肺高血圧症は,これまで原発性肺高血圧症と同一視されがちであったが,両者の差を詳細に述べている。
急性肺塞栓は,前述のごとく診断の難しい疾患の1つではあるが,本症をまず疑い,念頭において診断にあたることの重要性を強調している。さらに胸部X線写真と心電図における疑い症例の選別のポイント,血液ガス,心エコー,肺シンチグラム,肺動脈造影,また最近普及し,本症の診断を容易にしたCT,MRIの所見を簡潔にまとめている。
本症の急性期では,全身状態の管理,再発防止の上から初期治療の重要性を指摘している。また重症例における非薬物療法,外科的療法についても論じている。
慢性肺塞栓の治療においては,最近注目されている肺血栓内膜除去術について述べている。これは国内でも限られた施設でのみ行なわれているきわめて難しい手術であるが,成功例では著明な改善が得られる。
肺塞栓症は,大部分が深部静脈血栓症の合併症として発症することより,本症の予防は深部静脈血栓症の予防ということになる。それゆえ1次予防,2次予防の面より深部静脈血栓症予防の薬物療法,非薬物療法,さらには下大動脈フィルターの適応などが論じられている。
本書は肺塞栓症の臨床を簡潔に,しかも重要なポイントをわかりやすく解説した書である。本症が,各臨床科目にまたがる疾患であることから,臨床家は一読しておくべき書であろう。
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