パーキンソン病治療ハンドブック
情報満載のパーキンソン病治療指針
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パーキンソン病について、EBMをふまえて治療指針を提示する。主な構成内容は診断、非薬物治療、薬物療法、定位脳手術。中心となる薬物療法では薬剤のプロフィールから選択方法、効果減弱や副作用の問題、精神症状への対応など幅広く記載。付録として友の会一覧、治療施設一覧、パーキンソン病体操の解説など役立つ情報満載。
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目次
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第1章 診断
第2章 非薬物療法
第3章 薬物療法
I. 薬のプロフィール
II. 初期治療
III. 効果減弱
IV. ウェアリングオフ現象とジスキネジア
V. すくみ足,転倒
VI. 精神症状
VII. 自律神経症状
VIII. 悪性症候群
第4章 定位脳手術
第2章 非薬物療法
第3章 薬物療法
I. 薬のプロフィール
II. 初期治療
III. 効果減弱
IV. ウェアリングオフ現象とジスキネジア
V. すくみ足,転倒
VI. 精神症状
VII. 自律神経症状
VIII. 悪性症候群
第4章 定位脳手術
書評
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パーキンソン病の実地診療・介護に役立つていねいな記述
書評者: 柳澤 信夫 (国立中部病院長寿医療研究センター・名誉院長,信大名誉教授)
◆状況に応じたきめこまかい治療が求められるパーキンソン病
パーキンソン病は,脳血管障害,アルツハイマー病についで多い神経疾患である。パーキンソン病には,L-DOPAをはじめとする有効な治療薬が数種類あり,また薬では難治性の進展期の症状に対して定位脳手術や深部脳刺激法も開発されて,難治性といわれる神経変性疾患の中で際立って治療に成功した疾患である。しかし原因である黒質神経細胞の変性を阻止する手段はまだなく,そのために長期的な薬物治療に伴う薬効不安定や副作用,そして病変の進展に伴う精神症状や自律神経症状などが患者を苦しめる。そこで初期から進展期にわたり,症状,薬物効果,社会的活動など1人ひとりの状況に応じたきめこまかい治療が求められることになる。
本書の書評にあたり長々とパーキンソン病治療の現状を述べたのは,このような治療の工夫に対して,まさに的確にわかりやすく対処の方針を決めたユニークなハンドブックであることを示すためである。本書にはいくつかの特徴がある。
著者の3氏は,パーキンソン病の治療に異なった立場から長年携わってきた第一線の専門家である。あらゆる症状を訴えて多彩な患者が殺到する東京の大医療センター,進展期のいろいろな問題に対処する公立の高名な専門病院,難治性の患者が集まる大学病院の専門診療科と,それぞれの活動の場と微妙な質の異なる患者を診てきた3人の著者が,分担執筆ではなく,はじめから終わりまでの共著としたところに本書の第1の特徴がある。
◆オーダーメイド・メディシンに応える
第2に,本書の構成がアルゴリズムに沿って記載されている点がある。パーキンソン病治療のガイドラインにアルゴリズムを取り入れたのは,米国の神経学会(American Academy of Neurology)であり,1994年,1998年そして今年2001年と3回にわたり発表されて高い評価を得たが,本書はその特色を取り入れながら,さらに治療関係者が使いやすいように工夫が加えられている。
アルゴリズムは,「ディシジョン・ツリー」とも呼ばれ,問題解決の方法が,パーキンソン病治療でしばしば遭遇する諸問題の1つひとつに対して,関連する病態や薬への反応の有無ごとに次の設問に進み,最終的に目的とする問題解決の答えを得るものである。これは,いわば本病の治療で求められる個人ごとのオーダーメイド・メディシンの実施法を示したものと言える。本書のアルゴリズムは,初期診療の患者や家族に対する教育から始まり,長期治療の諸問題,近年注目されるようになった精神症状や自律神経症状などについてきめこまかく記載され,実施診療上きわめて使いやすいものとなっている。
最後に,本書の末尾には,これまでに出版された各種のパーキンソン病に関する書籍,全国の主な専門診療施設,パーキンソン病友の会の住所なども記載されている。
このように本書は従来にない形式で,実地診療の役に立つようにていねいに記述されたハンドブックであり,医師のみでなくパーキンソン病の診療・介護に携わる医療従事者に推薦できる良書である。
書評者: 柳澤 信夫 (国立中部病院長寿医療研究センター・名誉院長,信大名誉教授)
◆状況に応じたきめこまかい治療が求められるパーキンソン病
パーキンソン病は,脳血管障害,アルツハイマー病についで多い神経疾患である。パーキンソン病には,L-DOPAをはじめとする有効な治療薬が数種類あり,また薬では難治性の進展期の症状に対して定位脳手術や深部脳刺激法も開発されて,難治性といわれる神経変性疾患の中で際立って治療に成功した疾患である。しかし原因である黒質神経細胞の変性を阻止する手段はまだなく,そのために長期的な薬物治療に伴う薬効不安定や副作用,そして病変の進展に伴う精神症状や自律神経症状などが患者を苦しめる。そこで初期から進展期にわたり,症状,薬物効果,社会的活動など1人ひとりの状況に応じたきめこまかい治療が求められることになる。
本書の書評にあたり長々とパーキンソン病治療の現状を述べたのは,このような治療の工夫に対して,まさに的確にわかりやすく対処の方針を決めたユニークなハンドブックであることを示すためである。本書にはいくつかの特徴がある。
著者の3氏は,パーキンソン病の治療に異なった立場から長年携わってきた第一線の専門家である。あらゆる症状を訴えて多彩な患者が殺到する東京の大医療センター,進展期のいろいろな問題に対処する公立の高名な専門病院,難治性の患者が集まる大学病院の専門診療科と,それぞれの活動の場と微妙な質の異なる患者を診てきた3人の著者が,分担執筆ではなく,はじめから終わりまでの共著としたところに本書の第1の特徴がある。
◆オーダーメイド・メディシンに応える
第2に,本書の構成がアルゴリズムに沿って記載されている点がある。パーキンソン病治療のガイドラインにアルゴリズムを取り入れたのは,米国の神経学会(American Academy of Neurology)であり,1994年,1998年そして今年2001年と3回にわたり発表されて高い評価を得たが,本書はその特色を取り入れながら,さらに治療関係者が使いやすいように工夫が加えられている。
アルゴリズムは,「ディシジョン・ツリー」とも呼ばれ,問題解決の方法が,パーキンソン病治療でしばしば遭遇する諸問題の1つひとつに対して,関連する病態や薬への反応の有無ごとに次の設問に進み,最終的に目的とする問題解決の答えを得るものである。これは,いわば本病の治療で求められる個人ごとのオーダーメイド・メディシンの実施法を示したものと言える。本書のアルゴリズムは,初期診療の患者や家族に対する教育から始まり,長期治療の諸問題,近年注目されるようになった精神症状や自律神経症状などについてきめこまかく記載され,実施診療上きわめて使いやすいものとなっている。
最後に,本書の末尾には,これまでに出版された各種のパーキンソン病に関する書籍,全国の主な専門診療施設,パーキンソン病友の会の住所なども記載されている。
このように本書は従来にない形式で,実地診療の役に立つようにていねいに記述されたハンドブックであり,医師のみでなくパーキンソン病の診療・介護に携わる医療従事者に推薦できる良書である。
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